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本部施設はまるでアニメや特撮作品の中からそのまま抜け出してきたような、巨大な研究施設兼基地だった。

白衣を着た研究者たちが忙しそうに行き交い、その合間を縫うようにさまざまな意匠のヒーロースーツに身を包んだ者たちが歩いている。

広大なロビーを進んでいくと、研究者たちはモリオン博士の姿を認めるたびに会釈をした。

一方ヒーローたちは敬礼する。

その光景だけで、博士がこの施設でどれほどの立場にいる人物なのかが伝わってきた。

モリオン博士。通称ブラックタイタン。

現在は前線を退いているものの、「世界史上二人目のヒーロー」としてその名を知らない者はいない。


俺はそんな人物の後ろを歩きながら、いくつものセキュリティゲートを通過した。

やがて案内されたのは、博士自身の研究室だった。

研究室というより、診察室に近いと思った。

壁一面にモニターが並び、用途の分からない機器がいくつも設置されている。

そのどれもが俺の知る大学の研究設備とは比較にならないものだった。

博士が椅子に腰を下ろし、俺にも向かいの椅子を勧める。

そして博士は静かに口を開いた。

「まず第一に、伝えておかねばならないことがある」

その声音にはそれまでの気さくさがなかった。

俺は思わず背筋を伸ばした。

「君は、超人覚醒の例としては史上二人目だ」

「……どういうことですか?確か、覚醒者は世界中から集められたんですよね?」

「言うまでもないことだが、ここからの話は一切の機密事項だ」

博士はそう前置きして、モニターを操作した。

「超人化施術」

画面に表示されたのは、人体の遺伝子情報を示すような複雑な図だった。

「その概要は大山英勝……君の父の遺伝子を、外科的に他者の体内へ定着させることだ」

「……父の?」

思わず聞き返した。

「そうだ」

博士は頷く。

父が政府へ働きかけ、ヒーローを組織化する計画が進められた後。

世界中で父と同じような能力を持つ者が存在しないか徹底的な調査が行われた。

しかし――

「ついに、他の自然発生型の超人は見つからなかった」

その言葉に、俺は黙り込んだ。

「その結果、君の父は徹底的に調査された。遺伝子、細胞、代謝、筋組織、脳波……ありとあらゆるものが研究対象となった」

博士は淡々と説明していく。

「そして、なんとか人為的に超人を生み出せないかという研究が始まった」

モニターの映像が切り替わる。

「意外にも、方法そのものはすぐに見つかった」

博士はそこで一度、言葉を止めた。

「……ただし、人体実験を前提とするものだった」

俺は息を呑んだ。

「当然、なかなか話は先へ進まなかった。誰が実験台になるのか。失敗した場合、何が起こるのか。そもそも、本当に人間にも適用できるのか」

博士は画面から視線を外した。

「そこで――私自身が実験体となった」

「……」

「褒められたことではない。だが、そうする他なかった」

博士は遠い目をしていた。

当時の記憶を思い返しているのだろう。

俺は何も言えなかった。

「つまり、現在この組織に所属している超人たちは、そのすべてが施術を受けた者たちだ」

博士は俺を見る。

「しかし、君は違う」

「……」

「君は、君の父と同じ――自然発生型の覚醒者だ」

その言葉が、妙に重く感じられた。

「それが血統によるものなのか。それとも、遺伝子とは別の要因が関係しているのか。まだ何も分かっていない」

博士はモニターを閉じた。

「いろいろなことが分かるまで、君にはしばらく調査に付き合ってもらう必要がある」

俺は胸の内で密かに息を吐いた。

超人的な能力を得たとはいえ、もしいきなり前線に出ろと言われたらどうしようと心配していた。

「当面は、訓練と調査の毎日だ」

博士はそう言ってから、ふと思い出したように続ける。

「それと、大学の件だが……」

その話を聞いたとき、少しだけ肩の力が抜けた。

H.E.E.hiveでの訓練と実働を大学の卒業過程として認定してもらえるよう、すでに各方面への根回しが済んでいるらしい。

「たしか、機械工学専攻だったな」

「はい」

「この施設の機械は、なかなか面白いもんばかりだぞ」

俺の反応が薄かったからだろう、博士は少し肩をすくめた。



世界が混乱の中にある今も、俺はどうにか大学生活を続けていた。

そもそも、俺が機械工学を専攻していたのは、特別な使命感があったからではない。


父がまだ、世界を救う「ブルータイタン」ではなく、俺にとってただの「父親」だった頃。

進路を決めかねていた俺に、父は言った。

――せめて、やりたいことを決めなさい。

その言葉を聞き選んだのが、機械工学だった。

「ロボット義手を作りたい」

そう伝えると、父は大層それを気に入った。

自分の息子が社会貢献を夢見ていることが嬉しかったのだろう。

大学への進学も、その勉強も、父は全力で応援してくれた。

だが。

その夢の根っこにあったものは、父が想像していたような崇高なものではなかった。

正直人には言いにくいものだった。

身体改造。

子供の頃、特撮作品で見たのだ。

登場人物が敵に捕らえられ、身体を改造され、別の存在にされてしまう。

そんな描写に、俺は言葉では説明できないような興奮を覚えた。

それ以来俺は「身体改造」というものに、妙な執着を持つようになった。

とはいえ……俺は自身の身体を傷つけることには強烈な抵抗があった。

それ故にピアスの穴一つ開けられない。

それでも、身体が変化することそのものには、どうしようもなく惹かれてしまう。

大学に入り髪を染めた時、これもある種の身体改造なんじゃないか?と気付いた時には自慰を止められないほど興奮した。


「……では、今日は精密な身体検査を行う」

博士の声で、思考が現在へ引き戻された。

研究室の奥にある扉が開く。

そこにはいくつもの大型機器が並んでいた。

その中央に設置されていたのは、丸みを帯びた巨大な機械だった。

蛹。そんな言葉が頭に浮かんだ。

博士がパネルを操作すると、機械の蓋がゆっくりと開く。

「コクーンという装置でな。中に入れば、全自動で検査が始まる」

博士は機械を眺めながら説明する。

「……その、最初は少し面食らうかもしれんが、必要な工程だ。受けてくれ」

そう言い残すと、博士は部屋を出ていった。

俺はそれまで着ていた衣服を脱ぎ、支給されたヒーロースーツへ着替える。

黒と黄色を基調とした、俺専用のスーツだ。


俺はコクーンの中へ入った。

内部は外から見た印象よりもずっと広かった。一つの部屋と呼べるくらいだ。

ゆっくりと扉が閉じる。

機器の光に照らされる中で、機械音が響いた。

『ごきげんよう、アンバーワン』

突然、コクーン内に合成音声が響いた。

『これより、定期身体検査を開始します』

アンバーワン。

それが俺が自分で決めたヒーローネームだった。

組織から最初に提示された名前は「タイタンジュニア」。正直面食らった。

もうジュニアと呼ばれるような年齢でもないし、何より父の名前を背負うにはその功績を鑑みるにあまりにも荷が重い。


……英語で電気を意味する「electricity」は琥珀を擦ると静電気を生じることに由来している。

太古の命を封じて輝く「琥珀」という宝石には幼い頃から妙に惹かれるものがあり、いろいろと調べて自身を「アンバー」と名付けたのだった。


機械の内部から、いくつもの蛍光色の管が伸びてくる。

それらが次々と俺の身体へスーツを介して接続されていった。

ふわっと、足元の感覚が消えた。

「……お?」

身体が浮いている。

まるで重力そのものがなくなったかのように、俺の身体はコクーンの中央へと持ち上げられていく。

「これは……」

思わず周囲を見回した。

「内部が、無重力になった?」

身体が完全に宙に浮いている。

施設へ入ったときは、最先端の研究施設なのだという程度にしか思っていなかった。

だが、ここはH.E.E.hiveだ。世界最高峰の研究機関。

しかも、その技術の大部分が機密扱いになっている。

世間では知られていない技術が使われていても不思議ではない。

それでも、実際にその一端に触れて驚かずにはいられなかった。


『検査シーケンス、第一段階へ移行します』

無機質な声が響く。

蛍光色の管が淡く明滅し、コクーンの壁面に無数の光が走った。

コクーンの内側は、淡い光に包まれていた。

『心拍数、正常。血圧、正常……』

機械的な声が空間に淡々と響く。

『血中H因子、異常値。200パーセント。H因子適合率、異常値。200パーセント』

聞き慣れない単語が次々と告げられるたび、胸の奥がざわついた。史上二人目の自然覚醒者——その事実が、何か重大な異常を示しているのだろうか。

俺は天井のモニターを見上げた。数値が赤く点滅している。

股間が熱を持ち、硬く張り詰めている。ギンギンに勃起した肉棒が、新品のスーツを押し上げ、先端がすでに湿り気を帯びていた。

ずっと考えないようにしていた。

これではまるで、ヒーロー改造手術の準備段階みたいじゃないか。



体に繋がれた無数の管から粘り気のある”特殊な液体”がゆっくりと体内へ流れ込んでくる。

冷たい、しかし体に入った途端に熱くなる。体のずっと奥に染み渡っていき、乳首の裏側が妙に疼き始める……。

「……だめだ。考えるな……ふぅ、ふぅ……」

俺はなんとか「妄想」を振り払おうとした。

コクーンのアナウンス音声は検査工程の説明をしている。

しかし妄想が俺の頭をどんどん支配していく。

”液体”は俺の体を容赦なく循環していく。そして、胸筋の内側を徐々に変質させてしまう。

乳腺が膨らみ、乳管が拡張し、やがてそこは「ミルク製造工場」へと作り変えられていく——

精液を乳首からも放出できるようになる。同時に股間の肉棒は超の付く巨根へと肥大化され、三つの射精孔から無限に精を吐き出せるよう改造される。

妄想は制御できないほど膨らんでいく。



『性機能調査、及びリフレッシュ処理を行います』

コクーン内中央の壁が静かにスライドし、透明の搾乳機のような装置がゆっくりと現れた。柔らかいシリコンの内壁を持つ、円筒状の吸引口。それが俺の勃起したペニスに向かって接近してくる。


えっ……そんな、だ、だめだ……本当になる、本当になった。うわっ


最初の射精は、装置が触れる前に起きてしまった。白い濁った液体がスーツを内側から汚し、逃げ場所を失った精液が性器の先に膨らみを作る。甘い痺れが脊髄を駆け上がり、視界が一瞬白く弾けた。

「性機能、異常値。ハイレベルの興奮を確認」

機械の声は淡々としていた。装置は躊躇なくペニスをすっぽりと飲み込み、熱を持った内壁がぎゅっと締め付ける。

搾乳機に対応しスーツは股間部分を開放する。

守るものがなくなった肉棒を吸うような圧力が根元から先端まで波状に伝わり、性器へと容赦ない刺激を与えていく。



「や、やめろぉぉ——!!」

声が裏返った。腰が勝手に跳ね、装置の奥へ肉棒を突き入れる。搾乳機内が蠕動し、亀頭を優しく、しかし執拗に刺激する。

二度目の射精はすぐに訪れた。

熱い精液が勢いよく噴き出し装置の透明なチューブを通ってどこかへ運ばれていく。

それでも勃起は収まるどころか、さらに硬さを増した。

毎回、射精の度に乳首が硬く尖り、胸の内側が熱く脈打つ感覚を覚えていた。

”液体”の影響で乳腺が活性化し始めているのだ。左右の乳首から白濁した汁が滲み出していた。

装置はペニスだけでなく、その蜜にも興味を示したのか、細い吸引ノズルが伸びてきて乳首を吸い上げる。

甘く、激しい刺激が胸から下半身へと直結し、五度目の射精を強制的に引き出した。


「……お……おい……おい!なんだっ大丈夫か!?」

コクーン内のスピーカーから響く慌てた声に現実へと引き戻される。モリオン博士だ。

「す、すまない、落ち着いてくれ……アナウンスを聞いていなかったのか? くそ、緊急停止だ」

搾精機が手動で停止するまで、そこそこ時間がかかった。その間、俺は何度も射精させられ、腰はがくがくと痙攣し、スーツの中は汗でぐちゃぐちゃだった。

乳首からは本当に白濁した液が垂れ出ている、胸筋がわずかに張りを増している……ように思えた。

装置がゆっくりと離れると、赤く腫れ上がった肉棒が空気に晒され、びくびくと脈打った。

無重力が解除され、ゆっくりと俺の体はコクーンの床へと降りていった


コクーンの蓋が開く音がして、冷たい外気が流れ込んでくる。

モリオン博士が駆け寄り、俺の肩を揺すった。

「呼吸を整えろ。異常値は予想の範囲内だ。だが……お前の反応は……その……記録を更新するレベルだったぞ」


俺はぼんやりと天井を見上げた。

妄想の中で、俺はすでに完全に改造され、組織から「最優秀ミルクタンク」の称号を授与されていた。

胸から溢れる濃厚なミルクと、三つの射精孔から尽きることなく噴き出す精液。

どちらも組織の貴重な資源として、毎日のように搾り取られる——。

現実に引き戻されてなお、その残像はなかなか消えなかった。


「……ひとまず自室に向かって休んでくれ」

博士の呟きが、耳の奥に残った。

俺は力なく目を閉じ、まだ疼く乳首と、再び硬さを取り戻しつつある股間に、静かに息を吐いた。



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