進め! 変態芸部 その101別バージョン (Pixiv Fanbox)
Content
「そんじゃー今から最終回をやりまーす!」
今日も平和な変態芸部、かと思いきや、突如として部長・参道夜影が中心で宣言した。
「え、何!? え、何々!?」顔を上げて叫ぶ良子。
「どうしたの、急に」PCから顔を背け、目を瞬かせる束美。
「なんかの映画流すの?」ソシャゲをしながらあづさ。
「私と霙さんの結婚式をするのですわね!?」両手を組んで立ち上がるレミカ。
「ざけんなバーカ」突っ伏したままポーズを変えず、視線すら向けず冷たくあしらう霙。だが直後、
「この部、なくなるのか!」と机を両手で叩いて顔を持ち上げた。
また同時に円香が、夜影に掴みかかってもいた。
「それはどういうことですかあああああーーーーーー! 廃部になるということですかぁあーーーーーーーー!!」
全裸の身体、肩を掴まれぶんぶんと頭や胸尻を振り乱させられながら、夜影は肩をすぼめて説明する。
「にししっ、その名の通り、最終回! 変態芸部の最終回ってことだよー」
するとさらに、いつから潜んでいたのか、朝子が机の下からその巨体をのっそりと現して立ち上がり、皆を見下ろしてから最後に霙に視線を飛ばし、言う。
「そうよ。変態芸部は最終回を迎えることになったの。だから、ラスト一幕として、霙ちゃんには広報役に回ってもらうわね」
「あ、ああっ!?」
1・
最終回……既に業界は騒然としている状態だ。その知らせを聞きつけた裏社会の人間達は、我も我もと詰め寄った。そんな地下施設最大のホールにて、数千の座席は満杯。間に立つものもおり、万に達する勢いの並ぶ中、未だ開かれていない緋色の幕を背にして霙が現れる。
「とってんとってけ、とってけとん!」
全裸。白ボディペイント。首元から下腹部にかけて赤に黒縁の文字で“最終回!”とでかでか描かれてもいる。ボディペイントの名人・野川さほによるものだ。
「とってけとてとん、とけとんとん!」
この格好で“なんちゃって“と、脚を菱形に開いたアホポーズをとっており、自ら発するお囃子に合わせて少しずつ移動していく横歩きは、客席の笑いを早くもかっさらう。
「ぷっ、面白!」
「間抜け……無様エロだなあ~」
「ははは、いいぞ~」
「尻の穴まで塗られてるねあれは!」
容赦ない盛り上がりに、ぎしっと歯を擦り慣らす霙の怒り顔は、より一層盛り上げた。
「今日も怒ってるね~!」
「怒ってるのに逆らえない! ああかわいそうかわいそうかわいそかわいいー!」と。
しかし、やはりところどころでは最終回を惜しむ声も聞かれていた。
「以降に予定されていた仕事の全キャンセルが噂されている……いったい何が動いているんだ」
「あら、各仕事自体はまだ個人で行われると聞いたけれど?」
「今のところ、依頼もできるようだし? 彼女ら自身は個人で続けていくとか、別の団体に入るとかするんじゃないかなあ?」
「うち何人かの引退とか? やばいな、良子ちゃんにもっと仕事を頼んでおけばよかった!!」
「部そのものが無くなることが残念過ぎるよ……」
と。
そんな中で、霙は幕中央の下に備えられていたビラを客席前側に撒き始める。今回はアクリル板が設置されていないのだ。霙の身体と同じく“最終回!”と描かれたビラに、残念がったり感慨深げに受け取る前列の客達。また、この始まりに対してワンテンポ遅れ、客席上側から同じものが舞い落ちもした。
「これからぁ~~! 最終回~! 変態芸部、最終回~~!!」
上手と下手を往復しながら宣伝を続ける霙。
「最終回だよぉお~~! 最終回だよぉお~~!」
ビラ撒きしながらどたどたと走ったり。
「広報担当綺羅霙ぇ~、最後の出番だ、よぉ~~!」
大きく伸びをする体操をしながら、最高点に達した手からビラを手放してみたり。
「最後の終わりはお尻だよ~~~ぉ!」
客席に尻を向けて屈んで、先とは別の所に出されたビラをまた取って撒き始めたり。
「最後の記念に、ぱっふぱふぅ~!」
と、ビラを棒状に丸めて自分の胸の谷間に押し込み、両側から挟み潰して、それを客席に放り投げるふりをして幕の下に戻したり。
「ウンコと言ったら綺羅霙ぇ~! 世代代わってもこれ不変!」
数枚のビラをくしゃくしゃの球状に丸めて肛門に詰め込み、これをステージの縁に向けて放出……客席には絶対に落ちないように、小粒の便を纏わせておくことでコントロールし、縁にべったり貼りつくように調整していた。
これには、称賛と無念の声が同等行き交う。
「うおーさすが!」
「素晴らし! すごすぎ!!」
「で、でもやっぱり最終回なんだよな」
「しかもあの口ぶり、霙ちゃんは確実に辞めちゃうんじゃないかー!?」
そして前列右側に座る北条早紀も寂しげに見守っている。
「終わってしまうのね……」
逆側に座る朝日津鋼氏も、芸最中であるにもかかわらず静かに目を閉じ感慨に浸る。
「むぅ……」
ここでビラ配りが終わり、機械操作にて巨大アクリル板が客席とステージが隔てられた。糞まみれのビラはこれに触れることなく、形を変えず鎮座し続けている。
「技術が正確無比な証拠ね……うちに来てもらえないかしら……」
2列目の中央にて、中島凛音が感慨深げに言った。その横では、夏川順子が真っ赤になって立っている。
「わ、私まで巻き込まれたらどうしよう……!」
これを起点にして同様に、霙を自身の持つ団体に所属させたり、専属変態芸人にできたらという声がちらほらと上がるようにもなっていったのだが、ここでライトが一部消灯されて薄暗くなったことで、全員が黙ってステージを見た。緋色の幕が、霙の初めのアホポーズで行われるスクワットのリズムに合わせるようにして少しずつ上がっていく。すると、その後ろには12の細い脚が見えた。靴は履いていない。靴下もない。さらに上がっていくと、脛、膝、太腿と見え、スカートをはいている様子もない。
「おおお……ついに!」
「ついにかあ」
「あづさ~~! 俺の嫁に~~!」
「レミカ様すきすきぃ~~! お姉様になって~~~!!」
いくつもの感極まった声が響く中、彼女らの股間は脚の長さやポーズに応じて順番に現れる。肉感たっぷり毛もじゃの鎮座しているもの、対照的に細くちんまりと生えているもの、金色の毛が剥き出しのヴァギナを覆うもの、ぴっしりと生えそろっているもの、ダークブロンドのさらさらなもの、薄く均整の取れた手入れの行き届いたもの……そこから臍、胸、顔と次々に姿を現したのは、各個人の変態芸ポーズをとった変態芸部員たちであった。
左から、枳殻円香。ぴっしりと直立。真面目一辺倒の顔。
次に豊島あづさ。脚を曲げて屈み、両手の指を3本2本とそれぞれ揃え、また中指を使って鼻を押しつぶしたメス豚の姿。
竜宮院束美。脚は交差しており、両手は斜めに向けて開く。手品の成功のようなポーズで、自らの顔面を変形させた内容。上瞼下瞼計四か所を捻じらせて外方向に伸ばすことで眼球を剥き出しにし、裂けてしまったのではないかと思えるほど唇を左右上下に開き、また下側は加減しておくことによって化け物の笑顔を作り出していた。
一人飛ばして、中堂良子。蟹股で、右胸と左太腿に指の揃ったそれぞれの手を当てている、人間太鼓のポーズ。恥部は隠しておらず、真っ赤である。
右端、阿影沢レミカ。股間に手を添え剥き出しのヴァギナをやや上に向けて自らは覗き込む、マン話芸の型。
最後に中央右側は部長・参道夜影。シンプルにコマネチ。
「おおお~、変態芸部それぞれの得意技かあ~」
「そっか、円香ちゃんのは変態芸に対する姿勢の表れだね」
「束美さんの顔芸、やっぱり究極に狂い咲いてるぜえーーー!」
「夜影さんはけっこー迷ったんじゃない、オールラウンダーだから」
「いやあのシンプルイズザベストな感じ……最も輝いているのは彼女だと思うね」
客席からはやはり感嘆の声をはじめとしたさまざまな感想が漏れる。先の霙の時のように、全員が感慨に耽り、感動を噛みしめ、別れを惜しんでいるのだ。
しかしだ。さらに幕が上がっていくと、これらの声は驚きに変わっていった。
「ん? え?」
「ちょっと、どういうこと?」
「あれ、おい!」
「これは……やられた!!」
ざわめきどよめきがどんどん大きくなっていく客席に、アホポーズスクワットを続けながらも霙は違和感を覚えた。自分の後ろで、他の部員らが全裸で得意芸を披露していることは台本通りで違うことをされている様子はないが、しかしどんどん、客席の面々に視線を上向けて驚く者が増えている。いったいなんだ。
「あはははそうだったのかー! もー!」
笑ったり、
「ちょおおおっ! もお、びっくりさせないでよぉおおーー!」
泣いたり、
「おいおいちょっとイタズラが過ぎるんじゃねーの!?」
中には怒りの表情を作ったものまでいる。いったいどうした。
「あぁん……?」
アドリブか、サプライズか。いったい何の騒ぎだ。セットにとんでもないものでもあるのか。
「なんだってんだ……」
幕が上がり切った、がしゃっという音が聞こえた。
以降は部員らと並んで芸をすることになっている。そのための振り返りを利用して、客席に再び尻を向けて彼ら彼女らの視線の先を見てみたわけだが、そこでぴたりと固まった。
「あぁ……あああ!?」
舞台上側には、横断幕が掲げられていたのだ。そこに描かれた内容は、“変態芸部は終わりません!”の一言。
「な、なんだこりゃあ!? 終わるんじゃねえのかよっ!」
最終回と言う特別感……安心もしていた気がする。安心と言うより期待か。このまま解放されるかもしれない、だから最後は従った……そんなような、ただついついいつも通り体に染みついた芸をしていただけだったような気もするが。ともあれ、霙は愕然とする。膝をつきかけすらした。
「にししっ、なにやってんのかなー、霙ちゃん!」と夜影。その頭上からひらりひらりと舞い降りてきた学校の制服を素早く着て、笑顔ながら詰め寄る動作をした。
「ああっ!?」
服を着る話は台本にない。自分の頭上も見るが、当然と言っていいくらい、同じように制服が降りてくることは無かった。代わりに、他の部員らは次々制服を受け取って着、スライドするように投げ込まれた靴とその中に詰め込まれていた靴下まで履き、ついでに束美は顔を戻して、無様な姿を晒しているのは霙たった一人となった。
「ど、どういうことだよ……ドッキリってわけかよ!」
この大声に、客席からの声が爆発。
「よかった~~~!! 私、変態芸部が見れなくなったらと思ったら仕事も手につかなくなってたわよ!」
「おいおい最終回を楽しみにしてたのにこりゃない! これは今後も楽しませてもらわなくちゃな!! そういうショーを演じてもらうのも、ありか!」
「綺羅霙がまだ見られるぅう~~~~!」
「あははは、ああ、涙が……っ!」
と。
これにゆっくりと振り返った霙の顔は、怒りに歪んでいる。が、次の瞬間、もっとも近くに寄っていた夜影の身体はさっと離れ、霙の頭上からは透明の液体が降り注いだ。
「うわっなんだ! うげっ!」
そして次の瞬間には、ボディペイントは洗い流され、霙は体を覆う一切を失ってしまった。今回の塗料は、無害ながらも特別な液体が浴びると、一気に解け落ちてしまう材料でできていたのだ。
「こ、これ……なんだなんだなんだよおおーー!」
両腕を組むようにして胸を覆い、膝を曲げて股間を覆い、そして部員らに向かって尻を向けることで客席に対する防御の姿勢を見せる霙。レミカはその尻にむしゃぶりつく勢いであるが、流石にそれ以上の動きは見せなかった。
さらにここで現れるのは、朝子である。舞台上手から、ゆっくりと大股で袖まで進み、言った。
「お客様方に嘘の告知をするなんて、どういうつもりかしら」
「はあああ!?」
理不尽な。自分の命令だろう。思わず怒りのままに朝子を見上げる霙だが、その表情は青ざめ凍り付いた。
「出鱈目を言う悪い子には、お仕置きが必要ね」
朝子、にっこり。しかしこの笑顔、目は笑っていない。
「う、ぐう、ぐ、ぐ……!」
これに朝子はさらに言う。
「成長したわね」と、よりにっこりして。
「ぐあ……!?」
成長。そうだあの時。朝子に惨敗して散々に哀れな負け犬の言葉を吐き出したあまりに弱い自分。これに比べれば、固まって文字を千切って吐き出す程度になった今の自分はましかもしれない……しかし、あの時から差は埋まっていない。それに、あの時のことをまた鮮明に思い出させるための今の一言……あの時のように、思う言葉は一つ。
“従うほかない”。
霙は、全裸でお仕置きを受けることになってしまうのである。
朝子が踵を返すことを合図に、まずはレミカ。
「おしりぺろぺろ地獄の刑ですわぁあ~~~~~~~~~~~!!」と叫んで霙の膝裏にタックルをかまし、前側に倒れ込ませた。
「うあっ!?」
しかし客席にしっかり見えるようにその尻をぐぐいと持ち上げ、しゃぶり舐め始める。
「うひゃあああ! うひょおおお! べひゃあああ! うひゃばああ!!」
雌獣の嬌声を上げるレミカ。霙はその不快な感触を受けながら、ろくに声を上げることもできない。
「う、うああっ、て、てめ、やめろ……あああ、ううあ!」
そんな現状を客席から隠すように、あづさがみぞれの首後ろに跨り遮った。
「うえっ、なんだ……!?」
「霙豚~、ぶひーって鳴いて~」
「ぎっ!」
あづさの手指が、霙の鼻を上側に伸ばし潰す。これにて霙の顔は豚鼻が中心に居座ることとなる。さらにだ、薬指を口角にひっかけられて、無理矢理笑顔まで造らされてしまった。
「ぶ……ぶひぃいーーーーーーーー!」
早々に終了するためだろうか、即座に従ってしまう霙。あまりに惨めな光景に、客席からは拍手喝采。
「これは惨め! 無様エロってか惨めエロ!」
「あははは、ひどー!」
「霙ちゃんの怒り顔が変顔に変わる……これもいいよねえ」
だが、あづさは離れることをせず、次に現れる束美にバトンタッチ……べたべたとセロテープを貼りつけ、“笑顔の霙豚”を固定してしまったのだ。
「う、ぐいいい! うぎー!」
「ほら、もっと豚の声を出して」
「ぶ、ぶひー! ぶひー! ぶひぶひーーー!」
ここでやっとあづさが退いたが、未だにレミカは霙の尻にて水音を鳴らし続けていた。
「しゃばしゃばしゃぶしゃぶぅ~~~! 良いですわあいいお味ですわあ~~~!」
「く、くひい、ばか、あかげしゃわ、や、やめろぉお……!」
文句を言うなら仕置きは強まる。良子の竹刀が尻をばしん。
「くおほっ!!」
思わず前にせり出て、ふらふらと立ち上がる霙。危うく、初めに出したウンコを踏みかけて留まる。
「どブスのメス豚が立ち上がった……」
「体は良いのに台無しですなあ!」
「いいぞ~メス豚霙!」
「ぶひぶひぶーぶーの、ウンコ芸とのコラボをやれーー!」
するとだ。舞台下手から、一人のカラフル着ぐるみのヒーローが現れた。着ぐるみは顔出しのものであり、すぐにそれが円香であることが判明。
「豚怪人霙! レインボー仮面が相手ぇーーーーー!」
と急に叫ぶことで霙を驚かせ、事態が呑み込めぬうちにダッシュで霙の横を駆け抜ける。通り過ぎる寸前にジャンプし……顔面のセロテープを一気に剥ぎ取ってしまうのだった。
「ぐよあ!!」
元の顔に戻った霙。このテープも裏社会特製の安全なもので、また眉毛やまつ毛には貼り付けられていないため、まったく被害は無く霙は元の顔に戻ることができた。ただ、瞬きを何度も繰り返して顔に手をやり、混乱してはいるが。
そんな中で、今度は夜影。霙の脚それぞれにロープを縛り付けて、手を上げる。
すると裏方の機械がロープを引き上げ、霙の身体は一気に反転。
「うああ!?」
逆さで、後姿を客席に見せることになってしまったのだ。両手は部員3人ずつによって押さえられ、バンザイの状態。
「な、何だ、何する気だ、おい、おい!!」
そう叫ぶ霙に、夜影は告げる。
「ウンコと言ったら綺羅霙、綺羅霙と言ったら~~~~?」
ああ。
そうなったならば、それしかない。
「ど派手にいってね! にししししっ!」
霙のウンコが、噴水、否火山の如く空を飛び放たれた。
「うほぉおおーーーーーー! トイレからウンコがあああーーーーーーーー!」
客の一人が叫ぶ。否、誰もが同様のことを口にしていた。
秘技・便器逆流。
レミカはひとしきり霙の尻を舐めた後、あづさの身体が隠す中、ペイントを始めていたのだ。白と黒で霙の尻に便器の絵を描き、さらに中心に水色。ここで霙が激しく脱糞すれば、恐るべき便器からの逆流が起こってしまうというわけだ。
しかも、ド派手にやるよう指示を受けたことによってその量勢いたるや。
「うっわすごい!」
「うはおおおお!」
「再出発を飾る大脱糞花火だあ!」
「感動ですなあ皆様。私はこれからも彼女らへの依頼を続けますぞ」
「変態芸部は~、いつか終わるかもしんないけど~~、今日はまだおわりませーーーん!」
と夜影。
「これからもよろしくお願いしまーーーす!」
部員たち。
「うるせえええ! もう終わっちまえええーーー! バカ野郎ども、ぶっ殺すぞぉおーーーーーーーーー!!」
霙。
最後と思われた舞台は、最高の幕引きを以って次へと繋がっていくのである……。