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この作品は「冒色の性夢-11 学校に英国貴族と大和撫子」で、主人公が誘惑に流されてしまった場合のIFルートを描いたものです。


インフィニット・ストラトスと篠ノ之箒とセシリア・オルコットのタグがあるのは、今回登場する女の子の外見のモデルになったからです。あくまで外見だけを参考にしているので、人格や話し方といった他の要素は取り入れてません。ご了承ください。


篠ノ之箒とセシリア・オルコットってどんな娘たち? って方は参考までにこちらをご覧いただければ。


話の流れをわかりやすくするため、途中までは正規ルートと同じ文になっています。


それでは、ごゆるりと……。








ルール


勝利条件:

 勇者が淫夢の世界から脱出すること


敗北条件:

 射精。一度でも出したらアウト。

 射精→理性崩壊=現実世界への帰還が不可能に。


特殊条件:

 サキュバス側から勇者を能動的に射精させることは無い。

 勇者は射精したい場合、自分から女体に溺れなければならない。


 ↑勇者が作為的に女の子とキスすると、女の子はルールの縛りから解き放たれる。勇者が女の子からのキスをわざと避けなかった場合も同様。


他に判明している情報:


・この淫夢の世界に出る女子の容姿は、勇者が見聞きした創作物のキャラクターの外見を借りた偶像である。外見だけ借りているので中身は元の創作物通りではない。


・全部で13回の誘惑をかわせば淫夢は終わる。あと3回。








 淫夢の世界の女の子は、逃げることが物理的に不可能な誘惑はしない。


 僕が言い訳の余地なく自発的に女に溺れる展開を狙うゆえか、一見ピンチのような状況に陥っても、必ずどこかに脱出の余地がある。


 誘惑に勝てる選択肢が存在する状況下で、それでもなお僕が誘惑に堕ちる展開を淫夢の世界はお望みなのだ。


 これは今までの経験から僕が感じた誘惑攻撃の傾向だ。




 女に溺れるか、否か。二択を秤にかけるタイミングが必ずある。


 このタイミングを付け入るスキとして見逃さず突いてきたからこそ、僕は今まで生き残ることができた。


 前回の誘惑は二人がかりだったが、人数が増えても要領は同じだ。誘惑に流されず、相手が用意した脱出ルートをなぞるだけ。




 まぁとどのつまり、自分から女の子に溺れさえしなければ勝てるのだ。


 言葉にすれば単純だが、言うは易く行うは難し。


 特に今の僕にとってはいつも以上に難しい。




 まず、ここまで生き残った以上は当然だが、僕は誘惑美女をみずから抱いて射精まで至ったことは一度も無い。


 加えて『女の子は僕を能動的に射精させてはならない』ルールが、僕にラッキースケベでの暴発みたいな不可抗力の射精をできなくしている。


 なにより、最初の満員電車ステージで確認した自慰行為による射精の無効化は、とうとうラストダンジョンたるこの学校ステージでも変わらなかった。




 結果、この淫夢の世界で一度も射精していない僕の肉茎は、性欲が鬱屈して硬く勃ちあがってしまっていた。


 こんな隆起した肉棒で、どいつもこいつもナイスバディの出揃う誘惑美女に鉢合わせたら、当然ながら大ピンチだ。


 なので、少なくともどこかの教室に隠れて休むなりして、勃起を少しでも収めてから次の誘惑美女に会うのが望ましい。


 の、だが。






 十分な休みを取る前に、僕は出会ってしまった。


 片手に鍵をつまみ、これみよがしに見せながら手招きする誘惑美女に。




「……ついてこい、ってこと?」




 僕の確認に、目の前の彼女は艷やかに微笑みつつうなずいた。


 こちらが万全でない状況下で、敵との遭遇。


 窮地への怖気と快楽への期待がない交ぜになり、僕は股間が震えた。






 * * *






 屋上での誘惑美女との攻防を終えたところまで、時は遡る。


 階段を二階分降りて五階へ。適当な教室に入り、席に座る。




「……はは。毎度、こんなのばっかだなぁ」




 今までの窮地だらけの経緯を振り返って僕が愚痴をこぼした、そのおよそ三秒後のことだ。


 突然だった。




 ダカダカダカダカッ!


「ッ、足音!?」




 慌ただしい響きを耳にし、とっさに僕は机の下に隠れた。


 その判断は正解だった。机に隠れた直後、何者かが教室に入ってきたのだ。




「ッ――!」




 机の下からの眺めゆえ、招かれざる客の正体は足元しか見えない。


 ただ、ふくらはぎの肉のつきかた、着ている靴下のデザインから、侵入者は女の子だということはわかった。


 この校舎内で、淫夢の世界で僕が出会う女の子といえば誘惑美女だ。それ以外の可能性など存在しない。




 となるとここで一つ、僕に大きな問題が立ちはだかる。




「ひどいな。会うタイミングが早すぎる……!」




 前回の誘惑との戦いを終えてから、体感で二分弱。間隔が短い。


 ホテルステージのときは一戦ごとに十分前後の休憩がもらえたものだが、今回はわずか二分。五分の一とは恐れ入る!


 僕の肉棒は前回の誘惑に耐えたばかりで硬く隆起していた。当然ながらわずか二分の休憩で静まるはずもなし。




 今の状態で誘惑美女と向き合うのは危ない。


 そう判断して逃げの一手を打つことにした僕は、誘惑美女に見つからぬようほふく前進で進みはじめた。


 物音をたてないように。姿勢を低くして、あわてないで。




 教室の出入り口たる引き戸は二つある。片方は僕から遠く、しかも誘惑美女が近いからそちらに行くのは論外。


 一方もう片方の出入り口は僕に近い上、開けたままの状態にしてある。引き戸の開閉で音を立てる心配は無用だ。


 僕はほふく前進でゆっくりと、教室内の誘惑美女に見つからないまま、教室の中から廊下に出ることができた。




 なんとか逃げおおせた。あとは教室から遠くに離れるだけ。


 ……そう安堵して、僕は逃げ続けられたのだろう。


 だがそれは、この場にいる誘惑美女が一人だけだったらの話だ。




「……!」




 ほふく前進で教室を出た直後。


 すぐ左にスカートを履いた乙女の両脚があるのを僕は見つけてしまった。




「待ち構えていたのか……」




 逃げることをあきらめ、僕は立ち上がり、左を向く。


 教室の出入り口は二つ。うち一つは誘惑美女が閉鎖ずみ。


 となれば、目の前のもうひとりの誘惑美女にとって待ち伏せはたやすかったろう。彼女には僕の逃げ道がわかっていたのだから。




「――――」




 高貴な雰囲気を漂わせる西洋の美少女だ。


 毛先を縦ロールに整えた、腰まで届く長い金髪。頭に付けた青いカチューシャが彼女の碧眼と同色でよく似合う。柔らかな面差しには余裕と気品が同居していて、英国貴族だと名乗られても普通に納得しそうな高貴さが伺える。


 着ている服は白を基調としたワンピースジャケットの変わった学生服。スカートに付加されたフリルが高貴な魅力を二割増しにしている。体型はやや小柄ながらも豊満な丸みを帯びていて、美少女なルックスも相まって蠱惑的なものを感じざるを得なかった。




「……うぅ」




 眼前の少女に見惚れてしまったのを恥じ、僕は目をそらす。


 どうやら誘惑美女が二人なのは前回が特別だったのではなく、この学校ステージにおける普遍的な仕様のようだ。


 目の前の貴族っ娘は立ち姿だけで抱きしめたくなる欲を刺激する。となれば、僕を追って教室に入ってきた慌ただしい娘も彼女と同等、あるいはそれ以上に官能的であることが予想できる。




 そんな二人に、欲情が抜けていない固い肉棒でどう立ち向かうか。


 難題に頭を悩ませる僕に、貴族っ娘は首をかしげると。




「――ッ!」




 彼女は懐から銀の鍵を左手に取り出し、右手で僕を手招きしてきた。


 鍵には『第一体育館 #2』と書かれたシールが貼られている。


 ラスボスに続く第一体育館の三つの鍵、その二つ目。




 僕がシールの文字列を目にした後、彼女はきびすを返して歩きだした。


 三歩だけ歩いて振り返り、再び鍵を見せて手招きをもう一度。




「……ついてこい、ってこと?」




 僕の問いに、貴族っ娘は肯定の意がこもったまなざしで返答した。


 そして彼女は再び歩きだす。今度は振り返らない。


 僕は誘いに乗ることにした。ここに居ても、もう一人の誘惑美女に見つかるだけだ。


 今ならもう一人はまだ教室内にいる。気づかれないよう静かに歩く。




「それにしても。……やばいなぁ。欲情が今までで一番ひどい」




 下を見ると、硬く勃ちあがったペニスが女体を求めて疼いている。


 貴族っ娘の後ろを歩く今も、僕は彼女を襲いたい衝動に駆られないよう必死だ。




 今は精神の均衡を保てているが、もし誘惑美女の豊満な躰と密着でもしようものなら、一巻の終わりと考えたほうがいいかもしれない。






 * * *






 踊り場という言葉をご存知だろうか?


 折り返し階段――上り下りするとき、上から見れば動線が∩の字を描く間取りの階段に存在する、階段途中の床のことだ。


 建物の階段を登る途中で、幅の広い平らなスペースを歩いたことは無いだろうか? 踊り場という言葉はまさにそのスペースを意味するのだ。


 学校の踊り場では大きな鏡が、俗に言う姿見が飾られることもあり、七不思議エピソードの題材になっていたりする。


 閑話休題。




 僕は今、その踊り場に来ていた。


 貴族っ娘と一緒に歩いた末、三階から二階に降りる途中で止まった。


 三階と二階の中間、いうなればここは二・五階だ。


 僕から見て左には上り下りの階段があり、前の壁には姿見が飾られている。





 鏡と僕の間には、ここまで案内役をつとめた貴族っ娘がたたずんでいた。


 左手に持っていたラスボス行きの鍵は、今は手元に無い。


 おそらく、いや十中八九、貴族っ娘は体のどこかに鍵を隠している。歩く途中、彼女が鍵を持つ手を自分の胸元にやったのを僕は見逃さなかった。


 後ろから見たゆえ、貴族っ娘の背中が鍵を持つ手の陰になって、彼女が鍵を隠した正確な位置まではわからないが。




「色仕掛けなら、小物を隠す場所は胸の中ってのが定番だけど……」




 指をあごに当てて僕が考えを巡らせた、その直後。




「ん?」




 立ち止まったまま動かないでいた貴族っ娘が、動いた。


 彼女は僕に背中を向けると、ワンピースジャケットのスカートを両手でつまんだ。


 そして一歩前に進み、姿見に自分の姿を映すと、鏡越しに僕を艷やかな流し目で見つめながら、




「たくしあげ、か……!」




 スカートを両手で上にゆっくりと上げて、僕に自分の下着と太ももを披露した。




 令嬢然とした綺麗なデザインの薄いピンクのショーツが、形の良い尻と太ももを可愛らしく、かつ艷やかに彩る。


 普通の男子高校生なら赤面しつつ目をそらすか、あるいはダメだと思いつつもショーツを凝視してしまうか。


 どちらにせよ、僕は理性を乱されていただろう。……淫夢の世界で味わった淫らな体験が無かったら。




「なんというか、うん。普通の色仕掛けというものをようやく受けた気がする」




 不可抗力の形でこちらに密着してきたり、寸止めの性技を味あわせたり、媚薬ガスの副作用で体が勝手に動いたり。


 形は違えど、今までの誘惑は往々にしてスキンシップが激しすぎた。


 それらに比して、貴族っ娘のスカートたくしあげという視覚だけに訴える誘惑は異端だ。




 過去の経験に無いという新鮮味はある。


 けど、艷やかなのは眺めだけで、スキンシップが無いのがもどかしい。


 鏡越しに向けられる濡れたまなざしに挑発され、僕の中に彼女の背中を抱きしめたい欲が湧き上がる。


 相手からしないならこちらからシタい――そんな劣情が、僕の体を疼かせてくる。




「って。本来それが誘惑のあるべき形なんだけど……ん?」




 僕は訝しんだ。貴族っ娘が動かなくなっている。


 スカートをたくし上げてショーツと太ももを露わにしたポーズで、僕に背を向けたまま、微動だにしなくなった。


 動かない。ポーズを維持したまま動かない。


 かろうじて動くのは呼吸による体の反応、そして視線と表情ぐらいだ。




 その彼女の表情が鏡越しに、艷やかに僕に微笑みかけた。


 まるで、私から魅せるのはここまでですわ、とでも言うように。




「えーと……。ここからは僕の方から君に触れてみろってこと? 鍵が欲しいなら身体検査して奪えってことでいい?」




 僕の確認に貴族っ子は満足げにうなずいた。どうやら正解らしい。




 だいぶ前の話だが、満員電車ステージで似たパターンがあった。


 誘惑美女の体をまさぐり、彼女が隠し持つ鍵を奪う局面。


 この誘惑攻撃の厄介なところは、耐えきるにせよ堕ちるにせよ、僕から能動的に女体に触れることが避けられない点にある。




 肉欲が抜けきっていなくて異性との接触を避けたい所に、貴族っ娘は堅実に、僕が一番イヤな手を打ってきたというわけだ。




「厄介だなぁ」




 一言だけ僕は愚痴をこぼしたが、誘いに乗らない選択肢は無い。


 ぐずぐずしていると教室で僕を追い回したもう一人の誘惑美女が来る。ここで貴族っ娘の意向に不平を言って時間を浪費するのは悪手だ。




「それじゃあ、失礼……」




 僕は貴族っ娘の背後に立つと、まず彼女の制服のポケットを探っていくところから身体検査を初めた。




「やっぱり、見える所のポケットには無いか。って、くっつこうとしないで!」




 ワンピースジャケットの腰回りのポケットに片手を突っ込んでみたが、鍵の金属質な手触りは無い。


 その確認の間、貴族っ娘はスキあらば僕を籠絡しようと体を押し付けたり、尻を突き出して下半身を密着させようとしたりしてくる。


 今でも彼女は自身の太ももで僕の肉棒を挟んでしまおうと、内股を開いて腰の位置取りを調整し、ハサミのごとく脚を閉じて――




「ダメだったら!」




 太ももが閉じきる直前、僕は腰をひっこめて官能をかわした。


 淫夢の世界の経験上、誘惑美女は立ち素股を行う傾向が強い。僕としては要警戒の性技だ。かわせるなら無論かわす。


 鏡越しに見える貴族っ娘の表情は子供っぽく拗ねていて悔しそうだ。涙目で、ちょっとかわいそう。




「……情けをかけるのは禁物だ」




 自分に言い聞かせて、僕は慎重に貴族っ娘の身体検査を続ける。


 一見、ここまで僕が貴族っ娘にイニシアチブを握っているように見えるかもしれないが、実のところいっぱいいっぱいだ。




 キスによる『女の子は僕を能動的に射精させてはならない』ルールの解除を狙われないよう、僕は背後から貴族っ娘に触れている。


 当然ながら、位置関係ごときで貴族っ娘の豊満さは変わらない。


 ワンピースジャケットの繊維がこちらの肌にこすれるたび、服ごしに乳房や腰つきの豊かな気配が伝わってきて、気が狂いそうだ。




「ううぅ……!」




 うめき声が僕の口から漏れる。動物的な欲求を我慢するのが辛い。


 依然として貴族っ娘はスカートたくし上げのポーズのまま大人しい。押してダメなら引いてみろ、の作戦だろうか。




 ちなみに暴力の類はダメだ。淫夢の世界は本来なら僕のような平凡高校生ではなく、異世界の勇者を仮想敵としている。暴力に訴えて鍵を奪おうとしたら最後、反撃が恐ろしくなることは想像がつく。




 だから僕は……性欲を我慢する僕にニヤニヤ薄笑いを浮かべる貴族っ娘に、ムカつきつつも非暴力で鍵を奪おうとしているわけだが。




「む。もう、服の外側はあらかた調べ終えちゃったか。となると……うへぇ」




 避けられない次の方針が頭によぎって、僕は顔をしかめた。


 服の外側のすべてのポケット、隠しポケットや二重ポケットの存在、あらゆる可能性を考慮して身体検査をした結果、服の外側に鍵は無いと僕は判断する。




 外側に無いとなれば、内側を調べるしかなくなる。


 今までずっと調べるのを避けていた――服の、内側を。




 貴族っ娘は鏡越しに僕へ艷やかな笑みを贈りながら、片手でスカートをめくりつつ、もう片方の手で僕に手招きしている。




「そちらはいつでもウェルカムってか……ええい、ままよ!」




 僕は前に腕をめいいっぱい伸ばした。


 身体検査で貴族っ娘に触れる際、すこしでも体と体の距離を離すために。


 伸びきった腕を貴族っ娘の脇の下から通して、背後からおそるおそる、僕は彼女の胸元に触れた。




「ううっ。思ったより大きい……!」




 指先からたゆんと実った肉質が伝わってくる。華奢な体格ながら、乳房の存在感は常人のそれではない。


 俗に言うトランジスタグラマーというやつか。やや小柄ながら出るところの出た、抜群のプロポーションだ。


 このまま、なにもかも忘れて貴族っ娘にしがみついてしまいたい――そんな欲求を振り払い、僕は身体検査を続けていく。




 調べるのは服の内側だ。貴族っ娘のワンピースジャケットの下襟を掴み、おそるおそる外側に開けていく。まずは右側から。




 と、ここで予想外の眺めが僕に襲いかかる。


 ジャケットの右側を開けて、ぶるんと揺れた貴族っ娘の右の乳房。


 そこに、本来あるべきはずのものが無かった。






「の、ノーブラ!?」


 あろうことか、ブラジャーがついていなかったのだ。






 白い肌が描く綺麗な丸み。


 桜色に輝く乳首の突起。


 下着に守られていない、無防備な乙女の乳房。






 官能の眺めを不意打ちで魅せつけられ、僕は理性がグラつく。


 あるいは、理性がグラつく程度で済んだとも言えるか。もし手触りのみならず体すべてで密着しながら今のノーブラを見たら、アウトだった。


 欲情と緊張、両方の意味で心臓が高鳴る。鏡に映る自分の顔が真っ赤になっていた。


 それでも鍵探しの身体検査をやめるわけにはいかず、ジャケットの右の次は左を脱がせようと、僕が左襟をめくったとき。






「ん?」


 一瞬、鏡に銀色の輝きが見えた気がして、僕は二度見する。


 貴族っ娘の左乳首あたり、ジャケットの下襟の陰に鍵が見切れていた。


 見つけた。貴族っ娘の鍵の隠し場所は、ジャケットの左襟の裏側だ!




「ああもう。結局、胸元か! 色仕掛けの定番通りかい!」




 こんなことなら躊躇せず、はなからジャケットを脱がせればよかった。


 必要以上のタイムロスを自覚して僕は歯噛みする。


 とはいえ、鍵の隠し場所を暴いたことに変わりはない。これで僕は一気に貴族っ娘に優位に立った。




 その証左に、貴族っ娘は左胸に隠した鍵が見つかったことに動じたのか、冷や汗たらして苦笑いしながら鏡越しに僕を見て――






「……えっ」






 貴族っ娘は、僕を見ていなかった。


 鏡に反射する視線が僕からわずかにズレている。


 僕ではなく、僕の後ろにいる人物を見ていたのだ。






 教室で僕を追い回した、もうひとりの誘惑美女。


 知らぬ間に彼女は現着し、僕と貴族っ娘の後ろにいた。


 肩を震わせながら向けられる悔しそうな眼光。その異様な威圧感に、僕も貴族っ娘も固まってしまった――






 * * *






 大和撫子。


 そんな言葉が、僕の脳裏によぎった。




 実際その言葉は、もう一人の誘惑美女に似合うと思う。


 意思の強さを感じさせる力強い黒瞳。リボンでポニーテールにまとめられた、腰まで届く黒の髪。余分な飾り気のない顔立ちは美麗かつ凛々しくて、研磨された刀のような清らかさが漂う。


 ただ、清らかだからといって彼女に色気が無いと言ったら大間違いだ。引き締まった躰は抱いたら柔らかそうで、むしろ色っぽい。特に凄まじいのが胸で、はだけたジャケットから見える乳房は揉んだら指が何本でも食い込みそうで――




「って、ちょっと待った! なんで学生服を脱ごうとしているんだ!?」




 鏡に映る大和撫子、彼女が胸をはだけるのを見て僕はツッコんだ。


 数秒前まで貴族っ娘と同じワンピースジャケットを着ていたのに、今、大和撫子はジャケットの襟元を豪快に開けたのだ。




 半脱ぎとなった胸元から、ノーブラの豊満な乳房が露わになる。


 ブルン! と、下着の無い二つの双丘が大きく揺れる。


 鏡に映る大和撫子の悩ましい色気の爆弾を、僕はモロに視界に焼き付けてしまった。




「う、うわぁっ……す、すご……♡」




 単純なバストサイズは貴族っ娘より上かもしれない。


 視界に飛び込むたわわな乳房に僕は釘づけになる。


 そんな僕に大和撫子はほのかに赤面して恥じらいながらも、一瞬だけ、表情に得意げな笑みをうかべた。


 すると。




「え?」




 正面の貴族っ娘が振り返って僕に向き合ってきた。


 必然的に、鏡には貴族っ娘の後ろ姿が映る。


 そして僕の正面の貴族っ娘は拗ねた目でこちらを睨むと、細い指先を僕の顔に這わせ、弱い力で抱き寄せてきた。




「なんでスネて、……ッ!?」




 ゆっくりと目を閉じて、貴族っ娘は唇をすぼませる。


 触れるか触れないかの距離に、貴族っ娘の艷やかな唇が迫ってきて――




「わぁっ!? ダメダメダメ~!!」




 反発する磁石のように僕は貴族っ娘から飛び離れて、キスを回避。


 あやうく『女の子は僕を能動的に射精させてはならない』ルールが解かれるところだった。




 少女を振りほどいてバックした僕だが、今度はもう一人の少女に捕まった。


 大和撫子は僕を受け止めるとそのまま背後から抱きしめてきた。首に手を回し、力任せに僕を締めつける。




「ぐ、ぐるじッ! ちょ……ストッ……!」




 これはハグじゃない、首絞めだ! 僕は相手の腕を手で三回叩いた。


 背中に豊満な胸が強く密着しているが、それどころじゃない。


 僕がタップしたことで大和撫子は自分が首を極めていたことに気づき、慌てふためいて僕を腕の中から開放した。




「ゲホッ、ゲホッ! けほっ、ふぅ、ふぅ」




 咳き込んで息を整える時間が許されたが、それは数秒のみ。


 僕の無防備に付け入り、またもや貴族っ娘が僕を抱き寄せてきた。


 かと思えば大和撫子がまた僕を引き剥がし、力まかせのハグに僕が苦しむ所を貴族っ娘がまた抱き寄せ、その繰り返し。




「め、目が回るううぅぅぅッ!」




 めまぐるしい争奪戦の様相に呑まれながら、僕は理解した。


 どうやら連携のとれていた前回の誘惑美女コンビと違い、今回の誘惑美女ふたりはライバル関係にあるようだ……。






 * * *






 大岡裁きという有名な昔話がある。


 我こそが母だと親権を争う二人の女に、奉行が子供で綱引きをさせる話だ。


 昔話では痛がる子供を案じて手を離した女こそが親にふさわしいと決着するが、この場ではどうか?




「目が回るってッ! ストップ、ストップうぅぅ~!」




 残念。いくら僕が嫌がっても止まらない貴族っ娘と大和撫子の両者に、同じロジックが通じるとはとても思えない。


 ちなみに現在、二人の少女は僕を独占するべく争っているが、僕にとって一番怖いのは二人が手を組むことにある。




 大和撫子は武道でもやっているのか妙に力が強く、彼女の抱擁から僕は抜け出すことができない。だがどうやら性的な技巧には疎いようで、彼女の首絞めハグは快楽を台無しにしている。


 対照的に貴族っ娘は色仕掛けの手練手管に詳しいようで、スキあらば僕を快楽で堕とそうとする。だが力は強くない。


 大和撫子は力、貴族っ娘は技。この二人は互いの苦手をカバーできる関係だ。


 この淫夢の世界には『女の子は僕を能動的に射精させてはならない』ルールがあるとはいえ、両者が手を組む光景を僕は見たくない。




 なので急いで鍵を手に入れてこの場から逃げたい所だ。


 となると、問題はその鍵が今どの場所にあるか。




 大和撫子と貴族っ娘が僕の身柄の取り合いに興じる中、かつて貴族っ娘の胸元にあった鍵は位置を変えていた。


 取り合いの中でずり落ち、鍵は服の腰部分に引っかかっている。落ちそうで落ちない、極めて絶妙なバランスで。




「鍵さえ手に入れることができれば……って、ぐえーっ! ぐるじいっ」




 背後から大和撫子が力任せに抱きついてくる。もとい首を締めてくる。


 よほど僕を目の前の貴族っ娘に渡したくないらしい。


 しかし、だからといって首を締められるのは非常に困る。僕は彼女の腕をタップして、こちらが苦しんでいることを伝えた。




「けほっ! はぁはぁ」




 不服そうに口を結びながらも、大和撫子は僕の首を放した。こちらが嫌がればちゃんとやめてくれる点で、彼女は素直だ。


 さて、問題はここからだ。




「そろそろ、鍵を……うわっ」




 大和撫子から引き剥がされ、また僕は貴族っ娘に抱き寄せられる。


 もう何度目かもわからない局面に、僕は変化を付け加えた。


 今まで僕は官能を伴う接触を避けるために両手で股間をガードしていたが、今回は右手だけだ。




 左手は防御ではなく攻撃に使う。


 貴族っ娘のはだけたジャケット、その腰回りで引っかかった銀の鍵。


 そこを狙って僕は左手を伸ばし、服の内側に指を侵入させる!




「――ッ」




 柔肌や服の手触りの中から金属質な感触を探し、見つけたらすぐに指で掴む。この間、わずか一瞬。


 僕が貴族っ娘のジャケットから左手を離したときには、手応え十分! 銀の鍵をきっちり左手に握っていた。




「獲ったッ――」




 我ながらあざやかな早業だった。僕はスリの才能があるのかも。


 そんな戯けたニュアンスの考えを、一瞬だけ僕は抱いた。


 ほんの一瞬だけだ。油断と呼ぶには短すぎる考え事。




 だが貴族っ娘は、知ってか知らずか、その一瞬を突いてきた。


 股間をガードする僕の右手。その位置を、脇の間に腕を通すことでずらす。


 さらに貴族っ娘はもう片方の腕も僕の脇の下を通して、背中に腕をまわして僕を抱きしめ、内股を開いて肉棒に跨った。




「――え?」




 下半身を見て、自分のピンチを僕が自覚したころにはもう遅い。


 すでに貴族っ娘は僕を抱きしめながら、スカートの下でキュッと生脚を閉じていた。


 よって、僕は。






 ぎゅぎゅうぅぅぅぅぅ~~~ッ♡♡


「!!!」


 下半身の自分の分身を太ももに挟まれながら、トランジスタグラマーの豊満な女体と深く密着してしまった!






「う、うわあぁぁぁぁぁーーっ!!」


 快楽の荒波に理性を揺らされ、僕は絶叫する!






 今まで意識しないようにしていたが、前回の誘惑から休憩ほぼ無しで連戦、さらにここまでの性欲の我慢もあり、僕の股間は崖っぷちだ。


 体が官能を伴う異性との接触を欲してやまない所に、肉厚な太ももにペニスを挟まれて、嬉しくないわけがなかった。




 しかも抱きつかれているゆえ、貴族っ娘の魅力を間近に感じざるを得ない。


 見た目と手触りで僕を悩ませたノーブラの豊満な胸が、今は僕の胸板に深く密着して、より強く性欲を煽ってくる。


 初見で僕が思わず見惚れた金髪碧眼の高貴な顔立ちは、間近でこちらを上目遣いで見てきて、淫らな欲求を助長していた。




「や、やばいぃーーッ♡♡」


 気持ちいい!

 きもちいい!!

 キモチいい!!!




 思考が快楽に蕩けていくのを自覚し、僕は悶える。


 抱き返して、キスして、自分からも腰を振ってしまいたい。


 そんな欲求が津波のように押し寄せてきて、僕は――




A. もう我慢できない♡ ラスボス行きの鍵なんか捨てて、誘惑に溺れたい♡


B. それでも鍵は手放さない。今すぐに逃げる!






A. もう我慢できない♡ ラスボス行きの鍵なんか捨てて、誘惑に溺れたい♡






「もう、ダメッ……♡」




 とうとう、僕は自分の限界を悟ってしまった。




 一般人としては、むしろ今までよく善戦した方だと思う。


 異世界の勇者の籠絡を任されるほどの誘惑美女たちに、13回中、なんと10回もの誘惑に勝ったのだ。


 恥じることはない。十分、自分を褒めていい戦績だ。


 そのささやかな誇りを胸に秘めたのを最期に。




「キスッ♡♡ ちゅーッ♡♡」




 自分の意思で貴族っ娘の背中に両手を回して、上目遣いの彼女の顔に自分の顔を近づけ、そして。






 カラン、カランと、金属質の小さな音が鳴って。


 ラスボス行きの鍵が地面に落ちた音がしたのと、ほぼ同時に。






 むぎゅうううぅぅ~~っ!!


 んちゅううううぅぅ~~っ!!


「ん、んんん~~~~~~ッッッ♡♡♡」


 僕は貴族っ子と抱き合いながら、深い口づけを交わしてしまった。






 金髪から鼻孔をくすぐる女の子の芳醇な匂い。


 小柄ながら出るところの出た豊満な躰を抱きしめている実感。


 なにより、こちらは自分本位に醜くがっついているというのに、相手が拒むどころか抱き返してくれる事への喜び。




 ぎゅうううぅぅ~~っ!!


 んちゅっ♡ れろっ♡ ちゅ~っ♡


「んんッ♡ んんんッ♡ んんん~~~~~~ッッッ♡♡♡」




 抱き合い、口内で貴族っ娘と舌で絡みあいながら、僕は思う。


 ああ、どうして今までもっと早くこうしなかったんだろうと――!




 んちゅっ、……ちゅぱっ。


「んんっ♡ ぷはぁっ♡ はぁ、はぁ♡」




 酸素を求め、僕と貴族っ娘は唇を離した。


 名残惜しげに唾液の糸が互いの唇を繋ぎ止める。


 その淫らすぎる光景にうっとり見とれていた時、僕の身に信じがたいことが起きた。






「え?」


 どぴゅっ。ぴゅっ。


「う、うそ。ちょっと、出しちゃった……」






 ほんの少しではあるが、僕は射精してしまったのだ。


 一瞬、確かに股間からの放出感があった。


 鏡に映る貴族っ娘のお尻、きつく閉じられた太ももの間から、僕が出した白い体液がわずかに垂れていた。




「暴発? けど、まさかキスで……って、うわっ!?」




 後ろから引っ張られ、恍惚でなかば夢うつつだった僕の意識は我に返る。


 貴族っ娘の虜になったあまり、もう一人の誘惑美女から注意がそれていた。


 背後から大和撫子が僕を抱きしめてきたのだ。




 鏡に映る彼女の顔は悔しそうに口を結んでいた。


 ただ奇妙なことに、大和撫子から今までのような闘争心を感じない。なにか一つの決着がついたような、負けを認めたような潔さがある。


 少なくとも今までと何か違うのは確かだ。その証拠に、




「首絞めを、してこない……?」




 独占欲の表れだった首絞めハグを、今の大和撫子はしていない。


 首ではなく脇をかかえて、僕を羽交い締めにしている。


 まるで僕の動きを封じ、抵抗できなくするように。




 もしかして貴族っ娘と大和撫子という誘惑美女のライバル同士は、僕への誘惑で勝負するにあたって事前に勝利条件を取り決めていたのでは?


 たとえば、最初に僕にキスさせた方が勝者として先に僕を搾精し、後回しになった敗者の少女はそのあいだサポートに徹するとか。


 大和撫子に抱えられながら、そんな推測を僕が立てていた時。






 ぞくり、と。


「うっ!?」


 僕の背筋を、撫で回すような悪寒が走り抜けた。






 身動きの取れない僕の正面に、貴族っ娘が立ち止まっている。


 唇をほころばせ、妖艶な流し目で僕を見ていた。


 恐るべきことにその微笑みは今までからケタ外れに艶かしく、僕の欲情を強制的に掻き立ててきた。




 たぶん、ここまで貴族っ娘が豹変したのは僕が彼女にキスしたからだ。


 キスによって貴族っ娘と大和撫子から、ある制限が無くなったのだ。


 この世界の『女の子は僕を能動的に射精させてはならない』ルールは、僕のキスで例外の条件が満たされ、もう適用されていない!






「お、おかされる……」


 恐怖と期待をない混ぜにして僕がつぶやいた、その直後。






 背後から大和撫子に抱えこまれている僕に、貴族っ娘は首の後ろに手を回し、改めて抱きついてきた。


 ぎゅぎゅううぅぅぅぅぅぅ~~~ッ♡♡


「あああぁぁ……ッ!」






 前後から密着する豊満美少女たちの濃密な感触に、僕は悶える。


 極上に淫らなサンドイッチが完成したが、これはまだ序の口だ。


 貴族っ娘は内股を開いて僕の肉棒をそこに導き、豊満な太ももをキュッと閉じて肉棒を締めつけると、






 ぱん、ぱん、……パンパンパンパンパン!!


「!!?」


 激しく腰を前後させ、強烈な快感を僕に叩き込んできた!






「うわああああぁぁーーッ♡♡ きもちいッ♡ 気持ちいいぃ~ッ♡♡」






 下腹部が蕩けるような快楽に、僕は身をよじって絶叫する!


 どんなに暴れてもがいても、前後から抱き締められて抜け出せない。




 後ろから大和撫子が、前から貴族っ娘が、計四つのノーブラ巨乳が僕に柔らかく密着してくる。


 貴族っ娘は脚を交差させて肉棒を太ももで強く挟みながら、絶えず腰を叩きつけて肉同士がぶつかる音を演奏していた。


 しあわせだ。理性が甘い快楽で溶けていくのがわかる……。






 パンパンパンパンパン!!


「もうダメッ♡ 出ちゃうッ♡ 出したい♡ 出したいッ♡♡」






 もはや僕は快楽に夢中だ。抵抗の意思はカケラも残っていない。


 鏡に映る自分の表情はだらしなく蕩けていた。


 正面の貴族っ娘の尻を掴み、自分からも激しく腰を振り、弾力に満ちた太ももに包まれている肉棒をズリ動かして――!






 ぎゅううぅぅぅぅぅぅ~~~ッ♡♡


 パンパンパンパンパン、パァンッ!!


「でるッ♡ イグッ♡ うあぁぁぁぁぁーーッ♡♡♡」


 ビクンッ! ドピュッ! ドクドクドクドクッ!






 絶頂に至り、身を震わせながら白濁を太ももに吐き出す。


 これが一度目。


 まだまだ僕の両掌は貴族っ娘の尻を手放さない。






「もっとッ♡ もっとおぉッ♡」


 パンパンパンパンパン、パァンッ!!


「出るッ♡ まだ出るぅッ♡ うああぁぁぁぁぁーーッ♡♡♡」


 ビュクン! ドクドクッ! ドビュルルルッ!






 握りつぶす勢いで尻を掴んで彼女の腰を前後させ、深い官能を味わいながら絶頂する。連続二度目。


 全身に疲労と満足感が訪れ、この時点で僕からの動きは止まる。


 だが。






 ぎゅううぅぅぅぅぅぅ~~~ッ♡♡


 パンパンパンパンパン!!


「え、ええっ!? そ、そんな♡ あぁっ♡♡」






 僕からではなく、貴族っ娘から腰振りされることで快楽はまだ続く。


 しかも貴族っ娘のみならず、背後から大和撫子も抱きつきながら僕の腰を押してきた。


 よって僕は前後から抱きしめられつつ腰を振らされる形となり、激しい肉音を鳴らしながら太ももの中で肉棒がズリ抜かれる。




 絶頂直後で敏感なところに快楽を叩き込まれ、効果は抜群。


 逃げ場の無い濃厚な官能に、あっという間に僕は上り詰めた。






 パンパンパンパンパン!!


「出ちゃうッ♡♡♡ 出ちゃうッ♡♡♡ 出ちゃうぅッ♡♡♡」


 せっぱ詰まった僕は貴族っ娘を力いっぱい抱き締めた!






 ぎゅううぅぅぅぅぅぅ~~~ッ♡♡


「もう、ダメええぇぇぇぇぇぇーーーーッ♡♡♡♡♡」


 どびゅうううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッッ!!!






 連続三度目の放精が実現した。


 みっちり閉じた太ももの中で肉棒が痙攣する。


 意識が遠い彼方に持っていかれそうになるが、僕は貴族っ娘の背に爪をたててかろうじて繋ぎ止めた。


 前の貴族っ娘と後ろの大和撫子のサンドイッチに抱かれながら、射精の身震いが収まるのを大人しく待っている。




「ぜぇーッ♡ ぜぇーッ♡ 気持ち、良すぎッ……♡」




 過剰な快楽を浴びて僕は頭がクラクラしている。


 時間の経過と共に長い射精の勢いは衰えていき、射精が終わったところで貴族っ娘は抱擁をやめて一歩後ろに引いた。


 女体の圧から開放されて僕は呼吸が少し楽になる。




「はぁ、はぁ♡ 疲れた♡ ちょっと、や、休みたい……♡」




 床に座り込もうと僕は腰を落としはじめた。


 すると僕を背後から羽交い締めにする少女は、意外なことに、一緒に腰を落としてきたのだ。


 しかも彼女は僕を寝かせると彼女自身も隣に寝て、腕枕して僕を楽な体勢にしながら添い寝してくれた。


 献身的な行為に僕は気を良くし、大和撫子にお礼を言おうと口を開く。






「あ、ありがとう……えっ?」






 驚いて、僕は固まる。想定外の事態を見た。


 大和撫子に話しかけたつもりが、僕は貴族っ娘に礼を言っていた。




 話しかけた相手を僕は勘違いしていた。そもそも腕枕をしているのは大和撫子ではなく、貴族っ娘だった。


 太ももには搾り取ったばかりの僕の精が垂れていた。だから貴族っ娘はうでまくらをしたのだ。ひざまくらではなく。


 前後から僕を抱きしめる二人の少女の位置関係が、いつのまにか入れ替わっていた。






「え? ちょっと待って。ということは、まさか」






 あおむけに寝た姿勢から顎を上げ、僕は正面を見る。


 背後にいたはずの大和撫子は今、僕の股間の前にいた。


 ポケットから薬瓶を出して乳房に透明な蜜を塗りながら、ギラついた双眸で僕を凝視し、表情で意思を伝えてくる。




 貴族っ娘の次は、私の番だと。


 どちらか片方に溺れて終わり、などという不公平は許さないと――!






 * * *






「お、お願い、ちょっと待って! せめて、せめて少し休憩をっ」




 手で制しながらの僕の申し出は、しかし残念ながら受け入れられない。


 先程まで僕を捕らえて貴族っ娘の搾精を手伝った大和撫子は、順番待ちはもうウンザリだとばかりに直情的に眉をひそめる。


 腕枕で添い寝してくる貴族っ娘の拘束は強くはないが、今しがた精を搾り取られた僕は疲れていて、脱出できない。




 よって僕は、今から始まる大和撫子の責めから逃げられず。


「あ……あああ……♡」


 トロトロの蜜にまみれて輝く発育旺盛な豊乳が、ゆっくり肉棒に迫るのを眺めることしかできなくて。


 そして。






 にゅぷんッ♡


「!!!」


 僕は大和撫子の豊満な乳房に、肉棒を挟み込まれてしまった!






「ひゅうっ♡ あ、ああぁぁっ……♡♡」


 とろけるような快感に、一瞬、僕は意識が飛んだ。


 ペニスは大和撫子の豊かな胸に完全に呑まれてしまった。






 事前に潤滑液を塗り込んだ大和撫子の乳房は、滑らかで、重みがあって、とろけそうなほど柔らかい。


 背中に当たる感触とは次元が一つも二つも違う、自分の最も敏感な部分がおっぱいに包まれる幸福感。


 僕の分身は極上の柔らかさに甘やかされ、結果、驚くべき現象を引き起こした。




「えっ? う、うそ。もう……!?」




 ついさっき貴族っ娘に搾られたばかりで萎えていたのに、肉棒はあっという間に再勃起し、性欲を蘇らせたのだ。


 復活が早いなんてレベルじゃない、もっと恐ろしい何かだ。


 ヌルついた乳内で肉棒は硬く隆起し、欲情を自己主張する。




 そんな僕の醜態に大和撫子は得意げに優越感を得る――と思いきや、首をかしげて思案顔を浮かべていた。


 貴族っ子より性的な技巧に詳しくない彼女は、胸で挟んだはいいものの、この後どうするべきか迷っているようだ。


 とりあえず、いきなり激しい官能が訪れそうにはない。


 僕はホッとしたような、残念なような複雑な気持ちになった。




「――いやいや、残念ってなんだ!」




 まるで僕が、自分の意志に関係なく女の子に性的にイジメられることを望んでいるかのようじゃないか。


 違う! そんな趣味は無い! 僕はMなんかじゃない!


 内心で僕がそんな葛藤を抱いているところに、






 カリッ。


「ひゃッ!?♡」


 胸にえもいえぬ刺激が走り、僕は変な声を出してしまった。






 乳首だ。僕の片側の乳首が、少女の指先で軽く引っかかれたのだ。


 ちなみに下手人は僕に添い寝している貴族っ娘だったりする。


 イタズラの成功に、彼女はクスクスと楽しげに笑っていた。






「なにすんだよ、もう……」


 にゅこっ♡


「ひゃんッ!?♡♡」






 注意が貴族っ娘に向いていた所に、今度は下腹部に艶めかしい刺激が走った。


 その感触は意識外からの奇襲となり、何事かと僕は股間を見る。


 視線の先、大和撫子が自身のおっぱいをヒジで支えながら肉棒を圧迫していた。彼女は僕をじっと見つめている。




 にゅこっ♡


「ひゃッ!?♡♡」




 またおっぱいを上下に動かされた!


 肉棒が柔らかく擦られ、僕は嬌声を挙げる。


 この一連の様子を大和撫子にじーっと見られてしまった。




「――――」




 見たところ、どうやら大和撫子は僕を気持ちよくするための試行錯誤中らしい。その一環として、物は試しにとおっぱいを動かしたようだ。


 僕の反応を観察したのは、痛がっている様子は無いか、快楽をちゃんと感じているかを、表情から確認するためだろう。




 たった今と、つい先程。計二度、おっぱいへの反応を見られてしまった。




 分析する材料を僕から得た大和撫子は、笑みを浮かべる。




 なるほど、こうしておっぱいで扱いたら気持ちいいのか――そんな学習の喜びを思わせる、会心の微笑みを。






「ま、待ってっ! お願い! せめて、やるならせめて優しく……!」


 嫌な予感に駆られて僕がリクエストを口走った、その直後。






 にゅこっ、にゅこっ、チュコチュコチュコチュコッ!!


「!!!」


 豊満な乳房に肉棒を包んだまま、大和撫子は胸元を激しく上下させてきた!


「あ、ああぁぁぁぁぁあああああッ♡♡」






 淫らな双丘に股間を舐め回され、とろける快楽に僕は総毛立った。


 おっぱいに自分の分身をもみくちゃにされて、たまらなく気持ちいい!




 大和撫子は貴族っ娘より性的な技巧に詳しくないだろうと、僕は彼女のことを甘く見積もっていたが、誤算があった。


 確かに大和撫子は性技が苦手だが、コツを掴めば克服できる範囲内だったのだ。


 たわわに実ったおっぱいという強力な武器に、細かい技巧は最低限あれば十分だった。






 チュコチュコチュコチュコチュコチュコッ!!


「うあああぁぁッ♡♡ 気持ちいいッ♡ 気持ちよすぎいいぃッ♡♡」






 覚えたてのローションパイズリに、僕は悦びのあまり腰が浮いてしまう。


 例の『女の子は僕を能動的に射精させてはならない』ルール下なら反則扱いだろうが、もうこのルールは解除されている。


 添い寝する貴族っ娘に醜態を見られながら、豊満な乳で精を搾り取られるしか、僕に道は残されていないのだ。






 チュコチュコチュコチュコチュコチュコッ!!


「ああ、また出るッ♡ イッちゃうッ♡♡」






 豊満な果実に肉棒をしゃぶられ、僕の下腹部に多幸感が集中する。


 達したい欲求が爆発し、みずから腰を上げて乳に密着する。


 そして僕が快楽に屈する直前、貴族っ娘は僕に顔を近づけ、たおやかに唇を重ねてきた。


 それが、トドメ。






 チュコチュコチュコチュコチュコチュコ、チュプンッ!!


 んちゅううううぅぅ~~っ♡


「ん、んんん~~~~~~ッッッ♡♡♡」


 ドピュッ! ドピュドピュッ! ビクビクビクンッ!






 パイズリされながらのキスに堕とされ、僕は精を吹き出した。






 この後、ちょっとした問題が……いや、訂正。大問題が発生する。


 僕が達して精を吹き出したのを見て、貴族っ娘は唇を離したが――。






「んちゅっ♡ ぷあっ♡ 気持ちいいッ……♡」


 チュコチュコチュコチュコチュコチュコッ!!


「え、ええええぇぇ!? そ、そんなぁっ♡」






 キスをやめた貴族っ娘と違い、大和撫子は乳房の上下運動をやめない。


 引き続きおっぱいで肉棒を激しく扱き、僕の股間を甘やかす。


 どうやら僕が達したことに大和撫子は気づいていないようだ。射精後の休みなしの乳ズリに、僕は屈し――






 チュコチュコチュコチュコチュコチュコッ!!


「ちょっ♡ やめてっ♡ あ、ああぁぁぁぁぁぁッ♡♡♡」


 ドビュルルル! ビクビクビクンッ! ドプドプッ!




「ま、待ってッ♡ お願い、待ってッ♡ やめてッ♡」


 チュコチュコチュコチュコチュコチュコッ!!


「やめてってばッ♡ あっ♡ やあああああああっ♡♡」






 射精直後はおろか、明確に僕が嫌がっても、大和撫子は僕の肉棒を豊満な乳でもみくちゃにし続けた。


 今の大和撫子は無我夢中を絵に描いたようだ。僕からの抗議の声がまるで届いた様子が無い。


 これは誘惑美女側にとっても想定外なようで、貴族っ娘は僕への添い寝をやめて、あわてて大和撫子に向かう。


 だがその前に、豊満な乳房に僕が堕ちる方が早かった。






 チュコチュコチュコチュコチュコチュコッ!!


「やめてぇっ♡ ダメぇ♡ 気持ちよすぎいいいぃぃぃぃぃ♡♡♡」


 ドビュルルル!! ドビュルルル!! ビュウウウッ!!






 チュコチュコチュコチュコチュコチュコチュコチュコチュコチュコ~!!


「やああああああああああああああぁぁぁぁぁッ♡♡♡♡♡」


 どびゅうううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッッ!!!






 股間を乳房にめちゃくちゃに扱かれ、頭を真っ白にしながら僕は達した。


 熱烈な乳房の逆陵辱に、乳内で肉棒が悲鳴を上げる。白濁液が胸から溢れる様子はまるで噴火のようだ。


 激しすぎる快楽が尾を引いて、全身がビクビク痙攣している。


 そんな僕にとって恐ろしいことに、まだ大和撫子は乳を動かそうとしていたが、ここから先は搾精が続くことはなかった。なぜなら、




 ドスン、バタンッ!


 と、貴族っ娘が大和撫子を乱暴に僕から引き剥がし、ここから二人は取っ組み合いの喧嘩を始めたからだ。




 この喧嘩の理由はおおむね理解できる。


 僕が貴族っ娘に搾精されたのは三回、対する大和撫子は四回。


 回数の上での不公平に貴族っ娘は怒っているのだろう。


 それを言うなら大和撫子の搾精中、貴族っ娘が僕にキスして茶々を入れたのはなんなんだという話にもなるが……。




 過激な搾精に精神が摩耗し、遠のく意識を止められない僕に、これ以上なにか考えるだけの余力は残っていない。




「あ……♡ あ……♡」




 掠れた声をこぼしながら、貴族っ娘と大和撫子が互いに頬をつねりあう光景を見たのを最後に、僕は失神した。






 * * *






 その後のいきさつについて話そう。




 気絶から復帰して目がさめた時、僕は保健室のベッドで横になっていた。


 そのとき大和撫子と貴族っ娘の二人がどこにいたかというと、両者とも僕の寝るベッドにもたれかかり、静かに寝息を立てていたのだ。


 看病疲れを思わせる様子に一瞬ほっこりしかけたが、先程の二人との淫行を思い出し、あわてて僕は逃げようとした。




 だがそこで、大和撫子が寝ぼけて僕にしがみついてきた。


 引き剥がそうと僕がもがいていると今度は貴族っ娘が起きてしまい、僕が逃げようとしているのに気づいて彼女までしがみついてきた。


 その流れで大和撫子も目を覚ましてしまう。


 最終的に僕は二人の豊満美少女にぎゅっと抱きしめられ、逃げられなくなってしまったのだ。




 この後は先刻の淫行と似たような展開の繰り返しになる。


 豊満なおっぱいと引き締まった太ももで、僕は何度もイかされた。


 抱きしめられ、すりすり擦られ、いじられ、唇を重ねられ、女体の官能で僕は心身ともに骨抜きにされた。




 回数を重ねるうち、貴族っ娘と大和撫子は喧嘩をしなくなった。それどころか僕をイかせる際に連携を見せるようにもなった。


 どうやらどちらか片方が僕を独占するのではなく、両者が僕を共有財産にするという事で話がついたようだ。




 そして二人が連携しはじめた頃には、僕の勝機は消えていた。


 貴族っ娘と大和撫子、両者の躰に僕は依存するようになった。


 度重なる搾精に、ついに理性が性欲に負けてしまったのだ。






「太ももッ♡ 抱き合いながら、太ももでッ♡」


 ぎゅううぅぅぅぅぅぅ~~~ッ♡♡


 パンパンパンパンパン!!


「イくっ♡ イグウウウウウゥゥゥゥ♡♡♡」


 ドビュウッ! どくどくどくッ! どぴゅるるるッ!




「おっぱいッ♡ おっぱいで、めちゃくちゃにしてぇッ♡」


 チュコチュコチュコチュコチュコチュコッ!!


「ああっ、あああああああぁぁぁぁぁぁッ♡♡♡」


 ドビュウッ! どくどくどくッ! どぴゅるるるッ!






 こうして僕は、二人の少女の魅力に堕とされてしまった。


 今後、僕は現実世界に戻ることなく、保健室で淫蕩の日々に溺れるのだ。


 完全敗北である。






 保健室といえば。


 学校の誘惑美女の中には生徒の他にも、保健室の養護教諭みたいな大人の女性っていないのだろうか。


 ……まぁ、今の僕にはどうでも良いことか。


◆GAME OVER

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