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カルデアのキッチン。深夜の静寂に、震える声が響く。

「……ま、待て。待つのだ、マスター」

そこに立っていたのは、北欧異聞帯を統べる女王、スカサハ=スカディ。

しかし今の彼女に、氷のような冷徹さはない。

彼女が身につけているのは、トレードマークの紫のドレスではなく――たった一枚の、白いエプロンだけだったからだ。

「このまま……料理を作れ、とな……?」

スカディは顔を真っ赤に染め、涙目で私を睨みつけた。

背中とお尻は無防備に晒され、胸元もエプロンの布地一枚で辛うじて隠されているだけ。

「な、なぜ私がこのような……! 『バレンタインのお返しには手料理がいい』と言ったのはお前であろう! ならば服を着て作ればよいではないか!」

彼女は両手で必死にエプロンの裾を押さえ、身をよじらせる。

そのたびに、豊かな胸がたわみ、白い太ももが艶めかしく揺れる。

「え? 『女王の手料理には、最高の正装が必要だ』って言ったじゃないかって?」

私が真顔でそう返すと、スカディは絶句した。

「そ、正装……これがか!? これがカルデアにおける厨房の正装だというのか!?」

「うん。みんなそうだよ(嘘)」

「うぅ……嘘だ、絶対に嘘だ……! 私は知っているぞ、そのようなふざけた風習など……!」

彼女は抗議しようとするが、私の「じゃあ、私のために作ってくれないの?」という視線に、言葉を詰まらせた。

彼女は愛(バレンタイン)には全力で応える、愛深き神なのだ。

「……ぅぅ。わかった。わかったから、そのような目をするな!」

スカディは観念したように、深いため息をついた。

そして、恐る恐るキッチン台に向き直り、包丁を手に取った。

「作ればよいのであろう、作れば……。だが、絶対に見るなよ? 後ろから見るなど、言語道断だぞ!」

「はいはい(じーっ)」

「見るなと言っているのにーっ! ひゃっ!?」

私が背後からそっと腰に手を回すと、スカディはビクリと身体を跳ねさせ、耳まで真っ赤にして固まってしまった。

「あ、私の身体に触れるな……! エプロンがずれる……! 胸が、見えてしまうではないか……!」

「大丈夫、リボンを結び直してあげるだけだから」

「嘘をつけ! お前の手つきは、結ぶ手つきではない! あぁっ、そこは……っ!」

女王の悲鳴にも似た愛らしい声が、深夜のキッチンに響く。

甘くて熱い、二人だけの「調理実習」は、まだ始まったばかりだった。

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