幼なじみが俺で、俺が俺の妹で(24)『大晦日の朝』 (Pixiv Fanbox)
Published:
2025-01-17 02:02:33
Imported:
2026-06
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「今日で今年も終わりか……」
昨日と大差ない冬休みの朝だけど、十二月三十一日というだけで何か違って感じられるから不思議だ。
それにしても今年は激動だった。と思ってから、まだ終わりでもないと思い出す。
さすがに母さんも父さんも今夜は帰って来るはずで、つまり瑠璃が今日じっくり射精できるのはこの朝だけと考えられた。
俺は、好きな異性にして、『兄』であり『俺』である瑠璃を起こすべく、その部屋へ向かった。
*
「すごい年だったね」
朝風呂に入りながら、瑠璃がさっきの俺と似た感慨に耽った。
瑠璃の処理のために始めた習慣だけど、ブラインドを上げて外光が入る朝風呂は嫌いじゃない。
暑い夏には窓を開けることすらある。こんなことができるのは、土地が広くて隣近所の目を気にしなくていい田舎暮らしの特権だよなと思う。
「今年で終わりじゃないぞ。来年は一年中これだし、再来年も三ヶ月はこれなんだから」
向かい合って湯船に浸かる瑠璃に、俺は言うまでもないことを言う。
でも本当に、俺たちの関係はどれだけ変わってしまったんだろうと思う。
瑠璃と毎日一緒に風呂に入るようになるなんて、去年の俺には想像すらもできなかったのに。
「うん……もう九ヶ月経ったんだね」
瑠璃がしみじみと言う。
そこで俺は、何か引っかかりを覚えた。
「九ヶ月?」
「ん? 九ヶ月だよね? あれが四月一日だったから、ぴったり九ヶ月。厳密に言えば、九ヶ月には十何時間か足りてないかもしれないけど」
「……そっか。そうだよな。四月から十二月だから、何となく八ヶ月のように勘違いしてたけど」
「どうしたの?」
「……俺、射精を覚えたのが去年の八月の頭でさ」
「うん」
「……もう瑠璃の方が、俺より長く射精してるんだなあって、ふと気づいて」
二年間この状態は続くのだから、そのうち抜かれることは覚悟していた。でも、とっくに抜かれていたとは。
「え?! 八、九、十……」
瑠璃もやはり動揺してるのか指で数えていく。そして俺が八ヶ月弱、自分が九ヶ月ということは認めるしかなかったようだ。
「で、でも、回数は――」
「瑠璃の方がずっと多い」
俺も毎日射精していた。でも、俺は基本一回たまに二回だったのに対し、瑠璃は基本二回時々一回。
説明されると、それも瑠璃は否定できなかった。押し黙ってしまう。
でも、俺だって困る。
好きな女の子の方が、俺より俺のチンポで射精し慣れているというのは、どんな顔をすればいいかもわからない。
「わ、わたし、二年間しか男の子じゃないから。だから、元に戻ったらみっくんがすぐに追い抜くと思うから」
「だ、だよな」
だから俺は、瑠璃の言葉にすぐ乗っかった。
「さ、やるぞ」
「うん。お願いします」
いつもより神妙に応じた瑠璃のことがちょっとおかしくて軽く笑う。瑠璃も自分でおかしかったのか、笑い返した。
手を伸ばす。
最初のうちは、違和感が強かった。これは俺のものなのに、触っても触られた感触が得られないことに。瑠璃にこんなものがあることに。
でも、どんどん慣れてきた。
これは、今は瑠璃のもの。
俺は女で、瑠璃は男。
でも俺は、男だった時の感覚を助けに、瑠璃のことをちゃんと気持ちよくできている。それが誇らしくもなってきた。
「あ、っ……」
最近はますます息が合ってきた気がする。瑠璃の反応を読み取って、出そうかどうかを察知して、こんな風に直前で寸止めしたり。
「あんまり、焦らさないで……」
何度かやっていると、瑠璃にせつなそうな声で言われる。
「でも、こうした方がもっと長く気持ちよくできるだろ?」
普段の朝風呂じゃ、学校の時間があるからこんなに時間をかけていられない。
「…………うん」
その答え方は入れ替わる前と変わらない瑠璃の雰囲気で。でも答える声は春よりいくらか低くなった男の声で、『お兄ちゃん』の声で、俺の目の前には大きくなった背中があって、その男っぽくなった背中に女の俺はドキドキして。
いつものように情緒をぐちゃぐちゃにしながら、俺は終わらせた。
*
風呂から上がると、二人で夜の初詣に備えて支度していく。少し気が早いかもだけど、親の帰宅がいくらか遅くなるみたいだから、今のうちにできることは全部済ませてしまいたい。
俺が着る晴れ着は、なんと両親からのクリスマスプレゼント。しかも内緒に瑠璃の協力を取り付けてのことだった。
「うん、似合ってるよ」
初詣直前にドタバタしないよう、ひとまず試着。瑠璃が着つけをしてくれて、俺は生まれて初めて着た振り袖姿の自分を姿見の向こうに見る。隣で瑠璃が俺を見下ろしながら、本物の兄のように褒めてくれる。
自分でも、なかなか似合っていると思う。着物自体が朱色の地に華やかな花柄が咲き乱れるようでかなりきれいだし、『光莉』にマッチしていて可愛い。けっこうお高いと聞いているからかもしれないが。
「サイズ直しができるのって便利だよな」
最初は「もっと背が伸びたらどうすんだ」と思ったものの、着物はサイズ調整が利くという話だ。ある程度金はかかるみたいだけど、そこは親に甘えさせてもらおう。
「急に背が伸びたりしても、来年も着られるはずだよ」
「伸びたらいいな」
身長差が開きつつある瑠璃を見て、俺は言った。
「元に戻ってからになるかもね」
瑠璃は俺を見下ろして笑う。ちょっとこしゃくだ。
「そう言えば、さっき光莉ちゃんからメッセージが来たよ。この正月はこっちに戻ってこれるって」