沼に囚われる(JP) (Pixiv Fanbox)
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冒険者として異国の地を赴いてた彼女は、その道中不運にも盗賊たちに捕まってしまった。
抵抗もむなしく両腕を縛られた彼女は、森の奥深くに連れていかれる。
「一体何をするつもり?」
盗賊たちに問うも、残念ながら彼女には彼らの話す言葉が分からない。
どうやらこの国の公用語ではない、原住民の部族が使う珍しい言語のようだ。
「…ここは?」
やがて草木を抜けると、そこには一面開けた湿地が姿を現した。
目の前には桟橋らしき木の足場があり、彼女はそこに立たされる。
そして次の瞬間、突如盗賊の一人が彼女の背中を押した。
「ちょ!?」
ザブン!
森の中に音が響くと、彼女の両足は目下に広がる沼の中に沈んだ。
「ちょっとなにするの!」
彼女は振り向て後ろにいた盗賊を睨んだ。
だが、盗賊は彼女の抗議などいざ知らず、そそくさと仲間たちのところへ戻っていった。
「…え!」
そのとき、桟橋の近くに彼女は看板が立てかけられているのを見つけた。
そこに描かれていた文字は『危険!底なし沼!』。
つまり彼女は今、底なし沼に落とされてしまったのである。
「底なし沼って…!」
彼女は急いで足元に目を向けた。
足はブーツのはき口下3センチほどまで沈んでいるが、その周りに奇妙な現象が起きる。
ボコ…ボコ…
沼の中から微かに泡が湧き、弾けると彼女の足を泥で汚した。
そして彼女の足を放さない泥面が、じわじわとブーツを飲み込み始めていた。
「どうしよう、このままじゃ…」」
彼女は何とか脱出しようと、足を上げた。
しかし足は少し浮いたところで粘性の高い泥によって沼に引き戻される。
何度も試したが、泥面に波と気泡を立てるだけで、やがて沼は彼女のブーツを完全に飲み込んでしまった。
「なんで…こんな…!」
ふと彼女は振り向き、自分を捕らえた盗賊たちの様子をうかがった。
全員その場にとどまり、静かに笑みを浮かべながらこちらを見ていた。
どうやら彼らの目的は、沼に沈みゆく自分を見て楽しむことらしい。
「くっ…!」
助けを求めても彼らは応じない。
そう判断した彼女は、無駄と分かりながらも体を揺さぶり沼から抜け出そうとする。
だが沼は徐々に彼女を飲み込み、やがて腰の深さまで沈んでしまった。
縛られた両手の指先にも泥が付着する。
「どうすれば…!」
彼女の絶体絶命の状況に、沼と盗賊たちはあざ笑う。
果たして彼女は脱出できるのか…?
―――
彼女が沼に突き落とされて、どれくらいの時が過ぎただろう。
泥にまみれた口でじわじわと身体を飲み込んでいく怪物を相手に、彼女は食われまいと必死に抵抗していた。
しかし、そんな微かな抵抗すらも沼の食欲を促進させる調味料にしかならず、彼女はあっという間に沈んでいく。
既に彼女の身体は、胸の上あたりまで沼に浸かっていた。
「もう、ダメなの…?」
自分のケープを汚しながら泡立つ泥面を前に、一人弱音を吐く。
冒険者として勇敢であったはずの彼女には、もはや目の前絶望に立ち向かえる牙は残されていなかった。
そんな彼女をあざ笑うかのように、草むらの向こうからいくつかの視線が注がれる。
彼女を沼に突き落とした張本人である盗賊たちは、愉悦に浸り邪悪な笑みを浮かべていた。
ズブ…ズブ…
「はぁ…はぁ…苦しい…」
いつの間にか、泥面の高さは彼女の首元まで迫っていた。
彼女の美しい髪と顔は泥に汚され、既に沈んだ彼女の胸を泥が圧迫し呼吸を困難にさせる。
泥沼による食事がいよいよ最終局面に差し掛かった合図だ。
そしてついにその時が来る。
ボコ…ボコ…
「んん!!」
泥面が彼女の口を抑え込み、呼吸の術を奪いにかかる。
まだ鼻は無事だが、それも時間の問題でしかない。
鼻息を荒げながら、彼女は己の運命を悟り目に涙を浮かべた。
「ん…、んん!」
ザプン…!
そして、自ら敗北を認めるかのように、頭を沼の中に沈めた。
沸き立つ泥の泡が一瞬勢いを増し、緑の衣装を飲み込んだ泥面が波立つ。
だがそれもしばらくすると、何事もなかったかのようにやがて静かになる。
沼は彼女の身も心も見事に喰らい尽くしたのだった。
―――
腹の底の知れない泥の怪物に彼女の体は完全に引きずり込まれた。
苦しみの表情を浮かべながら、口元から気泡がこぼれていく。
足元には彼女と同じく、沼の犠牲者となった者たちの遺物が漂っている。
果たして彼女の運命はここで尽きてしまうのだろうか…。
―――
「…げほっ! げほっ!」
沼の畔にある平地から、口に入った異物を吐き出そうと咳き込む音が森へと響く。
そこには全身泥まみれで酷く消耗した状態の彼女がいた。
まだ立ち上がれるほどの気力はなく、地面に座り込みながら口内の泥をポーチから取り出した水筒の中の水で濯ぎ、なんとか洗い流していた。
「…私、沼に沈んだはずじゃ…」
あの時確かに彼女は、目の前に広がる底なし沼に完全に沈んだ。
だが今彼女は、なぜかその沼から脱出し生還している。
加えて彼女の両腕を縛っていたロープは、切断された状態で彼女が目覚めた場所のすぐ近くに落ちていた。
「どう…やら…気づい…た…よう…ですね…」
とその時、自分の状況に整理が追い付いていない彼女に、何者かが彼女に語りかけてきた。
彼女は声のする方へ顔を向けると、そこには自分と同じく泥だらけの骸骨が立っていた。
「アンデッド!?」
突然現れたモンスターに、彼女は臨戦態勢をとろうとする。
しかし彼女の警戒とは裏腹に、目の前のアンデッドは攻撃の意志を見せず、さらに言葉を続けた。
「あな…たも…落とさ…れた…」
その言葉で、彼女は目の前のアンデッドが何者か、自分がなぜ沼から生還したのか理解した。
アンデッドの中には、生前強い魔力を持ち、死の間際に強い未練や怨念を抱いたことで生まれる者がいるという。
このアンデッドは、おそらくあの盗賊たちの犠牲者だ。
沼に沈められて命を落としたが、この世への強い未練が残っていたためアンデッドとなってしまったのだろう。
そしてこれ以上自分と同じ盗賊による犠牲者を生み出さないために、沼に沈められた彼女を助けたのである。
「あなたが助けてくれたの?」
アンデッドはぎこちなくうなずく。
今や泥だらけの骸でしかないが、その顔には笑みを浮かべいるようにも思える。
「助か…って…よかっ…た…」
そう言い残すと、そのアンデッドは森の奥へと姿を消した。
しばらくして、なんとか体力を回復した彼女は、無事冒険者ギルドに帰還し盗賊たちのことを報告した。
これにより、近くギルド直属の冒険者たちで盗賊たちの討伐が行われることになる。
後日、彼女は再びあの沼の畔に訪れた。
もうすぐ自分はこの国を離れる。
その前に彼女は、あの日森の奥に消えた命の恩人にどうしても感謝を伝えたかったのである。
「助けれくれて、ありがとうございました。あなたのことは忘れません。どうか安らかに」
言葉が届いたのかは、彼女には分からない。
だがその時、沼の周りを漂っていた瘴気がかすかに晴れたような気がした。
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ということで以上が、クイックサンドの日(9/19)に投稿した絵を皮切りに始まった、オリキャラちゃんの災難(クイックサンド編)シリーズになります。
2年ぶりに投稿した作品で底なし沼の表現を上手く描けるか正直不安だったのですが、予想以上に国内外問わず大変好評いただいて嬉しかったです。
さて、製作の裏側的な話になりますが、今回は以下のようにいろんな表現の底なし沼の絵を描いてみました。
1枚目:1枚絵風
2枚目:漫画風
3枚目:沼に完全に沈んだ描写
4枚目:全身泥まみれ
個人的には3枚目の沈んだ描写はあまり見かけない表現だったので描いてみて新鮮な気持ちになりました。
描いた時間はそれぞれ1枚あたり大体2時間から4時間です。
こことは別の場所での話にはなりますが、2年間絵の練習(特に早く仕上げることに注力)してた成果が確かに出てると思います。
今回はたまたまお休みの日が近かったので1週間で4枚のハイペースで描きましたが、今後は週に1,2枚のペースでシリーズを更新したいと思います。
ちなみに1枚目のイラスト、1か所大きなミスがあったので後から修正してあるのですが、皆さん気づきましたか?
実は、『後ろで縛られた手が左右逆』になってたんです…。
イラストサイトやこの投稿で上げてるのは修正されてますが、Xで上げたのは画像の差し替え出来ないのでそのままになってます。
気になる人は見比べてみてください(苦笑)。
次は彼女に丸呑みを体験していただきます。
底なし沼とはまた別の表現になりますが、こちらも皆さんがご満足できる絵を提供できたらと考えてます。
いずれこのオリキャラちゃんについての設定画とかも公開したいですね。
その時はみんなでオリキャラちゃんを"楽しんで"ください。(ゲス顔)
それではまた。