縮小ペット⑧「最後の希望」 (Pixiv Fanbox)
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数ヶ月が過ぎた。岡崎の日常は完全に「ペット」としての生活に染まっていた。朝は神崎を満足させるための奉仕から始まり、日中は彼女の会社でのデモンストレーションや、友人たちへの披露、夜は性的玩具としての役割。
健とミミも同様の生活を送っていた。三体は完璧な調和で神崎に仕え、彼女の欲望を満たしていた。
ある日、神崎は三体を集めた。
「特別なニュースがあるわ」
彼女は嬉しそうに言った。
「ネオライフ社が新しい技術を開発したの。ヒューマンペットの寿命を大幅に延長する技術よ」
三体は黙って聞いていた。
「通常、あなたたちの寿命は人間と同じか少し長いくらい。でも、この新技術を使えば、最大で300年まで延長できるの」
神崎は興奮した様子で説明した。
「つまり、あなたたちは私の一生のペットになれるわ。素晴らしいでしょう?」
岡崎の中で何かが揺れ動いた。300年…それは永遠に等しい時間だった。永遠に「ペット」として生きる…その考えが、彼の意識の奥底に眠っていた人間性を刺激した。
「来週、ネオライフ社で処置を受けるわ。三体同時にね」
神崎は説明を続けた。
「少し痛みを伴うかもしれないけど、結果は素晴らしいわ」
三体は揃って頭を下げた。
「はい、ご主人様」
しかし、岡崎の心の中では、かすかな抵抗の火が灯り始めていた。
その夜、ドールハウスの中で、岡崎は自分の部屋のベッドに横たわりながら考えていた。300年…永遠に近い時間を「ペット」として生きる。その考えが彼の中の何かを目覚めさせた。
「私は…誰だ?」
彼は小さな声で呟いた。断片的な記憶が蘇ってきた。大学院生、研究者、実験…そして契約。
「岡崎龍一…」
その名前を口にすると、さらに記憶が溢れてきた。彼は人間だった。知性と尊厳を持つ一人の人間だった。それが今は…
岡崎はベッドから起き上がり、窓から外を見た。神崎は寝室で眠っている。今なら…
彼は静かに部屋を出て、階段を降りた。三階の健の部屋の前で立ち止まり、そっとドアを開けた。
「健、起きてるか?」
健は目を覚まし、起き上がった。
「龍一先輩?どうしました?」
彼の声は従順で、かつての反抗的な調子は完全に消えていた。
「健、お前は本当に…このままでいいのか?」
岡崎は小さな声で尋ねた。健は混乱した表情を浮かべた。
「どういう意味ですか?」
「お前は人間だったんだ。覚えていないのか?」
健の表情が一瞬揺らいだ。
「人間…?いいえ、私はペットです。ご主人様のペットです」
彼は自動的に答えた。しかし、その目には一瞬、迷いの色が浮かんだ。
「違う。お前は人間だった。借金返済のために実験に参加したんだ」
岡崎は健の肩を掴んだ。
「思い出せ!お前の本当の自分を!」
健は頭を振った。痛みに顔をゆがめる。
「やめて…頭が痛い…」
「首輪だ。首輪があなたの記憶を抑制している」
岡崎は健の首輪を見た。それを外す方法はないのか?
「私たちは永遠にペットとして生きるつもりか?300年も?」
健の表情が変わった。300年という言葉が彼の中の何かを刺激したようだ。
「300年…」
彼は呟いた。
「そんなに長い間…ペットとして…」
岡崎は希望を感じた。健の中の人間性がまだ完全に消えていないのだ。
「ミミにも話そう」
二人は四階に上がり、ミミの部屋に向かった。彼女は猫のように丸くなって眠っていた。
「ミミ、起きて」
岡崎が優しく声をかけると、彼女は目を覚ました。
「にゃ?龍一先輩、健先輩…どうしたにゃ?」
「ミミ、あなたも人間だったんだよ」
岡崎は静かに言った。ミミは首を傾げた。
「にゃ?私はペットですにゃ。ご主人様のかわいいペットにゃ♡」
「違う。あなたも私たちと同じ、人間だった。ネオライフ社があなたを改造したんだ」
ミミは混乱した表情を浮かべた。
「人間…?」
彼女の猫耳がピクピクと動いた。
「私の記憶には…ありませんにゃ…」
「首輪のせいだ。私たちの記憶を操作している」
岡崎は二人を見つめた。
「来週、私たちは300年の寿命延長処置を受ける。それは実質的に永遠にペットとして生きることを意味する」
健とミミは沈黙した。
「私は…逃げるつもりだ」
岡崎は決意を込めて言った。
「人間として生きる権利を取り戻すんだ」
健の目に光が戻ってきた。
「逃げる…?どうやって…?」
「まだわからない。でも、何とかして首輪を外す方法を見つけなければ」
三体は小声で話し合った。逃げる方法、首輪を外す方法、そして外の世界で生き延びる方法。すべてが不確かだったが、岡崎の中の人間性の火は消えなかった。
「明日から、チャンスを探そう」
岡崎は言った。
「神崎が油断している隙に…」
突然、ドアが開いた。神崎が立っていた。
「何を話しているの?」
彼女の声は冷たかった。三体は凍りついた。
「ご、ご主人様…」
岡崎は震える声で言った。神崎の手にはリモコンがあった。
「私を裏切るつもり?」
彼女は冷酷に微笑んだ。
「残念だわ、龍一。あなたはもう完全に調教されたと思っていたのに」
神崎はリモコンを操作した。三体の首輪から強い電流が流れ、彼らは痛みで床に倒れ込んだ。
「うっ…!」
「反抗的なペットには厳しい罰が必要ね」
神崎は三体を手に取り、リビングに連れて行った。彼女は特殊なケージを取り出し、三体をその中に閉じ込めた。
「明日、ネオライフ社に連れて行くわ。予定より早いけど、あなたたちには特別な処置が必要みたいね」
彼女は冷たく言った。
「完全記憶消去と人格再構築。あなたたちの人間としての記憶をすべて消し去り、完全なペットとして作り直すの」
岡崎は恐怖で震えた。完全記憶消去…それは自分自身の死を意味していた。
「お願いします、ご主人様…」
彼は懇願した。
「黙りなさい」
神崎はリモコンを操作し、三体の意識を制御した。彼らは強制的に眠らされた。
岡崎が目を覚ましたとき、彼らはすでにネオライフ社の特別処置室にいた。三体はそれぞれ小さな手術台に固定されていた。周囲には複雑な機械が並んでいる。
「目が覚めたわね」
神崎の声が聞こえた。彼女は白衣を着た研究員たちと一緒に立っていた。
「ご主人様…お願いです…」
岡崎は弱々しく言った。首輪の制御が弱まっているのか、少し話すことができた。
「もう遅いわ」
神崎は冷たく言った。
「あなたたちの反抗的な部分は完全に消去されるの」
佐々木研究員が前に出た。
「神崎様、処置の準備が整いました」
「お願いします」
神崎は頷いた。佐々木は複雑な装置を操作し始めた。
「まず、首輪の制御システムを最大出力に設定します」
彼女は説明した。
「その後、記憶消去プロセスを開始します」
岡崎は必死に体を動かそうとしたが、完全に固定されていた。健とミミも同様だった。
「逃げられない…」
岡崎は絶望を感じた。これが終わりなのか?自分の人間性、記憶、すべてが消え去るのか?
「処置を開始します」
佐々木がボタンを押した。岡崎の首輪から特殊な波動が発せられ、彼の頭に激しい痛みが走った。
「うっ…!」
記憶が断片化し始める。大学時代の記憶、研究の日々、実験に参加した理由…すべてが霧の中に消えていく。
「いや…やめて…」
彼は弱々しく抵抗した。しかし、機械は容赦なく彼の記憶を消去していく。
「第一段階完了」
佐々木の声が遠くから聞こえた。
「次に人格再構築を開始します」
岡崎の意識が薄れていく。彼の中の「人間」としての部分が徐々に消えていき、代わりに「ペット」としての意識が植え付けられていく。
「私は…誰…?」
彼は混乱の中で呟いた。
「あなたはペット」
神崎の声が頭の中に響いた。
「私のペット。それだけ」
岡崎の意識が完全に書き換えられていく。彼の中の最後の抵抗も消え去り、完全な従順さだけが残った。
「処置完了しました」
佐々木の声が聞こえた。
「三体とも完全に記憶消去と人格再構築が完了しています」
神崎は満足げに微笑んだ。
「目を覚まさせなさい」
佐々木はスイッチを入れた。三体の目が開いた。しかし、そこには以前の光はなく、ただ虚ろな従順さだけが宿っていた。
「あなたたちは誰?」
神崎が尋ねた。
「私たちはペットです。神崎様のペットです」
三体は一斉に答えた。その声に感情はなく、まるで機械のようだった。
「素晴らしい」
神崎は喜んだ。
「これで完璧ね」
彼女は三体を手に取った。かつての岡崎、健、ミミはもういない。そこにいるのは、完全に従順なペットだけだった。
「次は寿命延長処置ね」
神崎は佐々木に向かって言った。
「はい、準備は整っています」
佐々木は別の装置を指さした。
「こちらで処置を行います」
三体は特殊なカプセルに入れられた。そこで彼らの細胞構造が変化し、300年の寿命を持つように改造される。
処置が終わると、神崎は満足げに三体を見つめた。
「これで完璧よ。永遠に私のペットとして生きるのね」
三体は無表情で頷いた。
「はい、ご主人様」
彼らの中の人間性は完全に消え去り、ただの「モノ」となっていた。意志も感情も、すべてが神崎の思い通りになるよう作り変えられていた。
「すごいわ!まるで別の生き物ね!」
「こんなに従順になるなんて!」
女性たちは興奮した様子で三体を観察していた。岡崎、健、ミミは小さなステージの上で、完璧な連携でショーを披露していた。彼らの動きは機械のように正確で、表情には何の感情も宿っていなかった。
「新しい処置を受けたのよ」
神崎は得意げに説明した。
「完全記憶消去と人格再構築。そして寿命延長処置も」
「寿命延長?どれくらい?」
「300年よ」
女性たちはどよめいた。
「300年も!?あなたの子孫までペットとして使えるじゃない!」
「そうね。私の家系の永遠の所有物よ」
神崎は満足げに微笑んだ。
「でも、それだけじゃないの」
彼女は不気味な笑みを浮かべた。
「特別な機能も追加したのよ」
神崎はリモコンを取り出し、ボタンを押した。すると、三体の体が変形し始めた。岡崎の背中からは小さな翼が生え、健の腕は鋭い爪に変わり、ミミの猫耳と尻尾はさらに大きく発達した。
「遺伝子操作による変形機能よ。リモコン一つで、様々な形に変えられるの」
女性たちは驚きと興奮の声を上げた。
「まるでおもちゃね!」
「私も欲しい!どうすれば手に入るの?」
神崎は得意げに説明を続けた。
「まだ一般販売はされていないわ。でも、ネオライフ社の株を持っていれば、優先的に購入できるわよ」
パーティは深夜まで続き、女性たちは三体を様々な形で「遊んだ」。彼らは完全に物体として扱われ、時には残酷な「実験」の対象にもなった。痛みを感じさせたり、屈辱的なポーズを取らせたり、性的な行為を強いたり。しかし、三体の表情は終始無感情のままだった。
パーティが終わり、客が帰った後、神崎は三体を特別な展示ケースに入れた。それは彼女の寝室に置かれた、美術品のような透明なケースだった。
「これがあなたたちの新しい住居よ」
神崎は冷たく言った。
「ドールハウスは甘やかしすぎだったわ。これからはオブジェとして飾っておくの」
三体は無表情で頷いた。
「はい、ご主人様」
彼らはケースの中で、まるで人形のように静止した。生きているのに、生命感のない存在。人間の形をしているのに、人間性のない物体。
神崎は満足げにケースを眺め、ベッドに横たわった。
「おやすみなさい、私の永遠のコレクション」
彼女は電気を消した。
ケースの中で、岡崎は静止したまま暗闇を見つめていた。彼の意識は完全に書き換えられ、かつての自分の記憶はすべて消え去っていた。彼はただの「物」になっていた。
しかし、深い夜の静けさの中、彼の意識の最も奥底で、かすかな光が灯った。それは完全に消し去ることのできなかった、人間性の最後の欠片だった。
「岡…崎…」
その名前が彼の意識の片隅でかすかに響いた。しかし、すぐに首輪の制御システムが作動し、その小さな光も消し去られた。
彼の目から一筋の涙が流れ落ちた。それは感情によるものではなく、単なる生理現象だった。彼の中の人間は、完全に死んでいた。
翌朝、神崎は目を覚まし、ケースを見た。三体は一晩中、同じ姿勢で立ち続けていた。
「おはよう、私のかわいいペットたち」
彼女は微笑んだ。
「今日は特別な日よ」
神崎はケースを開け、三体を取り出した。
「ネオライフ社の株主総会があるの。あなたたちを連れていくわ」
彼女は三体を特殊なキャリーケースに入れ、準備を始めた。
株主総会は高級ホテルの大広間で行われた。多くの富裕層が集まり、ネオライフ社の最新技術に関する報告を聞いていた。
「そして、最後に特別なデモンストレーションを行います」
CEOが発表した。
「当社の最新技術、完全制御ヒューマンペットをご覧ください」
神崎が三体を連れてステージに上がった。
「こちらが私のコレクションです」
彼女は三体をテーブルの上に置いた。
「完全記憶消去、人格再構築、寿命延長、そして変形機能を備えています」
神崎はリモコンを操作し、三体に様々な「芸」を披露させた。彼らは完璧に命令に従い、時には非人道的な行為も躊躇なく行った。
「そして、最後に特別な機能をご紹介します」
神崎は不気味に微笑んだ。
「究極の所有の証明として」
彼女はリモコンの特別なボタンを押した。すると、三体の体が震え始め、徐々に変形していった。彼らの体は液状化し、混ざり合い、一つの塊になっていく。
「これが『融合機能』です」
神崎は説明した。
「複数のヒューマンペットを一つの生命体に融合させることができます」
会場からどよめきが起こった。テーブルの上では、かつての岡崎、健、ミミの体が完全に融合し、一つの奇妙な生き物になっていた。三つの顔を持ち、六本の腕を持つ、グロテスクな存在。
「彼らの意識も融合しています」
神崎は冷酷に説明を続けた。
「三つの人格が一つになり、完全な服従だけを目的とする新しい存在に生まれ変わります」
融合した生き物は震えながら立ち上がった。三つの顔はすべて無表情で、六つの目は虚ろだった。
「ご主人様に従います」
三つの口が同時に言った。その声は三人の声が重なり合った、不気味な響きだった。
「素晴らしい!」
会場から拍手が沸き起こった。
「これが当社の目指す究極のペット技術です」
CEOは誇らしげに言った。
「完全な所有、完全な支配。生命の再定義です」
神崎は満足げに融合した生き物を見つめた。かつての岡崎、健、ミミはもういない。そこにあるのは、彼女の所有物、彼女の玩具、彼女の「モノ」でしかなかった。
「これが私の勝利よ」
彼女は小さく呟いた。
「あなたたちの人間性を完全に踏みにじった証」
融合した生き物は無表情で頷いた。その中に人間の欠片はもう残っていなかった。岡崎龍一という人間は完全に消え去り、ただの「物体」だけが残されていた。
彼の最後の希望、最後の抵抗、最後の人間性—すべてが神崎の靴の下で完全に踏みつぶされたのだった。