パイロット同士の中継話的な殴りっこ (Pixiv Fanbox)
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【1】
あたしは明日香。
私には、どうしても許せない女がいる。
恋敵でありながら、激しい戦いのさなかに……レズみたいにお互いのマンコを叩きつけ合ったこともある女だ。
神秘的な青い髪、赤い瞳、そして驚くほどにあたしとそっくりの豊満な体をした女、麗。
あの人外の妖精かと思われるほど美しい女と、あたしたちは一時、本当にレズのような関係に陥りかけたことがある。
激しいマンコ叩きつけ合い勝負の末に、あたしたちはお互いのマンコどころか、人間としての尊厳まで破壊してしまった。
その結果、女同士で喧嘩して相討ちになることに性的に興奮してしまうという、「女として終わってる」状態になってしまったのだ。
それからの日々は、今となっては思い出したくもない。
「「身長…157㎝…47.9kg…バスト86cmのFカップ…ウエスト57cm…ヒップ89㎝…♡♡あぁああんんっ!?!!相討ちイクのぉおおぉおおっ♡♡」」
だ、なんて。今にして思えば頭おかしいとしか思えない。身長も、体重も、バスト、ウエスト、ヒップ、そのすべてで相討ちになって、それを性的興奮としてとらえて二人で絶頂までしたのだから。
でも、私は目覚めた。
原因は、もちろん…男だ。
あたしとあの女が、女同士の決闘をしでかしたうえに相討ちになって発狂した。
そのことに責任感を感じたのだろうか?あの男は、二日に一度は私を抱くようになった。
それは性欲処理などではなく、純粋な愛情を確かめ合う行為のようで……それを繰り返すうちに。。。やはりセックスは男と女でするものだ。
女同士でマンコぶつけ合ってイキ合うなんて、あたしは嫌悪感しか感じない。そうだった、あたしは別にレズじゃない。
それを、あたしは思い出した。思い出すと同時に、あの破廉恥な行為を、よりにもよって麗としていたことに吐き気がしてきた。
もともと、女なんてそんなものだとあたしは思う。
親友だなんて、レズ気取りで愛してるなんて言い合ったりしたって、女なんて、間に男が挟まれば手のひらを返したようにお互いを裏切るものだ。
そして、その目覚めは、麗にも同時に起こっていた。
あたしが彼に抱かれるのは二日に一度、私が抱かれていない日に、彼が誰を抱いているかなんて、そんなこと、言うまでもないことだろう。
しかし、それを咎めたり、拒否する権利はあたしにはない。だからあたしは…
「あんた、麗のことも同じように抱いてるんでしょ…抱くなとは、言わないわよ。
そのかわり、麗よりも私の方を強く愛しなさい。激しく抱きなさい。そして……あたしのマンコに、あいつのマンコよりたくさんザーメンを注ぎなさい」
そう言った。嫉妬に狂いそうになるのを懸命に堪えながら…そしてその言葉を聞いた男は……
「ああ、もちろんだとも」
優しい笑顔で答えてくれた。
それを口にした日の夜、あたしは男によって激しく犯された。
これまでとは比べ物にならないほどに……何度も何度も果てた。
その夜の喜びがあたしを修羅にした。
次の日、あたしは産まれてから初めての感情に襲われた。
あの夜の喜びを、今度は、麗が感じているのだから。
あたしたちは、順番に犯されているのだから。
それは激しい怒りと悲しみ、そして嫉妬と憎悪。
これまでも、麗に感じていた思いだけど…その憎悪と嫉妬の深さはこれまでのものなんて比較にもならない。
そしてしばらくして、よせばいいのに、男はまたあたしと麗とで3Pをしようと言い出した。
屈辱のあまり歯ぎしりしながら、あたしは3Pの夜を迎えた。
そこで見たものは、あたしのよく知る顔をしている男の姿だった。
あたしに向けるのと同じ優しい笑みを浮かべて麗を見つめている。
なぜ?どうして?あれだけ激しくあたしを抱いた男がどうして同じ顔で他の女を見ていられるのか理解できなかった。
そして、あたしは気づいてしまった。麗から香るバラの香りが、あたしが男から貰った香水とまったく同じだということに。
それだけじゃない、男から送ってもらったイヤリングが、首飾りが、髪留めが、全て全く同じものであるということに。
そして、いつか結婚しよう、これは婚約の証だと贈られた左指の指輪すら…
それらの事実が何を意味しているかわからないほど愚かではない。
あたしはこの瞬間悟ってしまった。男の愛は、あたしと麗に等しく注がれていたのだと……。
そう思うと、あまり考えないようにしてきた…麗と男のセックスのことが脳裏をよぎってしまう。
あたしの性器をかき回した肉竿で、次の日に麗の性器を犯したのだろう。麗の愛液をこびりつかせた肉竿で、翌日にはあたしの愛液にチンポを濡らしたのだろう。
あたしと麗は、下品な言い方をすれば、どこまでも竿姉妹だったのだ。
あたしは…3Pのために呼び出された男の部屋の中で、全身の血液が沸騰するような感覚に襲われながらも必死に耐えた。
ここで暴れれば全てが終わってしまうと思ったからだ。
そして、それはおそらく麗も同じだった。彼女は指が白くなるほど拳を握りしめ、肩を震わせていた。その様子は、自分の中にある激情を抑え込んでいるように見える。
その後、私達はお互いを牽制するように視線をぶつけ合った後、猛然と3Pをした。
男のチンポを奪い合って顔を殴り合った。男のチンポをパイズリしようと、おっぱいとおっぱいを打ち付け合った。
尻が好きだと言われれば、どっちの尻が上かと言い争って、思い切り尻同士を打ち付け合ったりもした。
やがて、男そっちのけで女同士で大喧嘩を始めたあたしと麗。男は、いつの間にか服を着て、私たちの体にも服を投げた。
男をそっちのけにしすぎたと後悔するあたし達を、セックスしながらも醜い女の争いをやめようとしないあたし達を……彼は、トレーニングルームへと招いたのだった。
【2】
私は、麗。
彼に誘われて入ったトレーニングルーム。
普段から使い慣れているはずの部屋なのに、恋敵の明日香と、大好きな男と、三人でいると怖いくらいに緊張感があふれてくる。
「さぁ、始めようか」
男はそういうと私の方へ近づき片手で腰を抱いた。そしてもう片方の手で、明日香の腰を引き寄せ抱く。
「きゃっ」「…んっ」
突然の出来事に驚いて声がもれそうになった。明日香の方は、完全に驚いた声をあげている。
「僕はキスがうまい女が好きだ。二人ともキスは上手だけど…どっちのほうが僕を満足させられるかな?」
そう言って男は笑みを浮かべた。そんなの答えは決まっている。
「……私!」「あたしよ!」
私と明日香は同時に言った。お互いに相手に勝ちを譲る気なんてない。
男はそんな私達の様子を見て楽しげに笑う。
……愛していた男、明日香とのマンコバトルのせいで頭をおかしくされて一瞬忘れてしまいそうになった男……でも、やっぱり好きなんだと思い出させてくれた男。
そんな男のことが、わからなくなる。喧嘩する女二人を、どうしてそう笑ってみていられる?
「じゃあ、早速勝負を始めよう。今晩は勝ったほったほうとすることにするよ」
その言葉が私の疑問を押し流した。
今晩のセックスがかかった戦いなら、そんなこと考えてる余裕はない。勝たなくては、男を明日香に奪われないために。
明日香も、もちろん負ける気はないようだ。
男の声は私達の戦いの合図になった。
私は自慢のFカップのバストを男の胸板にムギュッと押し付ける。そして男の首筋をペロリと舐め上げた。
一方の明日香も同じように私の真似をする。男の身体に二人のFカップバストが押し付けられ、柔らかな四つの乳肉がむにゅりと形を変える。
男の両手はそれぞれ私と明日香の腰を抱き、そこから徐々に下にさがり、お尻を掴んだ。そしてゆっくりと撫でまわす。
「あっ……んん♡」
「んぅ……あん♡」
男の手の動きに合わせて、私と明日香の声が漏れる。
男はそのまま私と明日香のお尻を鷲掴みにして揉んだ。
「ん…………もっと強く触って♡……はぁ……ん……お願い……♡」
そう言いながら、私は首筋から顎に舌を這わせて男の口に近づいていく。
「こら……あんたの相手はあたしでしょうが……あたしの方をもっと強く揉みなさいよ…はぁ♡……んんっ……お願い、お願いだからっ……♡」
明日香も同じように男の唇に顔を近づけていく。
男の首筋は分け合って左右から舐めることができても、一つしかない口は分け合うことはできない。
だから男の唇は奪い合わなければいけなかった。
男とのキスを求める私達の顔は徐々に近づき、あと数センチで男の唇に舌が触れるというところで、私達の頬が押し合った。そして視線をぶつけ合う。
「あなた、邪魔なんだけど……!」
「そっちこそ……どきなさいよ……!」
私達が睨み合っている間にも、男は私と明日香の両方のお尻を激しく揉み続けていた。
しかし、男はどちらの女を選ぶでもなく、いがみ合う私達を興味深く観察している。
いや、それどころか、男は私達女が彼を奪い合い、あさましく争うことに興奮を覚えているようにすら見えた。
私達はお互いを牽制しながら、少しずつ男の口に、女の舌を進ませていく。
そして男の唇までの距離が、ほんの僅かになったところで…私は明日香を出し抜こうと思い切り背伸びをした。
そうして、明日香よりも先にキスをしようとして……
明日香も同じことをしようとしていたのか、同じタイミングで顔を突き出してきて……
「「んむうっ!?」」
私と明日香は同時に男の唇に唇を押し付けた。三人でキスをしているという状況に頭が混乱する。
唇の片側はよく知る男の唇の感触、もう片方も今となってはなじみ深い頼りないくらい柔らかな、女の唇の感触。
これまで、何度も3Pをさせられた。女二人と、男一人で、三人でキスしたこともあった。数えきれないくらい。
でも、やっぱり目の前で私以外の女が男とキスをするのを見せつけられるのは辛いものだ。
胸を締め付けられるような嫉妬心と悔しさで涙が出そうになる。横目で明日香を睨みつけると、明日香も目に涙を浮かべ私を睨み返してきた。
醜い嫉妬に身を焦がし、憎悪に心を焼かれながらも私達二人は必死に男に媚びた。少しでも男の関心を引こうと。
「……ちゅぱ…………好きぃ……大好き……愛してるわ……〇〇っ……」
「〇〇……あたしを見てぇ……ちゅぱ……好きよ……大好き……んちゅ……愛してるわ…」
愛をつぶやきながら、相手の唇を押し退けようと何度も顔を動かす。
「「んぶぶっ!んぐっ……んぐうっ!!」」
けれど、私達は体格も身長も完全に互角な女同士、力だって変わらない。
必死に押しあったって相手を退けることなんてできないのだ。
でも、じゃあ無駄だからって力を抜けば相手に男を奪われる。苦しくても、つらくても、戦い続けなければいけない。
男の口を奪い合う、男と女と女のキス。気持ちよさと、憎悪と吐き気、嫉妬、愛、あらゆる感情がないまぜになるキスだった。
それは明日香にとってもだ。
目の前で明日香が男とキスをしているのを見せつけられ、私の心は張り裂けそうなほど痛む。
醜い嫉妬に身を燃やし、明日香を横目で睨みつけたら、涙を浮かべ嫉妬に身を焦がした明日香と目が合って睨み合いになった。
その表情は私にそっくりで、男を愛し、その男を奪われ嫉妬に狂うのは同じなんだと思い知らされる。
「「んぶぅ……んんん……んんんんんんっ!!!」」
私は怒りに任せて、自分の唇を押し付け、明日香の唇を押し退けようとするが、やはりうまくいかない。
むしろ、私が唇を強く押し当てれば、向こうも同じように唇を押し付けてくる。
そして、お互いに彼との体の接触を増やそうとするから、私の豊満な乳房は男の体に強く擦り付けられ、私の乳首は男の肌着に引っかかってしまう。
「んふっ♡」「あんっ♡」
思わず声が漏れてしまう。すると、隣からも同じ甘い喘ぎ声が聞こえてきた。
私と明日香が……同じ男と、同じキスをして、同じように乳房をこすりつけ、同じように乳首を勃起させ、同じように喘ぎ声をあげたのだ。
近親憎悪なのか、同じ男を奪い合うこの女と同じ存在だと認めるのは嫌だったが、この爆発しそうな感情を理解してくれるのは明日香だけだという確信もあって。
「「んっ……んんっ……っ!」」
私達二人は自分だけが男と唇をくっつける面積を広げようと、唇の押し付けあいをやめなかった。
「「……っ♡」」
でも、それを男が中断させてしまう。肩を押され、体が離れる。そういえば、男から体を引き剥がされたのはこれが初めてかもしれない。
「僕は君たち二人のどちらかを選ぶなんてこと、できそうにない。だから、二人とも…どちらが僕に相応しいか、二人で決めて欲しい。二人で競い合って欲しい。二人で…もう一度決闘してくれないか?いや、君たちの決闘を、今度は僕に見せて欲しいんだ」
それから男は言葉を繋げた。ルールは無い、どちらかが降伏するか…死ぬまで戦うのだという。
「「……」」
私と明日香は無言でお互いの顔を見合わせた。明日香は悔しげに顔を歪めている。私もきっと同じ顔をしているだろう。
あの決闘をもう一度なんて、正気の沙汰じゃない。
実力が拮抗しすぎていて、私と明日香は相討ちになったのだ……よしんば今度こそ私が勝ったとして、私だって、絶対にただではすまない。そんなこと、私も明日香もわかっているのに。
「わかったわ……。」私は言った。「この人のためなら私はもう一度やり合ったって良い…私と明日香で決闘しましょう。
今度こそ、容赦しない。……降伏する気がないなら…殺してあげる!」
私の言葉に、明日香は怯えるような目でこちらを見た。明日香もあの戦いをもう一度なんて本当は嫌なのだろう。だけど、彼女は青い顔のまま睨み返してきた。
「麗のくせに…生意気よ。いいわ、お受けてやろうじゃない。その代わり、あんたを必ず殺してあげるわ!
こいつの愛を独り占めにするために、あんたは殺すしかないんだから!!」
明日香は私を睨みつけながら言い放った。その瞳には私への憎悪と嫉妬がありありと浮かんでいて、見ているだけで気分が悪くなる。
私を殺そうとしている女が目の前にいるということが、恐ろしくてたまらない。しかし、私も負けじと言い返した。
「私だって……あなたがその気なら、絶対にあなたを殺すわ……!」
私達はお互いに憎まれ口を叩きあった後、それぞれ反対方向へ歩き出した。
【3】
あたしはパイロットだ。これまで人型兵器の操縦のために、確かな訓練を積んできた。
同世代の女になんて、絶対に後れを取らない自信がある。
けれどそれはお互い様だ。麗だって、同じ訓練を受けているのだから。
お互いに技術も体力も変わらないなら、あとは気持ちの強さだけだ。男への想いが強い方が競り勝つことができるはず…だとしたら、あたしが負けるなんてありえない。
男への想いがあの娘に負けているわけが無いのだから!
「……」
男はトレーニングルームの壁際に向かい、あたしと麗は、設置されているプロレスリングに登った。
自陣となる対角線上のコーナーに立つ。
男の唇を奪いあった女、尻を並べて竿姉妹プレイをさせられた女、この女とこれから…二回目の殺しあいをすることになるのだ。
服なんて動くのに邪魔になる。あたしは脱ぎ捨てた。そして麗も。
珠のように磨き上げた自慢の肌、大切に手入れしてきた艶のある髪、そして何より男に愛されてきたこの豊満な乳房とお尻、くびれたウエスト。
あたしが大切に育ててきた女性としての魅力のすべてをかけて、麗と雌雄を決する。
立会人も、審判もいない。トレーニングルームには殺し合いをするあたし達女二人と、それを見る男しかいない。
あたし達は全裸で向かい合い、お互いに一歩ずつ近づいていく。距離はどんどん縮まっていく。
そしてついに、あたしの手が麗の顔面に伸びる。
思い切り握りしめた拳で、麗の可愛らしい顔を容赦なく殴りつけたのだ。
「んぎぃ!?」
悲鳴をあげ、大きく体勢を崩し、悶絶する麗だが、倒れはしない。歯を食い縛り、必死に堪えて、今度は彼女があたしに殴りかかってきた。
「んぶぅっ!?」
麗の拳が、あたしの鼻っ柱を潰す。
痛い。涙が出そうになるほど痛い。
あたしも体勢を崩し、倒れそうになるけど、耐えた。
そして、麗の鼻っ柱を、今度はあたしが同じようにしてやる番だ。拳を握り、麗の鼻を殴りつけるのだ。
「んがぁっ!?」
鼻を手で抑え、フラフラ後退した麗の目には涙が滲んでいた。だけど、その顔は悪鬼か般若のようだった。
「うがぁっ!?」
今度はあたしが頬をぶん殴られた。痛みで視界がチカチカした。
でも、これで殴り返したんじゃあたしのプライドが許さないことに気が付いた。
私は拳を握り、麗を睨みつける。殴ってこない私を見て麗が不満そうな顔をしている。
「もうお終い…?私はまだまだやれるわ」
「あたしだってまだまだやれるわよ。でもね…これで勝ってもあたしが先に殴ったから勝ったんだなんていわれたくないの。
次からは同時に攻撃することにしましょうよ」
「……そういうこと……。…いいわ。同時の殴り合い……のってあげる」
「ふん……せいぜい後悔することね…」
あたし達は目で頷き合いタイミングを計る。あたしは…あたし達は握った拳を同時に振りかぶり、お互いの顔めがけて叩き込んだ。
「「ぶっふぇえ!?」」
二人の顔が衝撃でのけぞり、お互いに鼻血を噴いて血飛沫が舞い散った。
お互いに顔を抑え、後ろによろめく。さっきまで交互に殴り合っていたときよりずっとダメージが大きい。一発で鼻が曲がって血が噴き出した。
相手を殴ろうと踏み出した力が、そのまま自分への打撃力にもなって返ってきた感じだ。
「鼻…まがってるわよ…!ふふっ…いい気味ね!」
「あなたこそ……鼻が曲がった上に鼻血が出てる……みっともないわ……!」
「うるさい……!!」
「黙りって……!!」
あたし達は憎まれ口を叩きあいながら、再び拳を振り上げ、お互いの顔面を殴りつけた。
「「ぎゃあああっ!!」」
あたし達の悲鳴がトレーニングルームに響き渡る。
お互いの顔を殴り合い、たぶん鼻の骨が折れた。口の中も切れて、鉄の味が広がっている。
あたしは手の甲で口から流れた血を拭う。相手も同じようにしていて、お互いにダメージは同じみたいだ。
「どうやら互角のようね……生意気なのよ、麗のくせに…!」
「そうみたいね……でも、勝つのは私、あなたの顔をもっと殴り潰すわ…」
「それはどうかしらね……?最後に立ってるのはあたしの方よ……!」
「………あなたはバカ?…負けるのは貴女の方…!私の方が彼を愛しているわ……!」
「ふざけたこと言ってんじゃないわよ!!彼への愛はあたしのほうが強いだから!!」
そうやって言葉でお互いを苛つかせるだけ苛つかせ、互いへの憎悪を肥大化させ、あたし達はまた拳を握り、また相手に殴りかかる。
「「ぎゃんっ!?」」
お互いの拳が顔面を捉え、今度はお互いに片目を殴り合っていた。涙で滲んだ視界。前が見にくい、殴られた瞼が腫れて目が開ききらないからだ。
鏡なんてここにはないけど、目の前にいる恋敵の顔を見ればあたしの顔がどうなってるかだいたいわかる、きっと同じように惨めな不細工顔になっているはずだ。
「このっ……」
「くそぉっ……」
あたし達はもうダメージが脚に来ている。お互いに膝が笑ってまともに立てず、フラフラしながらそれでも、殴り合いを続けようとする。
拳を握り、すでにだいぶ崩れつつある相手の憎い顔をぶん殴ろうと振りかぶり、麗の拳も同時にあたしの顔に向かってくる。
「んぎぃ!?」
「んぶぅ!?」
あたし達は再び顔を殴り合う。そして、あたしの拳は麗の口を捉え、麗の拳はあたしの口をとらえた。
あたしと麗の、その桜色の唇は切れて真っ赤な鮮血が滲んでいた。
「ふふ、これで気持ちいいキスなんてできないわよねぇ?」
「…貴女のほうがよっぽどひどい顔になってる……!?そんな汚い顔じゃ彼はキスなんてしてくれない!」
口を開けばお互いを罵る言葉しか出てこない。またギリギリと睨み合い、さらに拳を振り上げ。
「「んぶぅっ!?」」
あたし達は再び顔を殴り合った。膝がガタガタと震え、立っていることすらままならなくなる。
「うぐっ……」
「うげっ……」
それでも、麗の前に膝を付きたくない。あたしは片手で麗の肩を掴み体を支え、そして、麗もあたしの肩を掴んで体を震わせながらも必死に立っていた。
相手の肩を掴んでいないと立っていられない。それでも、あたし達は女の意地と男への愛、相手への憎悪を糧に戦う。
「んぎぃ……!?」
「んごぁ……!?」
私達はお互いの頬をぶん殴った。
流れていた鼻血が舞い散り、お互いに返り血を浴びる。
「ふふ……!いいざま、ね……!私に喧嘩を売ってきたこと、後悔したんでしょ……!」
「……あなたの方こそ、鼻が曲がって、面白い顔になってるわ…!…今更後悔しても遅いけど……!」
憎まれ口を叩き合い、お互いに睨みつける。
鼻が折れているから、鼻血が止まらずボタボタ垂れていた。
私たちは自分の鼻血を手で拭い、もう一度鼻血が出る鼻を……思いっきり殴り合う。
「ぶっふぇええ!?」
「ひぎゃあああっ!!」
鼻血が飛び散り、お互いの顔が赤く染まる。鼻から顎まではもうほとんど血塗れだ。
流石に痛みが脚に来て、ガクッと片膝をつく。すると、相手も同じようで、お互い支え合ってなんとか倒れないように、互いに膝立ちになる。
「まだ……やるの……?」
「当然……まだ、やるわ……!」
あたしは拳を握りしめ、相手も同じく拳を握る。
膝立ちになったせいで拳の勢いはガクッと下がるが、その分お互いの顔はすでにボコボコで触れるだけで激痛が走るのほどだった。
だから、ただひたすら力任せに相手の顔面目掛けて拳を振り抜くだけでお互いに痛すぎる思いをすることになる。
「「ぶべぇぇえっ!?」」
またあたし達の悲鳴が響く。
麗の顔と私の拳の間に血の糸を引きながら拳を構える。
麗も同じ。ボコボコの顔で、泣き悶えながら拳を引いて構えます。
「「このぉおおおっ!!!」」
そしてまたお互いの顔面を狙って拳を振るう。
「「んぎぃいいいっ!?」」
拳が瞼に当たって血が流れ、目の周りが腫れ上がった。
お互いに美少女の面影がなくなってきた…目の前の憎い恋敵に、女としての美しさを損壊させられている。
ボコボコのボロ雑巾みたいな顔で睨み合うあたし達は、涙に濡れた目で互いの憎悪を訴え合う。
「殺してやるっ…!殺してやるわよっ、…!」
「死ぬのはあなたっ…!私に殺されて…さっさと死になさい…!」
お互いに悪態をつき…そこからは罵倒する言葉すら吐く間もなく猛然と殴り合い始める!
バキィ!ドカァ!ガチぃ!ベキィっ!!ドゴォ!……
「「んぎゃあっ!?このっ!!殺してっ…うぎびぃ!?」」
あたし達は醜い顔をさらにボコボコにして殴り合う。
「死ねっ……!死になさいよっ……!んぶぅっ!?」
「殺すっ……!殺してやるわっ……!んぎぃ!?」
あたし達はさらに何度も拳を振り抜き、そして相手の拳を顔で受けてまた殴り返す。
何度拳を受けようとも、どれだけ顔が崩れようとも、あたしは男への愛を糧に拳をふるう。
でも、あたしがどれだけ殴っても、麗も男への愛のために立ち向かっくる。
「あたしはっ、彼をっ、愛してるのよっ!んぎゃあ!?んがぁぁあっ!?!」
「私はっ、彼をっ、愛するっ、ためにっ、んギビ!?!ぎゃぁあっ!?…う、生まれてきたっっ!」
「「んぎぃいいっ!?」」
お互いの拳がお互いの額を捉え、そして、あたし達の額はともに割れて互いに血をながす。
「「ぶっふぇえええ!!」」
さらに鼻を殴り合って互いに鼻血を吹き出し、血まみれの顔をさらに血で汚し…
ボキィィィイイッ!!!
「「あがぁああぁぁあっ!!?」」
次の拳が、お互いの口に当たって私達の八重歯が折れて吹き飛び、口から血が飛び散る。
「「ぶっふぇええ!!」」
お互いの血が混ざり合った血飛沫が飛び散り、お互いにさらに血塗れになりながらそれでも殴り合いは続く。
この年だから、私も麗も永久歯。折れた歯は二度と再生しない。この戦いで、とうとうあたし達はお互いの体に決して治らない欠損を与えあったことになる。
「「んぐぎぃぃいいっ!!」」
一生を歯抜け女として生きていかなくてはならない。想像するだけで、麗への殺意が湧いてくる。
けれど…拳に力が入らないことに気がついて右手を見れば…五本の指があらぬ方向を向いてた。
こんな拳じゃ、一方的にやられる。そう思って麗を睨めば、向こうも五本の指がへし折れていた。
「……指、折れちゃったわね…」
「……おまけに歯も折れたわ…」
「まだ、やる気…これ以上やったらホントに、殺し合いよ…」
「あなたこそ……そんなボロボロのくせにまだやるの…?」
「もちろんじゃない……!こんなことで、あたしの想いは、止められないのよ……!」
「そう……じゃあ、私の答えもわかってるでしょ……!」
あたしはまだ無事な片手で麗の髪を掴んだ。
麗も折れてない方の手であたしの髪を掴み返してきた。
「行くわよ…!麗っ……!」
「来なさいっ……!明日香っ……!」
「「このぉおおっ!!」」
あたし達はお互いに髪を引っ張りながら、渾身の力を込めて相手を引き寄せ……
バキッ!!
「「んぎぃいいぁぁあああああっ!?!?」」
あたし達はお互いの顔面を思いっきりぶつけ合った。
折れた鼻骨と鼻骨がぶつかりあって激痛に襲われる。
裂けた唇がぶつかり合って血が混じりあっていた。
あたしは報復のために麗の上唇に噛みつく!
「「がぶぅぅううっ!?!?んぎぎぎぃぃぃぃいいっ!?!!」」
しかし、全く同時に麗も私の下唇に噛み付いてきた。
あたし達はお互いに唇を引きちぎろうと必死になって噛んでいく。
でも、女性の柔らかな唇にそんな過酷な戦い、耐えられるわけがない。
「「んぎぃいいっ!?!?」」
麗の上唇が、あたしの下唇がブチッ!という音を立てて千切れる
「「いぎゃああぁあぁぁっ!?!?」」
あたし達はその痛みに耐えられず、思わず口を離して……でも。
「「がぶぅううぅうううぅぅっ!!」」
あたし達はまたお互いの口に食らいつく。今度はあたしが麗の下唇を、麗があたしの上唇を噛んだ。
あたし達はとうとう共食いを始めたのだ。
相手の身体を二度と回復できないほどに壊し合うために。
「「んぎぎぃいっ!?!?んぎぎぃいいっ!?!」」
お互いの唇に噛み付きあったまま首を左右に振って暴れ回る。
肉食の獣が獲物となった草食動物の肉を引きちぎり喰らうように。
「んぎぎぃいいっ!?!んぎぎぃいいっ!?!」
「んぐぎぎぎぎっ!んごぎぎぎぎっ!んぎぎぎぎっ!」
「「ぶっふぇえええっ!!」」
そして、互いの唇を食いちぎった。
そして…ボロボロと泣きながら…くちの中に残っている相手の唇の残骸を口を開けて見せつけ合い…それからゴクリと喉を鳴らして飲み込む。
「こ、ろす…!ころしてやる…!」
「死ぬのは、あなた…!ぜったに、殺すッ……!」
その時、あたしと麗はふと男を見た。男は、あたしたちの決闘に興奮し、そのチンポを痛そうなくらい勃起させていた。
これだ、この喧嘩を…女同士が醜く争う姿を、彼はもとめているのだ。
そして、きっとあたしの勝利する姿を、望んでくれているはずだ。…きっと、麗も同じことを考えているだろと思いながら……
でも、ここまでだった。
あたしたちは、そこでとうとう力尽きお互いに寄りかかって動けなくなってしまったのだ。
潰れ合う、あたしたちのおっぱい。
頬と頬が密着し、二人して泣きながら荒い息をつき、相手の匂いがすごく不快だった。
「はぁ…!はぁ…!…もう、二度とあんたと和解なんてしないんだからっ……!絶対、殺す……!
いつか、いつかきっと……本当の敵同士になって……!あんたと命の奪い合いをしてあげるわ……!」
「はぁ……はぁ……!それはこっちのセリフよ……!いつか、あなたを殺すわ……!
あなたか、私が……敵国に寝返って……お互い、本当の、敵同士になって……絶対に殺し合いをするわ……!」
「「……………………っ!」」
あたしと麗が涙を流して睨み合う。
ああ、堪らない!あたしたちはやっぱり、仲良くはできないんだ!
その時、あたしたちの脳裏に浮かんだ光景は一緒だったはずだ……連邦の敵国、あの帝国にどちらかが寝返って、敵国のパイロット同士で今度こそ殺し合い決着をつける私たちの姿。
でも、ああ、なんてことだ。あたしはあたしが勝つ光景を想像したいのに。その想像は、あたしと麗がお互いのコクピットを叩き潰して二人とも絶命する光景だった。