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「ハッ、ハッ、ハッ……!」

 盛りのついた雄犬の息遣いが、石造りの室内に響いていた。無理矢理に開かされたまま縄で固定されている内股へと、生温かい吐息が吹きかけられて、羽毛が僅かに湿り気を帯びるのを感じた。

 銀のピアスが取り付けられた長い舌が『犬』の口から垂れ下がって、その口腔に溢れかえる唾液が舌を伝い床へと滴り落ちている。

「……ッ、ふぅー……っ」

 『犬』が深く這い蹲る。長い舌を床に引きずりながら、太陽の意匠を施された前掛けの上から、くすんだピアスの取り付けられた鼻面を股ぐらへと押し当ててくる。

「――ッ」

 布越しに感じる鼻息の熱に身悶えると、手枷と壁とを繋ぐ鎖がじゃらりと揺れる。……王たる身は虜囚へと堕ち、辱めを拒む手段もない。

 犬の唾液がじわりと布地に染み込んでゆく。じわりと外側から熱が伝わってくるほどに、臓腑に寒気が走り体の芯が冷え込んでいくのを感じた。

 ランプの薄灯りを反射させる金色の兜の下で、アジールは表情を歪ませる。ずきん、と頭蓋の奥に鋭い痛みが走って、脳髄が麻痺したように気持ちが悪い。それほどまでに、眼の前の光景は受け入れ難い。

「……っ、有り得ぬ……」

 金色の兜の下でぎこちなくクチバシを動かして、絞り出すように呟く。……そう、有り得ない。

 かつて穏やかな時間を過ごした大書庫の風景が脳裏に浮かぶ。玉座を包む血生臭さとは隔離された聖域。

 王座を継ぐことになるなど想像すらしていなかった幼子の頃から、『彼』は変わらずそこに在った。あらゆる知識を収めた大書庫の司書たる賢人として。

 書を好む少年が、玉座を包む血なまぐさい権謀術数に染まりきるほどの時が流れても、悠久の刻を生きた英雄は変わること無く、超越の力を秘めた青白く発光する瞳でこちらを見つめ返してくれた。

 その瞳に宿る、定命の存在には届き得ぬ深い智慧が失われる日が来ることなど、想像すらしたこともない。シュリーマの繁栄が永遠であるように、英雄もまた永遠にその歴史に寄り添うはずだった。

「すん……っ」

 雄犬が小さく鼻を鳴らす。唾液で湿った布地を鼻先でめくり上げられ、熱の籠もった鼻息で温められたピアスを、股ぐらの割れ目へと押し当てられるのを感じた。

「や、め……ッ」

 ――ぴちゃり

 ざらついた長い舌でそこを舐め上げられる。溢れ出す唾液が羽毛に染み込んで、今はまだきつく閉じたそこを解そうとしていた。

 前掛けの下に潜り込んだ犬の鼻面から、荒い鼻息が聞こえてくる。未だ他者に触れさせたことのない桃色の粘膜を、盛りのついた雄犬に欲望のまま舐られる恥辱に悶えながら、アジールは息を詰まらせる。

 丹念に舐め解された割れ目は薄っすらと口を開き、淡い色の粘膜を露出させていた。雄犬は狂ったように鼻を鳴らして、そこから漂う雄の芳香を吸い、興奮を強めていくのが感じられた。

 その無防備な後頭部に手枷を叩きつけてでも行為を中断させたかったが、壁から伸びる鎖のせいで、両手を胸より下に持っていくことも出来ない。

 脚を閉じ、身を捩って犬の舌使いから逃れようとするが、黒い短毛に包まれた屈強な両腕で太ももを押さえつけられ、逃れることのないように身体を固定される。

「……ッ、くっ、うぅ……ッ」

 牙の一本も残っていない腫れた歯茎だけの顎が、唾液で濡れそぼった割れ目を甘噛みされる。圧迫された粘膜から溢れ出す透明の液体を、音を立てて啜り上げられながら、溢れそうになる声を必死で抑え続けるしかなかった。

 ……英雄は、もういない。悠久の刻の中で蓄えられた智慧は、永遠に失われた。その事実を突きつける抗いようのない証拠が眼の前に突き出されている。

 淫蕩に染め上げられた英雄の抜け殻だけがここに残って、こうして彼の体を貪っている。

「よせ……ッ、余が命じて、おるのだ……ッ! やめろ、やめ――ッ」

 ――ぬちゅ

 皇帝としての自信に満ちた命令ですら無く、消え入りそうな懇願と成り果てた言葉を遮るように、ざらついた舌が割れ目の中へと侵入してくる。

 淡く湿った粘膜に舌先のくすんだピアスを擦り付けられ、唾液を塗りたくられてゆく感覚に身悶えしながら、アジールは言葉を詰まらせる。

 大きく開いた顎で割れ目を咥えこむようにしながら、雄犬は舌を前後に動かし続ける。アジールはそのたびに腰が震えてしまうのを感じながら、しかし同時に胸に鉛を詰められたような息苦しい感覚を抱く。

 金色の兜の内側に冷や汗が伝っていた。あり得ない。あり得ないと、先ほど絞り出した言葉を何度も頭の中で繰り返す。

 前掛けからはみ出た顔の左半分から、青白い瞳がぎょろりとこちらを見上げる。

 超越者の力の残滓である鈍い発光があるだけで、その瞳には一欠片の知性すら残されていない。逞しい首筋には大量の注射痕が残り、太ももに乗せられた手からは爪がすべて剥がされていた。

 執拗なまでに全てを奪われた英雄は、かつての彼であれば決してしなかったはずの、淫らに蕩けきった笑みを浮かべながら舌を動かし続ける。

 腹の中を異物が這い回る感覚に腰が震え、クチバシの隙間から漏れそうになる声を必死で噛み殺す。

「ふっ、じゅっ、ハッ、ハッ……」

「おッ、オォオ……ッ!?」

 人の言葉すらも忘れた犬の口から、熱い吐息がこぼれて、長い舌がずりゅりと引き抜かれてゆく。その甘い刺激に、ついぞ堪えきれずに甘い声が溢れってしまった。

 割れ目はぱっくりと口を開いて濡れそぼり、桃色の粘膜を透明の液体が覆っている。まるで女性器そのもの卑猥な器官を自ら見下ろしながら、アジールは切なげに喉を鳴らした。

 室内には、盛りのついた雄犬の息遣いが耳障りなほどに反響していた。堕ちた英雄は、淫液と唾液との混ざりもので汚れた口周りを拭いすらもせず、地に這いつくばった身体をゆっくりと起こしてゆく。

 逞しい胸板に焼き付けられた、卑猥な罵りの文字列が露わになる。腫れ上がったように肥大した乳首にはピアスが通され、股ぐらからそそり立つ、はちきれそうなほどに膨らんだ逸物も同様、趣味の悪いほどに大量のそれで飾り立てられていた。

「は、あぁ……っ」

 忌々しさから漏れるうめき声すら、総排泄孔への丹念な愛撫を経て甘い色を帯びていた。そのことへの苛立ちに肩を震わせながら、淫らに変わり果てた逞しい体を睨みつける。

 神の力を秘めた超越の肉体は、今や焼印とピアスとで下品に飾り立てられ、書庫の中に座す物静かな賢人としての面影などまるで残っていない。

 その変わり果てた姿を見せつけられるほどに、胸の奥に奇妙な虚脱感が芽生えた。ぎこちない震えの染み付いた大きな手で前掛けを捲くられ、ぱっくりと口を開き桃色の粘膜を晒す総排泄孔を露わにされながら、その手を振り払おうと身を捩ることさえ忘れてしまう。

 身体は巨大な雄犬の影に覆い隠される。金色の兜へ、ぽたり、ぽたり、と唾液が滴り落ちてくる。ハッ、ハッ、と荒い息遣いがうるさいほどに耳元へ響いて、頭が痛い。

「あっ、ぁ……っ」

 剥がされた爪の根元を炙られ、ケロイド状になった指先が割れ目の中へと侵入してくる。舌で丹念に舐め解されて潤滑に満ちたそこは、黒い獣毛に覆われたそれを容易く飲み込んでいく。

 敏感な粘膜を硬い獣毛で擦り上げられる感覚に、喘ぎ声を抑えることが出来なかった。舌での執拗な愛撫と違い、指でのそれは教え込まれた動きをそのままなぞるような単調さで、それなのに身体は反応を止めてくれない。

「ハッ、ハッ……っ、くぅーん……ッ」

 切なげな啼き声が耳に届く。誰かの手で躾けられ、染み付いた、演技がかった犬の啼き声。その口は思慮深き賢者としての忠言を王に与えるために在ったのではないのか。蓄積された知識を誰かに分け与えるためのものではなかったのか。

 ……聞きたくない。それ以上そんな姿を晒すのはやめてくれ。少年時代の穏やかな想い出が、色褪せぬシュリーマの繁栄の記憶が、丹念に踏み躙られているかの思いだった。

 長い舌が黄金の兜へと唾液を塗りたくってくる。舌先のピアスが兜に擦れて、耳障りな金属音を発していた。

 太い腰がビクビクと切なげに揺れて、下品に過剰装飾された黒ずんだ肉棒が内股へと擦り付けられる。

「ひっ、あぁ……ッ、っ、――ッ」

 指先の単調な動きは止まらない。早くその使い込まれた肉棒を割れ目にねじ込みたくて堪らない、といった様子だというのに、しかし決められた性行為の手順が蕩けきった脳髄に刻みつけらているようだった。

 名も知らぬ悪趣味な下種の手によって、シュリーマを象徴する英雄は獣へ堕とされ支配されたのだ。児戯のような愛撫の一回一回が、その事実を伝えてくる。

「あ……ッ」

 声を抑えられない。くちゅりといやらしい水音が股ぐらから響いて、全身から力が抜ける。下腹部が蕩けたように熱く、硬い獣毛で擦られた粘膜が僅かに赤くなっていた。

 女陰のように割れ目から透明の液体が溢れて、甘酸っぱいような芳香が周囲に漂う。それに伴って耳元に響く雄犬の鼻息は荒さを増し、単調なだけの愛撫も疼くような痛みを伴うほどの激しいものに変じていく。

 日本の指が、ぐちゅぐちゅと激しい水音を立てながら乱暴に割れ目の中を掻き回す。身を捩って逃れようとすると雄犬の巨体で身体にのしかかられ、身動きを制限された。

「うぅぅ、ぐるるぅ……ッ」

 念を押すように、不機嫌そうな低い唸り声が響く。牙も爪も失い、体中を淫らに飾り立てられた無様で滑稽な英雄の成れの果てが漏らす、獣の嘶き。

 恐れるどころか、笑いを誘うものでしか無いそれも、今のアジールには抜群の効果を発揮した。身悶え、強張っていた身体から、スッと力が抜けてゆく。

 脱力した股ぐらの割れ目から、粘液にまみれた指が引き抜かれ、赤く腫れた淫肉から糸を引いていた。

 淫らな芳香を纏う指を長い舌で舐りながら、雄犬は知性の欠片も感じさせない蕩けた表情を浮かべる。その表情を一瞥した後、アジールは諦めたように目を閉じた。

 失望も、憤りも、嫌悪も、盲信じみた期待を裏切られた事への憎しみも、ただの獣へと堕ちたこの男には理解できない。……何を言っても無駄なのなら、かける言葉もない。胸に穴が空いたかのような喪失感とともに、そんな想いだけが残っていた。

「は、あぁ……ッ」

 大量のピアスで飾り付けられた肉棒が、充血した粘膜を晒す割れ目へとあてがわれる。指などより遥かに太く熱い、雄の象徴の存在感に、上ずった声が漏れるのを抑えられなかった。

 腰を包む柔らかな羽毛の中に雄犬の両手が沈む。太い指で腰を鷲掴みにされながら、発情しきった犬がはしたなく腰を動かして、拡がりきった『入り口』を飾りまみれの雄竿で擦り上げられた。

 動きは荒々しく、繊細さのかけらもない。雄竿に手を添えて方向を定めるという発想もないのか、割れ目の表面を擦り上げるだけのピストンを何回も受け、焦らされているようにさえ感じられた。

 じんとした熱が下腹部に広がっていく。切ないような疼きに腰が震えて、このまま挿入されずに済むことを望んでいるのか、いっその事早く挿れられてこの疼きを解消して欲しいのか、自分でも分からないほどだった。

――ぼちゅっ

「ひ――ッ」

 半ばまで挿入されかかった先端が、大きな水音を立てながら総排泄孔から抜けて、先走りを撒き散らしながら跳ね上がる。充血し敏感に腫れた粘膜を力強く擦られる感覚に、アジールの身体が大きく震えた。

 今や大きく拡がった粘膜がヒクヒクと痙攣を続け、淫液が溢れ出して止まらない。陰液に塗れた股ぐらへと繰り返し肉棒を擦り付けられながら、むず痒いような熱が下腹部全体へと広がっていく。

 肉棒に流れ込んだ血液で暖められたピアスが、じゃらりと音を立てながら淫肉を刺激していき、繰り返されるほどに粘膜は敏感に仕上げられていって、狂おしいほどだった。

 湿った吐息混じりの犬の鳴き声が響いている。本能に突き動かされるだけの無様なピストン運動が繰り返され、狙いを外した腰使いによって疼きが蓄積していく。

 粘液の染み込んだ羽毛を真っ黒な肉棒が擦り上げていく音を聴くだけで、腹の奥をきゅうっと締め上げられるような切なさが込み上げた。

「っ、ぁ……ッ」

 掠れた声を漏らしながら、アジールはほとんど無意識のまま、僅かに腰を浮かせていた。天空を舞う猛禽類の形質を深く宿したこの体でしか味わえぬ甘い刺激が、胸に空いた穴に染み渡ってゆく。

 初めて自慰を覚えた少年のように、未知の快楽への欲求が抗いがたいほどに膨らみ始めていた。

「ぐるるぅっ、うぉふゥッ!」

 雄犬が低く嘶いた。空を切るばかりだった肉棒の先端はついに収まるべき穴へと綺麗にあてがわれる。長期に渡る監禁の中にあってすら衰えを見せぬ屈強な身体が大きく震え、力任せの獣の腰使いがアジールの身体へと叩きつけられた。

「オッ、あぁ――ッ!?」

 ずにゅうっ、黒く染まった肉棒がアジールの身体の最奥へと突き立てられた。肉棒を下品に飾り立てる大量のピアスが充血した粘膜を掻き回し、舌も指も届かなかった無垢なる部分を太竿の先端が小突き上げる。

 感じたこともない衝撃が背骨を伝って脳天へと響いていた。しなやかな身体が弓なりに反って、手枷から伸びる鎖がじゃらじゃらと音を立てる。

「うぅううっ、ぐるうぅぁあああっ!」

「ひゃっ、や、め……ッ、ひぐっ、あっ、ひぁあ――ッ!?」

 未知の快楽に戸惑い緊張した身体を落ち着かせる暇もないまま、獣のピストンを続けざまに叩きつけられる。

 爪の取り去られた指先が、腰へと深く食い込んでいた。逃げることなど出来ぬよう固定された身体を衝撃が貫いて、腰が抜けそうなほどだ。

 余りにも荒々しい獣の交尾に静止の言葉を投げかけようとするが、繰り返されるピストンによって声すらもばらばらに引き裂かれて、意味をなさぬ鳴き声に成り果てていた。

 ずちゅん、ずちゅんと、聞いたこともないほど淫らで激しい水音が室内に響き渡っている。つい先刻まで誰にも触れさせたことのなかった粘膜は、すっかり赤く充血した淫肉へと変じ、獣の腰使いに応えるようにひくひくと震えながら肉棒を締め上げる。

「お゛ッ、や、やめっ、余の、こどばが、分からぬ、かぁ……ッ!?」

 大きく開いたクチバシから唾液を撒き散らし、アジールが叫ぶ。眼前の獣が、そんな言葉を理解してくれるはずもないと知りながら。

 淫らに開かされた両脚をジタバタと振るい、それでも駄目ならばと猛禽類のそれと同じ鋭い鉤爪を雄犬の背に突き立てる。

 黒い獣毛に包まれた逞しい背中や腰に幾重もの裂傷をつけるが、雄犬のピストンを妨げることは出来なかった。

「ヒッ、あっ、あぁ……ッ、はっ、ひぃん……ッ!?」

 途切れることなく送られてくる甘い刺激が、胸を満たしてゆく。絶え間なく脳髄に刻まれる快楽に酔い、強烈な酒を飲み干したような酩酊感が体を包む。

 股ぐらが熱い。蜜が溢れ出して止まらない。巨大な肉の塊に臓腑を圧迫されるたびに、甘い声が漏れ出てしまう。

 汗の滲む身体を密着し合い、高鳴った鼓動や荒くなってゆく息遣いが伝わってきた。

 腹の中で大きく膨らんだ獣根がびくんびくんと痙攣している。くぅんと切なげな鳴き声が頭上から聞こえる。……ああ、そうか。もう我慢できぬのか。

「や゛ッ、め、ろ……ッ! お゛ッ、ひっ、ひぃ――ッ」

「ハッ、ハッ……!」

 雄犬の番いとして身体を貪られ、体の奥に精を流し込まれようとしてる事実を目前にして、アジールは最後の抵抗とばかりに身体をよじり、途切れ途切れのままに必死で叫びながら鎖を打ち鳴らす。

 その弱々しい抵抗を、知性の欠いた青白い瞳でじろりと見下ろし、雄犬は牙の一本も残らぬ口を大きく開いた。腫れ上がった歯茎だけの残る大顎が、アジールの首筋へとあてがわれた。

「……ッ、――ッ、ぁ……ッ!?」

 牙を失った顎が喉元へと食い込んでくる。血は出ずとも呼吸を妨げられ、大きく開いた唇から掠れた息遣いが漏れた。

 アジールの肢体は先ほど以上に暴れ、痙攣し、全力でその戒めから逃れようと打ち震えるが、やがてその抵抗も勢いを失い、強張った身体が脱力してゆく。

「ッ、……ッ、――っ」

 肉体の最奥を蹂躙され、先走りの液体を肉壁に塗りたくられるたびに、脱力した身体が僅かに跳ねる。

 意識が薄れ、体がふわりと浮き上がるような感覚が体を包み、脳髄を焦がすような快感だけが薄れそうになる意識を繋ぎ止めていた。

 視界から色が失われていく。真っ暗になった景色が、淫肉を突き上げられるたび鮮やかに浮かび上がる。

 雄犬が大きく腰を動かして、これまでで一番深く胎内を貫かれた。腰が密着した瞬間、じゅぱんと大きく水音が響き、数瞬の間を置いてその瞬間が訪れる。

「……ッ、ぉ、――ッ」

 ――びゅるうううっ!

 熱い液体が腹の中で爆ぜる。超越者たる屈強な身体の遺伝情報を宿した精液が、肉体の最も奥深くへと目掛けて叩きつけられ、雌穴に蹂躙の証を残されてゆく。

 ぎりぎりと痛いぐらいに雄犬の顎が首に食い込んで、骨が軋む。頭が真っ白になって、腹の底に注ぎ込まれた熱が体全体に広がってゆくような心地で、感じたこともない、途方もなく大きなものが迫っていた。

 雄犬の射精は止まらない。びゅるびゅると生命の源を注がれる感覚が今も続いていた。……熱い。蕩ける。何も考えられない。ああ、身体が宙へと浮き上がってゆく――。

「ぁ……ッ」

 ――とくん。

 下腹部から発せられた鼓動が全身に拡がって、脱力しきったアジールの身体が大きく揺れる。

 かつて経験した射精とは比べ物にならなぬ快楽が蕩けた頭を焦がして、電流のように全身を駆け巡る。

 呼吸を遮られ薄れゆく意識がついに霧散しきるその間際、雌の悦びだけがアジールの脳髄を満たしていた。

続く

Comments

Cain

最後までも自分の正義とプライドを諦めずに終わらぬ苦しみの中でムダ足掻き続けるシチュがやはり最高級のもけ味だ…ごちそうさまですた。

犬マローと

自分が直接恥辱の限りを受けて堕落していくのと違い、 一度は憧れたであろう存在がまともな言葉も発せぬ駄犬になっているのを目の当りにするのはまた違う心の抉れかたをするんだろうなと思うと嗜虐心をそそりますね…! 砂漠の皇帝たる自分の声も姿も忘れるほどに壊されてしまったというのが犬のような仕草、性器に刻まれたピアス、焼印から伝わってきた時、自分も同じように壊されてしまうのだろうか、あのナサスですら耐えられなかったのに自分が耐えられるのだろうかなんて怖気づいてそうで可愛い…! 結構心すり減らしたのにまだ続きがあるなんてとても楽しみです! ナサスもエッチですけどアジールもえっちですね! 鋭い牙があればあのエッチな体に歯型残してみたい!