限定ショート「100円の価値」(CFNM) (Pixiv Fanbox)
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「しまった、100円足りない……」
家電量販店のホビーコーナーで、俺は絶望に打ちひしがれていた。
目の前にあるのは、ずっと探し求めていたプレミア付きのプラモデル。
再販がかかったのか、奇跡的に定価で棚に鎮座していた。
今ここで手を離せば、背後で虎視眈々と棚を物色している連中に掠め取られるのは目に見えている。
しかし、財布を何度ひっくり返しても、無情にも100円玉ひとつ分届かない。
どうしようかと焦っていると、不意に後ろから声をかけられた。
「あれ? 吉田くん、何してるの?」
振り返ると、そこにいたのはクラスメイトの高山さんだった。
どうやら新しいスマホを見に来ていたらしい。
これは渡りに船だと思った俺は、必死になって100円貸してほしいと頼み込んだ。
高山さんはあっさり財布から100円玉を取り出し、俺に差し出してくれた。
「あとで私のお願いも聞いてね。」
そんなことを言っていた気がしたが、そのときの俺はとにかくレジに並ぶことしか考えていなかった。
どうにか欲しかったプラモデルを手に入れ、店を出る。
気がつけば高山さんと一緒に帰る流れになっていた。
「本当に助かったよ。100円は必ず返すから。」
そう言うと、高山さんはにっこり笑って首を横に振った。
「ううん。100円は返さなくていいよ。」
どういうことだろう。
たかだか100円だから、返さなくてもいいということなのか。
「さっきさ、私のお願いも聞いてねって言ったよね?」
確かに、そんなことを言われた気がする。
嫌な予感がした。
「わかったよ。……で、お願いって何?」
高山さんは少し頬を赤らめ、周囲を気にする素振りを見せてから、とんでもないことを口にした。
「おちんちん、見せて。」
「……は? え、何?」
「だから、おちんちん。私、本物って見たことないの。それを恵子にバカにされちゃって……。」
恵子とは、高山さんの親友みたいな存在だ。
あの二人がそんな話をしていたのかと思うと、それだけでも妙にくらくらした。
「いやいや、無理だって!」
「そう? じゃあ、今すぐお店に戻って返品しよっか。100円、返してね?」
天使の微笑みを浮かべたまま、彼女は悪魔の宣告をした。
今このプラモを手放せば、二度と定価では手に入らないだろう。
プライドか、プラモデルか。俺は究極の選択を迫られた。
「……わかったよ。その代わり、絶対誰にも言うなよ?」
結局、俺は屈した。
高山さんに手を引かれ、人気のない公園の木陰へと連行される。
「ここなら誰も来ないね。」
「本当にやるのか……?」
いざとなると、やっぱり躊躇してしまう。
クラスメイト、それも女の子に見せるなんてどう考えても普通じゃない。
往生際悪く立ちすくむ俺の手から、彼女は素早くプラモの袋を奪い取った。
中からレシートを抜き出し、ヒラヒラと見せつける。
「どうする? 見せる? それとも返品?」
もう逃げ道はなかった。
「わかった。見せるから、そのプラモは返してくれ……。」
そう言いながら、俺は震える手でチャックを下ろした。
目の前では、高山さんがしゃがみ込み、じっと股間を見つめている。
初めて女の子に見せるシチュエーションが、まさかこんな形になるなんて思わなかった。
そして、俺はパンツを下ろした。
「ふーん。おちんちんって思っていたより小さいのね。」
ぐさりと刺さる言葉だった。
「教科書だともっとだらんとしていなかったっけ?本物はこんなにぴょこんとしているのね。」
たぶん悪意はない。ただの感想なのだろう。
けれど、その無邪気さが余計につらかった。
俺のプライドは、音を立てて砕けていく。
……なのに。
それなのに、自分の意思に反して大きくなってしまった。
「わ!おっきくなった!」
高山さんが目をまん丸にする。
「もういいだろ!」
俺は慌ててパンツとズボンを引き上げた。
「ふふ、顔真っ赤。……大事なところ、見せてくれてありがとね。」
そう言いながら、高山さんはプラモデルの入った紙袋を返してくれた。
その高山さんの耳も、しっかり赤くなっていた。
それから俺たちは、お互いほとんど何も話さないまま帰り道を歩いた。
やがて彼女の家の前に到着した。
「私の家、ここだから。」
高山さんが指をさした。
「ああ、うん。今日は……その、100円ありがとな。気をつけて帰ってくれ。」
少し照れながらそう言うと、高山さんはそっと俺の耳元に顔を寄せてきた。
「また、100円でおちんちん見せてね。」
そう囁いてから、高山さんは小走りで自分の家へ帰っていった。
俺は家の扉が閉まるまで、ずっと見つめ続けていた。
END