バーコード3 (Pixiv Fanbox)
Published:
2021-01-02 09:42:04
Imported:
2026-06
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「みっ~~ちゃん。一緒に帰ろっ。」
「う、うん。」
ユウカのテンションがちょっと怖い。あれから3回、トイレに行くためにユウカにお願いしなければならなかった。別に断られはしなかったけど、毎回一緒に行くってついて来られたのはちょっと困った。流石に一緒に個室に入ったのは最初の1回だけだったけどもし求められたら断れないのはそれだけでプレッシャーだ。
あれ以来、新しい命令はされてないけどいつどんなことを言われるのかと思うと正直ちょっと怖い。
「ねえ、みっちゃん。帰りに買い物寄りたいんだけど付き合ってくれる?」
「買い物? いいけど何買うの?」
「えぇっとね~。これからの、必需品。」
命令では無かったのだろうけど、迂闊に機嫌を悪くする気にもなれない。楽し気に歩くユウカのあとについて駅前へと向かう。
「ここ?」
何を買うのかを教えて貰えないまま、連れてこられたのベビー用品のお店だった。このお店の存在は知っていたけれど、特に用もなかったしこれまで入ったことはない。
でも何でだろう。ユウカに小さな弟や妹は居なかったはず。親戚に赤ちゃんが生まれたとか?
「じゃあ、入ろっか。」
「あ、うん。」
腕を引っ張られて店へと入る。赤ん坊向けの品を扱っているだけあって店内全体はこれでもかって程ファンシーだ。実際に買いに来るのは親だろうからここまで飾り立てなくってもいい気がするんだけどね。
「すみませーん。お昼ごろに電話連絡をしてた者ですけれどー。」
「はい。伺っておりますよ。使うのはこちらの子ですか?」
ユウカに呼ばれた店員さんがやってくる。のはいいんだけど、なんで私をじろじろ見ているんだろう。使うって何を?
「サイズ、大丈夫そうですかね。」
「ええ、大丈夫ですよ。サイズの詳細も連絡頂いておりましたからね。まあ当店に在庫が有りませんでしたから取り寄せになっちゃいましたけど幸い近隣店に在庫がありましたから大した手間ではありませんでしたし。あ、少々お待ちくださいね。」
うぅ、なんだろう。何だか品定めをされているようで居心地が悪い。店員さんは奥に行っちゃったけどこれで終わりってことじゃないよね?
「ねえ、ユウカ。何の話をしてるの? さっき言ってた『こちらの子』って、私のこと?」
「え、うん。そうだよ。みっちゃん用のおむつをお願いしてたの。」
……は?
「待って待って。おむつ!? なんでそんなことになってるの?」
「え? だってみっちゃん、私が許可しなきゃおトイレでおしっこ出来ないじゃない。学校だったらすぐにお願いも聞けるけど、家だとそうもいかないでしょ? おしっこするたびに連絡貰ってもいいんだけど、タイミングが合わないと返事出来ないことだってあるだろうしさ。そのたびに服のままお漏らしして汚しちゃうよりはあらかじめおむつをしておいた方が被害も抑えられるし良くない?」
ユウカにされた『おトイレ以外で服を着たままならおしっこを出すことを許可してあげる。』って命令が頭に浮かぶ。
「嘘でしょ? それって学校でだけの話じゃなかったの!?」
まさか自宅でも漏らさなきゃならないだなんて聞いてない。
「ええー? 逆に、なんで学校限定だと思ったの? 私は『学校では』だなんて一言も言ってないよ? あ、でも安心して。店員さんにはバーコードで命令されてお漏らしをしなきゃならなくなってるなんて言ってないから。バーコードのことは他の人には極力知られたくないものね。」
「そ、それはそうだけど……」
そもそもこんな命令自体を撤回してくれれば済む話なのに。
「お待たせ致しました。こちらで如何でしょうか。」
「うわー、可愛い。ね、みっちゃん。」
店員さんが持ってきてくれたのは私の予想外のモノだった。おむつと聞いて私が連想していたのは赤ちゃんの描かれた大きめのパッケージ。要するにテレビCMで見るような使い捨てのおむつだった。
けれど実際に見せられたのは重ねられた布の山。それからT字型をした厚手の布が数枚だった。
「まずこちらが布おむつ。実際におしっこを吸収するための布ですね。」
山になった布についての説明がされる。生地はタオルみたいにもこもことした厚地のモノだけれど、タオルと比べると長さが短い。
「そしてこちらがおむつカバーです。まずは布おむつを当てて、このおむつカバーで包みこむ形となります。一応布おむつの数量を変えても対応できるように何種類かのサイズをご用意いたしました。」
おむつカバーと呼ばれたT字型の布は、左右に飛び出した部分にマジックテープが付けられていた。なるほど。長い部分を股間に通して、左右の部分を横から回して固定するってわけね。
それはいいんだけど、赤ちゃん用品のお店だけあって見た目がどう見ても赤ちゃん向けの可愛らしいものだ。ピンクだったり白地に黄色の模様が入っていたり。酷いものでは子供が喜びそうなキャラクターが描かれているものもある。
よくよく考えればおむつって介護にも使うはずだけれど、見せられているのはそんな落ち着いた雰囲気なんて全くない完全な赤ちゃん用のおむつだ。
「待ってよ。私、おむつなんて……」
「え? みっちゃん、要らないの? でもお漏らしするたびにお洋服汚しちゃったらそっちの方が大変じゃない?」
「ぐぅ……それは、そうだけど……」
だからこんなのが必要になることの方がおかしいのに。
「大丈夫、お漏らしをするのは病気ではありませんからね。こまめにトイレに行くようにしておけば漏らしてしまったとしてもおしっこの量を量減らせます。それなら布おむつの枚数を減らすことだってできます。最小限の枚数なら外からはあまり目立たない様にも出来ますよ。夜は必要な枚数が増えるかもしれませんが人に見られるってことはあまりないでしょうし多少膨らんでも大丈夫ですよ。それでも気になるなら寝る前に摂る水分の量を減らしておけばおねしょの量だって減らせますから。」
「は、はい。」
店員さんの言葉が突き刺さる。完全におもらしが治らない子だと思われてるってことじゃない。しかも寝ている間って、おねしょまでしてるのだと思われてる。
「じゃあコレ、全部買いますね。」
「ありがとうございます。」
それなりのお値段にも拘らずユウカは平然と払っている。
……正直に言えばちょっとホッとした。もし私に『払え』と命令されたなら拒否することは出来なかったからだ。
「じゃあ次はみっちゃんちに行くよー。」
「え、なんで私のうちに……」
「せっかく買ったんだし、おむつ付けたみっちゃんを見てみたいもん。それともここで付けさせてもらう?」
ぞっとした。店員さんはニコニコとこちらを見ているだけで否定するわけでもない。赤ちゃん用品の店だけあっておむつを替えるコーナーとかも用意してあるってこと? いや、あくまで赤ちゃん用であって私みたいなのが替えることまでは想定してないと思うけど。
「そう言えばさ。トイレとおしっこに関しては命令してたけど、ウンチについては何も言ってなかったよね。」
「えっ……」
店を出た途端、いきなり面食らうことを言い出された。
「おしっこ程度ならまだマシだけどさ。流石におむつにだとしてもウンチを漏らしたらその後の処理大変だよね。」
「ま、まあそうだけど……」
そっちは朝から催さなかったから考えてなかったけど、確かにウンチで汚れたおむつなんて処理したくない。
「うん。だからね。大きい方は私の許可なしでもトイレで出来るようにしておいてあげる。」
うぅ。なんでそんな上から目線なんだろう。
「ただしぃ。」
「え、あっ。ちょっと待って。」
いつの間にかユウカがスマホを取り出している。何も言ってなかったなら変な命令がされてないはずだ。それなのにスマホを取り出すってことは新しい命令をしようとしてるってこと!?
「これから先、みっちゃんがおトイレでウンチを出す時は全裸になること。」
「は? 何なのそれ。」
「えー、言葉通りだよ。あ、でも安心して。全裸になってからトイレに入れだなんて言わないから。出先でもトイレの中で脱げばちゃあんとウンチが出来るからね。それとトイレ以外で服を着てれば出せるってのはおしっこと同じ。好きな方を選んで。」
どっちにしたって最悪でしかない。