魔王遊戯 始まり (Pixiv Fanbox)
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漆黒に磨かれた黒曜石の床とその上に敷かれたのは深紅の絨毯。
割れるように左右に並ぶのは様々な肌の色をした異形の存在。
サンキュバス、スライム、アルラウネ、ケンタウロスやアラクネなど様々だ。
そして、その玉座に腰をかけるのは露出殿高い着物を着た妖艶な艶姿の魔物。
見た目は絶世の美女だが、その頭に生えた角が人ではないことを克明に物語っている。
全魔物と魔族を束ねる絶対の支配者――魔王だった。
「まったく、この私を倒そうなんてなんて愚かなのかしら?」
玉座で脚を組みながらため息をつく魔王は頬杖をついてじっと足元に拘束された人間を見下ろしていた。
両手を後ろ手に縛られ、跪く形で魔王の前に引きずり出されている二人の顔に恐怖の色はなかった。
「くっ! おのれ! 魔王!」
「私達の軍をよくも! 許さないわ!」
憎悪の瞳で見上げるのは魔王を倒すためにたった二人で城へと乗り込んできた勇者と聖女だった。
二人は戦争の決着をつけるべく、魔王軍と王国軍が激突している戦地を迂回して奇襲したのだが……。
勇敢にも二人で乗り込んだ二人まではよかったが、魔王の元へとたどり着く前に城にいた幹部にあっさり敗北したのだった。
「さ~て、このバカ二匹はどうやって処分しちゃおうかしらね~♪」
魔王――レヴィアは捕らえた獲物二匹を見下ろしながら、ペロリと唇を赤い舌で舐める。
脚を組み替え、悠然と二人を見下ろすレヴィアの気分次第でどんな末路を辿るのかが決まるのだが、二人の心はその程度では折れない。
「殺すなら殺せ!」
「女神様が私たちをヴァルハラへ召してくださるわ! お前達魔王軍は新たな勇者が必ず滅ぼすわ」
勇者――アイゼンとと聖女――マルタの瞳はまったく折れていない。
(下手に勇者と聖女を殺すと、次の勇者と聖女が生まれちゃうのよね~。なら、ここで飼い殺しにした方がいいわよね?)
レヴィアは金色の瞳で二人を見下ろしながら、嗜虐的に笑った。
「簡単には死ねると思ってるの? お前達の力が死ねば新しい人間に継承されることは知ってるのよ?」
だから、簡単には殺さない。
もっと有効な使い方がある。
「むしろ、洗脳して下僕として飼い殺しにしてあげるわ」
レヴィアの言葉にアイゼンとマルタは青くなった。
人類の希望の自分達がその宿敵の僕にされると言ったのだから、当然だろう。
「ふざけるな! とっと殺せ!」
「この悪魔! 汚らわしい魔族め! 誰が下僕なんて!」
「これからは汚らわしい魔族に従う下僕になるのよ? フフフ」
パチン、と指を鳴らすと左右にいた近衛魔族が動いた。
「勇者は檻へ。まずは小生意気な娘なからよ」
「マルタ! ふざけるな! やるなら俺からにしろっ!」
「助けて! いや! いやぁぁぁ!」
「いい声だわ。二人ともどうせ同じ運命なんだから、安心さなさい。二人まとめてちゃんと面倒見てあげるわよ。ペットとして……だけどね?」
レヴィアの笑い声が玉座の間に響く中、マルタを残してアイゼンは他の魔族に引きずられる形で部屋から追い出される。
必死にマルタの名前を叫ぶもそれはただただ虚しく廊下へ木霊するだけだった。
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