11.マネキンになるお仕事【マネキン回収編】 (Pixiv Fanbox)
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うつ伏せにされた私の近くまで、ワンボックスカーが近づいて来たかと思うとバックドアが開いた。
「丁寧に積み込めよ!」
そんな声が聞こえた後、近くのマネキン人形がワンボックスカーに積み込まれていく。
「なんだこれ?重いなぁ!」
そんな男性の声がしたかと思うと私の体が持ち上がり、本物マネキン人形と一緒に積み込まれてしまった。
“えぅ!なんで?私まで?!マネキン人形じゃない人間だよ!”
いくら心の中で訴えても届くはずもなく、私が人間であることを伝える術はなかった。
私と全く同じポーズのマネキン人形たちと共に私は一体のマネキン人形として回収されていくのだった。
車で揺られながら絶望的な状況だが、何もできない。
私と同じように積み込まれたマネキン人形たちの中には車の振動で腕が外れたり、頭が取れたりしていた。
そんな光景を目の当たりにしていると私は怖くなった。
怖くなったところで、震えることしかできないのだが… 。
車はしばらく走ってマネキン会社に到着したようだった。
再びバックドアが開くと台車にマネキンが立った状態で載せられ、倒れないようにロープで固定されていた。
私もあのマネキン人形たちのように台車に積まれ、ロープで固定され倉庫の奥へと仕舞われて一生出て来られない、そんな気がした。
私の目には自然と涙が零れ落ちた。
台車にはすでに2体のマネキン人形が載せられていて私もそこへ載せられる。
あとはロープで縛られて倉庫の奥で保管されてしまうのだと思うと悲しくて仕方なかった。
台車に載せられた私はロープで縛られる。
“あれっ?”
私と2体のマネキン人形を一纏めで縛るのではなく、2体のマネキン人形が動き出し、私の体を亀甲縛りにし始めた。
“えっ!なに?なに?”
動揺している私の目の前に、私をマネキン人形にしたスタッフが小さな看板を持って現れた。
【生田 小夜のマネキン人形奮闘記】
撮影終了と書かれていた。
そこへ映画監督も現れて、動けない私に花束を渡してくれた。
「撮影お疲れ様でした!」
「あとで編集の際、生田さんの心情をナレショーンで入れて下さい」
そう言われても私にはさっぱり分からない。
頷こうとしたが、それもできなかった。
私はマネキン人形のポーズのまま、花束を受け取った。
こうして私の長くて怖くて苦しくて辛い、マネキン人形としての撮影は終了したのでした。
ちなみに【生田 小夜のマネキン人形奮闘記】は本編と同時公開され、本編以上に人気を博したのでした。
おしまい