壁という境界線 Side Story ~ 紗枝 Side ~ (Pixiv Fanbox)
Content
※本作品はpixivで公開した、【壁という境界線】のサイドストリーとなります。本編をお読みいただいた事を前提にしておりますので、詳細等が省略されております。
本編を一読頂いたあと、お楽しみ頂けると幸いです。
・・
「【紗枝(さえ)ちゃん】、来週はどこの現場だっけ??」
そう私に質問してきたのは、親友である【愛海(あいみ)ちゃん】。
年は二つ上ではあるが、長い事付き合ってきた仲である。
「うん…っと…来週は現場入ってないの…」
「へぇ~そうなんだ、紗枝ちゃんがオフって珍しいね」
「ちょ…ちょっと…別の用事があって…」
私は愛海ちゃんの質問に歯切れ悪く返答をした。
私たちは、平日は普通の会社に勤める会社員。
しかし、週末は、ヒロインへと変身しているのだった。
週末だけ…そう、いわゆるキャラクターショーの中身をやっているのだ。
戦隊ものから、魔法少女もの、幼児向けのキャラクターなど、様々な着ぐるみを着て、キャラクターに変身している。
私の家は、二人姉妹、幼い頃に両親が離婚したため、母親が一人で私たちを育てて来てくれた
。
そんな中、私は高校に上がると直ぐに、この仕事を始めた。
私の高校はアルバイトが禁止だった。
それ故、この仕事が私にとってうってつけだったのだ。
この仕事は、顔がバレる可能性が少ない。
何せ、着ぐるみに包まれているのだから、現場への移動の時くらいだけ気を付けていれば、そうそう見つかる事は無い。
少しでも自らでお金を稼ごうと、この仕事に始めたのだ。
最初のうちは、お金のためというのがあったが、そのうちに職業自体にものめり込んでいった。
高校を出て、就職したものの、その後も続けている。
今の会社は副業は認められているものの、内容が内容だけに、誰にも明かしてはいない。
実際のところ、仕事が好きだというのもあるが、週末に収入があるのがでかい。
私には年の離れた妹【瑠香(るか)】がいる。
今は高校生だが、彼女は私と違い、大学に進もうとしている。
彼女には陸上の才能があるのだ。
その才能を生かし、大学へ進学しようとしている。
しかし、瑠香は優しい子なので、家の家計の事を気にしているようだった。
そんな瑠香の才能を潰さないために、私がなんとかして、少しでも多くのお金を稼ぐ必要があるのだ。
だから私はこうして、平日は会社員として働き、週末はヒロインとして活躍しているのだった。
そして、親友である愛海ちゃん。
愛海ちゃんは二つ上ではあるものの、キャラクターショーを始めた時に同期で始めたため、今ではすっかり仲良しになっているのだ。
彼女は、私と違い、大学に進み、今では立派に社長の秘書的な仕事についているらしい。
そんな仲良しの愛海ちゃんに歯切れの悪い返答をした理由…。
(うん…こんな事…さすがに愛海ちゃんにも言えないや…)
愛海ちゃんにすら言えない事がそこにあった。
それは何かというと、来週末、私は特別な仕事を引き受けているのだった。
特別な仕事…。
それは、何週間か前のキャラクターショーの現場終わりの帰りの事だった。
・・・
「こんにちは、真鍋紗枝さん」
一人の女性が、現場が終わり、電車の駅に向かう私に声を掛けて来た。
「こ…こんにちは…」
(だ…誰だっけ…私の名前を知っているみたいだけど…)
私は見知らぬ女性に声を掛けられて驚いたが、確かに私のフルネームを先程言っていた。
つまり、私を知っている人ということになる。
「はじめまして、私は【赤坂(あかさか)】と申します」
そう言って差し出して来た名刺。
そこには、【アートディレクター】という肩書の入った、赤坂という人の名前が書いてあった。
「は…はぁ…」
「そう警戒しなくても大丈夫ですわよ。今日のプリンセスのショーを見て、あなたに声を掛けさせて頂いたんです」
(え??ショーを見て??って事は関係者って事??)
「スカウトみたいなものですが、どうですか??お話を聞いて頂けませんか?あなたにしか出来ない事なんです。実際にショーを見て、私が紗枝さんに特別なものを感じまして」
あからさまに怪しい内容ではある。
しかしながら、この赤坂さんという人の雰囲気が、何か私を惹きつけるものを感じる。
「え…えぇ…少しだけなら…」
怪しいと感じながらも、その話を聞いてみようと思ってしまう。
「ありがとうございます。立ち話もなんなので、そこらのお店にでも入りましょう」
そうして、私は赤坂さんと、あるお店に入って行った。
そこは個室のカフェのようなもので、私たちはその部屋の中に二人きりとなった。
赤坂さんが好きなものを頼んでいいとの事で、好きな飲み物を頼むと、それが届けられ、一息ついた。
「さて…紗枝さん…。私はアートディレクターの赤坂と申します。折り入って相談があるのは、お仕事の話です。金曜日と土曜日の二日間だけのお仕事。仕事内容はこちらになりますわ」
そして私は差し出された、その仕事内容の紙に目を向けた。
そこには、ラフ画で描かれたイベント会場の絵のようなものがあった。
(ん??なんの絵だろう…)
私はそのイベント会場の絵をじっくりと見た。
「え!?ちょ…ちょっと待って下さい??これ??プリンセスじゃ!?」
そのイベント会場の絵。
その絵は、壁から何人もの女の子の下半身が生え出ているような絵だった。
そして、一つの下半身が拡大されたカット、その生え出た下半身が身に着けた衣装、それは見覚えのある衣装…。
スイートプリンセスの衣装に他ならないのだった。
「ご名答。さすが紗枝さん。数々のキャラクターをこなして来ただけの事はありますわ」
そう言われたものの、その絵の奇妙さに理解が追いつかない。
スイートプリンセスだというのは分かったが、なぜ、このキャラクターの下半身が壁から生えているのか?
敵にでもやられて、上半身が壁に刺さったのか…。
しかし、今までのテレビでもこんなシーンは見た事がない。
「な…何が…どういう事なんですか…??」
困惑を隠しきれない私は、赤坂さんに説明を求めた。
「私が今度、開こうとしているアート展のイメージ画ですわ」
「ア…アート展??」
「そう…私は、プリンセスのショーを初めて見た時に感じてしまったの…。究極の美を…。そのしなやかな長く細い脚…その足がタイツに包まれる事で、その脚の美しさはさらに増す。そして、その先に見え隠れする、光沢感のあるスパッツに包まれた、引き締まったお尻…。これを芸術と言わなくてなんというのですか…」
「ゴクッ…」
赤坂さんの言葉に圧倒され言葉を飲み込む。
「つまり、このアート展に展示される【究極の美】である下半身は、本物のスーツアクター…」
「え!?ほ…本物のスーツアクター!?」
その赤坂さんの言葉に驚きが隠せない。
「そう…それは造り物では表現できない芸術…。本物でなければ意味がありませんわ」
赤坂さんの言葉を要約すると、展示会があって、その展示会に本物のアクターが下半身のみ展示されるという事。
内容は分かったが、頭の整理が追いついていかない。
「そ…それで…し…仕事というのは…??」
私はスーツアクター…おおよその仕事内容は予測はつく。
しかし、未だにこの話が信じ切れていない私は、赤坂さんにそう質問した。
「もちろん…紗枝さんに、プリンセスとしてアートになって頂きたいのです」
「わ…私に!?」
「ええ…もちろん報酬は弾みますわ」
「な…なんで…私なんですか…??」
「私は各地のプリンセスショーを渡り歩き、私が【芸術品】と認めた方にだけ、この話をさせてもらっているの。つまり、私はあなたの下半身が芸術と感じたからですわ」
「わ…私が…芸術品…」
確かに私は太っている方ではないが、こうやって、自らのスタイルについて褒められた事もない。
そこに自身を持っている訳でもないので、少し困惑する。
「ちなみに、報酬はプレオープンの金曜日と、正式公開の土曜日の二日間でこれだけ」
そう言って、赤坂さんは正式な書類らしきものを、私の前に差し出した。
「え!?こ…こんなに…ですか!?」
そこには私が驚愕するだけの額が提示されていた。
普通に平日の会社で働く金額がばからしくなるほどの金額。
「ええ…相当の報酬ですわ。しかも、当日前金で。一応、展示物として扱われるのですから、触られる事もあるので、それは承知してくださるかしら?」
(さ…触られる…)
下半身のみを曝け出し、展示物として展示され、見知らぬ人に触られる。
イメージ画のように下半身を曝け出しているだけでも恥ずかしいのに、さらに触れるというのだ。
通常考えれば、とても耐えられないものだ。
しかし提示された額が額。
その金額に私の心が揺れる。
(うぅ…恥ずかしいよぉ…でも…あの金額は…かなり助かる…)
「衣装のほうは上半身…マスクまでの完全体。だから、一度、衣装を来てしまえば、誰かは分からない。着替えは完全個室になっているから、他のアクターに会う事もない。つまり、誰にも中身が紗枝さんだとは分からないようにするわ。まあ…着替えの補助の女性スタッフだけはどうしようもないけど」
(だ…誰にも…バレない…でも…恥ずかしい…だけど…)
そんな葛藤を抱いていると、赤坂さんが呟いた。
「ダメなら他の方に当たらなければなりませんが、紗枝さん程のスタイル…いろいろな人に芸術として見てもらわないと、もったいない事ですわね…」
(わ…私のスタイル…)
ここまで、自らのスタイルを褒めらえる事もなかった私にとって、とてもそれが嬉しく思えた。
(そ…そうだ…いやらしい感覚じゃなく、芸術として考えよう…)
そして、私は机から視線を上げ、赤坂さんの方へと視線を戻した。
「わ…分かりました。やらせて頂きます」
「よかったぁ。あなたほどの素材を探すのは大変だから。引き受けてもらえて、本当に嬉しいわ」
「そ…そんな…私ごときでよろしければ…」
「謙遜しなくていいわ。私が認めたスタイルなんだから」
「は…はい…」
「それじゃあ、早速、契約書と、詳細についてだけど…」
そうして、私は赤坂さんの仕事を引き受け、プリンセスの下半身オブジェとなる事になったのだ。
(これは…さすがに愛海ちゃんにも話せないな…)
いくら親友のスーツアクターである愛海ちゃんであっても話せない内容だった。
まあ、無論、用意された契約書に、仕事内容や詳細については【他言無用】の記載はあったのだが。
・・・
そして、金曜日のプレオープンの日を迎えた。
私は朝から指定された場所へと足を運んだ。
その場所は、高級ホテルのような造りのビルであった。
ビルに入り受付の人に名前を告げると、案内をしてくれた。
スーツアクターの集合時間がばらしてあるのと、入口をいくつか分ける事で、お互いが会わないように設定されているらしい。
そして10階に到着すると、赤坂さんがそこにいた。
「おはよ、紗枝さん」
「おはようございます。今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ。じゃあ着替え室まで案内するわ」
そう言って私は個室の着替えルームへと案内されていった。
【ガチャ】
部屋に入ると、そこには衣装が用意されていた。
(クリームプリンセス…)
どうやら私が着る衣装は、クリームプリンセスのようだ。
あの日、赤坂さんが私に声を掛けて来た日に着ていたキャラクター。
私はこれを着て、クリームプリンセスの下半身として展示されるのだ。
その衣装をジッと見て固まってしまう。
すると、後ろにいた赤坂さんが私に声を掛けて来た。
「紗枝さん…どうかしら?相談というか提案なんだけど、あなた…特別室に展示される気は無い??」
「と…特別室??」
「ええ…数人だけが展示される特別室。そこで仕事をこなしてくれれば、報酬はこの前の提示額の倍だすわ…」
「ば…倍!?」
この前見た報酬でも、驚くような額だった。
赤坂さんは、その倍の報酬を出すといっているのだ。
【ゴクリ…】
その額を想像するだけで生唾を飲んでしまう。
「と…特別室…って…どのあたりが特別なんですか…??」
「そうね…。特別室には、大人のおもちゃ等が用意されているわ。それを使用する事を受け入れてもらうわ…」
(大人のおもちゃ…)
その言葉を聞いて、私は少し尻込みをしてしまった。
その言葉が意味する事。
つまり、そのおとなのおもちゃを使い、お客から快感を与えられ、弄ばれるという事。
「もちろん、本番行為はないわ。中身のあなた自身が露出する事はない。あくまで道具のみ。それを飲んで貰えれば、報酬は倍…。どうかしら…??」
(本番をするわけじゃない…でも…さすがにそれは…)
それ系の仕事などしたことは無い。
それどころか、そんな道具など、ネットでしたか見た事がない。
不安しか生まれて来ない。
「全員に声をかける訳ではないわ…。紗枝さんだからこそ、私は声をかけたの」
(え…私だから…)
赤坂さんのその言葉に心を動かされる。
この仕事を引き受けた時もそうだったが、私は褒められるのに慣れていない。
だから、そういう言葉に弱いところもある。
「あ…あの…本当に、本番行為はないんですよね??」
「ええもちろん。肌タイツの内側に、特別性の肌色のラバースーツを着てもらうわ。そのスーツがある限り、何があってもあなた自身が露出しないようになっているしね…」
(本番行為は無い…誰にも私だとはバレない…それで、あの報酬の倍額…)
そうこう考えてるいるうちに、頭の中に、妹の瑠香の顔が浮かんだ。
(そうだ…私は…瑠香のために…しっかり稼がないと…。私が我慢すればいい…それだけの事…)
そして私は決心した。
「分かりました。それだけの報酬を頂けるなら、特別室に展示して下さい」
「うん、私が見込んだだけの事はあるわね。いい選択だと思うわよ。報酬は明日の朝、渡すわ。前金といえど、金曜日だけやって、持ち逃げされても困るから…」
「分かりました…」
そうして、私はこの展示会の特別室へ展示される事となった。
「衣装は、実際のショーの衣装の製作会社に作ってもらっているいるから、着方は分かるわよね。あなたの着替えは私が担当するわ」
「よ…よろしくお願いします」
そして着替え室の中で、私は着ていた服を脱いで行く。
あらかじめ、着ぐるみを着る時用のインナーは朝から着用してきたので、服を脱ぐと、インナー姿になった。
そして、いつも通り、全身の肌タイツを着ようと手を掛けようとした。
「ちょっと待って。インナーも全て脱いでもらえるかしら?」
「イ…インナーもですか??」
「ええ…究極の美にインナーなど、いらないわ」
「は…はい…」
赤坂さんの妙な迫力に流され、素直にインナーを脱いで行く。
そして、他人の前で全裸になる私。
(な…なんか…恥ずかしい…な…)
同性の前なので、恥じらう必要もないが、かたやスーツをビシッと決めた女性と裸の私。
なにかギャップがありすぎて恥ずかしい気持ちになる。
すると、赤坂さんが見慣れないものを渡して来た。
「これが、さっき言ったラバースーツよ。まずはこれを着て」
そして、渡された肌色のラバースーツを手に取った。
「う…薄い…ですね…」
そのラバースーツ…一般的に想像するラバースーツとは全く異なるものだった。
ラバーというよりフィルムに近いくらいの薄さ。
「そうね。技術の公開は出来ないけど、特別製で、極薄の造りで、恐ろしいほどの伸縮性があるわ。着て貰えば分かるけど、その細さなのに、着てもあなたの体を圧迫しないわよ。もちろん、その伸縮性から動きを阻害する事もないわ」
「す…凄い素材…」
「いわゆる顔を出す穴から全身が入れらる程伸びるから、そこから着てもらえるかしら?」
「わ…分かりました…」
造りはいつもの肌タイツと変わらないが、背中にチャックはない。
そしてその顔を出す穴の部分に手をかけ伸ばしてみた。
「うわっ!!す…凄い伸びますね!!」
「言ったでしょ。だから、そこから着る事が出来るのよ」
広げた穴は、私の体を飲み込むには充分な大きさだった。
しかも、決して反発力が強い訳でもないので、それ程着るのに苦労しそうもない。
私はそこから足を通して行った。
中にはローションのようなものが塗布されており、すんなりと体が入って行く。
足がスーツの中に入ると、ぴったりと私の足に追従してくる。
しかし、それは締め付ける程ではない。
そして、感覚的に着ているのかも分からなくなるほど薄く、存在感がないのだった。
順に両手を入れ込み、頭までスーツの中へと入って行った。
いつもの肌タイツと同様、顔の部分だけを露出した状態となる。
そのラバースーツの手は指先まであり、綺麗に追従している。
(すごい…このスーツ…ホントに着てるか分からないくらいだ…)
「どう??凄いでしょ」
「ええ…本当に…着ているのか分からないくらいです…」
「それでも、その素材は、水分を一切通さない。だから、汗も通さないし…なんなら尿もね…」
「にょ…尿!?」
「冗談よ…。実際、尿も通さないけど、したらその水分がどこかで溜まったら膨らんでしまう…まあ…伸縮性が良すぎるっていうのの誤算ね」
「は…はぁ…」
「それじゃあ。後はいつも通り、着てしまって」
そして、私はそのラバースーツの上に、通常の肌色タイツを着て、スパッツ、衣装と着こんでいった。
そして、後はマスクだけとなった。
(ふぅ…これを被れば完成か…。そこから先は…私はクリームプリンセス…)
そして、クリームプリンセスになるのと同時に、特別室では弄ばれる事が待っている。
普段、やり慣れたキャラクターではあるが、【今日の】クリームプリンセスになるのは、いつもと違う覚悟が必要だった。
(よし…被ろう…)
そして、決心した私は、マスクを被り、クリームプリンセスへと変身したのだった。
「それじゃあ、会場に向かうわ」
赤坂に連れられ、私は展示会の会場へと向かって行った。
【ガチャ】
展示会場への入口が開かれ、中へと入って行った。
すると、中には既にドレッシングの終わったプリンセス達が何人かいた。
(ほ…ホントに、いつもの衣装と一緒だ…)
その見慣れたプリンセス達の姿。
それはショーの時に見たプリンセスそのものだった。
(それに…みんな…ホントにスタイルがいいな…)
そこにいるプリンセス達は、流石、赤坂さんに声を掛けられたアクター達でもいうのか、皆、女の私が見ても、惚れ惚れするようなスタイルの持ち主ばかりだ。
(も…もしかすると…中には知っている人もいるかも…)
皆、もう着ぐるみに包まれているので、中身が誰かは分からない。
同じ事務所の人間の可能性もあるし、どこかの現場で一緒になった子もいるかもしれない。
だが、それは分からない…お互い分かってはいけない所なのだ。
そんな事を考えながら、赤坂さんに連れられて進んでいくと、会場の中にある一つ扉の前に辿り着いた。
「ここが特別室よ…」
赤坂さんがそう言いながら扉を開いた。
その先にも扉がある。
いわゆる二重扉となっており、先に開いた扉が閉まると、次の扉が開く仕組みになっていた。
【ガチャ】
そして私はついに、特別室へと入っていった。
(こ…これが!?)
特別室に入ると、既に一人のアクターが、壁に固定され下半身のみの状態となっていた。
イメージ図では見せられていたが、生の状態を見ると、その絵面に驚きを隠せない。
壁から生え出た下半身…。
無防備にお尻を突き出し、光沢感のあるスパッツを曝け出している。
そして、スタイルのよい脚は床へと伸び、少し開いた状態で地に足を着けていた。
(あ…あれはタルトプリンセス…)
壁から生え出た脚、向かって左側の脚はタルトプリンセスのものだ。
よく見知った衣装、すぐにそれがタルトのものだと分かった。
(これから…私は…ああなるの…)
そう思った瞬間に、一気に恥ずかしさが込み上げ来る。
(こうやって…下半身を晒し…知らない人達に見られちゃうんだ…)
しかし、もうここまで来たら後戻りは出来ない。
特別室を受け入れた以上、見られるだけでは済まない。
触られもするし、道具を使われたりもするのだ。
こんな事で恥ずかしがっている場合ではない。
すると赤坂さんが私に指示をした。
「クリームプリンセス。あなたはあの真ん中の場所に入ってもらうわ」
指をさした赤坂さんの、指した方向に目を向けた。
すると、そこには腰の高さほどの、半円の窪みがあった。
高さと、横にいるタルトの位置からして、あそこに腰をはめるという事だろう。
私は無言で頷き、その場所へと向かった。
「その窪みにお腹をのせる感じで、前屈みになって」
そして私は言われた通り、窪みにお腹を乗せるように、前屈みになった。
上半身はいわゆる壁の向こう側に飛び出す。
すると壁の向こう側は、平らになっており、前屈みになった上半身をそのまま乗せる事が出来た。
「それじゃあ先に、壁の上側を降ろすわよ」
すると上部から壁の半分のようなものが降りて来た。
その中心部分は、私のお腹側と同じように半円の窪みになっている。
恐らく、その壁が私の腰を挟みこみ、固定するのだろう。
【ガシャン】
その壁が降りきり、私の腰は壁に挟まれ、完全に固定された。
「それじゃあ、後の処理をするわ…そこに肘当ての緩衝材があるでしょ。そこに肘をのせて、両手を前に出してくれるかしら?」
目を向けると、そこには丸いものが二つあった。
(ここに肘をのせればいいんだ…)
その丸いものに肘を乗せると、ブニュっと柔らかく変形した。
このまま肘を立てても痛くならないようにするためのものだろう。
そして言われた通り、そのまま、両腕を前に差し出した。
【ガチャ】
すると、すぐに床から出たベルトのようなもので、両手首を固定された。
これにより私は完全に拘束され、逃げも隠れも出来ない状態となった。
「さて、これで準備は完了よ。一応、説明しておくけど、この空間は防音空間となっているわ。だから、あなたの声は会場に漏れる事もないし、なんなら隣のプリンセスにも届くことはない。仮に何か叫んだとしても、あなたの声は誰にも届かないって事よ。それじゃあ、今日一日、素晴らしい芸術品として展示されて頂戴」
そう言って、赤坂さんはその場を後にした。
腰を固定され、腕を拘束された状態。
下半身は自由が利くものの、何もする事は出来ない。
そんな中、先程のタルトプリンセスの姿を思い浮かべる。
(も…もう…私も…さっきのタルトと同じ状況なんだよね…。や…やっぱり…恥ずかしい…な…)
割り切ったとはいえ、やはりその状況になってみると、恥ずかしさが込み上げてくる。
無防備に晒された自らの下半身。
先にタルトの、その姿を見てしまっているので、自分の姿が容易に想像がつく。
(うぅ…恥ずかしい…恥ずかしいけど…瑠香のため…家族のために…頑張らなきゃ…)
下半身をもじもじとさせながら、自らを奮起させた。
防音構造になっているせいで、外の状況も分からない。
今、もう客が来ているのか、はたまた、まだ準備中なのか…。
しばらくその状態が続いていた。
どのくらい経っただろうか、変化はついに訪れた。
突然だった。
「んうぅっ!!」
あまりの突然の事に、つい声を漏らしてしまった。
何かが、私の陰部に触れて来たのだ。
つい、反応して、下半身がビクッと動いてしまった。
(え!?な…何???)
その感触に驚いたのも束の間、すぐに次の変化が訪れる。
「んあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
陰部に衝撃的な振動が加えられ始めたのだった。
キャラクターに身を包まれているというのに、スーツアクターとしての教示を忘れ、つい声を出してしまう。
(んあぁぁぁ!!こ…これ…これが…道具!!!声が…声が出ちゃう…)
防音室で音が漏れる事はないのだが、スーツアクターの本能的に声を出さまいと我慢しようとする。
「んうぅ………」
(こんなの…んあぁぁ…こんなの…がま…我慢できないぃぃ!!)
壁に拘束され、逃げる事は出来ない。
壁の向こう側でされるがままに弄ばれるしかないのだ。
その刺激に下半身が暴れだしそうになるが、壁に固定されているため、暴れるほど動くことも出来ない。
逃げ場のない快感。
脚をビクビクとさせ、その快感に耐える。
「んあぁぁぁ!!無理いぃぃぃ!!声…でちゃうぅぅぅぅ!!」
我慢していた、中身としての声が、我慢しきれなくなり発声してしまう。
そしてその刺激は断続的に私の陰部に襲いかかる。
「あぅぅぅぅ!!!いやあぁぁぁ!!とめてぇぇぇぇぇ!!」
その襲い来る刺激。
拘束されているからか、その刺激が恐ろしい程の快感に感じられる。
「んうぅぅぅ!!あっ!!これぇぇぇぇ!!…ぇっ…」
すると、その刺激がスッと私の陰部から消えた。
「んはぁっ!!はぁっ!!はぁっ…はぁ…」
(よかった…止まった…助かった…)
その刺激が止まったと思った次の瞬間だった。
目の前にある壁に映像が映し出された。
(え!?こ…この映像…)
そこに映し出された映像。
そこには赤坂さんと、もう二人のお客。
そして、生え出たプリンセスの下半身が一つ。
そのプリンセスの下半身…まぎれもなくクリームプリンセスのものだ。
(クリームプリンセス…じゃ…じゃあ…この映像は、今の外の状況を映している映像ということ…)
そう、目の前に映しだされた映像は、今、自分の身に何が起きているのかという事を知る事が出来る手段なのだった。
何も見えない状態で、突然、責められるよりは、こちらの方がよっぽどいい。
赤坂さんの優しさなのだろうか…。
しかし事実は違った、後に、これは今だけの特別だったという事を知る。
そして、その映像を見た私は、とんでもない事実に気が付いた。
「う…嘘…でしょ…!?そんな…そんな…」
赤坂さんの他の二人の客。
それは男女の二人組だった。
その女性のほう…そこには、私の知った顔があったのだ。
「あ…愛海ちゃん…。な…なんで…」
スーツアクターの親友でもある愛海ちゃんが、今、私の下半身の前に立っている。
私は愛海ちゃんに、今日の事は話していない。
つまり、私の事を知って、そこにいるわけではないのだ。
偶然??
それが偶然だとしたら、なんとも凄い確率の偶然だろうか…。
しかし、なんにしても、今、私の曝け出した下半身の前には愛海ちゃんという親友がいる事実は変わらない。
すると次の瞬間、陰部への刺激が再び加えられたのだった。
「あぅぅぅぅぅっ!!またっ…また…きたあぁぁぁぁっ!!」
その刺激に下半身がビクビクと反応してしまう。
目の前の映像のクリームプリンセスの下半身もビクビクと動く。
そしてその下半身を凝視する愛海ちゃん。
私は親友の愛海ちゃんの目の前で、大人の道具で弄ばれ、快感を感じ、ビクビクと反応してまっているのだ。
「いやぁぁぁぁ!!愛海ちゃん!!みな…みないでぇぇぇぇぇ!!!」
親友にこんな姿を見られているという、恥ずかしさと背徳感が私を包んでいく。
壁の向こうの愛海ちゃんは、まさか目の前で陰部を弄ばれ、ビクビクと反応している下半身が親友のものとは思わないだろう。
しかし、映像を見てしまった私には、知ってしまった事実。
「あんぅぅっ!!いやぁぁぁ!!あぁぁぁ!!止めてぇぇぇ!!見ないでぇぇぇ!!」
どんなに叫ぼうと防音壁で囲まれた私の声は誰にも届かない。
いや…届かないほうが良いのかもしれない。
こんな声を上げながら、その道具に快感を与えられているのが私だとバレないのだから。
「んあぁぁぁぁ!!いやぁぁぁぁ!!」
壁に拘束され逃げようもない状態。
その状況下で、陰部を弄ばれる私。
一方的にされるがままの状況ではあるものの、その刺激に、不覚にも私の陰部は愛液を溢れさせていた。
すると赤坂さんが、何かを持ち出して私の方へと近寄ってきた。
そして、愛海ちゃんと一緒に見ている男性にそれを手渡した。
それと同時に陰部に与えられていた振動が止まる。
「んはぁっ…はぁ…はぁ…止まった…の…」
陰部を責められ、呼吸が荒くなる。
プリンセスのマスク内に私の呼吸が籠る。
いつものショーとは違った苦しさがそこにあった。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
そして、その荒くなった呼吸を整えていると、赤坂さんが私の陰部へと手を伸ばした。
「んっ!!」
陰部を触られる感触があった。
しかし、その感触は、私の性器を責めようとする感触ではなかった。
(な…何…何なの!?)
映像内の赤坂さんが、その手を放した。
「え!?」
すると、映像がアップではないので、はっきりとは分からないが、私の履いているスパッツの股の部分の色が変わっている。
「ちょ…ちょっと…待って…」
黄色いスパッツの股の部分が一部だけ、肌色に変わっているのだ。
そこから想像出来る事…。
それは、スパッツが開かれ、肌タイツが露出しているという事。
「え!?じゃ…じゃぁ…スパッツが開かれた…って事!?」
履くときにスパッツにファスナーがある事など気が付きはしなかった。
しかし、赤坂さんの性格を考えると、衣装を破るような事はしない。
という事は、気が付かないように上手く細工されたファスナーが存在していたという事になる。
すると、赤坂さんが再び私の陰部へと手を伸ばした。
そして、同じような仕草をして、またその手を放した。
しかし、映像の私の下半身の雰囲気に変わりは無い。
同じ場所…同じ行動…。
そこから考えられるのは、スパッツの下にある肌タイツにも、同じようにファスナーがついており、それが開けられたという事…。
(う…うそ…)
肌タイツを開けられれば、私の陰部が露呈する事になる。
いや…違う…今の私は肌色の極薄のゴムスーツを着用している。
肌タイツを開けたとしても、そこにあるのはゴムスーツ。
つまり、映像としては、同じ肌色なのだから、変化がないという事になる。
映像の男性の手に持たれたものがはっきりと見えた。
その手にあるもの、それは男性性器を模られた道具であった。
その瞬間私の頭の中に、今までの情報が行き交う。
肌タイツが開かれ、中のラバースーツが露にされている…。
そして、そのラバースーツは恐ろしい程に伸縮性がいい…。
着ているのが分からなくなるくらい薄い膜…。
そして、男性客の手に持たれた男性性器の道具…。
そこから導き出される答え…。
今から、あの道具は、私に挿入される…。
「いやぁぁぁぁ!!!むりぃぃぃぃ!!そんなの!むりぃぃぃぃ!!入らない!入らないよぉぉぉぉ!!!」
しかし、どれだけ声を上げたところで、誰にも届かない。
壁により拘束された下半身は逃げる事はおろか、抵抗する事も出来ない。
「いやぁぁぁぁ!!!やめてぇぇぇ!!!そんなのぉ!!愛海ちゃんの!愛海ちゃんの前でぇぇぇぇぇぇ!!!」
しかし、無常にも予想通りの展開が襲ってきた。
「んうっ!!!」
その道具の先っぽが、私の陰部を捉えた。
思わず、嬌声が漏れてしまい、下半身がビクッと反応してしまう。
「んあぁぁっ!!」
するとその先っぽが少しだけ、私の陰部へとめり込んできた。
そのゆっくりとしためり込み方が、これから私の中に【入ってくる】という事を強調する。
「あぁあぁ!!入ってっ!!入ってくるぅぅ!!」
そして、その道具は私の中へとゆっくりと、その全てを押し込まれた。
【ズボッ…】
「んああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
その感触に、腰が大きく跳ね上がる。
いや…正確には壁に腰を固定させられているので、思い切り跳ね上がらせようとした体はそこまで動かす事は出来ない。
お尻をビクッと震わせ、脚がビクつくくらいの反応。
その外から見た反応に反して、私の中での感覚はかなりのものだった。
そして、この感覚…。
ラバースーツを着ているというのに、かなり敏感に私の内部で感じられる。
普通に男性性器にコンドームをつけて、挿入されたのと変わらないくらいだ。
すると次の瞬間であった。
【ウィンウィンウィン…】
「あぁあぁぁああぁぁぁ!!!!」
その挿入された道具が、私の内部で暴れ始めたのだった。
「んあぁぁぁ!!!いやぁぁぁぁ!!とめてぇぇぇぇ!!!これぇぇ!!ムリィィィ!!」
その道具の動き。
その動きは恐ろしい程の快感を私に与えてくる。
私の陰部の内壁を振動しながら掻き回す。
今までに味わった事のない程の快感が私を襲う。
その快感に体が反応し、暴れ回る。
腰を拘束されたままの体。
脚が内股気味になり、ガクガクと震える。
突き出したお尻が、これでもかというくらい上下左右に動き回る。
「あぅぅぅっ!!いやぁぁぁぁ!!愛海ちゃんっ!!見ないっ!!見ないでぇぇぇぇ!!」
私は親友の目の前で、壮絶な快感を与えられ、はしたなくもお尻を振り続けているのだ。
それを固まったまま、凝視する愛海ちゃん。
こんなに乱れた私の姿を、親友の彼女の前に晒し続けている。
しかし、そんな事は関係なく、その道具は私に快感をもたらし続ける。
「んあぁぁぁ!!うぐぅぅぅ!!いやぁぁぁ!!これぇぇ!!ダメェェェ!!んあぁぁぁ!!」
容赦なくその責めは続けられた。
壁に拘束された体。
その恐ろしい快感から逃げる事は出来ない。
更には、拘束され動きを封じられているが故、その快感を発散するための動きも取れない。
逃げ場のない快感は、どんどんと蓄積されるのみ。
そして、親友の目の前に淫らな姿を晒しているという、恥辱と背徳感。
それら全てが私に襲いかかって来ているのだった。
壮絶な快感が私の心と体を浸食していく。
そして、その快感の渦に飲まれた私は絶頂へと至らしめられるのだった。
「あぁぁああぁあぁぁ!!!もうっ!!むりぃぃぃぃ!!頭が…おかしっ…おかしくなるぅぅぅぅ!!」
そして、その快感は一線を超えた。
「んあぁぁぁぁぁぁぁ!!!いやぁぁぁぁぁ!!!来る来る来るぅぅ!!なんかっ!!来るぅぅぅぅぅぅ!!んあぁぁぁあああああ!!!!」
下半身が大きくビクつき、跳ね上がるような動きを見せた。
そして、その反応の後、ゆっくりと動きを止めた。
脚は内股に弱々しく折れ、ガクガクと震えている。
その脚に力が入らず、まともに立つことが出来ないが、腰を壁に固定されているため、倒れる
事もない。
壁に固定された腰から、下半身が垂れ下がっているという表現が正しい。
(んぁ…ぁ…ぁ…)
私は絶頂を迎えてしまった…。
壁に拘束され、クリームプリンセスの着ぐるみに包まれた状態で…。
そして、親友の目の前で、私は淫らにも絶頂を迎えたのだった。
(ぁ…ぁ……ぁ………)
すると目の前のモニターは消え、映像が途絶えた。
そして、もう二度とそのモニターに映像が映し出される事はなかった。
二日間のイベントの初日、プレオープンの最初のお客の出来事。
このイベントを乗り切るには、あと二日間…。
(る…瑠香………)
絶頂を迎え、朧げになった私の意識。
その中で、私の頭には妹の瑠香の顔が浮かんでいた。
そう…妹のために…。
・・・
その出来事の最中の赤坂。
(ふぅ…まさか最後までアクセス出来なかった【左京愛海】とここで出会うとはね…。紗枝さんと同じ事務所でありながら、どうしても出会えなかったというのに…。運命を感じずにはいられないわね…。あっ…そうだ…こんなに特別な事が起きたのだから、【特別に】紗枝さんにも、左京愛海さんが壁の外にいる事を教えてあげようかしら…?…フフッ……)
赤坂はそう思いながら、不敵な笑みを浮かべるのであった。
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