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<あの変態教師が私を堕とそうとしているのに、婚約者は気づかない #01>

東京の馴染みのない朝の空気は、まだ吉野には慣れないものだった。地方の小都市で生まれ育った彼女にとって、窓の外に見える密集したビル群と絶え間なく聞こえる都会の喧騒は、一年が経とうとしている今も異質なBGMとして漂うだけだった。アラーム音に合わせて重い体を起こした吉野は、しばらく呆然とベッドに座っていた。一人暮らしのワンルームの静寂が、ひときわ大きく感じられる瞬間だった。彼女はやがて首を振り、立ち上がって浴室へと向かった。鏡に映る自分の姿は、まだ眠気の残るあどけない顔だった。丁寧な洗顔の後、彼女の一日は教師としての自分を作り上げる過程で満たされていった。

クローゼットの前で少し悩み、彼女の手が止まったのは、清楚な白いブラウスと膝を少し覆うネイビーのペンシルスカートだった。派手ではないが、知的で端正な印象を与えるには十分な装いだった。着替えると、細身ながらもバランスの取れた体の曲線が鏡に映し出された。自分では意識していなかったが、節度ある服装の中にも彼女の女性らしいシルエットは鮮明だった。肩を少し超える整ったボブヘアを梳かし、唇にだけ少し生気を加える軽いメイクを済ませた。玄関を出る前、彼女はふと不安に駆られ、爪先を噛んだ。新しい一日へのときめきよりは、もしや失敗しないだろうかという緊張感の方が大きくのしかかっていた。

名門私立聖桜学園の校門は、朝から生徒たちの活気で溢れていた。騒がしい喧騒とあちこちから弾ける笑い声が、吉野の緊張を少し和らげた。「先生、おはようございます!」数人の生徒が彼女に気づいてぺこりと挨拶をし、吉野は特有の目を細めた笑顔で優しく応えた。彼女のこうした純粋で温かい姿は、生徒たちの間ですでに人気が高かった。教師という役割にはまだ不慣れでぎこちなかったが、子供たちと目を合わせる瞬間だけは心から幸せだった。

「吉野、早いな」

運動場の方で朝の巡回をしていた橘隼人が彼女を見つけ、明るく笑いながら近づいてきた。長身でがっしりとした体格、人懐っこい印象を持つ体育教師の橘隼人。彼は吉野と同じ年に採用された同期であり、今では結婚を約束した恋人でもあった。

「先輩も。朝からお疲れ様です」

吉野の顔に自然と赤みが差した。隼人は彼女の肩についた小さな埃をシャツの袖で払いながら、低く囁いた。「今日も一段と綺麗だね。あとで昼飯、一緒に食べよう」その優しい一言に、吉野の心は日差しのように温かくなった。彼女は頷き、職員室へと向かう彼女の後ろ姿を見つめる隼人の眼差しには、深い愛情が込められていた。だがその視線の奥深く、誰も気づかない闇の中では全く別の欲望が蠢いていた。あの純潔な吉野が、自分ではない他の誰かに無残に踏みにじられる想像。その倒錯的な快感が、彼の下腹部を瞬間的に重くさせた。

職員室の窓際の席に座ったコンピューター教師の岩田大輔は、新聞を読むふりをしながら校門に入ってくる吉野の姿を見逃さなかった。彼の小さく垂れ下がった目が陰湿に光った。50代前半の彼は教頭への昇進を控えたベテランだったが、その腹の底は腐りきった欲望で満たされていた。吉野が初めて学校に赴任した時から、岩田は彼女を「極上の獲物」として目をつけていた。若く、純真で、美しい。自分の汚れた手で壊すにはこれ以上ない存在だった。

岩田のねっとりとした視線は、吉野の体を露骨に舐め回した。端正なペンシルスカートの下に現れたくびれた腰と豊かに盛り上がった尻の曲線、ブラウス越しに感じられる豊かな胸のシルエットまで。彼はあの純真な顔の教師が、自分の前で風俗嬢のように派手な化粧をして体を揺らす姿を想像した。想像するだけで股間が疼くような不快な興奮が彼を包んだ。彼は卑しい笑みを浮かべて呟いた。「さて、今年はあのウブな先生と一回楽しく遊んでみるか」彼の頭の中では、すでに藤井吉野を自分の足元に屈服させる狡猾な計画が着々と描かれていた。

吉野は自分の席に座り、鞄から授業の資料を取り出した。先ほどの隼人との出会いで浮き立っていた心は、いつの間にか落ち着きを取り戻していた。彼女はまもなく始まる1年生の数学の授業の教材を広げ、子供たちにどうすればもっと分かりやすく説明できるかと思案に暮れた。彼女は全く知らなかった。自分に向けられる二つの視線。一つは愛という名の下に隠された歪んだ欲望であり、もう一つは最初から露骨な悪意と貪欲に満ちた捕食者の視線であることを。平穏に見える彼女の日常に、黒く粘り気のある影が徐々に忍び寄っていた。

1時限目の開始を告げるチャイムが廊下に長く響いた。生徒たちの騒がしい喧騒が一瞬静まり、職員室にも落ち着いた緊張感が漂った。吉野は深呼吸を一つして席から立ち上がった。今日の1年2組の数学の時間には、先週習った関数単元の抜き打ちテストが予定されていた。生徒たちの実力を中間点検し、集中力を喚起するための彼女なりの計画だった。彼女はあらかじめ用意しておいたテスト用紙のファイルを開き、職員室の共用プリンターで印刷をかけた。

しかしどうしたことか、プリンターはけたたましい音を立てるだけで紙を吐き出さなかった。ディスプレイには「紙詰まり」という赤い警告文が点滅していた。「あら……」吉野の口から小さな嘆息が漏れた。授業時間が迫る中、予期せぬトラブルに見舞われ、彼女の顔にはすぐに狼狽の色が浮かんだ。彼女は慣れない手つきでプリンターのカバーを開けてあちこち調べてみたが、詰まった紙は見当たらなかった。そわそわと指先をいじるだけの彼女の姿は、まさに初心な社会人のそれだった。

その時だった。背後から卑しい声が聞こえてきた。「おやおや、吉野先生。朝から機械と格闘中かな?」振り返ると、岩田だった。彼はいつの間にか自分の席から立ち上がり、吉野のすぐ後ろに立っていた。愛想のいい笑みを浮かべていたが、彼の小さく垂れ下がった目は、吉野の慌てた顔と焦った仕草を面白そうに眺めていた。「私がちょっと手伝おうか?」彼は返事を待ちもせず、吉野の横にぴったりと寄り添った。

瞬間、鼻をつく香水の匂いと汗の臭いが混じった不快な体臭が吉野の鼻を突いた。吉野は思わず体を少し縮こまらせたが、岩田はお構いなしにプリンターの方へ体を屈めた。彼の肉厚な肩が彼女の肩に触れ、脂ぎった彼の頬が彼女の頬の近くに迫った。「どれどれ……こういうのはだな、ここをちょっと開けて……」彼は何かを説明するふりをして、プリンターの見えない奥を手で探った。その過程で、彼の腕が意図的に吉野の背中にじっとりと押し付けられた。

吉野の全身が冷たく強張った。明らかなセクハラだったが、「うっかり」だと言い張ればそれまでの巧妙な接触だった。新任教師である彼女に、学校の古株である彼に対して露骨に不快感を示す勇気はなかった。彼女はただ息を殺し、この不快な瞬間が早く過ぎ去ることだけを願った。岩田の脂ぎった指がプリンターの内部を何度かいじると、不思議なことに機械は正常に作動し始めた。「ほら、直っただろう? 吉野先生は顔も綺麗なんだから、こういう汚れ仕事は私みたいな年寄りに任せなさいって」彼は満足げな笑みを浮かべ、吉野の肩をポンポンと叩いた。その手つきは不必要に長く留まった。

「あ……あ、ありがとうございます、部長」吉野はようやく声を絞り出し、ぎこちなく頭を下げた。彼女の顔は羞恥心と怒りで真っ赤に染まっていた。岩田はそんな彼女の反応を楽しむかのように、陰湿な目つきで彼女の顔と胸を露骨に一瞥してから、ようやく自分の席に戻っていった。ウィーンという音を立ててテスト用紙が一番ずつ出力され始めたが、吉野は何もできなかった。まるで汚らわしい虫が体を這ったような嫌悪感が全身を包み込んだ。

彼女は震える手でテスト用紙をまとめた。普段なら生徒たちに会えることに胸を躍らせていた教室へ向かう足取りが、今日に限っては鉛のように重かった。廊下を歩く間中、岩田のねっとりとした視線と不快な体臭が幻影のように彼女につきまとった。彼女は努めて笑顔を作り、1年2組の教室のドアを開けた。「さあ、みんな静かに! 今日の授業を始める前に、簡単にテストを一つしますよ」生徒たちの間から小さなブーイングが起きたが、吉野の頭の中はすでに別の考えで複雑に絡み合っていた。彼女は知らなかった。先ほどのあの小さな出来事が、これから彼女を絡め取る巨大な蜘蛛の巣の始まりに過ぎなかったことを。

岩田の老いた目に、プリンターの前でまごつく藤井吉野の姿が映った。彼にはその光景が、困っている同僚教師の姿ではなく、蜘蛛の巣にかかって藻掻く蝶のように魅力的で興味深い場面として映った。彼は新聞を読むふりをしながらも、目尻では彼女のすべてをくまなく舐め回していた。くびれた腰を包むタイトなペンシルスカートが、彼女が動くたびに豊かな尻の曲線を際どく露わにしていた。思わず空咳をして、股間に込み上げる疼くような熱を感じた。『小娘が、体つきだけは一丁前だな』心の中で卑猥な言葉を繰り返し、彼はこれが絶好の機会であることを直感した。

「おやおや、吉野先生。朝から機械と格闘中かな?」彼はわざと愛想のいい声を装って席から立ち上がった。椅子の引く音に驚いて振り返る吉野の顔に、当惑の色が浮かぶのを見て、彼は痺れるような優越感を覚えた。あのように純真で、些細なことにもおろおろする姿こそ、彼が最も好む獲物の特徴だった。「私がちょっと手伝おうか?」彼はすでに「はい」という返事を聞いたかのように大股で近づき、彼女の背後にぴったりと張り付いた。

わざと体を密着させると、吉野から漂うほのかなシャンプーの香りと若い女の甘い体臭が彼の鼻をくすぐった。彼は自分の鼻をつく香水と汗の混じった体臭で彼女の香りを覆い尽くす想像をし、陰湿な快感に浸った。「どれどれ……」彼はプリンターのカバーの中に顔を突っ込むふりをして、肉厚な体で彼女の華奢な背中をじっとりと圧迫した。彼の腕が彼女の背中に触れた時、ブラウス越しに感じられる柔らかな肌の感触とかすかな震えがそのまま伝わってきた。彼女が息を止め、硬直するのが感じられた。まさにこれだ。嫌悪しながらも敢えて振り払えない無力感。岩田はその微細な反応に、征服欲に近い悦びを感じた。

彼は実はプリンターのどこが問題なのかすぐに分かっていた。しかしわざと時間を稼ぎ、彼女の背後で不必要な動きを続けた。指で内部のローラーをいじるふりをして、巧みに腕を動かし、吉野の背中と腰のラインを擦り上げた。彼女の体がさらに硬直するほど、彼の口元には満足げな笑みが浮かんだ。まるでよく躾けられていない小動物を制圧するような快感だった。ついにくしゃくしゃになった紙切れを取り出した彼は、いかにも得意げな表情を浮かべた。「ほら、直っただろう? 吉野先生は顔も綺麗なんだから、こういう汚れ仕事は私みたいな年寄りに任せなさいって」

彼の言葉には「お前はただ綺麗なだけの子供だ」という嘲笑と、「俺はお前を助けられる有能な先輩だ」という権威が同時に込められていた。彼はわざと吉野の肩をポンポンと叩いた。掌の下で細かく震える彼女の肩が、自分の所有物になったかのようだった。羞恥心で真っ赤になった彼女の顔を見下ろしながら、彼はあの純潔な顔がいつか自分の前で快楽と屈辱に歪む日を想像した。「あ、ありがとうございます、部長」消え入りそうな声で礼を言う彼女を見ることは、彼にとって最高の前戯に等しかった。

席に戻って座った岩田は、満足げなため息をついた。ズボンの前が恥ずかしいほど膨らんでいた。彼は空咳をして新聞で太ももを隠した。単なる身体接触ではなかった。これは宣戦布告だった。彼はこれからあの純真な数学教師をどう料理するか、どんなふうに彼女の自尊心と純潔を踏みにじり、自分の足元に屈服させるか、綿密な計画を立て始めた。吉野が震える手でテスト用紙を抱えて教室へ向かう後ろ姿を見ながら、彼はすでに彼女を完全に手に入れたかのように舌なめずりをした。今日はただの味見に過ぎなかった。本当の「授業」はこれからが始まりだった。

一日の喧騒が収まり、最後のホームルームまで終えた午後、吉野の体は鉛のように重かった。朝に経験した不快な出来事の残像は、執拗に彼女の神経を蝕んだ。職員室で荷物をまとめて出る間中、彼女はもしや岩田と出くわすのではないかと周囲を伺う自分に気づき、自嘲気味なため息をついた。ただ一人だけの空間である小さなワンルームの静寂が切実に恋しかった。

玄関の下駄箱の前、吉野は職員室で履いていた楽な靴を脱ぎ、朝履いてきた黒いハイヒールに足を入れるために体を屈めた。まさにその瞬間だった。彼女が腰を曲げると、体にぴったりとフィットしたペンシルスカートが張り詰め、彼女の尻の輪郭をありのままに露わにした。丸く盛り上がった二つの豊かな曲線と、その間にうっすらと透けるパンティライン。その官能的な光景を、数歩離れた廊下の曲がり角で岩田が息を殺して見つめていた。

彼の脂ぎった目が貪欲に光った。『クソアマ……あのパンパンな尻を見ろよ』彼の頭の中はすでに汚らわしい想像で満たされていた。あのタイトなスカートの上に掌を乗せてねっとりと揉みしだき、パンと音が鳴るほど引っぱたきたいという衝動が下腹部を熱くさせた。吉野の細い指が足首のストラップを留める間、彼の視線はひたすら揺れる彼女の尻の谷間に固定されていた。彼はあの純真な顔の裏に隠された雌の肉体を、自分が一番最初に味わい、汚し、飼いならさなければならないという確信に囚われた。ズボンの前が疼くように膨れ上がった。

吉野が腰を伸ばして立ち上がるのとほぼ同時に、岩田は白々しい表情で曲がり角から出てきた。まるでたった今彼女を見つけたかのように。「おっ、吉野先生も今帰りかな」その声に吉野の肩がびくりと強張った。今日一日、最も顔を合わせたくなかった人物だった。「はい、部長。お先に失礼します」彼女はできるだけ丁寧に、かつ素早く挨拶を済ませ、彼を通り過ぎようとした。

だが岩田は彼女の行く手を遮るように一歩横に動き、彼女の退路を塞いだ。「ちょうどよかった。私も駅へ行くところだ、一緒に行こう」それは提案ではなく通告に近い口調だった。吉野の顔に困惑の色が浮かんだ。嫌だとは言えなかった。ここで先輩教師の好意(?)を断るのは、「生意気な新人」というレッテルを貼られるのに格好の行動だった。彼女の最大の弱点である評判への恐れが、即座に彼女の舌を麻痺させた。「……はい、部長」蚊の鳴くような声が彼女の口から辛うじて漏れた。

学校を出て地下鉄の駅へ向かう短い道のりは、吉野にとって永遠のように感じられた。彼女のハイヒールが歩道のブロックに当たって立てるコツコツという音が、ひときわ大きく聞こえた。岩田は意図的に彼女の横にぴったりと寄り添って歩き、どうでもいい話を並べ立てた。「今日の抜き打ちテストはどうだった? 生徒たちが吉野先生のテストは難しいと悲鳴を上げていたが」彼は愛想よく笑ったが、その目はちらちらと彼女の横顔と、歩くたびに微かに揺れる胸を盗み見ていた。

吉野はほとんど単語だけで答え、視線を地面に固定した。岩田から漂ってくる鼻をつく体臭が吐き気を催させ、すぐ隣で感じられる彼の存在自体が息詰まるような圧迫感として迫ってきた。「吉野先生は若くていいな。ヒールを履いても元気で」彼はそれとなく彼女の服装と若さを話題にし、ねっとりとした視線を外さなかった。その視線はまるで、見えない手のように彼女の体をまさぐるようだった。

ついに地下鉄駅の入り口が視界に入った時、吉野はほとんど救われたような心持ちだった。「それでは、お先に失礼します。お気をつけて、部長」彼女は急いで別れの挨拶をし、階段の方へ体を向けた。「ああ、気をつけて。また明日な」岩田は意味深な笑みを浮かべ、彼女の後ろ姿をじっと見つめた。階段を降りる間中、彼女の背中、特に尻に突き刺さる彼の陰湿な視線が、まるで焼印のように熱く感じられた。混雑するホームに入ってようやく、吉野は我慢していた息を一気に吐き出した。しかし汚物に触れたような不快な感覚は、容易には消えなかった。

地下鉄の人波に揉まれ、ようやく体を抜け出した吉野は、家へ向かう路地に入ってようやく安堵のため息をつくことができた。日が暮れ始めた通りは退勤する人々や下校する学生たちでざわついていたが、彼女にとってはどんな騒音も岩田のねっとりとした声よりは耐えやすかった。だが気分の悪さは消えなかった。彼の視線が触れた肩と背中が不快に火照っているようだった。彼女は早く熱いシャワーを浴びて、今日あったすべてのことを洗い流したいという思いだけだった。

自分が住む3階建てのマンションの入り口が見えると、吉野の足取りが少し速くなった。まさにその時だった。駐車された車の陰、暗がりの中から見慣れた制服姿の人影が不意に飛び出してきた。「せ、先生……!」驚いて吉野が立ち止まると、男子生徒が彼女の前に立ちはだかった。1年2組の佐藤健太だった。普段から授業中にやけに彼女をじっと見つめたり、大したことのない質問で職員室を訪ねてきたりしていた生徒だった。彼の顔はひどく上気しており、手には不格好に包装された小さなプレゼントの箱が握られていた。

「健太君、こんな時間にここでどうしたの?」吉野は驚いた胸を落ち着かせ、できるだけ冷静に、教師としての声を出した。しかし健太は彼女の質問に答える代わりに、いきなりプレゼントの箱を差し出した。「先生、これ……受け取ってください。僕……先生のこと、本当に……好きなんです!」彼の声は不安げに震え、瞳は狂気じみた熱気でぎらついていた。吉野の顔が強張った。「健太君、気持ちは嬉しいけど、先生は生徒からこういうものは受け取れないの。それに、こういう行動はとても間違っているわ。早く家に帰りなさい」彼女はきっぱりと断り、彼を通り過ぎようとした。

すると切羽詰まった健太が、ガバッと彼女の腕を掴んだ。「嫌です! お願いです、先生! 一度だけでいいから僕の気持ちを分かってください!」予期せぬ力に吉野の体がよろめき、マンションの冷たい外壁に押し付けられた。「ドン」という音と共に背中が壁にぶつかり、彼女の手からハンドバッグが地面に落ちた。健太は彼女の両腕を掴んだまま、ほとんど泣きそうな声で懇願した。「お願いします……ね?」彼の上気した顔が彼女の鼻先まで迫った。吉野の顔は恐怖と当惑で青ざめた。「離して! 健太君、今すぐ手を離しなさい!」彼女が身をよじって抵抗すると、健太はさらに必死に彼女を抑え込んだ。

このすべての光景を、道の向かい側に駐車された黒いセダンの中で、岩田が息を殺して見つめていた。彼は地下鉄の駅で別れたふりをして、こっそり彼女の後をつけてきたのだった。彼は卑しい笑みを浮かべ、静かにスマートフォンを取り出した。レンズをズームすると、完璧な構図が収まった。男子生徒に壁に押し付けられ、身動きが取れない女教師。怯えて抵抗する彼女の表情は、角度によってはまるで激しい情事を繰り広げる恋人同士のようにも見えた。彼女のブラウスのボタンが激しい動きで一つ外れて微かな胸の谷間が露わになり、ペンシルスカートは太ももまで捲れ上がっていた。完璧な獲物だった。

パシャ、パシャ。無音のカメラアプリが続けざまに二人の姿を捉えた。岩田は生徒の顔ができるだけ写らないように、吉野の屈辱的な姿に焦点を合わせて巧みにシャッターを切った。吉野の悲鳴に近い叫びに驚いた健太が、ついに彼女の腕を放して慌てて逃げ出した。一人残された吉野は、しばらく壁にもたれたまま荒い息を吐いた。乱れた服を直すことも考えられないまま、彼女は震える手で地面に落ちた鞄を拾い上げ、逃げるようにマンションの共同玄関へと消えた。

岩田はたった今撮った写真を確認し、会心の笑みを浮かべた。写真の中の吉野は、これ以上ないほど淫らで堕落して見えた。青ざめた顔、はだけたブラウス、太ももを露わにしたスカート、男子生徒の胸に抱かれているような姿。誰が見ても教師と生徒の不適切な関係を疑うに足る「証拠」だった。「ククク……このウブな女め。これでお前は俺の手のひらで踊ることになる」彼は満足げに呟き、スマートフォンの画面の中の吉野の顔を、脂ぎった指先で卑猥に撫で回した。彼の手中に、純潔な教師・藤井吉野の名誉と人生を丸ごと握れる切り札が入った瞬間だった。

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