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 この世界はどこで枝分かれしたのだろう。

 

 歴史の教科書では大航海時代に蔓延した未知のウイルスにより、男性の数が増え、女性の数が減少。

 

 これにより、希少となった女性の地位が上昇し、女尊男卑の世界になったと書かれている。

 

 アメリカの大統領も日本の首相もイギリスの国王も常に女性が勤め、男の地位は歴史を重ねるごとに下がっていた。

 

 そして現在――。

 

 増えすぎた男達の地位はもはや最底辺ともなり、恐ろしい法律が世界で復活していた。

 

 奴隷法――。

 

 この世界に死刑はない。最高刑は終身牡奴隷刑。

 

 そう…………男にのみ適用される法律であり、この刑に処された男に人権はなくなる。

 

 この刑は男だけに処される刑で人間の身分を剥奪され牡という存在になる。人間扱いはされず女性に殺されても当然とされる法だ。

 

 しかも、牡になれば女性に対して絶対服従しなければならない、まさに最下級の奴隷として扱われるのだそこには権利などは一切なく服従という言葉があるだけだ。

 

 そこに奴隷の意思は認められない。

 

 生き地獄となるこれはまさに、極刑はないと言うほどの残忍なものであり、それを受けた男の末路は凄惨極まるものしか存在しない。

 

 今日もまた一匹の奴隷が悲惨な末路を辿るのだった。

 

 ◆

 

 …………!!

 

(うっく……ここは?)

 

 男が目覚めたのは狭い部屋だった。

 

 発泡スチロールみたいな白いベットに寝かされている。

 

 衣服はなく、本来なら肌寒さを感じたはずだが、牡奴隷時に投与された薬で寒さは感じない。

 

 ここはなんだ?

 

 新しい施設?

 

 男は壁をよじ登り、外へ出た。

 

「なんだよ……これ……」

 

 男が目にしたのは異様に大きな部屋だった。

 

 寝かされているベットもテーブルも窓も机も尋常なサイズではない。

 

 巨人の部屋と言ってもいいほど大きな部屋に自分がいる。

 

 振り返った自分が出てきた部屋を見てみると、小箱サイズの段ボール箱だ。

 

 いや、一人を入れて運んだならかなり大きい箱だ。

 

 この部屋がおかしいのだ。

 

(そうだ……たしか俺は廃棄処分の刑を受けて……)

 

 奴隷番号85。

 

 飼い主にはポコと名付けられ、一度も人間として扱われない地獄の日々だった。

 

 自分の額に刻印された番号で呼ばれている牡奴隷は、もはや名前を思い出すことすらできなかった。

 

 処分を告げられ逃げようとした後の記憶はない。

 

 目の前が真っ白になって、それから……。

 

 ポコは辺りを見回した。

 

 あの恐ろしい女はいない。

 

 かつての飼い主であり、毎日飽きることのない拷問地獄を与えた悪魔――。

 

(見知らぬ部屋だが、この異様な大きさはなんなんだ? なんの冗談なんだ? とにかく逃げないと――)

 

 奴隷として、生物としての生存本能が警鐘をならしている。

 

 この部屋にいればどんな地獄に逢わされるのかわかったものではない――と。

 

 ポコはとにかく逃げようと扉へ向かおうとしたが、足を止めた。

 

 壁の様に聳える扉――そのドアノブはポコの三倍はある高さにあった。

 

 とてもジャンプで届く高さではない。

 

 なら、どうする?

 

 椅子とかないか?

 

 残念だが、今のポコのサイズにあった家具は見当たらない。

 

(くそ……なんなんだこの部屋は……。映画のセットかよ)

 

 困るポコは何か使えるものがないかと部屋を見回していると――。

 

 ズン、ズン、ズン。

 

 等間隔に地響きがどこからか始まり、急速に近づいてきた。

 

「!?」

 

 慌ててどこかに隠れようとしたポコだが、遅すぎた。

 

「たっだいま~♪」

 

 バタン!

 

「うおっ!!」

 

 扉が勢いよく開け放たれ、風圧で尻餅をついてしまった。

 

 扉が巨大すぎるので、ポコには建物が倒壊でもしたような衝撃があったのだ。

 

「あは♪ 起きたんだ♪ よかった~。玲子お姉ちゃんから送られてきたけど、起きなかったら死んじゃったかと心配したんだよ?」

 

 尻餅をつくポコの上に巨大な影が落ち、無邪気で幼さの残る声がしたので、反射的に上を見上げたポコは唖然とした。

 

 一見はクリクリの瞳にボブカットをした小学生くらいの見た目の少女がいたのだが――。

 

 いや、実際小学生なのだろう。

 

 真っ赤なランドセルに胸には黄色い名札で『理子』と書かれている。

 

 未成熟の短い手足も、童顔も少女と見て間違いないのだが――。

 

(え? は? な、なんでこんな大きい人間がいるんだ!?)

 

 人間としてはありえない。

 

 三メートルとかそんな次元じゃない。

 

 ポコの身長は170cmほどだったが、今自分を見下ろす少女? は数倍……は大きい。

 

 ポコの顔は少女の膝にも届かないのだ。

 

 顔だけで自分ほどの大きさのある少女? に恐怖して思わず叫んでしまった。

  

 クリクリの目が怖いほど大きく見えて、怯える自分の姿が写っていた。

 

「ひぃ! ば、ばけもの!?」

 

「誰が化け物ですって? ……あ、もしかして自分の身体がどうなったか、わかってないのかな?」

 

 思わず叫んでしまったポコには対し、少女は一瞬不機嫌そうに眉を潜めたが、何か納得したかのように頷いた。

 

「お、俺の身体がどうなってるって言うんだよ!!」

 

 ジリジリと後ずさるポコに対し、理子はニヤリと幼い見た目と不相応の笑みを浮かべ、

 

「君、玲子お姉ちゃんに廃棄処分されて縮小薬の検体にしたんだよ?」

 

「しゅ、縮小薬!?」

 

 初めて聞いた単語だが、その響きから嫌でも効果が想像できてしまった。

 

 じゃ、この部屋が異様に大きいのは――。

 

「そ、私が大きいんじゃなくて、お前が縮んでるんだよ? でも、安心して!」

 

 ドゴン!!

 

 赤いリボンがチャームポイントの白いハイソックスを履いた足が高速で動き、ポコを蹴り飛ばした。

 

 まるでトラックにでも跳ねられたか様に身体が浮き上がり、宙を舞った。

 

(え? はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?)

 

 遅れて自分が蹴り飛ばされた、と知覚した時にはポコが入れられていた箱にぶつかり、そのまま床に倒れた。

 

 死んだ。

 

 ……………………。

 

 ………………。

 

 …………。

 

「うぅぅぅぅ……ん?」

 

 ポコが感じたのは違和感だ。

 

 これほどの衝撃を受ければ、内蔵破裂、骨折は免れない――はずだ。

 

 全身を燃えるような痛みが走り、治癒活性薬を飲んでいても治るからわからないほどの重傷になるはずなのに――。

 

 なのに、ポコの身体はかなり痛いだけで済んでいたのだ。

 

 その痛みも打撃程度で治癒活性薬でみるみる回復していった。

 

「フフフ、凄いでしょ?お前に打ち込んであるのは――えっと、縮小薬βって言ってαと違って体密度が上がるから頑丈さも増すんだって。αはサイズに比例した頑丈さしかないから、今ので虫けらみたいに潰れてたよ? よかったね~、長生きできる方で♪」

 

 理子は玲子のメールを読みながら、ポコに今の身体がどうなってしまったかを教えてやる。

 

「それでね……お前はお姉ちゃんが廃棄処分でいらなくなったから、私が貰ったんだ~♪ 」

 

 理子は爪先で床に踞るポコを押さえつけると、足を前後させてポコの身体を仰向け、腹這い、仰向け、腹這い、と転がしていたぶった。

 

 フローリングの床と天井を視界が交互に入れ替わるのだが、ただの足指なのに、圧倒的な力に逃れることができない。

 

「ほら、これから私がお前のご主人様になるんだから、挨拶しなさい♪ 廃棄処分されたお馬鹿なポコでも挨拶くらいできるよね? ほら、早くしな」

 

 足指から逃れられたポコに理子はふんぞり返って命令した。

 

 例に漏れず理子も牡奴隷が家畜以下の道具としての認識もなく、ポコがずっと年上の男だなと欠片も思ってなかった。

 

 勝手に人形サイズに縮められ、まだ小学生程度の小娘に足蹴にされたポコは屈辱で煮えくり返るが、身体に刻まれた牡奴隷の習性ですぐに挨拶の姿勢――土下座の格好になった。

 

「ど、どうか、これからよろしくお願いいたします。理子……様……」

 

 とても本心から従えるわけがなかった。

 

 女――しかもポコの年齢なら娘以上に歳の離れた初対面の小娘になど、とても服従できない。

 

 ましてや、ここはあの逃げ場のない絶海の孤島でもないのだから、逃げるチャンスだってあるはずだ。

 

 こんな小娘の目を盗んで逃げてやるとポコは反抗心すら抱いていたのだった。

 

 そんなポコの心を見透かすようにかのように理子はニィと目を細め――。

 

「はぁ……挨拶もまともにできないんだね、お前……。まぁ、私とお前の力差はすぐに分かるから今回は許してあげるけど」

 

 グッ……。

 

「うっ……」

 

 土下座するポコ頭上に影が落ちたかと思うと、生暖かい熱気と発酵した納豆の様な臭いが充満した。

 

(あつっ! それに……く、くさっ!)

 

 だが、何度も嗅いできた臭いだがら、ポコにはこれが何かわかった。

 

 若干の臭いの強弱はあるが、間違いなく女性の足の臭いだ。

 

 だが、問題はそれが全身を覆っていることだろう。

 

 頭も背中も腰も、全てが彼女の足の裏に押さえつけられているのだ。

 

 それに今まで頭だけ踏まれていたときに感じなかった凄まじい熱さ。

 

 これも小人になった影響なのだろうか?

 

「ほら、今の足を乗せるだけで土下座しているお前の身体を踏んでるんだよ。どうかな? 小学生の足よりも小さくなった気分は? ちっぽけだね~。ほんと、虫けらみたいだよ~。悔しかったら、押し退けてもいいんだよ? で・き・れ・ば・だけどね🖤」

 

 ミシ、ミシ、ミシ、ミシ。

 

 嘲笑う理子はゆっくりと体重をかけてポコを踏み潰していく。


「あぎぃぃぃぃ!」

 

  背中から抑えられる力は凄まじく、ポコは折り畳んだ足が床と身体に挟まれる激痛に悶えながらも、身体はピクリとも動かせない。

 

 圧倒的な力に骨が軋んでいく。

 

 な、なんでこんな目に――。

 

 会って一分も経たず、小娘の臭い足で踏みつけられ、その足から逃げることもできない自分の非力さに惨めで、悔しくて涙が出てきた。

 

 嗚咽で身体を震わせるポコに対し、理子は残酷だった。

 

 ポコの震えを感じて柔和な笑みを浮かべてしまう。

 

「キャハハッ、泣いちゃったの? まだ挨拶させただけで? なっさけない……この弱虫」


「うっうぅ! ううう!」

 

 吐き捨てられた侮蔑の言葉にも泣くことしか許されない。

 

 押さえつけられる重みは徐々に力を増し、身体がソックスに、足の裏にめり込んでいくのだ。

 

 その絶望と屈辱と惨めさは筆舌尽くしがたい。

 

 対して、理子はとても楽しかった。

 

 小人を圧倒的な力で嬲ることも理不尽な嘲笑で侮辱することも、許されるのだ。

 

 なぜなら、ポコは牡奴隷。

 

 しかも、廃棄処分。

 

 本来なら、小人にされ、理子の玩具にされることもなく殺されているはずの存在。

 

 その存在は女性の玩具にされるしかなく、生殺与奪すらも自由なのだから。

 

 理子が処分してもまったく問題もない玩具なのだ。

 

(あ~、もう気持ちよくなってきちゃった。フフフ、こいつはどうやって処分してやろうか、悩んじゃうな~)

 

 身体が熱くなるのは動いていたからだけではない。 お腹の芯から湧き起こる衝動の正体は知っている。

 

 快楽。

 

 サディズム。

 

 弱者をいたぶる快楽が脳髄まで駆け巡っているのだ。


 それはこの社会の女性が男に持つ習性とも言える。

 

「小学生にも勝てない弱々なポコは私の足にも勝てないの。そのことを徹底的に教えてあげるね、雑魚」

 

 理子はポコが反抗心を持っていたことは挨拶から見抜いていたし、玲子からこの奴隷の忠誠心の低さは知っていた。

 

 牡奴隷の分際で男のプライドもなくさず、生意気な態度があったので、処分が下った。

 

 だからこそ、愛着なく壊せるのだが――。

 

(健気に従順だと、殺すのが惜しくなっちゃうしね)

 

 たまに理子はこうして玲子からの廃棄処分の牡奴隷の横流しをしてもらっていた。

 

 その度に遊び、なぶり、壊してきた。

 

(お前は前の奴隷よりも『使えなさそう』だし、早めに処分しちゃうけどね♪)

 

 理子はどこまでも残忍だった。

 

「踏みつけにも全く勝てないポコには次は、これだよ♪」


 理子は無邪気な声の上げると、パンツが見えるのも気にせず股を開き、足の裏同士を向け合う。 足の裏の壁には踏まれた痛みで動けないポコはその間にいた。


「ふふ、早く逃げないと……今度は左右からの足にプレスされちゃうぞ~♪」


 からかう口調で理子はゆっくりと足を閉じ始めた。

 

 まるで壁でも迫るような圧力にポコは憎々しげにその黒ずんだソックスの足裏の睨む。

 

「く……そ……ぅ」

 

 呪詛を吐いて起き上がったポコは慌てて逃げようとヨロヨロと走り出すが、理子には笑えるほど遅かった。

 

 それにもちろん逃す気は無い。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 ゆっくりと逃げるポコが迫る壁から逃げられると安堵した瞬間――。

 

「何、安堵してるのよ、ば~か♪」

 

 バチィン!

 

「ぎゃふぅっ!!」

 

 逃げようとした瞬間に容赦なく足の裏をくっつくる。 ポコはそれに巻き込まれ、全く身動きができなくなってしまった。

 

 ギリギリと万力の様な力で締め上げてくる両足に身体中の骨が軋む。

 

 それだけでは無い、1日過ごした代謝のいい小学生の理子の足は大人の女とはまた違う悪臭を放ち、容赦なくポコの肺を責め苛んできた。


「……フフ、本当にお前は貧弱だね~。踏み押さえも、サンドイッチも抜けられない雑魚。ほんと、役に立たなくて貧弱で、捨てられたのも理解できるよ」

 

 身体だけでなく心までもいたぶりながら、足裏同士を擦り合わせ、ポコの身体を使って足ツボの刺激の感覚を楽しむ。


「フフフ、これでわかったかな? お前はどうしようもなく、よわっちい下等な生き物だって。でも、安心していいよ。私がちゃんとお前を最後まで使って楽しんであげるからね? フフフ、アハハ!!」

 

「あぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

 

 激痛に涙を流すポコの左右の足でこねくりまわす理子は頬を赤く染め、瞳を潤ませながら、自らの股間に手を伸ばす。

 

「私がいくまでは休みは与えないから、せいぜい死なないようにしてね♪ 」

 

 一人の女としての表情をしたまま、理子はポコへとどこまでも恐ろしい台詞を囁いたのだった。

 

 

 

 

 

 

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Comments

異無

コメントありがとうございます 現在続きも書いてますので、これからもよろしくお願いいたします