H.E.E.hive 第二話「ツチグモ被害報告書」 (Pixiv Fanbox)
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俺は自身の「父乳」の中で身動きが取れなくなっていた。
発達させられた乳腺の内側から粘り気のある液体が次々と溢れ出してくる。
止まらなくなった父乳がコクーンの内部に満ち、喉元まで迫ってきている。
息を吸うたびに青臭く、甘い匂いが肺に染み渡っていく。
「これは驚異的な数値だ……」
モリオン博士の声だ。
「新たなエネルギー革命が起ころうとしている。このまま彼をコクーン内で飼育し続け、父乳内での液体呼吸が可能になるよう改造し……」
改造。
その言葉が俺の心の深いところを容赦なく抉った。
自分という存在をこれまでの形から別のものへ変えていく。その過程を、博士が淡々と語っている。
あまりの興奮と高揚感で股間に急速に熱が集まっていく。
このコクーンの中で、俺は新しい生き物に変態する。
そうなれば、今度こそ、俺は――
「……うっ……」
短い呻きが、自分の喉から漏れた。
夢から目を覚ますと、そこは基地内の自室だった。天井の無機質な照明が、白一色の部屋を照らしている。
俺はスーツを着たままベッドに横たわっていた。
激しい体験の余韻で全身が鉛のように重い。どうやら気絶するように眠りに落ちてしまったらしい。
股間が、ぐちょぐちょに濡れていた。
……夢精だ。
正直なところ、夢精すること自体は珍しくなかった。
改造されて別の何かになってしまいたい。
その「願望」を本当の意味で遂げられるのは、夢の中でしかない。
射精を何日も我慢し妄想に妄想を重ねて、最高の瞬間を夢の中で迎える。それが半ば趣味になってしまっていた時期もあった。
それでも、なんというか……今見た夢は質が違っているように感じた。
父乳で溺れる感触が、あの臭いが、まだ体に残っているような気がする。
「改造」という夢物語が、科学技術の粋を込めたこの施設に来たことによって現実味を帯びたからだろうか。
股間の不愉快さに、このスーツはどう脱げばいいのかと考えながら体を確かめる。
そうしていると、不快感が急速に薄れていくのを感じた。
精液がスーツの内側に染み込んでいくように消えていく。
既存の科学では到底説明のつかない技術が、このスーツには搭載されているのだろう。
気分を落ち着かせるため、ベッドの上から自室を見回す。
真っ白な空間だった。壁も天井も余計な装飾は一切ない。
清潔というよりも無機質という印象を抱いた。
生活のために作られた部屋というより、SF映画に登場する宇宙船の内部といった感じだ。
部屋の中にはいくつものデバイスが搭載された近未来的なベッドと、壁際に設置された小さな机。
その机の上には一枚のプリントと、その下に薄型のタブレット端末が置かれていた。
プリントの一番上には「H.E.E.hive入所案内」と書かれていた。
俺はタブレットを手に取り、側面の電源ボタンを押す。
起動音と共に画面が淡く光り、画面中央に自分の名前が表示される。
《本人認証――完了》
どうやら顔認証か、生体認証が組み込まれているらしい。
こちらが何か操作するより先に端末は勝手に起動した。
俺は画面に表示された説明項目を順番に読み始める。
『H.E.E.hive本部施設』
1F エントランス、施設内商業施設、食堂設備
2F 超人及び研究員の居住区、生活設備
3F 超人の研究、【ツチグモ】の対策兵器開発設備
4F H.E.E.hive作戦会議室、司令室、所長室、超人搬出口
B1F 超人用の教習、訓練設備。
B2F 各種実験設備
B3F 特殊収容層、サーバー設備
B4F エネルギープランド「グランド・ゼロ」
施設そのものを維持するためのエネルギープラントまで備えられているとは驚きだった。
これは一つの建物というより小さな都市と言っても良いだろう。
食料や衣類、医薬品など、大抵の日用品は施設内で調達できる。
嗜好品や娯楽用品についても、専用の注文システムを利用すれば即日で届けられるらしい。
つまり任務でもない限り、外へ出る必要がない。
……外へ出なくても生きていけるように作られている。
そう考えたほうが正しいのかもしれない。
俺は一度、画面から目を離した。
広い部屋だというのに、漂白されたような自室に妙な圧迫感を抱く。
ここにいる限り外の世界から切り離されていても何も不自由しない。
その事実が、妙に重く感じられる。
この施設には基地だけでなく別の役割もあるのだろう。
情報漏洩を避け、超人たちの存在を秘匿するための場所。
そう考えればこのような生活環境にも納得がいった。
俺は再びタブレットへ目を戻す。
説明項目の下には、入所前に渡された契約書についての案内も表示されていた。
契約書……。
あれはもう「冊子」と呼んだほうがいいほど分厚かった。
勤務時間、任務規定、機密保持。
施設内での行動制限、外出許可に関する項目、通信に関する制限――。
そして超人としての能力を使用することに関する、数え切れないほどの規約。
超人となった自分たちは一歩間違えれば大勢の人間を傷つけることもできる。
超人達の軍事転用を避ける目的。だからこそ厳しい管理が必要なのだろう。
しかしページをめくるたびに、自分の生活から「自由」というものが少しずつ削り取られていくような感覚があった。
この力は、人を救うためにこそある。
ここで働くということはまさに「英雄」になることなのだ。
そのままタブレットを操作していると「データベース」の項目を発見した。
アクセスしてみると、所属職員のデータや様々な事件の報告書、【ツチグモ】の研究報告書などが閲覧できるようだった。
その中で、比較的新しい「人体被害事例データ」が目に入った。なんとなく気になり、開いてみることにする。
内容は悲惨という他なかった。
H.E.E.hiveが本格的に始動してから世界各地で発生していた被害はピーク時と比べて劇的に減少しているらしい。
それでも被害を受ける人間がいなくなったわけではない。報告書には、事件の発生場所や経緯、被害者の状況について淡々と記されていた。
俺はしばらく画面を見つめていた。
もし、自分に「覚醒」が起きていなかったら。
自分も、この報告書に記されている被害者の一人になっていたのかもしれない。
そう考えた瞬間、背筋に悪寒が走った。
俺はその考えを振り払うように、別の資料へと目を移した。
事件報告や研究資料など、様々な文章に目を通していると、「セキュリティーレベル:5」という表記が目についた。
どうやらデータベースにある資料には、閲覧を制限するためのセキュリティーレベルが設定されているらしい。
自分の情報を確認してみると、俺のセキュリティーレベルは「5」と表示されていた。
施設に入ったばかりの「超人」は基本的にレベル5までの情報を閲覧できるようになっているということだろう。
データベースの中で一番新しい報告書を開いてみる。
【超人番号0046ネイビーギガント被害報告事例】
一般人を庇う際に、侵攻体の攻撃を受けスーツが一部破損。
鋏角部位から体液を体に注入される。
その後性器が爆発的に増大。侵攻体から体液を大量に摂取される——。
……目を疑う内容だった。
俺は、震える指で「映像記録」の添付ファイルを展開した。
画面が暗転したあと、激しいノイズ混じりの音声が流れ出す。
「くそっ……本部、応答願う! ツチグモの攻撃を受けて体が……体が変化してやがる!」
群青色のスーツを纏った男――ネイビーギガントの股間が不自然に膨らみ、内側から押し広げられていく。
「落ち着いてください。どのような変化が?」
「ぐっ!そのっ……ぐあぁぁああ!! チンポが! チンポがでかくなってんだよぉお!!」
「なっ……!」
映像が一瞬乱れ、男を大写しにする。
スーツの布地が、限界まで引き伸ばされている。
通常ならコンパクトに収められているはずの性器が、内側から猛烈な勢いで肥大化し、まるで生き物のように脈動を始めた。血管が生々しく浮き上がり、表面はぬらりと光を反射している。薄いコンドームのように半透明になったスーツ越しに、亀頭の形がくっきりと浮かび上がっていた。
「と、とまれっ……! くそぉっ!! こっこんなの、戦闘どころじゃねぇ……!!」
男は必死に自分の股間を押さえ込もうとしたが、巨大化したそれはすでに両手でも抱えきれないサイズになっていた。動くたびにスーツが軋み、肉が締め付けられる感触が、強制的に快感を呼び起こす。
その隙を、ツチグモは逃さなかった。
乳白色でつるりとした体をした怪物が、一気に距離を詰めてきた。
臀部から伸びる管状の器官が、ぬるりと空気を切り、迷うことなく男の鈴口を目掛けて突き進む。薄くなったスーツは易々と貫かれ先走り汁でぬめった先端へと侵入する。
「お゛っ!!!!」
管が挿入された瞬間、男の体が大きく跳ねた。
伸びた管が容赦なく尿道を押し広げていく。あまりの状況に膝から力が抜けてしまっているようだ。
「や、やめろ……! 抜けっ……! んぐっ、あぁぁ……!」
性器が巨大になったことで、亀頭まで手が届かなくなっていた。
必死に抗おうと管を抜こうとしているが、男には抵抗する手がない。
管の内部が蠕動を開始した。
まるでポンプのように収縮と膨張を繰り返し、男の巨大化した性器から精液を強引に吸い上げていく。
「ひっ……! 出る、出ちまう……!! 止まらねぇ……!!」
巨大となった性器が辺りの空気を震わせながら振動する。
熱い奔流が一気に管を通ってツチグモの体内へと流れ込んでいく。怪物の体が、みるみるうちに膨らみ始めた。吸血したダニのように、醜く、しかしどこか妖しい曲線を描きながら肥大化していく。
「や、やめろっ、ふ、ふざけるな……! こんな……こんなの……!!」
男の顔は、屈辱と快楽で歪んでいた。
ツチグモが管を抜くそぶりはない。一度射精させただけでは満足せず、すぐに「次の波」を求める。
管は容赦なく動き続け、尿道を刺激し前立腺まで掻き回すようにして精を搾り取る。
「あがあぁあぁぁ!! また、また出るっ!!! くっ、はぁっ!!はがあああああぁ!!!」
二度目、三度目。
巨大化した陰嚢のおかげで精液は無限に排出される。
男は無理矢理に刺激され白濁した液体を吐き出し続ける。
ツチグモの体はすでに元の倍近くに膨らみ、満足げに体を揺らしていた。
しかし、それだけでは終わらなかった。
助けに来るはずの超人たちが到着するまで、次々と別のツチグモが現れた。
一匹が離れると、別の一匹がすぐに管を伸ばし、男の性器に取りつく。
巨大化したそれは、完全に自由を奪われただひたすらに搾り取られるだけの状態になっていた。
「やめっ やめろぉぉぉお……!」
男の声は枯れ始めていた。
体はビクビクと痙攣し、巨大な性器はポンプのように収縮を繰り返すばかりだった。
「…………」
最後の一匹がゆっくりと管を引き抜いたとき、男の体は完全に脱力し巨大な性器が地面へと垂れた。
まだ微かに脈打つ巨大な性器が無残に晒されていた。
周囲に残されたツチグモたちは、水風船のように膨らんだ体を揺らしながら、次々と撤退していく。
「ネイビーギガント!?い、一体何が……だ、大丈夫か!?」
救援が訪れたようだった。
「……あ、いつら……俺の体を、チンポを……食い物にしやがっ……」
そう言いかけて、男は気を失った。
……俺は気付いたら自身の性器を握っていて、何度も射精していた。
スーツの内側が熱く湿り、夢精した時以上に濡れている。
さっきまでの報告書の文字が、頭の中で何度も反復される。
性器の爆発的増大。
体液の大量摂取。
強制的な搾精。
自分が戦おうとしているツチグモたちは、まさに自分の理想を叶えるような存在だった。
自分はこいつらと戦えるのだろうか。
「負けて、されるがままになりたい」という欲望から、本当に逃れられるのだろうか。