ご利益たっぷり珍宝おみくじ 7 (Pixiv Fanbox)
Published:
2022-02-20 11:05:56
Imported:
2026-06
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7お年玉をもらう年頃ではないのだけど
スーパーのレジが神護の番になると急にレジが不調になって他の客の何倍も時間がかかる、と言う不運が今回は珍しくなかったな、
と喜びながらアパートの手前まで戻って来て、スーパーのレジにスマホを置き忘れていたことに気付いた神護。
「ぎええ! 最悪だ! 誰かに盗られてたらヤバ過ぎだって!」
何をさて置いてもスマホを取り戻さなければならない。
今やスマホは「財布兼、個人情報の塊、そしてネット端末」なのだ。
大慌てでスーパーに戻り先ほど担当したレジ係りに「すみませんっ! こちらにスマホを忘れて出ちゃったんですけど!」と叫んだ。
ひどく迷惑そうに舌打ちをしたレジ係は「落し物はあちらのサービスカウンターお聞きください」と答えた。
神護は急いでサービスカウンターに向かった。
「ハァ~……、良かった~、一時はどうなるかと思った……」
予定よりも40分近く時間を失いはしたもののスマホが手元に戻ったらそれで良しとしよう、と自分をなだめつつアパートに「今度こそ」帰って来た神護。
疲れた足と食材の入ったビニール袋を引きずりながら階段を登る。
「あっ!」
「おや?」
通路に二人の男が居た。
聞こえた声は彼ら、二人からのものだ。
「ん? お隣さんに、あれ? さっきの占い師さん?」
「この方がこちらのお部屋に住んでいる方ですよ」
お隣の学生が占い師に神護を紹介した。
「おお! お客さんがこの部屋の! なんて素敵な偶然だ!」
身振りを大きくして占い師が喜ぶ。神護はなぜそんなに嬉しそうなのかは分からず微妙に引き気味で見てしまう。
「ははは! 失礼! 俺は『望月 白馬(もちづき はくば)』! 昨日、お客さんの隣に越して来た者だ。実際に生活をするのは今日からだが、よろしく頼む!
丁度いま、こっちの八重垣クンにも引越しの挨拶をしていたところだったんだ」
「八重垣クン?」
学生の男が恥ずかしそうに「俺の名前が『八重垣 巴(やえがき ともえ)』、なので……」
「荷解きを本格的におっぱじめる前にこのエリアと俺の相性を見ておこうと思い立ってね。スーパーの入り口をお借りして急遽占い業をさせてもらっていたんだ。結局、2時間待ってお客さんは君一人だけだったが、ゼロでないなら大ラッキーだ!」
八重垣と名乗った学生の部屋とは反対側の部屋は、しばらく入居者が居らず空室だったのだが、これで両サイドに住人が入った事になる。
ますます引間やクロたちにセックスするなら声を落とせと言わねばならないな、と神護は気を引き締めた。
その時、神護の部屋のドアが開いて引間が顔を出した。
「なぁ、神護。滝の代わりにシャワーの水でも浴びて気を――って、うん? こいつらは?」
引間は今まさに風呂に入ろうとしている恰好、亀頭のカタチをこんもりと浮かべた六尺褌一丁で3人の前に姿を見せたのだ。
「うわ!」
「うおお~!」
八重垣と望月の目が引間の肉体美と股間を行ったり来たりしつつも凝視している。
神護は咄嗟に「そ、そんな恰好で出てくるなよ!」と叱るものの「いや、でもよぉ、シャワーから水が出ねぇんだよ。どうすればいいんだ?」と助けを求めている。
「そんなの俺だって分からないよ!」
「良かったら俺が見ましょうか?」
「じゃぁ俺も手伝います」
「おっ! 悪いなあんたら。ちょっと頼む!」
引間は神護の反応を待つ前に望月と八重垣を部屋の中に招き入れた。
「お、おいっ! 引間!」
◇
「はっはっは! なぁんだ、スイッチが入っていなかっただけかよ!」
バスルームのシャワーはキッチンの壁面にある「自動お湯張り機能」をコントロールする電源をオンにしないとお湯どころか水も出ないシステムだった。
普段はオンにしたままだったが、たまたま何かの拍子にオフへ切り替えていたようだ。
「御手洗さん、即解決でよかったですね!」
「こっちもいい勉強になった! 同じ状況になっても慌てずに済みそうだ」
「あんたらにも面倒掛けちまって悪かったな! でも、助かったぜ」
八重垣と望月に謝意を告げた引間がバスルームに入り豪快に水音を流し始めた。
「しっかし、彼って随分とイイからだしてるよなぁ。俺だって昔の名残でちったぁ見られるものだと思っていたがあの兄ちゃんにはかなわねぇ」
望月が感嘆の声を上げると八重垣も同じような言葉を漏らす。
「ですよね。スキが無いって感じで。俺も人からは良いカラダしてるね、なんて言われる事もあるんですけどあの引間さんって方と比べたら、とてもじゃないですけど自信を無くしちゃいます」
神護は、『アイツは実は元淫魔の神様だからです』、などと言える訳も無く反応に窮してしまう。
「まぁ、それでもこのカラダを活かして仕事ももらってる訳だし、出来る限り良い状態をキープするよう頑張って行くだけだ」
望月がグッと腕を上げて力を込めた。
「お仕事に、カラダを活かす?」
神護と八重垣とが同時に尋ねた。
「ああ。御手洗クンは俺が占い師をやっているのはもう知っているだろ? でもなぁ、占い稼業だけではまだまだ食えなくってね。
美術系大学や専門学校でヌードモデルなんかもやらせてもらっている。
事故で負傷しちまって引退したんだが以前はプロレスラーだったんでカラダは随分と鍛えていたんだ。ま、大した人気も出せないまま引退したってのが心残りではあるけどな」
「元プロレスラー……。それで随分とガッチリされてるんですね」
「引退して2年。たった2年だがもう2年か、とも思う。御手洗くんも八重垣くんも怪我なんかで夢を諦めないように気を付けてくれよな。っと、つい先輩風吹かしちまった。悪ぃ」
「いえ。経験者の失敗から学ぶのは後輩にとってお年玉のような物です。いくらあっても困る事はないですしありがたいです」
八重垣がふわりと微笑んだ。
「言うねぇ。このイケメン学生クン。迂闊にもお兄さん、ときめいちまいそうになったぜ。で、そんだけ顔面偏差値が高いとなるとモテ過ぎて困ってんじゃないか?」
「なんで俺なんかが、って感じです。バイト中にも追いかけてくる子がいたりして正直迷惑かな、と」
「おおう。マジでモテる男は辛いよ状態だったのかよ」
「俺はそう言うの興味無いからホントにやめて欲しいんですよね。せめて男の人だったらまだしも……」
会話に加われていなかった神護が顔を上げた。
「八重垣くんて、もしかしたら……」
「そうです。御手洗さんと同じです。俺は男でないとダメなんです」
きっぱりと言ってから恥ずかしそうにうつむいてしまう八重垣。
望月がとても嬉しそうな顔で神護と八重垣の肩をポンと叩いた。
「こいつは驚いた。まさかお隣さんがどっちもお仲間さんだったとはな」
「ええっ!? 望月さんも!?」
三人とも互いの視線が股間へと向かう。
「っへへ。そうと知ったら気になるよな? ガタイも、んで、こいつもな」
望月が自分の股間を指した。
「お、俺は別にっ! そ、そんな会っていきなりエッチなのは無いですからっ! ちょっとした好奇心ですし!」
照れまくる八重垣を神護が囃す。
「隣の部屋から聞こえる喘ぎ声をオカズにヌいてたんだよね? 十分エッチだと思うけどなぁ」
八重垣を冷やかす神護に望月がツッコむ。
「言おうか言うまいか迷ってたんだが、ベッドの上にあるヤツって、ありゃぁディルドだろう? あんなリアルなモノがあるのも驚きだが、エッチさで言うなら俺や八重垣クンよりも御手洗クンは遥かにエロそうだよな」
振り返って神護が目にしたのはベッドの上に堂々と立っていた「珍宝おみくじ」だった。
「うわぁぁぁ!」
望月を突き飛ばす勢いでベッドに駆け寄り咄嗟に隠そうとしたのだが、不運な事に手が滑って床に落としてしまった。
ワンバウンドした「珍宝おみくじ」は八重垣が拾い上げた。
「うわ~、マジで本物みたいですね。しかも中々大きいし。なんだか温かい気がするんですけどさっきまで使っていたんですか?」
「どれどれ、俺にも良く見せてくれ……。ううむ、これは、大したものだな。肌触りも弾力もマジでモノホンみてぇじゃねぇか。この血管もただの飾りじゃなくてちゃんと脈打ってやしないか?」
二人が「珍宝おみくじ」のリアルさをしきりに感心している間、神護は口を挟むことができずただただ固まっているしかなかった。
「ヤバイです。俺、こんなリアルなディルドを見たり触ったりしてたら、すごくエロい気持ちになって来ました……」
八重垣くんが顔を赤く上気させ股間をグググと盛り上げている。
「俺だって。まだ荷解きもしてねぇってのにここまで滾って来ちまうなんてな。ただ挨拶しに来ただけだってのに、収まりがつかなくなって来やがったぜ」
望月がジャケットの裾を引っ張り上げ八重垣と同じく股間がパンパンになっている事を晒した。
「え? いや、あの、えーと、二人とも、ちょっと落ち着こうか? ね? それに、ここは君たちの部屋じゃないし、ね?」