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小説:ひがみ(日上)

イラスト:煎餅さん(https://www.pixiv.net/users/9600143)


人工知能、通称【AI】。

かつて人類の未来をより良いものにしていくための存在…のはずだった。

人類を敵と見なし罪のない人たちに牙を向く者たちも現れた現代。

各大国がそれぞれ覇権を競い、身を削りながらAI開発に着力する現代。

そして、人類は暴走したAIと同等に立ち向かうために各大国は対AI人材の養成機関を設けた。

先進技術学校、通称【先技校】である…。



これは、新たな激動の時代を生きた若き者たちの物語。



2025年4月、日本。


雲一つない気持ちの良い夕方の空の下を走るモノレール線の電車の中は、今日も多くの乗客でにぎわっていた。

そんな中、一番先頭の車内では乗客たちが少しざわついていた。


「いやぁ、《任務》の一環とはいえ流石に電車の中でもこの服なのはちょっと恥ずかしいや…」

「そうねぇ…ちょっと周りの目線がこっちに向きすぎているわねぇ。」

「あー、早く下宿先でシャロンとゆっくりしたいわー」


モノレールの車内で、一際目立つスーツを着たあきらかに日本人ではない少女が2人ボヤいていた。

青色を基調としたスーツを着たツインテールの少女…アリシア・レーガン。

黄色を基調としたスーツを着たブロンドの少女…シャロン・フレッチャー。

彼女たちは、《ある理由》で西の国アメリカから遥々と東の国日本へとやってきた少女たちである。


『次は万博記念公園ですー』


若い女性の電子音声が次の駅をアナウンスする。


「あ、下宿先の最寄りって次の駅だっけ?」

「そうよ。駅から降りて5分くらいの場所にあるらしいわ」

「おおっ!便利そうなとこにあるじゃん!いいね!」

「アリシア…もう少し声を小さくして…」

「あ…」


アメリカから長時間かけて日本へやってきた疲れからかテンションがおかしくなっているアリシアの声に驚く乗客たち。

シャロンは頬を薄く赤らめ恥ずかしそうに、アリシアを窘めた。


「おねえちゃんたち、どこから来たの!?」

「ん?!」


唐突に10歳に満たない小学生低学年と思わしき女の子が2人に近づき、その瞳を輝かせながら元気な声で問いかける。


「ソラ!いきなり失礼でしょ!」

「えーっ!?」

「本当に申し訳…あ…えーと、ベリー…ソーリー?」


一緒に乗っていた女の子の母親が彼女を叱る。


「いえいえ、大丈夫ですよ!あ…、あたしら日本語もちゃんと喋れるんで日本語で大丈夫ですよ!」

「そうなのですね…ありがとうございます」

「えーと…ソラちゃん?ワタシたちはね、アメリカのロサンゼルスから《お仕事》でココに来たのよ」

「へぇー!アメリカ!!いいなぁ!!」

「うん!あたしたちが住んでいる国アメリカはすごく素敵な場所よ!…でもソラちゃんが住んでいるこの日本も良い国だと思うよ!」


ソラという名前の女の子は、キラキラした瞳で彼女たちに興味津々だった。


「ところで、そのカバンには何が入っているのー?」

「え…!?あぁこれ?これはねあたしたちのお仕事道具だよ」


ソラは、2人がかけていた楽器が入ってそうな大きな黒色のケースが気になっていた。


『まもなく万博記念公園、万博記念公園ですー』


「あたしたちここで降りますので」

「ソラちゃん、またね~」

「うん!おねえちゃんたちバイバイ―!」


気が付けば、電車は駅のプラットホームに入線していて、間もなくドアが開いた。


「あれ?駅の様子おかしくない?」

「え?どういうこと」

「いや…なんか駅にいるお客さんが逃げ回ってる感じがしてー」


電車のドアが開いた瞬間、駅の様子がおかしいことに気づいたアリシア。

その考えは的中していた。

電子音声ではなく人間の男性であろう声の構内放送がその答えを教えてくれた。


『お客様にお知らせいたします。現在当駅構内にて複数の機械人形(ロボット)が侵入し、暴力行為を行っております。危険ですのでお客様はくれぐれも近づかないようにー』


「マジかよ。日本に来ていきなりAI関連の事件に巻き込まれるとは」

「呑気なこと言ってないで、行くわよアリシア!」

「了解。あたしらの《ファーストミッション》いきますか!」


2人は先ほどの黒色のケースのチャックを開けて、《あるもの》を取り出した。


『敵認識…人間ハ…タダチ二排除』


思春期の少女のような電子音声で明らかな人間への敵意を示す言葉が繰り返し響く。

駅構内では、日本刀を模したような刀剣を持ったセーラー服を着た女子高生のような4体の機械人形が駅の構内をゆっくりと歩いている。


「きゃあぁぁぁぁっ!!」

「こっちだ!早く逃げろ!」

「電車の中に入ったら逃げ場はない!とにかくあいつらから離れた場所へ!」

「早く《東京校》に連絡を!!」

「だめだ間に合わない!」


駅構内とプラットホームは機械人形から慌てふためき逃げまとう人たちで混乱を極めていた。


『敵認識…人間ハ…タダチ二排除』


電車の中は危険という理由から、急いで電車を降りたのはいいものの、大勢の逃げまとう人たちにかき乱され母親とはぐれてしまったソラが涙目で母親を探す。


「ママぁ…どこぉ…」

「ソラ!こっち!」

「ママぁっ!!」


母親と再会できた安心したのもつかの間、ソラの背後に一体の機械人形が現れる。


『敵認識…人間ハ…タダチ二排除』


「ソラ…逃げて!早く逃げて!」

「え…?」


機械人形は刀をゆっくりと上に向け、ソラを斬る体勢を取る。


『敵認識…人間ハ…タダチ二排除』


「あっ…、あっ……いやぁ…」

「やめて…やめて…お願い…」


ソラは恐怖のあまり動けなくなり、ただただ絶望することしかできなかった。


『敵認識…人間ハ…タダチ二排除』


そして機械人形は鋭く光る刀を一気にソラに向けて振りかざす。


「………っ!?」

「やめてぇぇっ!!」


ソラも彼女の母も最悪の結末を覚悟した…その時であった。


『アレ…?』


キィン…と鈍い金属音が響く。

機械人形たちに対抗するかのような刀剣型の武器で敵の刀からソラを守るアリシアの後姿があった。


「悪いけど、あんたたちの好き勝手にはさせないよ!」

「ソラちゃん、大丈夫?怪我はない?」

「さっきのアメリカからきたおねえちゃんたち!」


『敵認識…人間ハ…タダチ二排除』


アリシアは自らの刀で、機械人形を駅のホームドア近くまで突き飛ばす。


「あたしらが相手だ!機械人形(ロボット)たち!!」

「駅ナカで暴れるなんて、ワタシたちが許さないわ」

「シャロン、準備はいい?」

「えぇ!問題ないわアリシア!」


2人は、一気に機械人形たちにたたみ掛けていく。


『タダチ二排除…タダチニ排除…タダチニ排ジ……』


相手の機械人形が刀を振りかざす前に、アリシアの刀が機械人形の胸部を突き刺す。

機械人形の瞳の灯が消え、そのまま動かなくなる。


「言い忘れたけど、あたしたちはかなり強いよ!!」

「うふふ、機械人形さんたち覚悟しなさい」


『4号機、活動停止…』


絶体絶命と思われた時、突然現れたヒーローたちに驚きを隠せない人たち。

そんな中、彼女たちの見た目に見覚えがあった人がこうつぶやく。


「あの変わった服の子たち…もしかしてLA(ロサンゼルス)校の生徒なのでは?」

「え…?!あのアメリカの先技校の?でもここ日本だぞ」

「聞いたことがある。たしか唯一多国籍校のLA校では、世界各地を自由に行動できる先技校最強の主席チームが存在すると…」

「じゃあ…あの子たちは…?」


LA(ロサンゼルス)校…《ロサンゼルス先進技術学校》とはアメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスにある2020年開校の世界初の先技校。同じくアメリカにある《ニューヨーク最先端技術学園》、フランスの《国立パリ先進科学学院》、イギリスの《ロンドン新技術学校》、ロシアの《モスクワ国立特殊技術学院》、そして中国の《深圳先進科技学校》…全世界にある先進技術学校の中でもトップクラスの規模と実力が伴った人材が集まる6つの先技校、通称【6大校】の1つであり、その6大校の中でもずば抜けて大規模な学校がLA校なのである。


「その通りよ!あたしたちはLA校所属3期チームA!そしてあたしはそのチームAリーダー、アリシア・レーガンだぁっ!」

「ワタシはそのリーダーの右腕を務めるチームAメンバーの1人シャロン・フレッチャーよ!」


『タダチ二排除…タダチニ排除…』


「おおっと!気を抜いて戦っているわけじゃないよあんたたち!」


『2号機、活動停止…』


「ていゃっ!」


『1号機、活動停止……』


「あとはあんただけね」

『敵認識…人間ハ…タダチ二排ーーーー』


アリシアに斬りかかろうとした最後の機械人形は彼女に気を取られてしまい、その隙を見逃さなかったシャロンによって一刀両断される。


「ミッション完了ね!」


「「「「「おおおおおおおおおおおおおおっ!!!」」」」」


2人の活躍を称賛する大勢の歓声が駅構内に響く。

ぱちぱちと鳴りやまんばかりの拍手も送られた。


「ありがとうー!」

「かっこよかったよ!」

「本当助かったよ!」

「君たち強いね!!」


駅構内は2人のヒーローに


「いぇい!」

「うふふっ」


「アリシアおねえちゃーん!シャロンおねえちゃーん!」


ソラは元気いっぱいに駆けて、2人に飛びついた。


「「ソラちゃん!」」


「たすけてくれてほんとうにありがとう!二人ともすごくかっこよかったよ!!」

「こちらからも…娘を助けて本当にありがとうございました…」

「いひひっ!」

「どういたしまして」


「ソラもいつかおねえちゃんたちみたいになりたいな!」

「そっかそっか、応援しているよ!」

「あらあら~、道のりは大変だけどね」


「じゃあ、今度こそあたしたちはこれで」

「ソラちゃん、また会いましょうね!」

「うん!!」


2人は笑顔でソラに手を振りながら、駅の改札を後にした。


「いやー…ソラちゃん可愛かったなぁ」

「本当よね~。…ところでアリシア、さっきの機械人形たちのことだけど」

「あ、やっぱりシャロンもそう思った?場所もタイミングもぴったりであまりにも不自然すぎる…もしかして機械人形たちの本当の狙いはあたしたちだったのかな?」

「怪しいわね…。《例の機械人形》が日本にいるという情報と何か関連はあるのかしら?」


「…さぁ?でももしその通りなら、あたしたちの行動や目的、居場所がとっくにバレてるはず」

「始まって早々不穏ね」


「まぁ不安になってもしょうがない、ここで出来るベストの事をやるだけさ」

「はぁ…先が思いやられるわね~」


なんとかなるさといった感じの表情で笑うアリシアと軽くため息をつくシャロン。

茜色に染まる夕空を見上げながら、2人は下宿先へとゆっくりと歩いて行った。





「さてと……、アズマも《あの子》に会えたのかな?」


《つづく》※次回は8月24日公開です!!

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Comments

saymet

私たちアメリカ人が言うように That was text book. それは教科書でした。 (ミッションは完璧に行われました)

saymet

私はあなたの物語の訓練の2人の女の子がこのように訓練していると想像します。 Https://youtu.be/enwTApkJ0cc