『その微笑みは誰にも読めない』のおまけ (Pixiv Fanbox)
Content
Twitterの本ネタをまだ見ていない方は、先にこちらのリンクからどうぞ!↓↓↓
────────
「――それは、私よりですか?」
ジャーニーのその言葉は、とてつもなく冷え切っていた。誰だろうと返事に迷う程度には、鋭利で不穏な刃だった。
しかしトレーナーの答えは一瞬だった。
「いや、そんな訳ないでしょ」
「おや。即答ですか」
「迷う理由が分からない」
「……解釈によっては、オルを貶めているようにも聞こえますが」
ジャーニーは自分の発言を脳裏で反芻して、「なんて面倒な女なのだろう」と己を笑う。これでは無意味にトレーナーを加虐しているだけだ、とも。
ジャーニーは自身の下らぬ戯言を撤回し、謝罪を告げようとする――
「そんなつもりは……ああ、いや。……全く無い、とは言い切れないか」
――が、しかし。
トレーナーの答えが想定の範囲外だったことで、興味を惹かれたジャーニーは再び瞳を上げた。
「続きを」
「俺はジャーニーを担当してから、多分、うっすらと、ほんの少しだけ……全てのウマ娘を下に見ている。君の方が上だと、無意識に感じている」
「ふむ」
「だから貶めているっていうのは、あながち間違ってないのかも。……ごめん、あんまり褒められた感性ではないね。不快に思ったなら謝るよ」
その言葉を聞いたジャーニーは、くすりと笑う。
そして立ち上がると、トレーナーの背後に回って、うなじに鼻を近づけた。
「……これはこれは、随分と面白い変化だ。もしや私の匂いが、トレーナーさんに移ってしまったのだろうか?」
「どういう意味?」
「いえいえ。実は恥ずかしながら、私も貴方と契約を結んでから、他のトレーナーの皆様をほんの少しだけ――」
自分自身と、同じ香水の匂いがした。
「――いえ、これ以上は止めておきましょう。あまり褒められた感性ではないようですから」
Files
Previews only