うっか凛の刻印の熱暴走と無防備な代償 (Patreon)
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冬木市の静寂を破るように、遠坂邸の一室で小さな衝突音が響いた。
「……っ、もう! なんでそっちに転がるのよ!」
遠坂凛は、自身の不手際――というよりは、あまりに不運な物理法則の働きに毒づいた。
明日の儀式のために調整していた最高純度のルビー。魔力を限界までチャージしていたその宝石が、指先から滑り落ち、あろうことかベッドの下の最も手の届きにくい場所へと転がり込んでしまったのだ。
「最悪……。あれ、今の状態で衝撃を与えるとマズいのに」
凛は溜息をつき、フローリングの床に膝をついた。
赤いセーターに、黒いミニスカート。ニーソックスに包まれた足は、深夜の冷気を感じているはずだが、今の彼女はそれどころではない。
彼女は四つん這いになり、ベッドの下の暗闇を覗き込むように深く上半身を沈めた。
♢
「どこ……? あった、あそこね」
ベッドの下の奥深く、埃ひとつない床の上で、ルビーが怪しげな赤色灯のように脈動しているのが見えた。
凛はさらに身を乗り出し、手を伸ばす。
その姿勢が、背後から見てどれほど「無防備」であるか、彼女自身は知る由もない。
深くお辞儀をするように突き出されたヒップ。捲れ上がったスカートからは、純白の下着と、ニーソックスとの間の絶対領域があらわになっている。
「くっ、あと少し……指が、届かな……っ」
その時だった。
指先が宝石に触れた瞬間、パチリという静電気のような音が弾けた。
「――っ!?」
宝石に蓄積されていた膨大な魔力が、凛の指先を通じて逆流したのだ。
攻撃的な魔力ではない。だが、純度が高すぎる魔力は時として、生体電流に干渉し、神経系に誤った信号を送ることがある。
いわゆる、魔術回路の「熱暴走(オーバーヒート)」。
「ぁ……っ、な、に……これ……」
ドクン、と左腕の魔術刻印が熱く脈打った。
それと同時に、指先から背骨を駆け上がった痺れが、脳髄を白く焼き、下腹部へと重く溜まっていく。
♢
(魔力の、逆流……!? 嘘、神経に干渉してる……っ)
凛は冷静に分析しようとしたが、身体は正直だった。
過剰な魔力が体温を一気に上昇させる。
視界が揺らぎ、吐息が熱くなる。ベッドの下の狭い空間に、自分の甘い香りが充満していくのがわかった。
「はぁ、っ……く、ぅ……。熱い……」
動けない。宝石を回収しなければならないのに、身体が芯から溶けるように力が入らない。
魔術回路が活性化しすぎた副作用で、皮膚の感覚が異常なほど鋭敏になっていた。
太ももが擦れ合う感触、スカートの布地がお尻に触れる感触、それら全てが快楽の信号となって脳に送られる。
(落ち着きなさい、遠坂凛。……深呼吸して、魔力を循環させれば……)
だが、循環させようと意識を集中すればするほど、その熱は身体の「中心」へと集まっていく。
魔術師の体とは因果なものだ。生命力(オド)の活性化は、直結して性的な昂ぶりを引き起こす。
「だめ……これ、抑えきれない……っ」
四つん這いの姿勢のまま、凛の膝がガクガクと震え始めた。
この熱を逃がさなければ、回路が焼き切れる――というのは建前で、単純に、身体が限界だった。
♢
凛の手が、無意識のうちにスカートの裾を掴んでいた。
本来なら宝石を拾うべきその手は、震えながら白い下着の上を這い、熱を帯びた秘部へと引き寄せられていく。
「ん……っ、ぁ……」
指先がクリトリスに触れた瞬間、電流のような快感が全身を貫いた。
ビクリ、と突き出したお尻が跳ねる。
誰も見ていない。深夜の自室。ベッドの下という閉鎖空間。
その背徳感と、魔力による強制的な発情が、凛の理性を焼き切った。
「はぁ、あぁっ……! あ、すごい……っ、熱いのが……っ」
クチュ、と濡れた音が静寂に響く。
凛は片手でシーツを握りしめ、もう片方の手で、自身の秘部を貪るように弄り始めた。
指を動かすたびに、体内に滞留していた過剰な魔力が、快楽となって放出されていく。
それは一種の「治療」行為だ。そう自分に言い聞かせながらも、口から漏れるのは甘い嬌声だけだった。
「っ、あ、あぁっ! だめ、これ……っ、響く……っ!」
無防備に晒されたヒップが、快楽のリズムに合わせて揺れる。
太ももの内側には玉のような汗が浮かび、ニーソックスのゴムが食い込む肉が、熱でほんのりと桜色に染まっていた。
ルビーの赤い光が、ベッドの下から凛の乱れた表情を照らし出す。
普段の強気な彼女からは想像もできない、とろんと濁った瞳。半開きの唇から垂れる唾液。
「んんっ! いく、っ……! 魔力、全部……出ちゃう……っ!!」
絶頂は唐突だった。
蓄積された魔力が一気にスパークし、凛の身体を弓なりに反らせる。
「…ぁああっ…!!」
短い絶叫と共に、凛はガクガクと痙攣し、その場に崩れ落ちた。
♢
しばらくの間、荒い呼吸だけが部屋に満ちていた。
汗で肌に張り付いた髪を払いのけ、凛はゆっくりと身体を起こす。
熱は引き、魔術回路も正常に戻っていた。
手元には、完全に沈黙したルビーが転がっている。
「……ハァ、……最悪」
凛は真っ赤な顔で、誰に言うでもなく呟いた。
スカートを整え、乱れた下着を直すが、内腿に残る熱い感触は消えない。
「……あいつに見られたら、一生の不覚だったわね」
いないはずの弓兵(アーチャー)の姿を思い浮かべ、凛はフンと鼻を鳴らす。
けれど、その表情には隠しきれない恥じらいと、一種の満足感が漂っていた。
彼女は忌々しげに、しかし大切そうにルビーを拾い上げると、逃げるようにベッドへと潜り込んだのだった。
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