ホムンクルス乳 (Pixiv Fanbox)
Content
「ねぇ?足りないんだけど」
「まさか歯向かう気?」
「あははっ、そんな勇気こんな奴にないってぇ」
「ごっ、ごめんなさいっ!もう今月はこれくらいしか....うっ!?」
目の前の3人に脅されお金を渡したが、望んだ金額ではなかったようで地面に押し倒される。
「ごめんなさいじゃないでしょ?あんたこれ皆に流されたいの?」
「や、やめてください!でも本当にもうお金が...」
「口答えすんな!」
「うぐっ!?げほっ!」
これ以上出せるお金がないと言うと、地面に転がったままのわたしのお腹を足で思いっきり踏みつけられた。
痛がっている姿を見て笑った3人は、こちらを見下ろしてニヤリと笑う。
「あんたさぁ払えないんだったら、この全裸の写真ネットにばらまいてもいいんだよね?」
「っ!?ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!お金は必ず持ってきますっ!」
「はぁっ?ごめんなさい?すみませんだろっ!」
「あがっ!?」
言葉使いが気に入らなかったようで、再度お腹を足で踏みつけられる。
彼女たちが持っている携帯電話には、全裸で引きつった笑みを浮かべているわたしが写っていた。それは彼女達に逆らえなくて、無理やり制服も下着も靴も全て取られて撮影されたもの。
そう、わたしは虐められているのだ。
この大央中学校に入学した当初、これからの新しい環境での生活に心踊っていた。地元から離れ、周りは知らない人達ばっかりだったので、多少緊張はしていたが。
田舎の学校あるあるで、小学校を卒業したら皆一緒に同じく地元にある中学校に進学するというのがある。そのうち一部は、他の学校へ進学したりすることもあるけれど。
そんな当たり前をわたしも経験するんだと思っていたら、父の転勤で引越しを余儀なくされ、その一部の他の学校へ進学する生徒になってしまった。
越した先もこれまた田舎だったが、地元とは違って少し都会化を感じる所。そんな越した先にあった中学校が、わたしが入学したこの大央中学校である。
緊張しながらも本当に楽しみで入学したのだが、周りの人達は皆、この地域の小学校から進学してきた人達ばっかりで、なかなか馴染むことが出来なかった。
こうして友達作りに失敗し、小学校の時と同じく友達ゼロかと落ち込んだが、両親に心配をかけたくなかったので、笑顔で誤魔化してその手の会話を乗り切っていた。
そんなわたしに、登校し始めてから5日目で話しかけてくれたのが冒頭の3人だった。
3人は幼稚園の頃から一緒の幼なじみだそうで、とても明るい性格をしている。愛彩ちゃんはオシャレに気を使っていてかわいいし、莉香ちゃんは一見クールに見えるけどとても優しい。望乃ちゃんはのほほんとしていて微笑ましい感じだ。
クラス内ヒエラルキーのトップといっても過言ではないほど、周りから慕われていて存在感がある。
そんな人達のグループに入れてもらって仲良くしてもらい、学校が楽しくなってきた頃、今は使われていない空き教室へ放課後来るよう3人から言われた。
何か楽しいことでもするのかなと思いながらその空き教室に入ると、いきなり体を拘束されて、戸惑い嫌がるわたしを無視して無理やり身につけているもの全てを取り、全裸の写真を撮るのだった。
なんでこんなことをするのと泣きながら叫ぶが、うるさい大人しくしろとお腹を殴られ蹴られ、震えながら大人しくするしかない。
痛がり抵抗できないわたしに、あんたはあたし達の奴隷だと笑い、写真を消して欲しかったら、立って笑顔で全裸の写真を撮られろと要求される。
そして恐怖で支配されその言葉に従ったが最後、わたしは本当に奴隷の如く扱われるのだった。
誰か他の生徒がいる前では友達のように優しく接してくれるが、目が笑っていなくて常に恐怖を感じる。
クラスの皆は小学校からの付き合いで、3人が優しいことを知っているし慕っているしで、わたしが彼女達の友達として楽しくやっていると思っている。
真実を話そうとしても3人に睨まれ、恐怖で行動が起こせなかった。それにあの全裸写真を撮られたことで、何をされるのか分からないことも怖かったのだ。
その写真をネタに、学校がある日の放課後は強引に空き教室に連れて行かれ、日々のストレスを発散するように目立たないお腹を中心に殴られ蹴られて虐められ、週一のペースでお金を持ってくるように指示される。そんな日々が続いていたのだ。
「それで?持ってくるように指示した金額、あと2万足りないわけだけど、どうすんの?」
「かっ、必ず明日にはっ!」
「あのねぇ、今日って言ったんだよぉ?」
「うぐぅっ!」
足でお腹を強くぐりぐりされ、うめき声が出る。
「仕方ないなぁ、あんたにチャンスをやるよ。喜べよ?」
痛みでうめくわたしの横腹をドスッと蹴りながらニヤリと笑う。
「あんたの携帯電話に位置送っとくから、今日の20時その場所まで来い。来なかったら分かってるよね?」
「うぅっ....分かりま...うぐっ!?」
「返事がおせえんだよっ!」
そう言ってもう一度蹴ると、3人は去っていった。
彼女達がいなくなっても体が痛くてすぐには動けず、痛みがひくまでその場でうずくまったままじっとしていた。
しばらくして痛みがおさまってきたので立ち上がり、時間も時間なので下校すべく自分の教室へと向かって行き、カバンを持って校舎から出る。
外は夕暮れで、部活終わりの生徒がちらほらと歩いていた。
もう少し遅くまでやる部活はまだ下校時間じゃないため、真面目に取り組んでいる声が響いている。帰宅部のわたしには、その部活にかける情熱が少し眩しく見えた。
「ただいまー」
「おかえり葉琉」
学校でのことを顔に出さず笑顔で挨拶すると、母の朗らかな笑顔が返ってくる。
「お父さんが帰ってくる前に、先にお風呂入っちゃいなさい」
その言葉に少し俯いてから顔を上げる。
「突然なんだけど....今日友達の家に泊まってきちゃだめかな?来てって言われて...」
「こんな時間から行くの?相手のお宅に迷惑かけるでしょ。だめ」
至極最もな返事をもらったが、ここで行かないという選択肢は取れなかった。
「友達の親もいいって言ってるの。これ電話番号。かけてみて」
愛彩ちゃんから送られてきたメッセージには、今夜向かう愛彩ちゃんの自宅と思われる場所と、親への説明のための文言がつづられていた。
「でもこんな時間から....明日は土曜日だから、明日じゃだめなの?」
「うん、明日は用事があるんだって。他の友達も行くのに私だけ行けないなんてやだよ。ね、お願い」
「んー....はぁ、せっかく出来た友達だものね。分かった。でもそのお宅までは車で送っていくからね」
「ありがとうお母さん!急いで支度してくる!」
2階へと階段を駆け上がると自室に入り、1泊するための準備をした。
母の運転する車に乗り指示された場所に着くと、車を降りる。
そこは住宅街にある一軒家で、メッセージを送ってきた愛彩ちゃんの自宅だと思われた。全体的に落ち着いた色合いながらも、海外のお家みたいなおしゃれな外観だ。
インターホンを押して、家の人が来るまでの間、わたしは母の顔を見る。
「お母さん....」
「どうしたの?」
「....ううん、何でもない...」
声をかけたが言葉に詰まり、結局話すのを諦めた。
本当は今日行くことを止めて欲しかった。虐められていることを話したかった。でも話したら、優しい両親に迷惑をかけることになる。そんなことをあれこれグルグルと頭の中で考えてしまい勇気がでず、助けてと声に出すことが出来なかった。
そうこうしている内にガチャっと玄関が開き、中から愛彩ちゃんが出てきた。
「葉琉ちゃんようこそっ!あっ、葉琉ちゃんのお母さんこんばんは!あたし愛彩っていいます!」
「お邪魔します」
笑顔でこちらに話しかける愛彩ちゃんに返答してぎこちない笑みを浮かべていると、隣の母が話しかける。
「こんばんは愛彩ちゃん。娘と友達になってくれてありがとうね。親御さんにも挨拶をしたいのだけどいるかな?」
「いえ、今夕飯の買い物に行ってていないので、あたしから言っておきますよ!」
母の疑問に頭を振っていないことを告げると、わたしの手を掴む。
「大丈夫です!泊まるだけだから、危険なことなんてないですよ!ほら葉琉ちゃん行こっ!」
その勢いに押されたのか若干心配そうな顔をしながらも、愛彩ちゃんの両親に向けた、娘をよろしくお願いしますという言伝を愛彩ちゃんに頼むと、車に乗って帰って行った。
そして愛彩ちゃんは車が見えなくなると、掴んでいた手を離し、開けっ放しの玄関に向かって莉香ちゃんと望乃ちゃんの名前を呼んだ。わたしの持ってきた荷物を取り上げて家の中に放り込みながら。
突然のことにえっ!と呆然としていると、ほどなくして出てきた2人に両腕を取られて自由を奪われた。
「じゃあ準備できたし、そろそろ行こっか」
「しゅっぱーつ」
そう言って3人は歩き始め、わたしは引っ張られる形で強制的に歩かされる。
「きょ、今日のチャンスをあげるって、愛彩ちゃんの家に泊まることじゃないの?」
今日の目的地って愛彩ちゃんの家じゃなかったのかと思い疑問を口にすると、は?という声が聞こえてきた。
「そんなことがチャンスになるわけないじゃん。馬鹿なの?というか、ちゃんじゃないでしょうが!様つけろや!」
先頭を歩いていた愛彩ちゃんは振り返ると、その怒りで赤くなった顔でこちらを睨みお腹を殴る。
両腕を拘束されているので地面に転がることはなかったが、殴られたお腹はジンジンと痛む。
ざまあみろと言わんばかりの顔でふっと笑うと、前を向き再び歩き始める。そして体感で30分程歩いたところで、口を開き始めた。
「あぁそうだ、今日実はねぇ両親出かけてて居ないんだー。だからこんなに遅い時間に出歩いてても怒られないんだよー。ふふふっ」
不気味な笑顔を浮かべた愛彩ちゃんは、それから少し歩きその足を止めた。辺りはすでに真っ暗で虫のざわめきが聞こえる。おそらく21時頃と思われた。
「着いた着いたここが目的地ー」
着いた場所はどこかの牧場のようで、薄汚れた看板に野堀ファームと書かれているのが見えた。
見回すと、中に飼育されている動物がいるであろう大きな建物がいくつかあり、柵も設置されている。
勝手に入るのはまずいと訴えたのだが、何度も下見に来ていて、この時間帯はこの牧場に人が誰もいないとねじ伏せられた。近くに牧場主の家も他の民家もないらしい。
確かに街灯もなく、ここに来る道中真っ暗で、携帯電話の明かりで道を照らしながら歩いてきたほどだった。
「ほら、ぼーっとすんな!これはあんたのためのチャンスの時間なんだよ!」
そう言うとグイグイと引っ張り、大きな建物の1つに入っていく。
中に入ると、獣臭というか、土や草や排泄物の臭いなどが混ざった何とも言えない臭いが香ってきた。
小学校の時、牛や豚を飼育している牧場に見学しに行ったことがあるが、その時の飼育されていた建物内の匂いと似ている。一瞬うっとなったが、なんとかもちなおす。
うっすらと電気がついている建物内を見ると、わたしと同じ歳か多くても3つ上くらいのたくさんのホムンクルス達が、等間隔に拘束されて並んでいるのが確認できた。
外に複数あった他の大きな建物の中には、おそらくまた別の年齢のホムンクルスがそれぞれ飼育されているものと思われる。
どうやらここは、ホムンクルスを育成している牧場だったようだ。
ホムンクルスとは、人工的に作り出した人間のことである。
幾人かの人に協力してもらってDNAを採取した後、それをかけあわせてできた生物がホムンクルス。
今ではオスとメスの交尾によって普通に生ませるが。
人工的に作り出した生物ゆえ、人間に似ていても知能はなく、ただただ何も考えずぼーっとしていて、意味の無い言葉をたまに発するくらいの生物である。
歴史の授業で習ったが、そもそもホムンクルスが生まれることになったのは、動物のみにかかる感染症が世界的な規模で発生したことにあるらしい。
その出来事により、多くの動物が亡くなってしまい、食肉事情が危機に瀕することになってしまった。
それを解消すべく生み出されたのがホムンクルスだったようだ。
その技術があるのならば牛や豚などを人工的に作ればいいんじゃないかと疑問に思うのだが、この感染症が生き残った動物に感染していない保証はなく、DNAを採取して作った動物も感染症を後に発症するリスクがあるため、それをすることが出来なかったのだそう。
非人道的だと反対する人達もでてきたが、じゃあお肉を今後食べれなくてもいいのか?という賛成派の人達によって説得されたのだそうだ。
そんな危機にあった牛や豚などの動物も、現在は食肉として復活し普通に売られているが、数十年前に生まれたホムンクルス達のお肉も人々の生活に溶け込み、馴染みの味となっている。
ちなみにホムンクルスはその乳から出るミルクも人気で、牛乳ならぬホムンクルス乳として一般的に売られている。栄養豊富で、健康になりたい者や子供を持つ家庭が買うことが多い。
肉ホム乳ホム共に品種改良を繰り返し、今や各地域のブランドが出るほどに人気だ。
しかし本当に目の前にいるホムンクルスは、人間にしか見えない。
髪と眉毛とまつ毛以外の毛は生えていないようで、少し羨ましく思った。なぜそこだけ生えているのかとは思うが、おそらく見た目が良くなるように品種改良されているのだろう。
だが毛を剃られた形跡のある子もいるので、品種改良されたホムンクルスだけがいる訳ではないようだ。
その体は拘束具によって逃げられないようにされていて、コンクリートの地面から35cmくらいの鎖1つと15cmくらいの鎖4つが出ており、その鎖の先端には鉄でできた拘束するための鉄輪がついている。四つん這いになることで、首・両手首・両足首にはまる位置にくるようにしてあるようだ。
首の鉄輪には35cmくらいの鎖が繋がっていて、両手首と両足首の鉄輪には15cmくらいの鎖が繋がっている。
そしてその首につける鉄輪からは、さらに頑丈そうな糸が伸びていて、ホムンクルス達の舌にあいている穴と連結されていた。
舌が下に向かって伸びるようになっていて、これのおかげで話すのに苦労するため、あまり話そうとはせず、騒がしくなる事もないのだろうと思った。
もちろん地面は剥き出しのコンクリートではなく、その上に土や草などが盛られている。
コンクリートから鎖が出ていたのが見えたのは、鎖周りの土が若干なくなっていたからである。
中に入った愛彩ちゃんは、早速とばかりにどこかへと歩いて行った。
それを見届けると、両腕を拘束している2人の内の莉香ちゃんが、こちらを見て口を開ける。
「これから手を離すから、着てるもの全て脱げ。拒否するなよ」
その言葉と共に手を離され、早く脱げと目を細める。
「ちょっ、ちょっと待ってここでぬ...ぐぇっ!?」
「誰が口答えしていいと言ったの?早く脱いで」
なぜここで脱がなければいけないのか質問すらも許されずに脇腹を殴られ睨まれる。こちらが口を開けばきっとまた殴られるのだろう。それは嫌だと慌てて制服を脱いだ。
下着姿になったところで、恐怖より羞恥心が勝ち手が止まると、再度殴られ強引に下着と靴下と靴を奪われた。
全裸のわたしを眺める2人の視線に耐え兼ね、胸と股間を手で隠す。
「ねぇー?なんで隠すの?奴隷ちゃんは恥ずかしがっちゃいけないんだよぉ?」
1人だけ全裸でいるこの状況が恥ずかしくなり手で体を隠してしまったわたしを、望乃ちゃんは手で思いっきり押した。
前を向いたまま体が後方に倒れ、とっさに手で体を支えるように防御姿勢を取ったが、ベチョッという音と共に柔らかい地面に体を預けたのだった。
「うわぁー!きたなーいっ」
地面に押し倒しそんなことを口にする望乃ちゃんの言う通り、体にべっとりと付いたそれは、最初にここに来た時に感じた土や草や排泄物の混じったあの臭いがした。ひどい臭いを至近距離で嗅いでしまったことで吐き気をもよおし、今度こそだめかと思ったが、今回も何とかすんでで踏みとどまる。
それと同時に、これがやばいものだと気づいた。
ホムンクルス達は拘束によって自由に動けず、おそらくその場に排泄をしているはずだ。その排泄物が、足元やその周囲の土と混ざって少しドロドロとしているそう考えた。この臭いからでも分かる。
掃除はきちんとしているはずだが、ホムンクルスが排泄をする度に何回も掃除するとは考えづらく、それまではそこにあるはず。つまりわたしに付いたこれは、ホムンクルスの排泄物と土が混ざったものである。すごく汚い。
何とか体についたものを落とそうとするが広がるばかりで、かえって汚くなった。
体の汚れを何とかしようとしていると、何やら色々道具を持った愛彩ちゃんが帰ってきた。
「あぁ、服脱がせてくれたんだ。ありがと」
「いやなかなか脱ぐのを渋ってね。手間取ったよ」
「だねぇ。ここまで来てなんで反抗するのか分かんなかったよぉ」
会話に混ざってこんなことをする理由を聞きたかったが、そんなことをしても暴力を振るわれるだけだと分かるので、じっとして黙っていた。
しばらくして会話が終わると、3人はこちらへと近付いてきて、歩けと背を蹴ってきた。裸の背に靴が思いっきりくい込んで痛いし、歩く度に若干ぬかるんだ地面が直接素足を飲み込み不快感しかない。
何度も蹴られてはたまらないと思い歩いていると、ある1箇所の前で止まれと言葉を投げかけられる。
そこには1頭のホムンクルスがいて、他と同様、首・両手首・両足首を鎖と繋がっている鉄輪で拘束されながら、四つん這いの状態で寝ていた。
肩にかかるくらいの黒髪をしていたが、髪はガタガタとしていて綺麗に切りそろえられてはいない。従業員がやっているのだろうと思われる。
しかもよく見ると顔も背格好もわたしに似ていてすごい驚いた。まるで双子の姉妹のように瓜二つである。
ホムンクルスを見て驚いているわたしを尻目に、愛彩ちゃんは持ってきた道具の中から年季の入った古びた鍵束を取り出し、目の前のホムンクルスの拘束を解き始めた。
その鍵束を見る限り、それほど多くのカギは付いていないようだった。年季の入り方や使用感がたくさんあることから、この鍵束の鍵のみで、この建物内のホムンクルス全ての拘束が解けるのだろうと思われる。他の建物内で飼育されているホムンクルスは、その建物にある鍵束1つで拘束を解くことが出来るはずだ。
考えている間にも作業は進み、ついに全ての拘束が解かれた。作業の音がうるさかったのか、拘束を解かれたホムンクルスは起きて目をしょぼしょぼとさせている。
そのホムンクルスの腕を掴んで立ち上がらせると、こちらに視線を寄越す。
「こっちに来い」
威圧的なその声に従ってそちらへと行くと、後ろに着いてきていた莉香ちゃんと望乃ちゃんによって、地面へと押し倒され取り押さえられる。
「い、痛いっ!」
背中に体重をかけられ、土下座の形で取り押さえられたため痛みで叫ぶが、その声は無視される。
そして、身動きの取れないわたしの元に愛彩ちゃんが近づきしゃがみこむのと同時に、ガチャンという音を響かせながら鉄輪で拘束をし始めた。
意味が分からず、えっ!と困惑しながら体を少しでも揺すって嫌がったが、抵抗虚しく体の拘束は終わりを迎えた。それを見届けると体を取り押さえていた2人が離れる。
この状況に戸惑ったわたしは、なんとかこの拘束から逃れるために動くが、首・両手首・両足首にはめられた鉄輪についている鎖が地面と繋がっているために、四つん這いの状態を強制されそれ以上姿勢を変えることも出来ず、少ししか動くことが出来なかった。当然鉄輪も外れない。
ガシャンガシャンと鎖を鳴らしながら、必死に拘束を解こうとしているわたしは気づいていなかったが、その光景を見た3人は、愉快そうな笑顔を浮かべて笑っているのだった。
その後見飽きた愛彩ちゃんがどこかへと行き、針の太さが違う2つのピアッサーのようなものを手に持って戻って来た。
「口開けろ」
戻ってくるなりそう指示されたが、いきなり拘束された困惑と、一体何をするつもりなのかという不安で、怪しげな視線を向けると睨まれ頬を叩かれる。
「聞こえないの?開けろって。あーけーろ」
頬を叩かれ萎縮していると、口を開けなかったわたしに対して続けて何度も叩いてくる。
「うぐっ!いひゃっ!あっ、開けまっ!うぅ...開けますっ!」
涙を流しながら口を開けると、莉香ちゃんが上下の歯を掴みそのまま口を大きく強制的にこじ開けてきた。
「そのまま開けといてね」
そう言うと、ペンチみたいなもので舌をつかまれ引っ張られる。
「いはいっ!いはいっ!やめへっ!」
暴れてもどうすることも出来ず泣き叫ぶが、相手にされない。
そして伸ばされた舌にピアッサーのようなものをセットすると、ズブリと音がしそうな動作で針が舌を貫通する。
「ん"ーーーーーーっ!」
舌に激痛がはしりわめいていると、今度は両耳たぶに痛みがはしった。
続けざまにきた痛みに叫ぶわたしを構うことなく、さっき首につけた鉄輪から出ている頑丈そうな糸で舌をささっと連結してしまう。
連結された舌は、下に向かって伸ばすように糸で引っ張られて固定されているため、舌を口の中に戻すことが出来ず上手く言葉が話せなくなる。
あけられた穴の激痛はしばらく続き、峠はすぎたように感じるが、未だジンジンと痛みを伝えてきていた。
途中、使い終わった道具をしまうためにピアッサーのようなものが目の前を通り、舌と耳たぶに穴をあけたであろうその太い針が、涙で潤む視界の中に見えた。1つは1cmくらいの物で、もう1つは0.5mmくらいの物だった。
作業を終えた愛彩ちゃんは、じっと痛みに耐えているわたしの両耳たぶに、シュッシュッと透明な液体を吹きかける。
「い"っ!?」
それはアルコールの匂いがして、穴があいて傷ついている両耳たぶを熱くする。化膿しないための消毒液だろう。
そしてそのままバチンバチンと両耳に何かをつけた。
つけられたそれは重たく、少し耳が下に引っ張られる。
何をつけたのかと見てみると、視界の端に黒い字で34と書かれた黄色い耳標が耳たぶについているのが見え、わたしが動く度にその動きにあわせてプラプラと揺れていた。
この耳標は、さっきのホムンクルスがつけていたものだ。
「あんえおえをうえあおっ?!」
「あはははっ。え、なぁに?ちゃんと話してくれないと分かんないって」
問いかけるも、口から出るのは聞き取れる言葉ではなく、ちゃんと人間の言葉しゃべってよと3人に笑われる。
こちらを馬鹿にして笑ったあとは、今まで地面に座ってぼーっとしていた入れ替わったホムンクルスを立たせると、蛇口に繋いだホースから出る水で汚れを落とし、わたしがここに来るまで身につけていたもの全てを着せていた。
それが終わると、ちらりとこちらに目を向ける。
「あーそうそう、今回あんたにあげるチャンスは特別なんだよ。ホムンクルスと1日入れ替わってばれなければ、もう今後一切虐めないっていうすごいチャンス。もちろんばれたらあたし達の奴隷続行ね」
悪魔のような笑みを浮かべてそう話すとハサミを取り出し、嫌がるわたしの髪に近づけ、ホムンクルスと同じガタガタとした髪型に切られた。
切って地面に落ちた髪を手袋をした手で綺麗に回収すると、入れ替わったホムンクルスの肩を掴む。
「この子は明日1日、駒井葉琉ちゃん。あんたは家畜のホムンクルス。まあせいぜい気づかれないように楽しんでね。それじゃあまたねー34番ちゃん」
「あっえっ!あっえっえっ!おいえああいえっ!」
やりたいことは終わったとばかりに会話をやめ、何をされているのか理解できず首を傾げるホムンクルスを連れて出口へと向かっていく。
そんな3人の背に言葉を投げかけるが返答はなく、歩みを止めることはない。
やがて建物内から姿が見えなくなり、足音も聞こえなくなった。
姿が見えなくなり不安に駆られたが、これはきっと反応を楽しんでいるだけ。すぐに戻ってきてくれると信じ、助けてと必死に叫んで暴れたが、ついぞ戻ってくることはなかった。
そして、叫んで暴れてたくさん体力を使ったせいか急激に眠たくなってまぶたが閉じていき、やがて眠りへと誘われていくのだった。
「皆ー!おはよー!」
「おはよー!朝ごはんの時間だぞー!」
「このお寝坊さんめ。ほら、ご飯だぞ」
突然の大きな声にびっくりして目が覚めると、少し汚れている青い作業着に長靴を履いた、牧場の従業員と思われる人達が建物内に入ってきていた。
その手には先程言っていたご飯もといエサが入っていると思われる、白い大きなバケツを持っている。
そのエサは、ホムンクルス各自の目の前にある木でできた餌入れに入れられている。
「34番ちゃんおはよう」
明るい挨拶と共にわたしの目の前にある餌入れにも入れに来たが、その対応にショックで反応出来ないでいた。
なぜなら、この女性従業員は顔を見て挨拶をしてきたにも関わらず、わたしのことを人間、偽物と見破ることが出来なかったからである。
たしかに入れ替わった時、そっくりすぎて双子の姉妹かと思った程だったが、さすがに毎日お世話している従業員ならば直ぐに見破って解放してくれると考えていたのだ。
その際は、こんなことをどうしてしたのかとすごく怒られるだろうが、解放されるのならばそれでもいいと思っていたのに、これでは愛彩ちゃんが来るまで本当に1日ホムンクルスとして過ごさなければならなくなってしまう。
これがチャンスだと言っていたけど、他の人に迷惑をかけたくない。わたしの問題であって、牧場の人達は関係ないのだから。
解放してもらって愛彩ちゃんに謝ればいいのだ。謝って別のチャンスをもらおう。
そう思って目の前の女性従業員に訴えかける。
「あうええ!ああいいんえんえう!あいおういえうああい!」
「ん?そんなにご飯が欲しかったの?今入れてるから待っててね」
ガシャンガシャンと鎖を鳴らして解放してもらえるよう叫んだ声は、ホムンクルス特有の意味のない言葉だと捉えられ、全く違う返答が返ってきた。
「ああいいんえんあんえう!あうええ!」
分かってもらわないとと再度ガシャンガシャンと鎖の音を鳴らして暴れると、今度は焦った顔をしてなだめてきた。
「ちょ、ちょっと!どうしたの?!ご飯ならここにあるって!」
それでも理解してもらえず、違う違うエサの事じゃないと叫んでいると、仕方ないとばかりに作業着のポケットから道具を取り出し、その道具でバチーンとお尻を叩かれる。
「あおっ!?」
女性従業員は驚いた表情を浮かべたわたしに、申し訳なさそうな顔をする。
「ごめんね痛いよね。でも暴れたらこうなるから、大人しくしてね」
そう言って手に持った躾用と思われる黒い棒状の鞭をこちらに見せながら話すが、人間だと分かってもらわねばならないので、くるであろう痛みを覚悟してまた叫んで暴れる。
「本当に今日どうしたの?!暴れないでってばっ!」
そんなことをしていると、バチーンバチーンと何度も叩かれ、わたしは恐怖と痛さで暴れることをやめた。そして、もうやめてとブルブルと震えるのだった。
「私もこんなことしたくないの。何度も叩いてごめんね」
あんなに暴れたのに怒りもせず、大人しくなったわたしの頭を手袋をした手で撫でて、優しく接してくれた。
しばらくして落ち着いたと思ったのだろう。ふと目を離した瞬間に女性従業員がさっきよりも近くにいて、それを認識したと同時に胸にチクリと痛みがはしった。
「っ!?ん"ーーーっ!」
女性従業員の手を見ると注射器を持っていて、わたしの胸によく分からない緑色の液体を注入しているようだった。
そのままもう片方の胸にも注射をすると、先程注入した液体を浸透させ馴染ませるように胸を全体的に揉まれ、時折乳首をクニクニ触り刺激を与えられる。
「んっ...ぅんっ....あええっ...うぅん....あえぇっ...!」
その手から逃れるべく暴れようとするが、さっきの注射のせいか弱々しく動くことしか出来ない。
「どうしたの?昨日より抵抗するなんて。あ、もしかして怖くなっちゃった?大丈夫、これはいいお薬だよ。大丈夫だからね。いいこいいこ」
わたしのやめてという言葉は理解してもらえず、いいこね、大丈夫だからねと優しい声をかけてくるだけで、揉むのをやめてくれなかった。
女性従業員が手を離す頃には、胸全体がジンジンとして感覚が敏感になり、体は火照って、顔は赤く上気して汗をかいていた。
胸に入れられた液体にそういう作用があったのかもしれない。
他人に体を触られたくないという意思が残っているのに、この敏感になって発情している体をなんとかしたい、もっと触れて欲しいという欲求が強くなっていく。
本来なら他人に触られることに嫌悪感を抱きそんなことを考えないのに、うまく思考できずモヤがかかった今は無意識に願ってしまっていた。
「さすがにまだでないか。まあ、始めたの昨日からだししょうがない。34番ちゃんがんばろうね」
そう言うと手袋をした手で頭を撫でてきたが、未だ冷めぬ体の火照りや発情状態で頭が正常に働かず、女性従業員の声は耳に入らないのであった。
拘束によって自由のきかない体をよじって襲い来る快楽に耐えていると、しばらくして少しずつ効果が切れ始め、やっと落ち着いた状態に戻ることができた。
落ち着くのに時間がかかってしまったせいか女性従業員の姿はすでになく、気付けば目の前の餌入れにエサが入っている。中身は麦と大豆と野菜。それらがある程度形が残るように潰されて入っていた。これがホムンクルス達のエサのようだ。
餌入れはホムンクルスが食べられる高さに設置されており、その下には飲水用のコンクリートでできた幅30cmの水路が通っている。
愛彩ちゃん達が今日解放してくれるはずだから、ホムンクルス用のエサなんか出されても食べる必要はないと思っていたが、2時間経ちお腹がぐうぐうと鳴りだした。
何か食べたいと口の中によだれが溜まるのを感じながら目の前を見つめる。中に入っているのは、麦と大豆と野菜を砕いたものだ。普通に人間が食べられるものだと、顔を突っ込んで食べ始めた。空腹には抗えなかったのだ。
ちなみに、一緒に砕かれた野菜から出る汁を吸って麦は多少柔らかくなってはいたが、それでもすごく硬かった。
しかも拘束されていて手は使えないので、顔を突っ込んで食べた結果顔中がベタベタになった。しかし、どこかに拭うこともできなかったので、そのまま放置するしかなかったのである。
空腹が満たされたことによって、昨日の夜から1度も用を足してなかったのを思い出してしまった。
そのせいで今度は用を足したくなったのだが、拘束のせいで動けず、トイレに行ってすませるなんてことは出来ない。そんなことが出来るなら、とっくにこの牧場から逃げ出しているし。
仕方ないので恥ずかしかったが、他のホムンクルスにならってその場で用を足した。足を伝う黄色い液体や、茶色の排泄物は気持ち悪い。
しかも四つん這い状態なので、ちょっと動いただけでその自分の排泄物を、膝から足の甲まで全体で踏んでしまい、尚更不快感でいっぱいだった。
用を足し終えると少しうとうとしてきて、そのまま眠りについた。
「昼食の時間だよー!」
「そんなにがっつかないでゆっくり食べなね」
「ほれ、たくさん食べな」
またしても突然の大きな声にびっくりして起きた。
昼食の時間のようで、従業員達がエサを入れ始めている。
順番にまわり、わたしの元にもエサが入った白い大きなバケツを持ってやって来た。朝と同じ女性従業員だ。わたしがいるこの辺りのお世話担当なのだろうか。
朝に変な注射をしてきた女性従業員が近付いて来たので、またしてくるんじゃないかと身構えたが、そんなわたしの姿を見て苦笑いを浮かべていた。
「そんなに警戒しないでよ。ほらおいしいご飯だよ?たくさん食べてね」
そう言って餌入れにエサを入れるだけで、あとは何もせずにすんなり他のホムンクルスの所へ行ってしまった。
やらないよと油断させておいて、気がそれた瞬間にまた変な注射をされるんじゃないかとしばらく警戒していたが、体感10分待っても何もなく、近付いても来なかった。
本当に何もないと分かり警戒を解いて、目の前のエサを食べ始めた。別に食べたいわけじゃないが、食べないとお腹が空くので仕方なく。
時間をかけて食べ終えると、満腹のため眠気が少し襲ってきたが、すぐに寝ることはしなかった。食べた分だけカロリーを消費したいと考えるのが人間である。わたしは女の子なので尚更そう思う。朝は眠ってしまったが気にしない。
しかし、この拘束をされながら運動などできるはずもなく、せいぜいほんの少し体を動かせるくらいであった。
さすがに昨日からずっと同じ体制でじっとしていると、体が固まって痛かったので動きたかったのだが、首・両手首・両足首についた鉄輪によって四つん這いの状態を強制されそれほど動けず辛いままだった。
こんな状況で飼われている他のホムンクルスは辛くないんだろうかと、首が動く範囲で周りを見回してみたが、辛いような表情をしているホムンクルスは1頭もいなかった。
ホムンクルスによってその行動は様々だが、ぼーっと宙を眺めていたり、意味のない言葉を発して楽しそうにしていたり、隣同士で自分についている鎖を鳴らしあって遊んでいたりと、各々で満喫しているようだ。
みんな生まれてからずっとここで育ってきているので、これが当たり前だと思っているのだろう。
結局運動してカロリー消費することなど出来ず、解放されたらその分ちゃんと運動しようと決めて、眠気に身を任せたのだった。
ジャラジャラ。そんな鎖の鳴る音で目が覚めると、建物内にうっすらと電気がついていて、小さな窓から見える外は真っ暗になっていた。随分寝てしまったらしい。
自分の目の前にある餌入れにはすでに夜ご飯と思われるエサが入っている。
周りに従業員達がいないし声なども聞こえないので、今日の仕事は終わったようだ。
ならば後は、愛彩ちゃん達が解放してくれるのを待つだけである。
1日長かったなと息を吐く。娯楽などなくその場でお世話されるだけで動けないので、暇な時間が多くて特にそう感じたのだ。
まだかなと待つこの時間さえも酷く長く感じる。
しかし待てど暮らせど一向に愛彩ちゃん達はやってこない。もしや物陰に隠れて、言うことを聞かせるための、虐めのための新しい写真や動画を撮っているのだろうか。
そう考えてじっとしてさらに待ってみるもやはり来ず、空腹になってしまったので、もう解放されるのだからと口をつけないでいたエサを食べた。
その後食べ終わっても来る気配などなく、気付けば眠ってしまっていた。
「おはよー!朝ごはんの時間だよー!」
「おお、17番元気いいな。ほらご飯食べな」
はっと目を覚ますとすでに夜が明けていて、従業員達がエサを持って建物に入って来ていた。
(え、あれ?愛彩ちゃんは?あれっ?!拘束されたままだっ!解放してくれるんじゃなかったのっ!?どういうことっ?!)
解放してくれると言っていた夜を過ぎたのに、未だ拘束されたままの状況に焦り暴れる。
「こらっ、だめでしょ。大人しくして」
そんなわたしに昨日と同じ女性従業員が駆けてきて、優しく叱ってくる。
それでも困惑と焦りでガシャンガシャンと鎖を鳴らして暴れるわたしを、仕方ないと手に鞭を持ちバチーンと叩いてきた。
「おぁっ!?」
そして叩かれたことで少し冷静になり暴れなくなると、女性従業員は笑顔を浮かべる。
「いいこいいこ。おはよう34番ちゃん。さっきは叩いてごめんね。ほら、ご飯食べて元気だして」
そう言って目の前の餌入れにザザーッとエサを入れた。
確かにお腹は減っている。とりあえずエサを食べてから、どうしてまだ拘束されているのかを考えることにした。お腹が減っては考え事に集中できないので。
しばらくエサを食べていると、昨日と同じように胸にチクリと痛みがはしった。
「っ!?ん"ん"っ!」
痛みを感じた所へ視線を向けると、また注射器でわたしの胸によく分からない緑色の液体を注入している。
昨日の朝以降エサを入れる以外何もしてこなかったので油断していた。
この時点で得体の知れない液体が入った注射が朝にのみ行われるようだと気付いたが、暴れて変に痛みがはしっても嫌なので大人しくしていたら、もう片方の胸にも注射された。
そして昨日と同じ手順で、先程注入した液体を浸透させ馴染ませるように胸を全体的に揉まれ、時折乳首をクニクニと触り刺激を与えられる。
「あうっ....ぅんっ...!」
そして女性従業員が手を離す頃には、胸全体がジンジンとして感覚が敏感になり、体は火照って、顔は赤く上気して汗をかく。
今日もこの敏感になって発情している体をなんとかしたい、もっと触れて欲しいという欲求が強くでるが、目の前の女性従業員はそれに応えてはくれない。
「昨日より我慢できたね。えらいよ。よしよし」
そんなわたしの頭を撫でて、他のホムンクルスのお世話へと去っていってしまった。
拘束によって自由のきかない体をよじって襲い来る快楽に耐えていると、少しずつ効果が切れてくる。
やっと落ち着いてきたところで、食事を再開した。
文句を言う相手は既にいないし、食事が途中だったことで、まだお腹が満たされていなかったので。
しかし本当、これだけ毎日食べて運動もせずにいるのに全然太らないのが不思議だ。
周りを見ても健康的な肉付きをしているホムンクルスはいても、太っているホムンクルスはいない。謎すぎる。
食事が終われば、恥ずかしく思いながらその場に用を足し、自分の排泄物が足を伝う感覚に嫌悪感を抱きながら、眠気に逆らえず目を閉じた。
正直、愛彩ちゃん達がなぜ解放してくれなかったのか、考えても分からなかったのだ。普段虐められているので、これも虐めの一環なのだろうということは分かるが。
そして昼になり、夜になり、ホムンクルスの1頭として育てられ、全然人間だと分かってもらう事はできなかった。
「皆おはよー!ご飯の時間だよー!」
「ほれ、たくさん食べろよ」
あれから5日後の朝を迎えた。
その間、愛彩ちゃん達が戻ってくることはなく、わたしは未だにホムンクルスとしてここにいる。
それでも今日は必ず解放しに来てくれると信じ毎日願い、お世話されていた。
それに入れ替わったあのホムンクルスがちゃんとわたしを演じられるとは思えなかった。愛彩ちゃん達がフォローしたとしても、どこかでボロが出て偽物だとばれるはずだと考えていたのだ。さすがにこんなに日数が経っていたら捜索されているはず。
問題は、愛彩ちゃん達がわたしのいる場所を知らないとしらを切り話そうとしないから、中々見つからないのだと考えている。
それで今日に至るまで、ホムンクルスとしてここで育てられているのだ。
頭の中でグルグルと考え事をしていると、見慣れたいつもの女性従業員がエサを入れに歩いてきた。
「34番ちゃんおはよう。今日も元気だね。今ご飯入れるから待ってね」
そう言うと、ザザーッと目の前の餌入れに入れる。
中身は変わらず、麦と大豆と野菜を砕いたものだ。毎回同じなので飽きてきたが、これ以外に食べるものがないので仕方なく食べる。
そうして食べていると、胸にチクリと痛みがはしった。
(ああ、今日もきた)
注射の痛みはもはや慣れたものでなんともないが、その後にくる作用の方が未だに慣れない。
「んっ...うぅん....ぅんっ.....!」
胸を揉まれる度に感度が増して、胸全体がジンジンとして敏感になっていく。それは時折クニクニと乳首を触られ刺激を与えられることでも増していった。
すでに体は火照っており、顔は赤く上気して汗をかいている。
「あっ...ぅんっ....んんっ...ぁあっ..!」
いつもならこのへんで揉まれるのも終わりだなと、発情状態でモヤがかかった正常に働かない頭で考えていると、胸の奥から何かが込み上げてきて、ピュッと出てきたのが分かった。
「えあっ?!」
フスーッフスーッと荒い呼吸をしながら驚いているわたしを見ながら、女性従業員は喜びの声を上げた。
「やったね34番ちゃん!お姉さんの仲間入りだよっ!」
そう言うと片手で軽く胸を掴んで、乳首に向かって搾り出すように揉むと、ビュッビュッと少し黄色みがかった白い液体が勢いよく吹き出してくるのだった。
それが出てくる時の感じたことのない感覚に戸惑いを浮かべていると、女性従業員はどこかへと歩いていき、大きな機械を押して戻ってきた。
持ってきた機械は持ち運びできるミルカーという物で、ホムンクルスの胸からミルクを搾り出す時に使われる物。
実はこの牧場がホムンクルス乳を生産している場所だということは、入れ替わった翌日には気付いていた。何せこのミルカーが実際に稼働しているのを何回も見ていたので。
しかしその日の夜には解放してくれると約束してくれていたので、わたしには関係ないと他人事のように思っていたのだが、今こうして目の前にミルカーが置かれている。
そのミルカーを持って女性従業員が近づいてきたので、何とかこばもうと体を動かすが、拘束された体は少ししか動けないし、熱にうかされた体は弱々しくしか抵抗できない。
そうこうしているうちに、キューッという吸い込む音を響かせるミルカーをわたしの胸に装着してきた。
装着されたミルカーは、ポンッキューッポンッキューッという音を響かせながら乳輪ごと乳首を吸い上げるように動き、わたしの胸の中にあるミルクを搾り出していく。
ポンッで吸引力が下がり、キューッで吸引力が上がり一気に搾り出していくのだ。
「ん"ーっぅ...ぅん....あぅっ...うぅ....ん"ん"っ...」
ビューッビューッと胸からミルクが出る音を鳴らしながら搾られ、その度にドクンドクンと胸が高まって興奮し、体が火照っていった。
それからしばらくしてミルクが出なくなり、機械の電源を切って、キュポッとミルカーを外された。
「んふー...んふー...んふー....ぅんん...」
体力がなくなりくたっとして荒い呼吸を繰り返すわたしを、女性従業員は優しい顔をして見つめている。
「初めてなのによく頑張ったね。えらいえらい」
そして頭を優しく撫でると、わたしから出たミルクが入っているタンクとミルカーを2回に分けて持っていくのだった。
体力が回復した後、ついにわたしの胸からミルクが出てしまったとうなだれていた。妊娠もしていないし子供もいないのにと。
あの得体の知れない液体が入った注射をされ始めてから、どんどん胸全体が大きくなっていることには気づいていたが、足りない頭ではこうなると予想をつけることが出来なかった。
胸は二回りも大きくなってふわふわと触り心地がよく、掴めば指が沈むほどに柔らかい。これは女性従業員が触っている様子から分かったことだ。
見た目からいえば、乳輪も乳首も大きくなっている。
元のわたしの胸からはかけ離れたものとなっていた。
しかし今の現状を打破する手段などなくどうすることも出来ないので、とりあえずエサを食べるのだった。
こうしてミルクが出るようになったわたしは、牧場内でいうお姉さんになったようで、次の日から朝に行われていた注射がなくなって、代わりにミルクを搾られるようになった。
その事がきっかけで、毎日食べているのに運動をしなくても太らない理由を考察することが出来た。
おそらく食事で摂取した栄養のほとんどは、薬の作用と合わせて胸を大きくするのに使われるし、体内でミルクを作るためのものとしても使われるのだと思う。
注射器で薬を注入される年齢になるまでは、普通に体を成長させるために使われるのだろうけども。
そしてミルクが出るようになってから、もう1つ変わったことがある。
今までミルクが出る前は、3日に1回ホムンクルス専用の柔らかい細かい毛のついたブラシで体を綺麗に洗われていたのだが、ミルクが出るようになってからはそれを毎日行われるようになった。
汚れを落とす石鹸とか液体とかを使うことなく、蛇口に繋いだホースから出る水のみで洗われるだけだが。
その際に生えた毛も剃られ、見た目が良くなるように整えられていた。
ミルクが出るようになってから8日ほど経ったお昼過ぎ、昼食も食べ終わりうつらうつらと眠りそうになっていた時、懐かしいと思ってしまう聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「搾乳体験させてもらえるなんて楽しみですっ。よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします。本当に楽しみ」
「よろしくお願いしますぅ」
「はい、楽しんでいってくださいね。ちなみに朝じゃないので乳の出はあまり良くないですが、近くで見るだけでも癒されますよ。気に入った子がいましたら、お声がけください」
「はーい」
そんな会話が終わった後、歩き回る音が聞こえた。さっき話をしていた乳搾りをするホムンクルスを探しているのだろう。
そう考えていると、1つの足音がわたしの目の前で止まった。
なんとなく目の前にいる人物が分かり顔を上げて見ると、予想していた通り愛彩ちゃんがそこに立っていた。
そのままわたしに近づいてしゃがむと、耳元で話し始めた。
「久しぶりー。元気してるみたいだね」
「あ、あっおいえうえあんえうえっ!おんああいおういえうえうんえうあっ?」
「え、何?分かんないって。前も言ったじゃん人間の言葉で話してって」
愛彩ちゃんの軽い挨拶に、やっと来てくれた、今夜解放してくれるの?と返すが、理解してもらえなかった。
「そういえばさ、あんたミルク出るようになったんだってねぇ。はははっ。おめでとー。つい最近出るようになった子だって従業員が嬉しそうに話してたよ。あはははっ」
よかったねーとこちらを嘲笑いながら話を続ける。
「さっきこの牧場の直売所で、朝に搾った新鮮なミルクっていうのを飲んだんだけど、もしかしたらあんたのも混ざってたのかもね。甘くておいしかったよホムンクルスちゃん」
馬鹿にされていることに気が付きながらも、わたしから出たミルクを飲んだかもしれないというその発言に、顔が赤くなって俯いてしまった。
そんな顔が赤くなったわたしを見て楽しんだ後、愛彩ちゃんはそうだそうだ今思い出したと口を開いた。
「あぁそうだ、葉琉ちゃんね死んだよ」
突然意味の分からない話をされ、顔を上げて わたしはここにいるけど?と首を傾げると、詳しく言わなきゃ分かんないかと愛彩ちゃんはニヤリと笑った。
「あのホムンクルスと入れ替えた日、この牧場から連れだせたことまでは良かったんだけどね。
いやー、あの子外のことなんにも知らなくてさー。光るものが珍しかったのか、慣れない二足歩行で転びながら走ってっちゃってね。
そしたらドンッてさ当たったわけよ車に。そして吹っ飛ばされて反対車線にゴロゴロと転がって、トラックにグシャッとね。いや本当、予想外予想外」
口を開けて唖然とするわたしを横目に、カラカラと笑うと続きを話し始める。
「顔も体もグチャグチャだし原型とどめてなかったけど、あたし達の証言とドライブレコーダーの映像で、無事に駒井葉琉ちゃんと認められましたとさ。めでたしめでたし」
いやー、DNA検査されなくて良かったわー。されてたら別人だって分かっちゃうもんねと笑う。
そしてついでとばかりに口を開いた。
「そうそう、遺体が本人だって確定してから2日後に葉琉ちゃんのお葬式行われてさ、クラスのみんなで参列してきたんだー。結構豪華だったよ。遺影見てたら普通に泣けたね」
その言葉に怒りがわいてきたが、拘束されているので手を出せず、ヴーッと唸ることしか出来ないのであった。
そして話すことはもうないと立ち上がると、従業員のもとへと行き何かを話すと一緒にこちらへと向かってくる。
「この子でいいんですね?分かりました。じゃあまずは、優しく胸を全体的に揉んでください。そして乳首もいじって刺激を与えるんです。じゃあ桜木さん、やってみましょう」
その言葉に従って愛彩ちゃんの手がわたしの胸に伸びてくる。どうやら搾乳体験にわたしを選んだようだった。
何とか逃れようとするが、拘束によって少ししか動けず、その手から逃れることは出来ない。ただただガシャンと鎖がなるだけであった。
ここに来た初めの頃であれば暴れて抵抗したのだろうが、今のわたしにはその考えすら浮かばなかった。暴れる度に鞭で叩かれ調教されて、無意識のうちに選択肢から外れていたからである。
そんな抵抗できないわたしの胸を、愛彩ちゃんの手がもにゅっもにゅっと揉んできた。
「あぅっ...あぇぇっ..ぅんっ...あぇぇぉっ...んんっ..」
やめてと話すも言葉を理解してもらえなくて聞き入られない。
そのまま胸を揉むのと並行してクニクニと乳首を弄られ、だんだんと胸全体がジンジンとして感覚が敏感になり、やがてピュッと白いミルクが胸から出てきた。
従業員はそれを見逃さずに、愛彩ちゃんに次の作業を教える。
「桜木さん今度は、片手で軽く胸を掴んで、乳首に向かって搾り出すように揉んでください。3回くらい中のミルクを外に出してあげるんです。最初に出てくるミルクは、雑菌が多いので」
「へぇー、そうなんですね。分かりました。やってみます」
説明の通りに、乳首に向かって搾り出すように揉まれ、ピューッピューッピューッと3回ミルクを出される。
「んんっ...んぅ...ぅんっ...!」
悶えるわたしを尻目に、3回出されたのを見届けると、持って来ていたミルカーを愛彩ちゃんに渡す。
「今度はこれを胸につけていきます。ミルカーといって、ホムンクルスのミルクを搾り取ってくれる物なんです。
ホムンクルスが痛い思いをしないように、乳輪と乳首がこの中に収まるよう丁寧につけてあげてくださいね」
その言葉に はいっ!と明るい声を出すと、キューッという吸い込む音を響かせるミルカーをわたしの胸に近づけてきて装着する。
装着されたミルカーは、ポンッキューッポンッキューッという音を響かせながら乳輪ごと乳首を吸い上げるように動き、わたしの胸の中にあるミルクを搾り出していった。
「ん"ーっぅ...ぅん....ん"ぅっ...うぅ....ん"ん"っ...」
ビューッビューッと胸からミルクが出る音を鳴らしながら搾られ、その度にドクンドクンと胸が高まって興奮し、体が火照っていく。
愛彩ちゃんは、上手くできたと喜んでいた。
「これで搾乳体験は終わりです。この搾られたミルクは加熱殺菌などを経て、この牧場の直売所やお店等で販売されます。よかったらぜひ直売所で飲んでみてくださいね」
「はいっ。貴重な体験をありがとうございましたっ!」
そう元気よく返事をした後、わたしの傍にしゃがみこんで、最後とばかりに耳元でささやいてきた。
「覚えてたらまたいつか遊びに来てあげる。その時まであんたが生きてたらね」
解放するつもりはないけどねと、ふふっと笑うと立ち上がる。
ホムンクルス乳を生産する牧場で、ホムンクルスが生きていられるのは約25歳までだ。それ以降は出るミルクのおいしさが劣化していくとのことで、お肉に加工されてしまうのだ。
「ん"んっぅ...あぅっ....あっぇっ...うぅ....ん"ん"っ...あぃぇぁあぃえっ....」
必死の叫びは、元気だなーとクスッと笑って無視された。そもそも聞き取れなかったのだろう。
そして少し歩いてから、振り返って口を開く。
「それじゃあ元気でね!34番ちゃんっ」
その顔に浮かぶのは、天使のように優しく慈愛に満ちた残酷な笑顔だった。
その後、他のホムンクルスで搾乳体験をしていた莉香ちゃんと望乃ちゃんの2人と合流すると、従業員と一緒にそのまま建物から出て行ってしまった。
そして残されたわたしは、体は火照り、顔は赤く上気して汗をかいている状態で、ミルクが出なくなり機械の電源を切られるまでそのまま搾乳され続けるのであった。
その日以降も、何とかわたしは人間だと証明しようとするものの、口から出るのはちゃんとした人間の言葉ではないため、やはりホムンクルス特有の意味のない言葉を発しているとしか思われなかった。
拘束によって逃げられないし、証明する手立ては失われている。そしてなにより、家族や身近な人達はわたしが死んだと思ってお葬式をあげているので、仮にこの牧場から運良く逃げれて、家族にわたしは生きていると説明しようとしたところで、娘の真似をして侮辱するなと追い返されるのがおちだろう。
そこまで考えて、もう二度と駒井葉琉という人間のわたしには戻れないんだという絶望感でいっぱいになり、もはや反抗することも逃げ出そうとすることもなくなっていくのであった。
「皆おはよー!朝ご飯だよー!」
朝がやってきて、今日という1日が始まる。
これからもずっとわたしは、この牧場のためにミルクを出し続ける家畜のホムンクルスとして育てられていく。
そして、34番というホムンクルスとしてその生涯を終えることになるのだろう。それがわたしなのだから。
見慣れた女性従業員が優しい笑みを浮かべてこちらへ歩いて来るのを見ながら、お腹が空いたと少し鎖を鳴らし、お世話しに来るのを楽しみに待つのだった。
ーー[完]ーー