【小説】美少女メイド化と快楽の館 (Pixiv Fanbox)
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「っ、こんな、急に雨なんて……ついてないな、まったく……」
仕事を終えて自宅へと帰る途中、いきなりの豪雨に降られた俺はコンビニで買ったビニール傘を構えながらなんとか歩みを進めていた。
ただでさえ陽が落ちて暗いというのに、土砂降りの雨で視界が遮られ前を確認するのも一苦労だ。
「くっ、ちょっと、いくらなんでも強すぎ……うわっ!?」
突風に煽られ傘が後ろへ流される。
すると脆い造りのビニール傘はあっという間にバキバキに折れてお釈迦になってしまった。
「おいおい、勘弁してくれ……うっ!?」
強い雨風に晒され、思わず顔を腕で覆う。
なんとか少しずつ顔を上げて前を見たその瞬間、俺は言葉を失った。
「……え、は……?」
俺の目の前にあったのは、森。
背の高い木々が立ち並ぶ、都会の真ん中にはありえない場所だった。
気づくと雨が弱まり始めており、さっきまで都会の喧騒と雨音で騒々しかった周囲は嘘のように静まり返っていた。
「な、なんだ……? どこだ、ここ……?」
振り返ると、そこにも森。
ついさっき傘を買ったコンビニは影も形もない。
いつの間にか俺はおかしな森の中に迷い込んでいたようだ。
「道、間違えた……? いや、でもこんな場所あったか……?」
俺は辺りを見回したが、どこを見ても木だらけで元の道に戻れる様子はなかった。
仕方がないので地図アプリでも見ようとスマホを取り出したが、表示は圏外。
どうやら役に立ちそうもない。
さてどうしたものかと途方に暮れていると、ある一点、光がポツンと灯っているのが見えた。
俺は誘われるようにその光の元へと足を進めた。
「……お屋敷?」
導かれるまま進んだ先にあったのは、大きな洋館だった。
森の中に佇むその館はさながらおとぎ話の魔女の住む家のような威圧感がある。
しかし、帰り道もわからずさまよっている今の俺からすれば渡りに船だ。
灯が点っているところを見ても中に人がいるのは間違いない。
俺は玄関口についていたベルを鳴らしてみた。
カランカラン、と鳴るベルの音を聞きながら少し待っていると、やがて玄関の大きな扉が開かれた。
「……どちら様? 私の屋敷に何かご用かしら?」
中から出てきたのは、ドレスを身にまとった金髪のお嬢様のような少女だった。
彼女の両脇にはメイド服を着た女性が佇んでいる。
俺は一瞬呆気に取られたが、すぐに襟を正して言葉を返した。
「あ、こんな夜分遅くにすみません。ちょっと道に迷ってしまいまして……駅までの道を教えて欲しいのですが」
「あら、貴方随分お濡れになって……大丈夫ですか?」
「え? ああ、さっき急な豪雨に降られまして……」
「まあ、それは大変でしたね。こんなところで立ち話していては風邪をひいてしまいますわ。どうぞ中へ入ってくださいな」
「あ、いや、そんな……」
「さあさあ、遠慮なさらずにどうぞこちらへ」
少女が促すと、彼女の両脇にいたメイドたちが俺を中へと連れ込んだ。
まだ中に入るなんて一言も言ってなかったのだが。
玄関扉の中へと入ると、内装はまるで異国の豪邸のような豪華な装飾が施されていた。
だが何よりも目を引くのはエントランスホールにずらりと並んだ何人ものメイドたちだった。
「いらっしゃいませ、お客様」
先頭の一人がそう言って頭を下げると他の全員も一糸乱れず続く。
あまりにも壮観な光景に俺は思わず言葉を失ってしまった。
しかし、そんな俺の様子は全く気にしないままドレス姿の少女は俺を奥へと案内していく。
「さあ、こちらの部屋へどうぞ」
廊下を進んでいた少女がドアを開き俺を部屋へと招き入れた。
部屋の中には暖炉がついており、煌々と燃える火によって暖められていた。
雨に濡れて冷え切っていた身としてはありがたい。
「どうぞ腰をおかけください」
「ど、どうも」
勧められるまま高級そうなソファに座る。
ふかふかとしていて心地よいが、いきなり通された見ず知らずの他人の家の中では流石に落ち着けない。
対面に座った少女がニコニコしながら俺の方を見てくるので尚更だ。
「こちら、ハーブティーでございます」
「あ、そんなわざわざすみません」
メイドがティーカップを俺と少女の前に運んでくる。
こんなたまたま通りかかっただけの招かれざる客である俺にここまでしてもらうと、なんだか申し訳ないような、何か怪しいような、複雑な気持ちになってくる。
だが、手をつけないのもそれはそれで失礼な気もするので一口飲んでみた。
鼻の奥を爽やかな香りが抜けていく。
ハーブティーなんて洒落たものは普段飲まないので味や香りの良し悪しはわからないが、なんだが心が少し落ち着いたように感じる。
「あら、また雨が強まったようですね」
少女が窓の外を眺めながら言う。
そういえばいつの間にか雨の音が部屋の中に響いている。
「雨が止むまでしばらく私と雑談でもしませんか?」
雨がやまないなら仕方ない。
この少女と雑談に興じることにしよう。
……なんだかさっきから少し頭が回らないような気がするが、多分気のせいだろう。
「えっと、自己紹介でもした方がいいですかね? 俺は……」
「いえ、結構です。そんなことより貴方にお聞きしたいことがあります」
少女が俺の言葉を遮る。
何が聞きたいのだろうか。
「貴方はどんな女性が好みですか?」
「女性の好み、ですか?」
唐突な話題に少し戸惑う。
しかし、聞かれたからには真面目に考えて答えなければならない。
……何故だかわからないが答えなければいけない気がする。
「そうですね……」
女性とは縁遠い生活をしているため、考えてもあまりすぐに浮かばない。
もちろん俺も男なので、女性には当然興味がある。
このお屋敷に来てからも目の前の少女やメイドたちなどたくさんの美しい女性に囲まれて緊張しっぱなしだ。
というか、ここにいるメイドはみんな美女でよくこんなにも美女ばかり集めたものだと感心してしまう。
と、考えが逸れてしまった。
理想の女性像を改めて頭の中で思い浮かべていく。
「えっと、黒髪のショートカットで、少し小柄な方がいいですね。あ、でも胸はあった方がいいです」
「なるほど……性格はどうですか?」
「性格は……真面目でお淑やかな子がいいですね。いつも朗らかに笑ってるような優しい子で」
「そうですか。よくわかりました」
そう言うと少女は立ち上がり、俺の目の前までやってきた。
ソファに腰掛ける俺のことを見下ろした少女の目が、一瞬赤く光ったような気がした。
次の瞬間、俺の心臓が大きく跳ねた。
「……ッ!?」
痛みさえ感じるほどの激しい鼓動。
ぼーっとしていた脳が一瞬で覚醒する。
苦しい。
眩暈がする。
なんだ?
何が起きている?
「くすくす……」
少女が笑いながら俺のことを見ている。
そもそもこの子は何者だ?
こんなところにメイドと自分だけで住んでいるのか?
他に家族はいないのか?
どう見ても異常じゃないか?
どうして俺はこんな怪しい子と談笑なんかしていたんだ?
頭に浮かぶ疑問をよそに、俺の身体はどんどん火照っていく。
苦しみに悶えながら俺は自分の胸を手で押さえた。
と、そこで俺は自分の胸が妙な弾力を持っていることに気づいた。
「な、なんだこれ……?」
服の上からでもわかる。
俺の胸は明らかに膨らんでいた。
風船のようにその膨らみを徐々に増していく胸部は、豊満な胸を持つ女性そのものだった。
「ど、どうなって…………ッ!? こ、声が、おかしい……!?」
思わず上げてしまった声は、俺の知る自分の声ではなく、聞き慣れない甲高いものに変わっていた。
咄嗟に喉を触ると、俺の首元は細く弱々しいものに変わっていた。
いや、首だけではない。
喉を触る手も、腕から指先まで簡単に折れてしまいそうな華奢なものになっている。
「な、何がどうなってるんだ!?」
「くすくす……貴方は変わるんですよ。貴方自身の理想の女性に」
少女の妖しく煌めく瞳が俺を見つめている。
その間、俺の変化は止まることなく進み続けた。
腰回り、足、その他あらゆる部位の筋肉が削がれて、細く華奢なものへと変化していく。
俺が見ることのできない顔や髪まで変化が進んでいるのを感じる。
まさか、そんな、本当に女になってるのか?
「んっ!?」
そのとき、股間に強い刺激が走った。
ほとんどの部位が変わりながらも、まだ変化のなかったそこ。
俺の男としての象徴であるそれが、強く勃起する。
が、それも一瞬。
徐々に硬さ、大きさが失われていき、数秒後にはその感覚が完全に消失してしまった。
「あ、ああ……」
思わず口から声が漏れてしまう。
それは弱々しく唸る少女の声にしか聞こえなかった。
体の変化がそこで止まると、俺の着ていたスーツがシュルシュルと音を立てて形を変え始めた。
やがて出来上がったのは、この屋敷にいたメイドたちの着ていたメイド服。
「くすくす、可愛らしいじゃないですか」
少女がそう言うと、いつの間にか俺の隣に姿見が現れていた。
そこに映り込んでいたのは、たわわに実った胸を押さえながら不安そうな表情をしている黒髪ショートカットのメイド服の美少女。
さっき俺が頭に思い浮かべた理想の女性の姿そのものだった。
「な、なんで……俺が、女に……」
「なんで? それが貴女の理想の姿だからですよ」
ドレスの少女はニコニコしながらこちらを見ている。
この子が俺をこんな姿に変えたというのか?
そんなことはあり得ないと思いつつ、今の俺にできることは目の前の少女に訴えかけることだけだった。
「も、元に戻してくれよ! 俺は好みの女の子を言っただけで、俺が女になりたかったわけじゃ……」
「あ、忘れてました。仕上げがまだでしたね」
そう言った少女の目が、また赤く光った。
その瞬間、俺の頭の中でギチッ、という音と共に何かが歪んだ。
「んっ!? あ、頭が、痛い……」
あまりの衝撃に咄嗟に頭を押さえる。
頭の中が、捻れて、曲がって、形を変えてしまったような、そんな不快な感覚がする。
少しすると感じていた不快感は治っていった。
けれど、何か違和感は頭に残っている。
頭を振って少女の方に向き直り、わたしは口を開いた。
「ま、またわたしに何かしたんですか? ……あ、あれ?」
自分の言動に違和感を覚える。
わたし、今なんて言った?
わたし?
わたしは自分のことをわたしなんて呼んでいたっけ?
あれ?
「真面目でお淑やかで、いつも朗らかな優しい女の子。貴女にぴったりですね」
少女が言うのは、さっきわたしが言った理想の女性の性格。
まさか、わたしの性格まで変えられてしまったって言うの?
「あ、あの、元に戻してくれませんか……?」
「どうして? 貴女は理想の女の子になれたんですよ? 身体も、心も。素晴らしいじゃないですか」
「いえ、ですが……」
強く言い返さなくてはいけないはずなのに、なんだかうまく気持ちがまとまらない。
元に戻らなければいけないという想いはあるのに、何故だかそれが大切なことではないかのように思えてしまう。
そして、そんなことで言葉を荒げるなんてはしたないと思えてならない。
「そんなことより、女の子の身体に興味があるんじゃなくて?」
少女がわたしの頬に触れてくる。
その物言いになんだかドキッとしてしまう。
「い、いえ、その……」
なんとか自分を強く保とうとその手を払う。
すると、少女の表情がほんの少しだけ険しくなった。
「貴女、まだ自覚が足りないようね」
「え?」
「貴女は私のメイドなのよ?」
そう言って少女は無理やりわたしに姿見の方を見させた。
そこにはドレスの少女とメイドの少女が映っている。
わたしは、メイド……?
「私の言うことが聞けないのかしら?」
「っ! も、申し訳ありません、お嬢様!」
次の瞬間、わたしはお嬢様に対して深々と頭を下げていた。
わ、わたし、何してるの?
自分の行動に困惑してしまうけれど、目の前のお嬢様には逆らってはいけないという気持ちが強く湧いてくる。
「大丈夫よ、わかっているわ。貴女、まだ女の子の身体に慣れてなくて不安なのよね? 安心して。私が手伝ってあげるから」
そう言うとお嬢様はわたしの頭を優しく撫でてきた。
何故だろう、気持ちが落ち着いていく。
そのままお嬢様はわたしのメイド服のボタンを一つ一つ外していく。
はだけた服の隙間からわたしの素肌が露出していく。
男の体だったときとは違う、水々しくて柔らかそうな肌だった。
「くすくす……ほら、女の子の身体ってこんなに柔らかいのよ?」
「んっ……お、お嬢様……」
お嬢様はわたしの服の中に手を挿し込み、胸元へと指を伸ばした。
お嬢様の細く綺麗な指が、わたしの胸を優しく撫でる。
「大きなお胸ね。私よりもすっごく大きいわ。いい触り心地よ」
「あっ、ひゃう……」
お嬢様は少し力を入れて胸を揉んできた。
胸元にある脂肪が掴まれる感覚なんて、今まで知ることもなかった。
わたし、本当に女の子なんだ……。
「あら、ここ、固くなってるわ。もしかして興奮してきた? くすくす……」
「んひゃっ!? そ、そこ……」
お嬢様が指でクニクニと乳首を弄んでいる。
ツンっと、体の奥に響くような刺激に勝手に喘ぎ声が漏れてしまう。
次第に息も荒くなってきたわたしを見て、お嬢様は満足げに手を服から抜いた。
「こっちもいいけれど、女の子の一番大切なところは、やっぱりこっちよ」
そう言うと、お嬢様はわたしのスカートの中へと手を伸ばした。
そして、下着の上から股の間をそっとひと撫でする。
「んんッ!? な、なに、こりぇ……!?」
体が跳ねてしまいそうな衝撃が走った。
そこには前までわたしの男としての象徴があったはず。
でも今は何もない。
いや、別のもの……女の子としての象徴がそこにはある。
「くすくす……すごいでしょ? もっと味合わせてあげるわ」
お嬢様は下着をずらして、直接指でわたしの股間に触れた。
「あっ、ああッ!? そ、それっ、だめっ……あっ!?」
ビクッと体が勝手に震えるほどの刺激に、たまらずわたしは悲鳴をあげる。
いつの間にかわたしの股間は湿り気を帯びていて、お嬢様が指で撫でるたびにクチュ……という淫らな音を立てている。
これ、もしかして、濡れてる?
わたし、女の子として感じちゃってる?
「どう? 女の子、気持ちいいでしょ?」
そこまで言われてようやく気づいた。
そうか、わたし、今気持ちよくなっちゃってるんだ。
女の子として、女の子の体の快感に震えているんだ。
それを自覚した瞬間、わたしの中の快感は加速度的に強まっていった。
「は、はい……きもち、いい、です……んあっ!」
口から出る歓喜の声は快感に喘ぐ女の子の嬌声そのものだ。
男だった頃を思わせるものはもはやここには何もなかった。
今のわたしは快感に震えて淫らに喘ぎ続けるお嬢様のメイドでしかない。
「最後に一番気持ちいいのをしてあげる。さあ、イキなさい」
そう言って、お嬢様はわたしの股の割れ目にある勃起していた突起を強く押した。
クリトリス。
その刺激を受けた瞬間、体に燻っていた快感が弾けた。
「あ、あッ、んんッ、あああぁあぁッ!!?」
ビクビクッ、と痙攣するように全身が震える。
わたしは目の前のお嬢様の体にしがみつくようにして叫んだ。
強張った体が、言うことを聞かない。
お嬢様の体を掴んだまま、わたしはそのまましばらくの間ビクビクと震え続けていた。
「……どうだった? 初めての女の子の絶頂は?」
「……はぁっ、はぁっ……きもち、よかった、です……」
力の抜けたわたしはその場に倒れ込みながらお嬢様に答えた。
姿見には蕩けた表情のまま床に寝転ぶわたしが映っていた。
「それは良かったわ。……ねえ、これからずーっと私たちと一緒にこうして気持ちよくなって暮らしましょう? きっと素晴らしい毎日よ?」
お嬢様が優しく微笑みながらわたしを見下ろしている。
なんでだろう。
少し前まで得体の知れない怪しい人だと思っていたのに、いつの間にかお嬢様のことが愛しい気持ちでいっぱいになっている。
この人のそばにいたい。
ずっとこの人にお仕えしたい。
「はい、お嬢様……わたしも、ずっとお嬢様と一緒にいたいです……」
わたしは心から喜びを込めてお嬢様に返事した。
「くすくす……そう、嬉しいわ。それじゃあ貴女も私のメイドの仲間入りね。ねえ、貴女の名前は……」
わたしの名前……。
そういえばまだわたしはお嬢様に自分の名前を名乗っていなかった。
それどころか自己紹介もまともにしていない。
なんて失礼をしてしまったのだろう。
早く名乗らないと。
「えっと、お嬢様。わたしの名前は……あれ? わたしの名前……なんだっけ……」
自分の名前が思い出せない。
ここに来る前まで普通に自分のものとして認識してたはずのそれが頭に浮かばない。
なんでだろう。
早く思い出さなきゃいけないのに。
「いいえ、思い出さなくて大丈夫よ。もう昔の名前なんて貴女には必要ないのだから」
顔を上げると、お嬢様は優しく微笑んでいた。
「“エレナ”。それが貴女の新しい名前よ。女の子としての、貴女の本当の名前」
「エレナ……」
わたしの、新しい名前。
わたしの、本当の名前。
お嬢様がつけてくれた、わたしの名前。
「これからよろしくね、エレナ」
「っ! はいっ! よろしくお願いします! お嬢様!」
名前を呼ばれるだけで歓喜に震える。
嬉しい。
お嬢様がわたしの名前を呼んでくれる。
わたしはエレナ。
お嬢様のメイドのエレナ。
わたしはこれから、このお嬢様から貰った女の子の体とエレナという名前と共にここで素晴らしい日々を過ごしていくのだ。
輝かしい未来に希望を感じている今のわたしにとって、昔の自分の存在なんて既にどうでもいいものに成り果てていた。
────────
「ったくよ、なんだって急にこんなところに来ちまったんだ俺は?」
目の前に転がる石を蹴り飛ばしながら俺は誰にともなく愚痴っていた。
仲間連中と別れた後、急に大雨に降られたと思ったらいつの間にか真っ暗な森の中にいたなんてわけがわからねえ。
「ちっ……せっかく気分よかったってのによ……ムカつくなあ、おい」
俺は力に任せて足元に咲いていた花を踏み潰した。
茎の折れた花はそのまま地面にへばりついている。
いい気味だ。
「つーかよ、そもそもここはどこなんだ?」
俺たちはさっきまで廃工場にいた。
後輩が引っ掛けてきた馬鹿な女を連れ込んで囲んで輪姦して、飽きてきたところで解散した後は普通に駅に向かって歩いていたはずだったんだが。
あの廃工場から駅までの間にこんな森あったか?
「ん? なんだあれ?」
木々の間に光が微かに見えた。
その光に向かって歩いていくと、そこにはやけに立派な屋敷が建っていた。
明かりがついていることから、恐らく人が住んでるんだろう。
なんでかわからんがスマホも圏外になって使えなかった今の俺としては非常に助かる。
俺は玄関のドアについていたベルを力任せに鳴らした。
カランカラァンッ、と大きな音が鳴り響く。
なんだこれ、うるせえな。
少し気分を害しながらも待っていると、やがて玄関のドアが開いた。
「……どちら様? 私の屋敷に何かご用かしら?」
ドアから顔を出したのはドレスを着た金髪のガキだった。
両脇にメイド服を着た女を二人侍らせている。
このガキがこの屋敷の主か?
一瞬呆気に取られたが、俺は気を取り直して口を開く。
「こんな夜更けにごめんね。ちょっと道に迷っちゃって。できれば駅までの道を教えてほしいんだけど」
俺は微笑みながら、作った声で優しく言った。
女は少し甘い声を出してやれば簡単に心を開く。
こんなガキなら尚更だろう。
「それは大変でしたね。……あら? 貴方随分濡れてますね。もしかしてさっきの雨に当たってしまったのかしら?」
「ええ、まあ……」
「それなら是非うちで休んでいってください。さあ、遠慮なさらずどうぞ」
「え? ちょ、ちょっと……」
俺が返事する前にガキの周りにいたメイドたちが強引に俺を屋敷の中に引き込んできた。
なんだこいつら?
なにを考えてやがる?
「いらっしゃいませ、お客様」
すると今度はエントランスホールで大量のメイドが俺のことを出迎えてきた。
しかもどいつもこいつも美人揃いだ。
さっき犯した女より顔も体もいい女しかいない。
まさか偶然見つけた家でこんな棚ボタがあるなんてな。
俺は思わず舌なめずりしてしまう。
「どうかしました? こちらの部屋へどうぞ」
「あ、ごめん、今行くよ」
ドレスのガキが俺を部屋へと案内する。
暖炉の火が灯った暖かい部屋だ。
やけに内装が凝っていていかにも金持ちの家って感じだ。
「どうぞ、おかけください」
ガキは俺にソファに座るように促してきた。
だが俺はそれを断る。
「ごめん、その前にトイレを借りたいんだけど」
もちろん嘘だ。
このガキの目から離れる口実に過ぎない。
このガキもなかなかの美少女ではあるが、それよりは周りにいたメイドたちの方が興味がある。
それに、屋敷の主人らしきこいつをやるよりはメイドの方がリスクも低いだろう。
そのためにはまずはこの屋敷の中を歩き回っておきたい。
「あら、ごめんなさい。私の方こそ気が利きませんでしたね。エレナ、入ってきて」
「はい、お嬢様」
ガキが廊下に声をかけると一人のメイドが部屋に入ってきた。
黒髪ショートカットのいかにも清楚といった雰囲気の美少女メイドだ。
何より目を引くのは、そのでかい胸。
Eカップはありそうだ。
こいつはなかなかいい女じゃねえか。
「エレナ、そちらのお客様をトイレに案内してさしあげて」
「かしこまりました。どうぞこちらへ」
エレナと呼ばれたメイドは俺を先導して案内し始めた。
しめた。
この女をトイレに無理やり連れ込めば二人きりになれる上に他の人間に気づかれにくいだろう。
であれば後はお楽しみの時間だ。
「トイレはこちらです。……あの、お客様?」
メイドはトイレに着いたのに中に入ろうとしない俺を不思議そうに見上げてくる。
「エレナちゃん、だっけ? 君、可愛いよね」
「え? あ、あの……」
俺は困惑するメイドの腕を掴んだ。
メイドはビクッと怯えるように震えると不安そうにこちらを見てくる。
「あの、えっと……まだ、わたしに何かご用でしょうか?」
メイドはあくまで客に失礼がないように笑顔で俺に聞いてくる。
随分真面目なんだな。
そういうところも唆るぜ。
「うん、そうだね。俺はエレナちゃんともっと一緒にいたいかな」
「そ、それは、どういう……きゃっ!?」
俺はトイレのドアを開き、中にメイドを強引に引き摺り込む。
「お、お客様!? な、なにを……」
「なにって、楽しいことだよ。そして、気持ちいいことさ」
俺はメイド服の上から胸を鷲掴みした。
予想通りかなりの大きさだ。
真面目そうな顔してるくせに体はわがままボディってか?
「お、おやめくださいっ! こんなこと……っ!?」
俺はメイドの頬を叩いた。
その瞬間メイドの表情は困惑と驚きと恐怖の混じったものへと染まっていった。
「うるせえよ。黙ってろ」
「っ……! い、いやぁ……」
メイドの目からポロポロと涙が溢れていく。
やはり女なんて簡単だ。
こうしてちょっと力を見せてやれば簡単に逆らわなくなる。
泣くしかできないその弱さを見せられると嗜虐心がくすぐられてよりやる気になるってもんだ。
「たっぷり可愛がってやるから期待しとけよ?」
「やだ……た、たすけ……」
「何をしているのかしら?」
「ッ!?」
いきなり背後から声が聞こえてきて俺は瞬間的に振り向いた。
そこにはドレスを着た金髪のガキが立っていた。
いつの間に入ってきやがった?
「お嬢様っ!」
すると、俺がガキに気を取られている間にメイドは俺の手を抜けてガキの方へと走っていってしまった。
「エレナ、ごめんなさい……怖い目に合わせて……」
「うぅっ……お嬢様っ……わたしっ……」
「もう大丈夫よ。安心してね」
ガキが優しくメイドの頭を撫でている。
まずいところを見られた。
とにかく今は誤魔化さねえと。
「ええっと、これは誤解だよ。俺は少しその子とお話しようと思って」
「お話ですか?」
「そうそう。別に乱暴なことをしようとしたとかそういうわけじゃないんだよ」
「そうですか。なら私とお話しましょう?」
「は?」
ガキが俺の方へ一歩足を進めてくる。
俺は何故だか気圧されて一歩退いてしまう。
なんだ?
俺がこんなガキにビビってるのか?
「私、貴方とお話したいことがたくさんありますのよ?」
「そ、そうなんだ。でも、ごめん、俺、そろそろ帰ろうかな」
ガキの横をすり抜けてそのままトイレから出て行こうとしたが、その手はガキに掴まれてしまった。
「いいえ、貴方にはお話してもらいます。残念ですけど、これは貴方へのお仕置きなんですから」
「な、なんだよ、そ、れ……」
そう言われた瞬間、体から力が抜け始めた。
立っていられずその場に膝をついてしまう。
「本音でお話しましょう? 貴方、女の子が好きなんでしょう?」
「あ、ああ……俺に逆らえない弱い女を蹂躙してやるのが、最高に気持ちいい……」
頭の中がぼーっとする。
なにを言っているのか自分でもよくわからなくなってきた。
ただ、本当のこと言わねえと……。
「まあ、酷いお方ね。でも、貴方は弱い女の子が好きなのね? わかったわ」
そう言うと、ガキの目が赤く光った。
すると次の瞬間、ドクンッと胸が大きく高鳴った。
「うぐッ!? なんだ、これ……」
朦朧としていた頭が一気に覚めていき、俺は苦悶の声を漏らした。
眩暈がして視界が大きく揺れる。
頭痛、吐き気、あらゆる不快感に襲われ俺はその場に倒れ込みそうになった。
「くすくす……」
ガキが笑いながら俺を見下ろしている。
このクソガキが……。
頭に血が昇っていき、目の前のガキに掴みかかろうとして腕を伸ばす。
だが、全然腕が届かない。
目の前にいるのに、いつもなら手を伸ばせば届く距離にいるのに、何故か届かない。
なんだ?
俺は伸ばした腕を見た。
「……は?」
伸ばした腕は元の俺の腕よりも遥かに短くなっていた。
それだけではない。
俺の方から伸びる腕は、ガリガリに細く筋肉のない弱々しいものに変わっていた。
な、なんだこれは?
これが俺の腕?
こんなナヨナヨした腕が?
というか、これは最早男の腕ですらない。
まだ未発達なメスガキの腕ではないか。
「お、俺の腕が、なん……ッ!? なんだ、この声っ!?」
異常が起きているのは腕だけではなかった。
俺の声がまるでガキ向けのアニメにでも出てきそうな甲高い音に変わっていた。
さらに、足や胴まで短くなり始めているのか、徐々に視界まで低くなり始めた。
「クソ、止まれっ! この……」
体を抱きしめると、その変化が直に伝わってくる。
たくましかった筋肉が失われて、華奢で弱々しく幼い体へと変わっていく。
あっという間に俺の体は一回り以上小さくなっており、立ち上がっても目の前のガキより低い有様だった。
顔や頭も変化しているようで、俺の髪がどんどん伸びていく。
それがひとりでに結ばれていく感覚は奇妙と言う他ない。
「んっ!?」
そのとき、急に股の間が熱くなった。
俺のチンコが急に激しく勃起してきたかと思うと、次の瞬間にはもう萎み始め、やがて体の内側に飲み込まれるようにその形が消え去ってしまった。
「この、やろう……っ!? な、服が……」
すると今度は、俺の着ていた上着とズボンがシュルシュルと音を立てながら形を変えていき、やがて他のメイドたちが着ているものと同じメイド服になった。
「くすくす……お望み通りの弱い女の子になれましたね」
目の前のドレスのガキがそう言うと、いつの間にか俺の横に姿見が出現していた。
そこに映っているのは、苛立たしげにこちらを見る、茶髪のツインテールをリボンで結んだ、メイド服を着たメスガキだった。
「て、てめえ! なんなんだよこれ! 元に戻しやがれ!」
「駄目ですよ、ちゃんと心まで弱くならないと」
そう言うと、ガキの目がまた赤く光った。
その瞬間、頭が割れるような激しい鈍痛が響いた。
痛みだけじゃない。
頭の中がぐちゃぐちゃになって、壊れるようなそんな恐ろしい感覚が俺を支配する。
なんだ、これ。
怖い。
やだ、怖いよ……。
ガタガタと体を震わせていると、少しずつ気持ちが落ち着いてきた。
顔を上げると、目の前にいる人と目が合った。
あたしはビクッと震えながらも口を開く。
「……あ、あの…………ぁ……」
けれど言いたいことが言葉にならない。
さっきみたいに強い言葉で糾弾したいのに、そんなことできるわけがないという気持ちが湧いてきて声が出ない。
「なにかしら?」
「い、いえ……その……なんでも、ないです……」
本当は元に戻してもらいたかったはずなのに、あたしはなにも言えないまま縮こまってしまった。
なんで?
あたし、こんなに弱かったっけ?
違う、きっと変えられちゃったんだ。
目の前のこの人、お嬢様に。
「それより、さっき貴女私になんて言ったかしら? 『てめえ』だったかしら?」
「っ! ご、ごめんなさい……お嬢様……っ……」
あたし、お嬢様に向かってなんて口を。
自分のした乱暴な言葉に自分で怖くなって震えてしまう。
いや、でもあたしはお嬢様にこんな姿に変えられてしまったんだから怒る権利ぐらいあるんじゃ……。
いや、ダメダメ、あたしなんかがお嬢様にそんなことを考えるなんて、許されるわけがないよ……。
頭の中で思考がグルグルしてしまい、自分がどんどんわからなくなっていく。
「エレナ、この子に少しお仕置きをしてあげて」
「はい、お嬢様」
すると、さっきまでお嬢様の後ろにいたメイドのエレナさんがあたしの方に近づいてきた。
あたしはまたビクって怯えてしまう。
「メイドとして、お嬢様に乱暴な口を聞くなんて許されません。これはお仕置きです」
そう言うとエレナさんはあたしのスカートを捲ってお尻を叩いてきた。
「いたぁっ!? ご、ごめんなさいっ! 許してください!」
あたしが必死に懇願している間、パンッ、パンッ、とお尻叩く音がトイレに鳴り響く。
あたし、なんてことをしちゃったんだろう。
お嬢様にもエレナさんにも、他のメイドさんたちにも許されないかもしれない。
そうしたら、ずっとお仕置きされることになっちゃうかもしれない。
やだよ、怖いよ……。
「エレナ、もういいわ」
すると、お嬢様が横から声をかけてきた。
涙でぐちゃぐちゃになったあたしの顔を見つめながら優しく微笑んでいる。
「しっかりと反省したかしら?」
「はい、もう絶対にあんなこと言いません……」
「そう。それならいいわ。貴女にもちゃんと女の子の楽しいことも教えてあげないとね」
お嬢様はあたしの首元を細い指で撫でながら、もう片方の手をあたしのスカートの中に忍び込ませた。
そして、あたしお股の間をそっと指で撫でてきた。
「んっ……」
「私の指の動きに集中して」
「は、はい……あっ……」
お嬢様の指が、何度も何度も割れ目の上を撫でていく。
そう、今のそこには割れ目しかない。
さっきまであったはずの棒はもうない。
今日もここに来る前女の子の中に入れていた棒は、もう跡形もなく消えてしまった。
あたしは、女の子になってしまっているから。
「んっ、ああっ……お嬢、様……」
「くすくす……気持ちいいのね」
もどかしいような、切ないような気持ちがお腹の奥でキュンキュンしていく。
男の人の体だったときと全然違う。
固く勃起した棒が熱くたぎっていうようなあの感覚とは異なる、じんわりと体の芯から響いていくような甘い快感にあたしはうっとりとしていた。
「あっ、いいっ……んんっ!?」
すると、お嬢様があたしの耳を舌で舐め始めた。
あたしは思わず体が跳ねそうになってしまった。
「ほら、こっちの指に集中して」
「で、でも……お嬢様……」
お股を触る指とは反対の指で、未だに首元をいやらしく撫で回しながらお嬢様が言う。
体のあちこちが感じてしまってどんどん胸が昂っていく。
あたし、こんなの知らない。
男の人としてやるときの荒々しさは全く違う、優しくて甘いお触り。
それがこんなにも気持ちいいなんて。
「あ、あっ……お嬢様、あたし……もうっ……んっ!」
「イキそうなのね。いいわ。その可愛らしい声で鳴いてみせて」
耳を、首元を、そしてお股をお嬢様が撫でる。
その心地に耐えられず、あたしの体はついに果てた。
「あっ、んっ、んああぁあぁッ!!!」
ビクビクッと体が震え、やがて力が抜けていく。
女の子としての絶頂。
甘くて、心地よくて、そのまま余韻に浸っていたくなってしまう。
「気持ちよさそうだったわね。貴女の顔、とても可愛かったわ」
「……んっ……ふぅ……ありがとう、ございます……」
お嬢様が優しく頭を撫でてくれる。
それだけであたしは胸がいっぱいになってしまった。
「ねえ、貴女もこれから私たちと一緒に暮らしましょう? 毎日楽しく、気持ちよく、ずーっと一緒に暮らすの。どうかしら?」
お嬢様の微笑みにあたしは胸がキュンとなった。
あんな酷いことを言ったあたしにもこんなことを言ってくれるなんて、お嬢様はなんて慈悲深い人なんだろう。
一生をかけてこの人に尽くしたい。
あたしは心からそう思った。
「……は、はい……あたしなんかでよければ、お嬢様と、ずっと、一緒にいたい……です……」
「よかったわ。これで貴女も私の大切なメイドの一人よ。それじゃあ貴女にも名前をあげないとね」
名前……。
そういえばあたしにも名前があったような気がする。
でも思い出せない。
それに、あんまり思い出したくない気もする。
乱暴で怖かった昔の自分のことなんて。
「“ミア”。貴女の名前はこれからミアよ。ミアが貴女の本当の名前になるの」
「ミア……」
お嬢様の口から響いたその名前があたしの中に浸透していく。
ミア。
お嬢様がつけてくれた、あたしの本当の名前。
そう思うとこの名前が何よりも大切なものに思えてならなかった。
「ミア、これからよろしくね。エレナ、ミアと仲良くしてね」
「はい、お嬢様。ミアちゃん、さっきはごめんなさい。お仕置きとはいえ少しやりすぎてしまって……」
「い、いえ……あ、あたしも……エレナさんに、ひ、ひどいこと……」
「大丈夫、もう気にしてないから。お嬢様のメイドとして、これから仲良くしていきましょうね」
「はいっ!」
そうだ、あたしはもうお嬢様のメイドなんだ。
お嬢様に仕えてお嬢様のために生きる。
ただそれだけの日々が幸せに思えてならない。
いつもイライラしてばかりだった過去のあたしの人生は本当に無価値な日々だった。
きっともう二度と思い出すこともないだろう。
────────
「うぅ、ママ、どこ?」
ボクはくらい道のまんなかでうずくまっていた。
さっきまでママと一緒にいたはずなのに、いつのまにかボクはひとりぼっちになっていた。
まわりには木がたくさんあるだけで人はだれもいない。
「怖いよぉ……ママぁ……」
心ぼそくて、涙がでてきてしまう。
男の子は泣いちゃダメだってパパが言ってたけど、そんなこと言ったってがまんなんかできない。
「あら? 坊や、どうしたの?」
すると、後ろからだれかに声をかけられた。
かおを上げて声の方を見ると、そこにはドレスをきた金色の髪のおねえさんが立っていた。
後ろにはヒラヒラとした白と黒のふくをきたおねえさんが二人立っている。
「迷子になっちゃったのかしら?」
やさしく声をかけてくるおねえさんに、ボクはブンブンとうなずいた。
するとおねえさんはボクの手をつかんでやさしくわらった。
「そう。こんなところに一人で、怖かったわね。もう大丈夫よ」
おねえさんはボクを助けてくれるみたいだ。
安心したら、涙がまたこぼれてきた。
「あらあら、よっぽど怖かったのね。さあ、立って。私の家に案内するわ」
おねえさんがボクの手を引いて歩いていく。
おねえさんがすすむ先を見ると、なにかが明るく光っていた。
あれがおねえさんおうちかな?
「着いたわ。ここが私の家よ」
「わぁ……」
おねえさんのおうちはとても大きくて、まるでお金もちの住んでいるおうちみたいだった。
おねえさんが入り口のドアをあけると、中のまぶしい光が目に入ってきた。
いっしゅん目をとじて、またひらくと中にはあの白と黒のふくをきたたくさんのおねえさんが、ズラッとならんでいた。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「ええ、ただいま。お客様がいるからもてなす準備をしてちょうだい」
「かしこまりました」
おねえさんの言葉をきくと、白と黒のふくをきたおねえさんたちはテキパキと動きはじめた。
ボク、知ってる。
あの人たちメイドっていうんだよね。
兄ちゃんが見てたアニメに出てきた。
「坊や、こっちよ」
「あ、うん」
メイドさんたちに見とれていると、おねえさんがボクの手を引いた。
おねえさんが案内してくれたへやの中は、奥の方で火がついていてとてもあたたかい。
「そのソファに座って、ゆっくり休んでね」
ボクはおねえさんに言われるままにソファにすわった。
ふかふかですごくすわりごこちがいい。
うちのソファとは大ちがいだ。
おねえさんもボクの前にすわると、へやの中にメイドさんが入ってきた。
「は、ハーブティーを、お持ちしました……」
かみにリボンがついた背のひくいメイドさんだ。
カップがのってるおぼんを持つ手がプルプルふるえていて、なんだか危なっかしい。
だいじょぶかな、なんて思いながら見ていると、やっぱりだいじょぶじゃなかった。
「きゃっ!?」
はこんでいる途中でバランスをくずしたメイドさんはおぼんにのっていたカップを落としてしまった。
パリーンって音が聞こえたから、どうやらカップは割れちゃったみたいだ。
「あ、ああ……お、お嬢様、申し訳ありません……」
「いいえ、大丈夫よ。それよりミア、貴女怪我とかない?」
「は、はい……本当に、申し訳ありません……」
「だから気にしないで。それより、エレナを呼んできて二人でお片付けしてちょうだい」
「は、はい……」
メイドさんは泣きそうになりながらへやの外へかけていった。
その後、別のメイドさんが一緒にきてかたづけをしていたけれど、その間ずっと泣きそうな顔をしていた。
ボクよりも年上みたいだけど、なんかボクよりも弱っちそうな女の子だった。
「ごめんなさいね、騒がしくて」
「ううん、だいじょぶ」
「坊やは女の子のお友達はいる?」
「あんまりいないよ。男の子とあそぶもん」
「まあ、女の子とは遊ばないの?」
「うん。女の子はすぐ泣くからつまんない」
と、そう言ったところでさっきおねえさんには泣いてるところを見られたことを思い出して、すこしバツがわるい気分になった。
「くすくす、そう。じゃあ女の子は嫌い?」
「……わかんない」
きらいかというと、そんなことはない気がする。
おなじクラスの女の子とはあそばないけど、兄ちゃんの友達だった結衣おねえちゃんはキレイでカッコよくて、もっと一緒にあそびたいと思う。
「じゃあ坊やの好きな女の子はどんな子なの?」
「うーん、えっとね、泣かなくて、つよくて、カッコよくて、キレイで、大人のひと!」
結衣おねえちゃんはボクよりもすごく年上だから全然一緒にあそべない。
ボクも大人になれたらいいのにな。
「くすくす、わかったわ」
そう言ったおねえさんの目が、赤く光ったような気がした。
すると、急に胸のおくがくるしくなってきた。
息がうまくできない。
頭もいたいような気がする。
クラクラとしてなんだかたおれてしまいそう。
なんとかソファの上でしっかりすわるためにふんばろうとしたとき、ボクはおかしなことに気づいた。
「あ、あれ……?」
なんか、ボクの手が大きくなってるような気がする。
手だけじゃない。
体が、だんだんおおきくなってる。
さっきまでおねえさんのことを見あげるように見ていたのに、背がぐんぐんのびてすぐに見おろしてしまうようになってしまった。
「ボク、大人になってる!?」
うれしくなりながらそう言ったとき、ボクの声がすこし変わっていることに気づいた。
なんだか落ちつきのある声って感じ。
でも大人の男の人の声じゃない。
どっちかって言うとママみたいな声っていうか。
「……な、なんか変だよ……」
ボクはただ大人になってるわけじゃないみたいだった。
大人の男の人みたいなガッシリした体じゃなくて細くてスラッとしてて、でもやわらかい感じもして、これじゃあまるで大人のおねえさんみたいな……。
そう思っているあいだに、ボクの胸はだんだんと大きくなりはじめた。
ボクの胸はあっというまにママの胸よりもさらに大きいおっぱいになってしまった。
やっぱりそうだ。
ボク、大人のおねえさんになってる!?
「あ、か、かみが……」
ママがみじかく切ってくれていたかみが、ながくのびて背中にとどくぐらいになってしまった。
さらに、ボクのかおまでなんか変わってるような気がする。
ボク、どんどん変わっちゃう。
「んっ!?」
すると、いきなり股のあいだのオチンチンがムズムズしはじめた。
思わず手でおさえたら、こんどはオチンチンがどんどんちいさくなっていって、ついにはなくなっちゃった。
さいごに、パツパツになってさけそうになっていたボクのTシャツが、シュルシュルとなりながらあのヒラヒラとした白と黒のメイドさんのおようふくに変わってしまった。
「よかったわね。今の貴女は誰が見ても大人のお姉さんよ」
ボクの目の前までちかづいてきたおねえさんが声をかけてくる。
すると、いつのまにかボクのとなりにかがみがおかれていた。
かがみには、ながい黒いかみのメイドさんが困ったようなかおをしながらこっちを見てる。
「これ、ボクなの?」
「ええ、そうよ。それが今の貴女の姿」
「ボク、男の子だったのに、おねえさんになっちゃったの? ど、どうしよう……」
なんだかわからないけどだいじょぶかな。
おうちにかえった後ママになんて言えばいいの?
「気にしないでいいのよ。貴女はもう女の子なんだから。身も心もね」
そう言うとおねえさんの目がまた赤く光った。
すると、頭の中がピキッとなった。
なにかが割れて、形が歪んで、新しく入り込んできて、どんどん別物に変わってっちゃう。
ボク、おかしくなっちゃう。
おかしく、なって……。
……少し間を置いて瞬きをするとさっきよりも落ち着いてきた。
なんだったのだろう、今のは。
私はお姉さんの方に向き直ると口を開いた。
「今、私に何をしたのですか? ……? なんですか、この感覚は……」
私は自分の頭に触れた。
頭が冴えているというか、思考回路がさっきまでと異なるというか。
上手く言語化できないけれど、少なくとも今の私は小学生の男の子のものではない考え方をしている。
「言ったでしょう? 今の貴女は身も心も大人のお姉さんだって」
目の前の少女……さっきまで歳上のお姉さんだと思っていた人が告げる。
私の心が大人のお姉さんになった。
確かにその通りだ。
今の私の在り方は先程までの男児のそれとは明らかに異なっている。
「……貴方は一体何者なのですか? どうしてこんなことを?」
「そんなことはどうでもいいでしょう? 貴女は私のメイドなんだから、難しいことは考えなくていいのよ」
「私が、メイド……?」
言われてみれば、確かに今の私はメイド服を着ている。
そして、目の前の少女……お嬢様への忠誠心が沸々と自分の内側から湧き立つの感じる。
私という存在が、お嬢様に仕えるメイドの女性という形へと歪ませられている?
これは、まずいよう気がするけれど、しかし……。
「無理に抗おうとしなくていいのよ。私の言うことを聞いてくれれば貴女のことは幸せにしてあげる。それだけは保証するわ」
「あっ……」
お嬢様が私の耳元で囁きながらそっとスカートの中に手を挿し入れてくる。
お嬢様は的確な指の動きで私の女性器の周りを撫で回している。
「くすくす……身も心も大人の女性だけれど、女の子の快感はまだ知らないものね。私がたっぷりと教えてあげるわ」
「そんな、お、お嬢様……」
歳下の少女に体を弄ばれているのに、私にはどうすることもできない。
こんな状況だというのに、私の心は昂り興奮し始めていた。
「ほら、もうこんなに濡れているわ。女の子って気持ちいいでしょ?」
「んっ、くっ……」
クチュクチュという音が股間から鳴っているのがわかる。
男としての快感も碌に知らなかったというのに、大人の女としての快感に振り回され、既に私はお嬢様の指の虜になっていた。
「貴女の身体なら、指、入りそうね」
「っ! お、お嬢様、まっ……ッ!?」
お嬢様の指が、私の性器の中に挿し込まれていく。
男性にない女性だけの器官。
その存在を数時間前までは知りもしなかったというのに、今私はそこに指を挿し込まれている。
そのあまりの倒錯感に頭が酩酊状態になっていく。
気持ちいい。
女になるってこんなに気持ちのいいことだったのね……。
「んっ、あっ……んあっ!?」
「くすくす……気に入ったみたいね。特にここがお気に入りかしら?」
「んんッ、あ、そ、そこ……いいですっ……!」
私の快感が特に強い場所を見つけたお嬢様はそこを重点的に責めてくる。
昂っていた私の情動は限界まで後少しというところまで熱くなっていた。
「お、お嬢様、私っ……駄目ですっ……!」
「ええ、いいわ。女の子の初イキ、感じなさい」
お嬢様が激しく指を動かす。
もう既に耐えきれないほどに快感の蓄積された私の体は、その衝撃で一気に決壊した。
「あっ、あッ、ッ、ああぁッ!!!」
ビクンッ、と大きく体が跳ねる。
快感の爆ぜた体が絶頂に達したままなかなか降りてきてくれない。
私はそのままピクピク震えながらお嬢様にしがみつくしかできなかった。
「くすくす、お疲れ様。気持ちよかったかしら?」
「はぁっ……んっ……はい、とても、気持ちよかったです……」
私は呼吸を整えながら、正直にお嬢様に答えた。
それと同時に、胸の中お嬢様を愛しく思う気持ちが強まっていくのを感じる。
お嬢様への強い愛情が今の私を支配していた。
「これからは私たちと一緒にここで暮らしましょう? 嬉しいことも気持ちいいことも全部私たちで共有するの。きっととても楽しい毎日だわ」
「……はい、お嬢様がそう仰るなら喜んで」
私は即答していた。
この人の側にいたい。
この人に私の一生を捧げたい。
今の私の中にある気持ちはそれが全てだった。
「ありがとう、嬉しいわ。それじゃあ貴女の名前を考えましょうか」
名前。
私にも元々あったはずだけど、もう思い出せないし興味もない。
私の母親が私につけた名前などに、今更未練などなかった。
「“テレーゼ”。私のつけたこの名前こそが、貴女の本当の名前よ」
「テレーゼ……」
お嬢様の声で紡がれるその音の響きが私に馴染んでいくのがわかる。
私はテレーゼ。
この名前こそが私の新しい名前であり真の名前。
これ以外にもう私の名前はあり得ないとはっきりと思える。
「さあ、テレーゼ。これからは貴女にもメイドとして働いてもらうことになるわ。他のみんなにも紹介しましょう」
「かしこまりました。お嬢様」
私はお嬢様に深く頭を下げ、その後に続いた。
私はこれから一生このお方に仕え続けることになるだろう。
今の私にはもう他に帰るべき場所などないのだから。
────────
「んっ、あっ……」
「ちゅ……はむ……んっ……」
「れろっ、んっ……あっ……」
部屋の中に、淫らな水音とわたしたちの喘ぐ声が響く。
わたし以外の二人は幸せそうな恍惚の表情をしながら絡み合っている。
きっとわたしも同じような表情をしていると思う。
「んっ、エレナ、さん……そこ、きもち、いいです……」
恥ずかしがりながら顔を赤くしているこのツインテールの女の子はミアちゃん。
元は悪い男の人だったのだけれど、今は気弱な小さい女の子になってしまった。
わたしとは一緒にいることが多くて、わたしにとって一番の仲良しの女の子だ。
「……エレナさんの胸、大きくて、触り心地よくて、好きですよ、私。ふふっ……」
妖艶な大人の色香を出しながらわたしの胸を触るこの黒髪ロングのお姉さんはテレーゼさん。
元は小さい男の子だったのだけれど、今はわたしよりも大人のお姉さんになってしまった。
わたしやミアちゃんよりも後にここに来たのに、今となってはわたしたちの頼れるお姉さんだ。
「くすくす……」
そして、そんなわたしたちを楽しそうに眺めているのは、わたしたちの大切な主人、お嬢様。
今日はお嬢様の命令で、お嬢様の目の前で性行為を行っている。
本当はお嬢様にも混ざってほしいのだけれど、今日はただ眺めていたい気分だと言うので三人だけで行っている。
もちろん、嫌々やっているわけじゃない。
わたしたち三人は、ここに来た時期が近いのもあって一緒に行動することが多く、お嬢様が他の子とお遊びになっているときはこうして三人で行為に及ぶことも珍しくない。
「ああ、可愛らしいわ、貴女たち……」
お嬢様がうっとりとしながらわたしたちを見ている。
それだけでわたしはイッてしまいそうなほどに昂ってしまう。
「んっ……お嬢様、わたし、しあわせですっ……!」
「あんっ……あ、あたしもです、お嬢様……」
「……わ、私も……本当に幸せです……あっ……」
わたしたちは本当に幸せ者だ。
お嬢様にお仕えすることができて。
この館で、毎日気持ちよくなることができて。
今の毎日があれば、他に何もいらない。
「私、そろそろ貴女たちがイクところが見たいわ」
「っ! はいっ!」
わたしたちはそれぞれ手や口を動かすペースを上げた。
わたしはミアちゃんの乳首を舐めながらクリトリスを撫で、ミアちゃんはテレーゼさんの指を甘噛みしながら割れ目の中で指を動かし、テレーゼさんはわたしの胸を揉みながら股間を舌で舐める。
お嬢様にわたしたちのイクところを見てもらうんだ。
三人のその思いがあっという間にお互いを絶頂へと導いた。
「んあッ、ああッ!!!」
「んんッ、んっ、あぁッ!!!」
「あんッ、んんんッ!!!」
三人が同時に体を震わせてイッた。
お嬢様は、それを何よりも幸せそうな顔をして眺めている。
お嬢様のそんな顔を見ることができて、わたしはイッた余韻の最中にまたイッてしまいそうだった。
「いいわ、もっと気持ちよくなっているところを私に見せて?」
「んっ……ふぅ……はいっ、お嬢様っ!」
夜はまだまだ続く。
お嬢様が満足するまで、きっと永遠に。
ここは快楽の館。
お嬢様のメイドとなったわたしたちの幸福な毎日が永遠に続く天国のような場所。