負けず嫌いな男の子があらゆるスペックが格上のせいで避けられがちなふたなり女子に挑み続けた結果いつの間にか両想いになってる話(全戦全敗わからされ編) (Pixiv Fanbox)
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「じゃあ自己紹介を頼む。」
「一色ソウマです……よろしく……」
横に立つ教師に促され、舐められないよう手短に自己紹介を済ませる。転校してきた俺への視線は、一様に好奇の意思がひしひしと感じられた。その中で一番後ろの席に座る、周りよりも一回り大きい体格の女子からの視線は一際強いものだった。
「うむ、みんな仲良くするんだぞ。それじゃあ一色、席は西園寺の隣な。一番後ろだ。」
「はい。」
チラッ……
「…………!!」
ぶんぶんぶんっ!
『アイツか……』
指された席に目を向けると、そこは丁度その女子の隣で、大きい体に見合う腕を大きく振りながら手招きをしていた。
スタスタスタ……
ドサッ……
『近くでみると余計デカいな……』
「私西園寺ネネっ!よろしくね一色君!」
スッ……
「お、おう……よろしく……」
スッ……
ぎゅぅぅっ♪
席に着くと、すぐにその女子が話しかけてくる。彼女は西園寺ネネと名乗ると、気さくな笑顔と共に意外な程優しい握手をしてくるのだった。
◆◆◆
「おりゃりゃりゃりゃぁっ!!」
「そりゃりゃりゃりゃぁぁっ!!!はぁっ!負けたぁ~」
「うっし俺の勝ちぃ~♪」
転校から一か月、自己紹介で尖った雰囲気を醸し出していた俺だがクラスメイト達のおかげもあり、休み時間に仲間内で流行っている連打ゲーで盛り上がるくらいにはクラスに馴染んでいた。
「もう一回、もう一回だっ!」
「おぉ、何回でもかかってきな。」
「あ、それ私も知ってる~♪」
ヌゥっ……
「おわっ!?びっくりした、西園寺か……」
そんな中、俺達を覆い隠すようにして西園寺が輪に加わってくる。気さくで好奇心旺盛な彼女は、こうして男女の隔てなくコミュニケーションを取ることがよくあった。その度に俺はいきなりの登場に驚いてしまうのだが。
「腕相撲のやつでしょ?私も混ぜてよ~♪」
「ぁ~……」
「ぅん……」
「…………」
ササッ……
スススッ……
「悪いな西園寺、もう終わりなんだ。」
「そ、そうそう……一色も充電ヤバいだろ?これくらいにしとこうぜ?」
「ぇ?ぁ、ぁぁ……」
「ぇぇ~そうなの?じゃあ仕方ないね……」
しかし仲間達は少し反応が違い、ばつが悪そうにしながらそそくさと片付けて席を後にする。これはこの一か月で何度か体験しており、どこか西園寺から距離を取ろうとすることがあるのだ。それは決まって何かの勝負事の時で、西園寺に対する引け目、あるいは恐れといった感情から起こっているようだった。
「…………ぅ~……」
「ぁー……なんだ、じゃあ俺とリアル腕相撲するか?」
「え!いいの!するするっ♪」
いつもだったら俺も何となく仲間に付いていくのだが、今日は自分の席で集まっていたため逃げ場がなく、しゅんとする西園寺を見かねてよくわからないフォローをしてしまう。しかし彼女は思いの外乗り気で、突如として腕相撲バトルが始まってしまうのだった。
どんっ……
「一色君は両手でいいからね♪」
「りょ、両手?」
「うん。必要でしょ?ハンデ。」
「お、おいおい流石に舐め過ぎだろ。いくら俺より背が高いからって……」
「え!ハンデなしでいいの?そっか、じゃあやろっ♪」
腕を置きながら言い放つ西園寺だが、流石に男として受け入れる訳にはいかない。いくら俺どころか体育教師よりも背が高い彼女とはいえ、そう簡単に負ける筈がないと思っていたからだ。そうして俺は嬉しそうにする西園寺と、手を握り合わせる。
ぎゅっ゛……
「っ……」
『やっぱ手ぇデカ……やっぱりハンデ、いや弱っちいこと言えるか……!』
「一色君のタイミングで始めていいからね~♪」
「じゃ、じゃあいくぞ……?」
初日の握手以来に触れた彼女の手の大きさに改めて驚く。一抹の不安がよぎるが、それを跳ねのけて合図をだす。
「よーい、スタートっ゛……」
ぐぐぐッ゛……!!!
ビッタぁぁぁッ……!!!
「ッ!?!?!?」
「ふふっ♪どうしたの一色君?もっと本気出して大丈夫だからね?」
「ふぎぎぎッ゛……!ふぅぅ゛ッ……!」
ぐっ゛……ぐぐぐッ゛……!
合図と共に一気に力を入れて倒しにかかる。しかし西園寺の腕は一ミリたりとも動くことはなく、完全にその場に固定されていた。息を止め言葉も出せない俺に対し、彼女は顔色一つ変えることなく、悠々と喋る余裕すら見せる。
「あはっ♪じゃあそろそろ私も力いれるね?」
「っぁ゛……!?」
『これで力入れてないって嘘だろっ゛……?』
「それ~♪」
ぐぐぐぃ~~♪
「なっ゛……!ふッ゛……ふぅッ゛……!ぁ゛……ぁぁ゛っ……」
ぐぃぃ~~……とん……♪
彼女の発言に驚愕した次の瞬間、間の抜けた声とは裏腹に、とてつもない力で腕が倒されていく。慌てて抵抗しようとするも、一切スピードが緩むことはなく、最後は情けない声と共に優しく机に着地させられるのだった。
「ふふっ♪私の勝ちだね♪」
「そ、そんな……はっ……!」
バッ゛……
キョロキョロっ……キョロっ……
「……ぇ?」
完膚なきまでの敗北に呆然とし、少し間を置き慌てて辺りを見渡す。こんなかっこ悪い話に周りがどんな反応をするか、それが怖くて堪らなかったのだ。しかし俺の目にはその予想とは違う景色が広がっていた。
「それでさ~……」
「マジ?~~~…………」
「これ見てよ~…………」
「…………」
ほとんどのクラスメイトがこちらを見てすらいなかった。それは特別珍しくもない、日常の風景だとでも言うように。唯一こちらを見ていたのは先程まで一緒にいた男子の数人で、それすらも笑うどころか心配そうな表情を浮かべていた。
「な、な……」
「どうしたの?急にきょろきょろして、それより今度は両手でどう?なんなら逆の手でやろうか?」
「っっ゛……!そ、それはっ゛……」
キーンコーンカーンコーン♪
「あ、予鈴だ。残念、もっとやりたかったのに♪」
「…………くっ゛……」
西園寺も特別煽ったりするわけでもなく、純粋に勝負を楽しむようなトーンで再戦を促す。その行き過ぎたハンデの提案に思わず言葉が強くなりそうになるが、予鈴によって抑えられてしまう。
『くそっ゛……くそくそっ゛……!』
「…………♪」
じ~~…………♪
そうして負けず嫌いな俺は女子に負けた事実に、次の授業の間ずっとイラつきを感じながら過ごすことになり、西園寺へのリベンジを誓うのであった。
◆◆◆
それからの俺はことある毎に西園寺に勝負を挑んだ。最初は純粋な力でのリベンジ、しかしそれはどうやっても叶わず、早々に諦めることになった。その後に狙ったのは学力であったが、それでも俺が上回ることはなくフラストレーションが溜まるばかりであり、必然的に彼女のことばかりを考えるようになっていた。
「どうする一色君、また勝負する?」
「んん?何の勝負だよ?」
「黒板どっちが先に綺麗にできるか、スピード勝負♪」
「……いいぜ。」
そんな日々の中、日直になった俺達は放課後の誰もいない教室でまたしても勝負の話をしていた。俺が挑むことを西園寺も拒むどころか、提案してくるくらいにはこういったことが好きなようであった。当然俺も断ることはない。
「じゃあ半分ずつでやろっか、あ、上下に分けた方が一色君的にはやりやすいかな?」
「っ゛……馬鹿言うなっ、左右でいいっつーのっ!」
「ふふっ♪そう?じゃあいくね?よ~い……スタートっ♪」
「ふっ゛……!よっ゛……!」
スッ……スッ……
ぴょんっ……ぴょんっ……
「~~~♪~~♪」
サッ……サッ……
ススス~~……
煽りでもない純粋な気遣いの提案に強く拒否を示すと、楽しそうな声で始まりの合図が告げられる。背伸びでも黒板の上部に届かない俺は、ジャンプを駆使しながら必死に黒板消しを振っていく。対する西園寺は背伸びすらすることなく、鼻歌を歌いながら悠々とかつ丁寧にチョークの跡を消していく。
「せぁっ……!っと……」
チラッ……
「~~~♪……うん?♪」
「っ……」
『もうほとんど終わっ……くそっ゛……!』
ぴょんっ……!ぴょんっ……!
ジャンプの合間に一瞬目を向けると、その進み具合に驚く。お互い端からスタートして、西園寺はもうほぼ真ん中までやってきていた。しかもその仕上がりは文句の付け所がない。対する俺はまだ半分の半分に届くかといったところの上、ジャンプのせいで消し残しが点在していた。
「ほら頑張って一色君♪ジャンプジャンプ♪」
「ちっ゛……馬鹿にしやがってっ……!」
ぴょんっ゛……!ぴょんっ゛……!
「あぁ~もう終わっちゃうよ?あと少し、あとここだけ♪」
『そうやって油断してろっ……ここから最後一気にっ……』
グッ゛……!
言葉通りあとほんの僅かな文字を残して消し終わっている西園寺だが、俺は焦らずに最後のチャンスをうかがっていた。これまで本気よりも遅いペースだった俺は、彼女に油断させたままラストだけ一気に速くしようと画策していたのだ。そしてそのチャンスの時だと足に力を込め一気に跳ぼうとしたその時だった。
「それっ゛……ぁ、ぁぇ゛……?」
グラッ……
「うん?……っとぉっ……!」
ぽふっ……♪
「あれれ?一色君ダメだよ♪妨害はなしだって~♪」
「ち、ちがっ゛……」
「はい♪これで私の勝ち♪」
サッ……
「ぁ……」
バランスを崩した俺は西園寺に向かって飛び込んでしまい、まるで妨害を狙ったかのような動きになってしまう。慌てて否定しようとするが、そんなことをしてる間に最後の文字が消され、またしても俺は彼女に敗北してしまったのだった。
「また私の勝ちだね♪」
「く、くそっ゛……」
「それにしてこんな抱き着いてまでなんて♪そんなに勝ちたかったんだね♪」
「はっ゛……!」
バッ゛……!
「あんっ♪ふふっ♪もっと抱き着いててもよかったのに♪」
「なっ゛……また馬鹿にしやがって……はぁ゛くそっ゛……何でまた……」
フイッ……
敗北のショックで抱き着いたままだった俺は、西園寺の指摘で慌てて飛び退く。そして彼女のからかいに心を乱された後、改めて敗北の事実に肩を落とし下を向く。そこへ思いがけない声がかけられる。
「馬鹿にしてるわけじゃないけどなぁ……♪」
「ぇ……?」
「あのね一色君、一色君とこうやって毎日勝負ができてとっても楽しいの♪自慢じゃないけど私って昔から何でもできてね、それに力も強かったんだ。周りの子よりも背も大きくてどんな勝負でも負けたことがないし、それがすごい楽しくて嬉しかったの。」
突然始まった西園寺の話に、少し困惑しながらも耳を傾ける。
「でもね、その内誰も相手してくれなくなっちゃったんだ。みんな勝てないってわかってるから私を避けるの。寂しかったなぁ……なんか蚊帳の外って感じで何しても楽しくなくなっちゃった。」
「……ぁ……」
彼女の話でクラスメート達の振る舞いの理由をようやく理解する。彼らは既に、西園寺との生き物としての差をわからされた後であり、だからこそああして避けていたのだと。
「だから一色君が一回負けた後また挑んできてくれた時は嬉しかったなぁ……♪一生懸命になって私に勝とうとする姿、すごい可愛かったし……♪」
「かわっ……!?」
「もしかした私のこと好きだったりするのかなぁ、そうだったら嬉しいなぁ、って毎回思ってたんだよ?♪」
「っっ゛……!?」
ビクぅっ゛……!?
「……♪」
自分でも曖昧な、密かな想いを言い当てられ肩が跳ね上がる。毎日毎日これだけ近くで接していると、嫌でも西園寺という女子のことを知ってしまう。初めは対抗心しかなかった気持ちも次第に変わっていき、彼女に惹かれていた事実から俺は目を背けていた。
「ねぇ一色君、もう一回勝負しよっか♪」
「ぇ……?」
「お互い目を合わせて、先に逸らした方が負け。簡単でしょ?」
「ぁ、ぁぁ……別に、いいけど……」
俺の反応にどこか嬉しそうな西園寺は、いきなり勝負の提案をする。その内容に困惑しながらも俺は断るわけにもいかず、特に深く考えることもなく了承する。
「ふふっ♪負けた方は勝った方の言うことを何でも聞くことね♪」
「は!?ちょっとまっ……」
「よ~いスタートっ♪」
じぃぃ~っ♪
「って急に始めんなっ……」
くぃっ……
そして彼女は勝手に罰ゲームまで決め、その勢いのままに勝負をスタートさせる。完全に抗議するチャンスを逃した俺は、合図に釣られるように西園寺と視線を合わせるために顔を上げるのだった。
「ふふっ……♪」
ニコニコ♪
じぃぃ~~~っ♪
「………っ」
もぞ……もぞ……
「どうしたの一色君?目、泳いでない?」
「そ、そんなわけねぇだろっ……」
「ほんと?じゃあ……」
改めて視線を合わせまじまじと顔を見つめると、どうしても日夜考えていた女子であることを意識してしまう。しかも自分よりも高い所から見下ろされ、言葉にしがたい感覚に襲われ小さく身じろぎを繰り返す。そんな俺に西園寺は追い打ちをかけるように顔を近づける。
ずいぃっ……♪
「っっ゛……!?」
フィぃ゛ぃ……グッ゛……!
「あはっ♪かなりアウトっぽかった気がするけどな~♪」
「せ、セーフだろこれくらい……っていうかそういうことすんなっ、卑怯だろっ……!」
「えぇ~何で~?触ってるわけじゃないしいいでしょ?ほら♪」
ずずっ゛……ずぃぃっ゛……♪
「ちょっ゛……さ、さいおっ゛……」
何とかギリギリのところで逸らしかけた視線を戻すが、西園寺は止まらない。俺の言葉を気に掛けることなく、お互いのどこが触れてもおかしくない程に迫ってきたところで、遂に俺の限界を迎える。
「……♪」
ずぃぃぃ゛……♪
「っぃっ゛……!」
「あ」
フイッ゛……
「お、お前っ゛……どういうつもりっ゛……!?」
「残念。でもこれで私の勝ちだね♪」
「なっ゛……」
あと数センチ、数ミリのところで体ごと飛びのいて視線を逸らしてしまう。俺が動かなかったらどうなっていたか、その想像と共に西園寺へ言葉をかけようとするが、当の本人は平気な顔をしていた。
「何考えてんだっ……!?」
「何って一色君のことだよ?それよりもほら私の勝ちだから、いうこと聞いてもらうね♪」
「いや、い、今のは……」
「ダメだよ~?男の子なんだから言い訳禁止♪それに大変なことじゃないから心配しないで♪」
「……んぐぐッ゛……チッ゛……」
しかし彼女に堪える様子はなく、言い訳をして無効試合にすることも許されない。そうして狼狽えていると罰ゲームの内容が告げられる。
「じゃあ一色君には私の質問に答えてもらいます♪」
「し、質問……?」
「うん♪あのね一色君……私のこと好き?」
「っっ゛……!」
ビクッ……!
質問と聞き僅かに警戒を緩ませたのも束の間、予想していなかった質問に肩が跳ね上がる。
「そ、それはっ゛……」
「今好きじゃなくてもいいよ♪好きになりそう、とか♪」
「…………」
「どうかな?”ソウマ君”?」
「…………っ゛!!」
ドキッ……!
「ぅ、ぅん……」
コクっ……
わざわざ聞き方を変えてまで質問してくる西園寺。そしてついには名前まで呼ばれてしまった俺に出来るのは、小さな声と共に首を縦に振ることだけであった。
「わぁっ……♪嬉しい、嬉しいよソウマ君♪」
「つっても別に俺がお前とどうこうって訳じゃ……」
「うぅん、いいの♪それだけ聞ければ十分♪あとは一つだけ……ねぇソウマ君、私ともう一回だけ勝負してくれない?」
「ぇ、ま、またっ?」
「うん♪お願い、どうしてもソウマ君としたい勝負があるのっ♪ねっ♪」
ずいぃっっ♪
ぎゅぅぅっ゛♪
「んなっ゛……わ、わかったっ、わかったって……」
思いきり喜びを見せる西園寺に、言い訳するような言葉を並べようとする俺だが、そんなことに気もくれず彼女は再び勝負を申し出る。全く理解できない話の流れに戸惑うが、目の前に顔を近づけられ手を握られては了承するしかない。
それが最後の分かれ道だったとも知らずに。
「やった♪じゃあいこ♪私のお家♪」
「……は?」
◆◆◆
「さ、入って入って♪」
「…………」
キョロキョロっ……
「な、なぁやっぱり家に来る必要はないんじゃ……」
戸惑いながらも強引な西園寺に連れられ、遂に家までたどり着いてしまった俺。キョロキョロと首を振って周りを見渡し、明らかに経験がないことを露呈させてしまうが、そんなことを取り繕う余裕もない。
「もう着いちゃってるし、そんなの今更じゃない?」
スタスタスタ
ぼすっ……♪
ポンポン♪
「ほらこっち座って?」
「座ってって……お前そこベッドじゃ……」
「うん♪そうだよ?」
「そうだよって……」
「も~ほら早く♪こっち来て♪」
グイっ……♪
「あ、ちょっ゛……」
ぐいぐいっ゛……
ぽすんっ゛……
ベッドに座り、その横を示しながら呼びつけられる。自分では考えらない行為に狼狽えていると、彼女はすぐに俺のところに戻り、強引に座らせる。
「ふふふっ……♪」
「お、おい、勝負のために来たんだよな?」
「もちろん♪」
「じゃ、じゃあ今これは何のために……」
「それはね、ここでしかできないからだよ♪」
「ここでしか……?」
「うん♪ていってもすごく簡単♪今から私があるものを見せるから、それでも私をソウマ君が私を好きになってくれるかって勝負♪」
「は?」
全く勝負とは関係ないここまでの行為について尋ねると、返ってきたのはまたしても俺を混乱させる言葉だった。しかし彼女は気にせずにしゃべり続ける。
「さっき言ってくれたよね?好きになれるかもって、だからもしソウマ君が私を好きになったら私の勝ち♪その時は私と付き合って欲しいな♪」
「つ、付き合っ゛……」
「でも好きになってくれなかったらその時はソウマ君の勝ち。残念だけど全部諦めるし、ソウマ君のいうこと何でも聞いてあげるね♪」
「っっ゛……!」
「それでどう?勝負してくれる?」
勝負の内容、その勝敗の結果を教えられ言葉が詰まる。深く考えずともこちらにデメリットがないそれに俺は肯定を返す。
「ま、まぁそれなら別に……」
「ふふっ♪よかった、じゃあ早速始めよっか♪」
すすす……
「さ、西園寺?スカートなんか掴んで何を……」
「ソウマ君に見て欲しいのはこれ……♡」
「へ…お、おい待てっ゛……」
グイっっ゛……♡♡
俺の返答に待ってましたと言わんばかりに、勝負を始めようとする西園寺。しかしそう言いながら彼女が手を伸ばしたのは制服のスカートで、その不穏な雰囲気を感じ取った俺だったが間に合わず、一気にたくし上げられる。
「…………は?」
もこぉぉっ♡♡
ぴちっ♡♡ぴちっ♡♡♡
「私ね、ふたなりなの♡♡」
「ふ、ふた…………?」
そうして慌てて逸らした顔をゆっくり戻しながら、盗み見るように視線を向けるとそこにあったのは、女子である西園寺にはありえない筈の膨らみだった。男もののようなシンプルな下着に感想を抱く暇もなく、続けて告白された聞きなれない単語に思考を奪われる。
「うん♡簡単に言うと女の子だけどおちんぽが生えてるってこと♡」
「ちっ゛……!?」
「やっぱりびっくりするよね?でもそれが私なの♡どうソウマ君?私のこと嫌いになっちゃうかな?」
「き、きらいとかは、いや、ぇぇ゛……?」
ちらっ……ちらっ……
その意味を明かされるも、そう簡単に混乱は解けない。ただただ戸惑い、自分の感情もわからずに繰り返し視線を飛ばして盗み見る。
もこぉぉっ゛……♡♡♡
「……ごくっ」
「いいよ♡もっとよく見て♡ソウマ君に私のふたなりおちんぽ見て欲しいの♡♡」
「なっ゛……い、いちいち言うなっ……」
ドクッ……♡ドクッ……♡♡♡
ぴちっ゛……♡ぴちぃっ゛……♡♡♡
ぴっちりとした下着には歪な形の膨らみが浮かび上がり、微かに振動している様が見て取れる。その拳程の大きさは間違いなく俺よりも大きく、ここでも俺は負けているのかと考えていたときだった。
「ぁ……♡♡そんなに見られたらっ……♡♡」
もこっ゛……♡♡もここっ゛……♡♡♡
むくむくぅっ゛……♡♡♡
「ぇ゛……はっ゛……?」
「おちんぽおっきくなっちゃうよぉ♡♡」
みぢっ゛♡♡みぢぢっ゛♡♡♡
もっこぉぉぉ゛~っ♡♡♡
「ひ、ひぇっ……」
西園寺の嬉しそうな声と共に、歪な膨らみが棒状の輪郭を持ちながらさらに大きくなっていく。まるで下着を突き破ろうと言わんばかりの勢いと、平常時があの大きさだったという事実に恐怖してしまう。そんな俺とは反対に彼女のテンションはさらに上がっていくようだった。
「どうしよ♡なんだかいつもよりおっきくなってる気がする♡♡ソウマ君に見られてるからかな♡ねっ?♡♡」
「し、知らねぇってっ……ていうかもういいだろっ゛?これ以上見たって……」
「ダメダメ♡ちゃんと直接見た上で判断して貰わないと♡じゃないとフェアじゃないでしょ?♡♡」
「フェアって別に……」
「えぇ~?♡じゃあ今のところソウマ君は私のこと好き?♡嫌い?♡」
「いや、それは……その……」
「ほら~♡だからちゃんと見た上で、ね?♡私の勃起ふたなりおちんぽ♡よ~く見ててね♡♡」
ガシッ……♡♡
ググッ゛……♡♡
もはや勝負のことは捨て去り、一刻も早くこの状況を脱したいが西園寺はそれを許さない。フェアという単語を持ち出し、あたかもまともな勝負をしているのだという態度だが、どう考えてもこの状況はまともではない。しかしその強引さに上手く反論することは出来ず、彼女は下着に手を伸ばす。
「お、おい待てって……」
「いいからいいから♡♡私はソウマ君とちゃんと勝負したいの♡♡だからこれを見て、私のことを好きになって?♡♡ほらっ♡♡」
グイッ゛……♡♡♡
「ぁ……」
ぶるんッッッッ゛♡♡♡♡
ビィィンッッ゛♡♡♡♡
「ぅ、ぅわ……ぁ……」
じ~~~~…………♡♡♡
ビキビキビキッ♡♡ビキキッ♡♡ビキィィッ♡♡♡♡
「な、なんだ、これ………………♡」
…………キュンッ……♡
そうして俺の制止の声も届かず、張りつめた下着から飛び出てきたのは、子どもの腕かと見紛う程に大きく長い肉の槍。完全に芯が入っているとわかるしなやかに反ったソレに、直前までの恐怖が消えていき、代わりにときめくように心が跳ね始める。
「どうかな?♡私のおちんぽ♡あんまり人と比べたことはないんだけど、結構大きい方だと思うんだよね♡♡」
「け、けっこう……ぃや、それどころじゃ………♡」
ズォォォ゛……♡♡♡
ドクンッ♡♡ドクンッ♡♡♡
「そう?♡竿とかゴツゴツしてて不格好じゃない?♡もっとすら~っとして方が綺麗だと思うんだけど♡♡」
「ご、ゴツゴツ………♡♡」
ビキビキッ♡♡ビキッ♡♡ボコッ♡♡ボコッ♡♡♡
「あ♡でも先っぽは自信あるんだ~♡カリが反り返りに沿った角度になってるからいいフォルムでしょ?♡♡」
「か、カリって……♡ぁ……♡♡」
パツっ♡♡パツパツっ♡♡ツラぁッ゛♡♡♡
「っっ゛……♡♡」
『な、なんだよこれぇ……♡♡なんで他人のアレを見せられてこんな……♡♡んっ゛……♡♡』
キュンッ……♡♡キュンッ……♡♡
ゾクゾク……♡♡ゾクッ……♡♡
西園寺の言葉につられ、その部分へと視線を誘導される。誰と比べてもおそらく敵う者はいないと確信する大きさに、素人の陶芸作品のようにデコボコとしたその姿。そして自慢だという段差のついた先端の膨らみ。そんな自分の持っているソレとは似ても似つかない逸物に、俺の体は明らかに異常な反応を示していた。
「……ふふっ♡でもよかった♡これならかなり脈アリって感じかな?♡♡」
「ぇ……?♡」
「だってソウマ君♡さっきからすっごくえっちな目で私のおちんぽ見てるもん♡♡」
「なっ゛……!?ち、ちがっ゛……♡♡」
フイッ゛……♡
「あはっ♡もしかして気づいてなかった?♡そっか無意識かぁ♡♡ふふっ♡♡ふふふっ♡♡」
「だから違うっつって……♡♡ただ、その……♡」
ちらっ……♡♡ちらっ……♡♡♡
「どうしてもふたなりおちんぽから目が離せないだけ?♡♡」
「~~~っ゛……♡♡」
指摘されてようやくソレに夢中になっていたことを知り、慌てて顔ごと視線を逸らすが、瞳はちらちらとソレを求めて動いてしまう。そのことすらも言い当てられ、俺は声にならない声で恥ずかしさをかみ殺すことしか出来ない。
「もう好きになってくれたってことでいいのかな?♡私の勝ち?♡ねぇ、ソウマ君?♡♡」
「す、好きとかじゃ……♡♡」
「ほんと?♡あんなにおちんぽに夢中だったのに?♡♡」
「ぅぁ、ぅ、ぅぅ……♡♡」
「う~ん……♡流石にまだ早かったかな?♡じゃあまだ勝負は続行だね♡♡だったら……♡♡」
勝ち誇ったかのように問い詰めてくる西園寺に、俺は明確な否定を言葉に出来ない。そうして唸ることしか出来ない俺に、彼女はまた一つとんでもない提案をするのだった。
「触ってみてくれない?♡私のふたなりおちんぽ♡♡」