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森に入った人が次々と消息を絶つという奇妙な森。

人探しの依頼を受けた彼女は、意を決してその森に入った。

大方盗賊かモンスターの類の仕業だと思っていた彼女は、武器を構えながら慎重に森の奥へと進む。

「……それにしても、この香りは何かしら?」

森の中には花の蜜のような甘い香りが漂っていた。

妙に心地よさを感じるその香りに彼女が気を取られていると、突如草むらの奥から何かが飛び出してきた。

「あ!」

彼女は咄嗟に防御の姿勢をとるが、飛び出してきた何かによって武器が弾き飛ばされた。

そして無防備になった彼女を何かが巻き付き、そのまま森の奥へと引きずり込んだ。

「これは……、植物の蔓?」

巻き付いてきたのは、植物の蔓のようだった。

彼女の両腕を胴に押さえつけるように巻き付き、さらにネバネバとした粘液を表面から滲み出し、彼女を拘束する。

「ダメ……、全然振りほどけそうにない……」

彼女は抵抗するも、全く身動きが取れない。

そうこうしていると、彼女は植物の蔓によってとある場所へとたどり着いた。

「これは、食虫植物……!」

そこにいたのは昆虫を栄養源とする食虫植物であった。

ただしその大きさは、虫を食べる小さなものではなく、人の背丈を超える大きな捕食袋を持っていた。

しかも一株ではなく、あちこちに群生している。

「こんなのギルドの情報にはなかった。まさか、これが人が消えた原因……?」

彼女がこの森の秘密に気づいたのも束の間、巻き付いた蔓は彼女の体を捕食袋の上へと近づけた。

そして彼女が絶好の位置に来ると捕食袋の蓋が開き、湯気のようなものが立ち上るとともに、甘い香りが彼女の鼻腔をくすぐった。

「この香り、この植物のものだったの?」

森に入った時から感じていた甘い香り、それはこの食虫植物が獲物をおびき寄せるための罠であった。

袋の中には甘い香りを発する粘液と共に、緑色の液体が底の方に溜まってぐつぐつと湯気を立ち上らせて泡立っている。

よく見ると緑色の液体には、生き物の骨のようなものが沈んでいることに彼女は気づいた。

「まずい、このままじゃ……!」

最悪の結末が脳裏によぎった彼女は、再び自分に巻き付いた蔓を振りほどこうとする。

しかし、植物は彼女の抵抗など気にすることもなく、ゆっくりと彼女の足を捕食袋の中へと下ろしていった。

「いや……、私溶かされちゃう……!」

食虫植物は容赦なく彼女を捕食しようとした。

だが彼女もただではおかず、唯一自由な尻尾を捕食袋の蓋と口の隙間に挟み込んだ。

「……止まった?」

必死の抵抗が功を奏したのか、彼女の体の下降は一時的に止まった。

腰あたりまで捕食袋に飲まれており、彼女の下半身は甘い香りのする粘液が付着している。

捕食袋に溜まる緑色の液体もとい消化液は彼女の足の下に広がり、その高低差は本当にわずかなものだった。

これで少しは時間稼ぎができたと安堵したその時、捕食袋から立ち上る湯気が勢いを増していることに彼女は気づいた。

そして再度捕食袋の中をのぞくと、消化液の嵩が増し、緑色の液面がさっきよりも上昇していた。

「まさか、さらに消化液を出しているの!?」

それは食虫植物が彼女の抵抗に対抗して出した策だった。

獲物が入りきらないのなら、消化液を増して無理やりにも捕食する。

食虫植物の執念ともいうべき習性だった。

「いや! やめて!」

彼女は目元に涙を浮かべながら、体を小刻みに動かし抵抗しようとした。

しかしそれも無駄に終わり、遂に緑色の液体が彼女の足を捉えた。

ジュー!

「いやあああ!」

足先から発する嫌な音に、彼女は悲鳴を上げる。

捕食袋の緑色の消化液は、彼女が履くブーツに触れると強い湯気を放ちながらその表面を溶かし始めた。

幸いにも冒険者用に作られた彼女のブーツは頑丈にできているため、すぐに消化液が彼女の足に触れることはない。

だがそれも、いつまで持つか分からない。

消化液は強力な酸でブーツを溶かし、さらにその量を増しつつある。

「くっ……!」

もはやここまでなのか?

彼女は涙を浮かべながら、ぎゅっと歯を食いしばった……。


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というわけで、支援者向けイラスト1作目は食虫植物でした。

実は一般公開で進めてるVOREのイラストを食虫植物にしようか迷ったんですが、あっちではカエルに食べられてもらいました。


さて雑談的な話になりますが、私は昔からウツボカズラみたいな植物のモンスターに食べられるシチュエーション好きなんです。

相手が植物なのが個人的にいいんですよね、このシチュエーション。感情が一切伝わらない感じが、絶望感漂うというか。

ただ、やっぱり普通にいろんな作品みてもなかなか見られるシチュエーションではないので、今回欲望の限りをオリキャラちゃんにぶつけてみました。

あとは消化の描写ですが、ブーツが湯気を出しながら酸で溶かされるというのも実はこだわりだったりします。

昔見た風の谷のナウシカで、酸の海にナウシカが足を浸けてしまうシーンがあったのですが、あれで何かが目覚めた気がしたので今回そのあたりが2枚目の差分に出てますね。


とまあ、このように今後も支援者向け記事では、個人的にグッとくる絵を全面に出していればと思います。

次回もお楽しみに。


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