魔女狩りに囚われた村娘(画:くるみ) (Pixiv Fanbox)
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冷たい鉄枷が、荒れた手首に食い込む。痛みは最初こそ鋭かったが、今はただ鈍く重たい圧迫感に変わり、
じんじんと私の腕全体に広がっている。両手を吊り下げられ、かろうじてつま先だけで体を支えるこの姿勢が、
どれほど苦しいものか言葉にはできない。
ここに連れてこられてどれくらい経っただろうか。太陽の光も届かないこの地下牢では、朝も夜もわからない。
時間の感覚すらも失われ、ただただ暗闇の中で寒さと孤独に震えている。
私、エレナはただ風邪を治すために薬草を煎じていただけなのに。それがどうして「魔女の薬」とされ、
こんな牢屋に繋がれてしまうのか。胸の奥が、どうしようもない無力感でいっぱいになる。
一人娘のドロテア様が、私を嫌っていることは知っていた。でも、まさかここまで酷いことをされるなんて
思いもしなかった。小さな頃から彼女に尽くしてきたのに、ただ風邪を治そうと薬を作っていただけなのに、
それが「魔女」の烙印を押される理由になるなんて。
冷たい石の床から伝わる冷気が、足から全身に染みわたっていく。吹雪の中で連行された時の寒さが、今もまだ
体の芯に残っているかのようだ。もう、震えを止める気力もなく、ただ涙が一筋、頬を伝って流れ落ちていった。
「なぜ……こんなことに……」と、小さな声で呟いてみる。誰に届くわけでもなく、ただ暗闇の中で消えていく。
孤独に苛まれ、心が壊れそうになるのを必死に抑えようとするが、思いは何度もぐるぐると私の中で
繰り返される。もし、誰かが信じてくれたら。もし、誰かが真実を見てくれたら。けれども、そんな「もし」など、
ここでは無意味に思える。屋敷での奉公の日々も、辛いことばかりだったが、少なくとも外の風や陽の光を感じる
ことはできた。今や、そのわずかな幸福すら、私から奪われてしまった。
冷たく凍りついた鎖が小さく揺れ、私の腕にさらに重みがかかる。指先の感覚も失われてきているが、
どこかで「ここで倒れてはいけない」と思っている自分がいる。このまま弱ってしまったら、きっと誰にも気づかれず、
私はひっそりと命を落とすだろう。
それでも、生きていたい。たとえこの牢の中で、どれだけ苦しい思いをしても、私はまだ生きている。
優しくしてくれた村の人たちのことを思い出し、その温かな記憶にすがるようにして、もう一度だけ目を閉じた。
「どうか……誰か……」と、誰にも届かない声で囁く。