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1

「Yさん、こんばんは」

「あ、Kさん、どうも……」

Yさんはいつも通りのスーツ姿で、どこかぎこちない笑顔を浮かべた。

「今日もお仕事終わりですか?」

「そうなんです」

「お疲れさまです。では今日は、VIOの照射1回目ですね」

「……はい」

短い返事。

その声にわずかな緊張が滲んでいるのがわかる。

「では、下はすべて脱いでいただいて。事前に麻酔クリームは塗ってありますよね」

「はい」

「こちらの体拭きシートで、クリームを拭き取ってください。準備ができたらベッドに横になって、タオルをかけてお待ちくださいね」

説明を終えると、

「では、10分ほどしたらまた伺います」

そう言って俺は施術室を出た。

控え室に戻り、本日最後の患者のカルテに目を通す。

───Yさん。33歳、会社員。

いつも仕事帰りにスーツ姿で来る。

清潔感のある端正な顔立ちに、刈り上げた短髪がよく似合う。

最初はヒゲ脱毛でこのクリニックに訪れた。

10回以上の脱毛でだいぶ青髭も目立たなくなり、ぐっと若々しくなった。

施術のたびに少しずつ会話を重ね、先日はついに一緒に飲みに行く仲になった。

飲みの席での会話。

酒が回った頃、話題は脱毛の話に移った。

VIO脱毛の話を振ると、Yさんの目がわずかに動いた。

興味がありそうだった。

俺は半ば冗談のつもりで言った。

「デリケートゾーンを脱毛すると、あそこが大きく見えることもあるんですよ」

軽い笑いを取るつもりだった。

だが、Yさんは笑わなかった。

グラスを持つ手を止め、真剣な目でこちらを見ていた。

その場で、YさんはVIO脱毛を決めた。

そして今日。

施術室の前で、俺は一度立ち止まる。

ひと呼吸おいて、ノックをする。

「Kです。ご準備、いかがでしょうか」

返事を確認してから、ドアを開けた。

施術台のベッドの上に、仰向けに横になったYさん。

上半身はワイシャツを着ていて、ネクタイは外している。

ベッド脇の床には、履いていた革靴が丁寧に揃えて置かれている。

股間にはタオルが一枚かけられ、その下から、少しすね毛の生えた脚が伸びていた。

股間部分が少し膨らんでいる。

足元には黒い靴下だけ。

「レーザーの光を見ないように、アイマスクをつけますね」

「はい……」

「緊張してますか?」

「……ちょっと、しますね」

Yさんは少しはにかむ。

「初めてだと、そうですよね。でも、すぐ慣れると思いますよ」

そう声をかけながら、静かにYさんの視界を奪った。

「では、照射範囲の確認をしますね」

「はい」

股間を覆う、たった一枚のタオル。

俺はゴム手袋をはめて、へその側から、ゆっくりとめくっていく。

へその下、白い肌が現れる。

「きれいに剃っていただいてますね」

かつて毛があった場所には、剃り跡が黒い点々となって残り、うっすらと肌を濃くしていた。

チンコの付け根が見えはじめる。

さらにタオルを持ち上げる。

Yさんのチンコが露わになった。

2

7cmほどのチンコ。

皮は剥けていて、赤い亀頭が露出している。

(……まあ、平均よりも少し小さいくらいか)

率直にそう思った。

飲み屋でのあの反応から、小さいチンコにコンプレックスを持っているんだと思っていた。

俺は密かに「よかった」と思った。

「脱毛すればあそこが大きく見える」───とは言ったが、それは平均的な範囲内のサイズであれば、の話だった。

小さすぎる場合は、陰毛がないことでかえって未発達な印象を与えてしまう。

だが、飲み屋ではそこまでは話せなかった。

これくらいのサイズなら、脱毛で少しは大きく見えるようになるだろう。

内心、めちゃくちゃ粗チンだったらどうしようと思っていたのだ。

だが実際、俺がYさんに対してもともと持っていたイメージよりは小さかった。

Yさんは、いつもスーツ姿で現れる。

落ち着いた物腰と、自然に伸びた背筋。

スーツの仕立て、革靴の手入れ、腕時計の選び方。

年齢相応の、成熟した空気をまとった人だ。

そういう男性の股間には、無意識に大人のものを想像してしまっていた。

極端に小さいわけではないが、まだ未成熟の果実のようにつるりと艶があり、汚れのない印象を受ける。

俺はタオルを完全にめくった。

Yさんのチンコの全貌が露わになる。

───。

亀頭の先端から、めくったタオルへと細い糸が引かれているのが見えた。

すでに、先走りが出ている。

施術中にそうなる患者は珍しくない。

だが、まだ照射前だ。

下半身を露出しただけで何も触れてすらいない。

この段階で濡れている患者は、初めてだった。

俺はYさんのチンコに触れる。

ぴくりとYさんの体がわずかに弾んだ。

Yさんのチンコは萎えているはずなのに、指先に伝わる感触にはわずかな硬さがあった。

(いや、半勃起してるならもう少し大きいはずか……?)

「麻酔クリームの拭き残しを拭き取っていきますね」

チンコを片手で摘みながら、もう片方の手で拭き残した麻酔クリームを丁寧に拭き取っていく。

指先の中で、チンコが徐々に硬さを増していく。

完全に硬くなったチンコは、手を離してもピンと真っ直ぐ上を向いた。

(……あれ?)

勃起しているのに、さっきとさほど大きさが変わっていない。

おそらく9cmもない。

チンコはピクピクと脈拍に応じて震えている。

その先端には、先走りがぷくりと雫を膨らませている。

表面張力が限界に達して、丸い雫は形を崩し、亀頭の曲面を滑って滴り落ちていく。

カリ首に到達し、不自然にだぶついた包皮に沿って、じわりと左右に広がっていく。

「……すみません」

Yさんが小さな声で言った。

おそらく勃起のことだろう。

「大丈夫ですよ。生理現象ですから気になさらないでください。他の患者さんもよくなりますので」

そう返しながら、内心で思う

(やっぱり、これで完全に勃起しているのか)

「では、照射範囲にマーキングしていきますね」

俺はYさんの勃起したチンコをつまみ、マーカーを肌に滑らせていく。

くすぐったいのか、ぴくりとYさんの体が揺れた。

チンコの先端から、また透明な液体が滲み出す。

亀頭の表面を薄く濡らし、じわりと広がっていく。

マーキングのために、俺は硬くなったチンコをレバーハンドルのように、さまざまな方向に傾けていく。

動かすたびに、艶を帯びた亀頭にカウパーが引き延ばされ、施術室の明かりを反射する。

3

ふと、直前の患者のことを思い出す。

Yさんの前の患者は22歳の大学生だった。

背格好はYさんと同じくらい。

ただ、チンコは違った。

平常時で10cmほどあり、皮は半分ほど被っていた。

太さは十分にあり、ずっしりと股の間に垂れ下がっていた。

麻酔クリームの拭き取りやマーキングを進めるうちに、彼のチンコはだんだんと硬さを帯びていった。

17cmほどに達し、皮も自然と剥けてくる。

だが、しばらくすると、それもしだいに萎えていった。

他の患者も大抵そうだった。

触れられた刺激で一時的に反応しても、照射前には落ち着く。

先走りが出ることもほとんどない。

それに比べて───

目の前のYさんのチンコはギンギンのまま収まる気配がなかった。

実際に手にしてみると、前の患者との差がよくわかる。

さっきまで大学生の17cmを握っていた同じ手が、今は9cmに届かないチンコを摘んでいる。

指先の記憶が、否応なくその比較を突きつけてくる。

亀頭をさらにカウパーが濡らす。

マーキングが終わりかけたころ、Yさんが声を漏らした。

「あ、あの、Kさん……」

「はい、どうしました?」

「あ、その……」

「大丈夫ですよ、なんでも言ってください」

「……」

「Yさん?」

Yさんは小さく、震える声で言う。

「い、いってしまいそうで……」

「え?」

その瞬間、つまんでいたチンコが、ググッと際立って硬くなる。

視界の端で、Yさんのつま先がピンと伸びた。

次の瞬間。

「ぁぁ……!」

指先に、限界を超えた脈動が伝わる。

目の前の小さなチンコから、白濁した液体が勢いよく噴き上がった。

ビュッ!

ワイシャツにボタリと液体が着地するころ、チンコからは次の噴射が起こる。

ビュッビュッと続けざまに精液が飛ぶ。

ワイシャツ。

施術台。

Yさんのへそのあたり。

こんなに小さなチンコから、こんなに飛ぶのか。

やがて勢いは失われ、最後にはドロッとチンコを伝って、ゴム手袋越しの俺の手に触れる。

生温かい。

その温度で、目の前の出来事がようやく実感に変わる。

Yさんが射精した。

そうした事例があることは、知識としては知っていた。

だが当然、テキストの中の話だった。

実際に目の当たりにするのは、これが初めてだった。

チンコはまだ微かに痙攣している。

先端から最後の精液がじわりと滲み出し、亀頭の曲面を伝って、俺の親指の付け根に溜まった。

静かにチンコから手を離し、指についた精液を拭う。

「あ、えっと……」

何を言えばいいのかわからない。

「……すみません」

Yさんの声は、今にも泣き出しそうだった。

4

俺はYさんのアイマスクを外す。

どうしても目が合う。

一瞬の沈黙。

さすがに気まずい。

Yさんは視線を外す。

体やワイシャツについた精液は、本人に拭いてもらうことにした。

俺はベッド周りの処理をする。

タオルをどかし、ティッシュや体拭きシートを用意する。

Yさんはそれを受け取ると、まずチンコについた精液を拭っていく。

射精直後で敏感なのか、亀頭を拭うたびに、体を小さく震わせている。

次に、へそのあたりを拭う。

一度ベッドから降りてもらい、立った状態で清拭を続けてもらう。

ベッドには使い捨てのシートが敷かれている。

精液のついたシートを外して廃棄し、新しいものをセットする。

「では、5分後くらいにまた伺います」

部屋を出るとき、Yさんは顔を伏せたまま、ワイシャツの精液を拭っていた。

チンコはまだ半勃起していて、前にピンと伸びていた。

控え室に戻っても、頭の中ではさっきの射精シーンがぐるぐると繰り返される。

小さなチンコから噴き上がった白い精液。

着弾したワイシャツ。

ゴム手袋に伝わる温度。

PC画面にはYさんのカルテが表示されていた。

俺はキーボードを叩く。

『施術中、体液付着あり。清拭後、施術再開。』

入力してから、デリートキーを連打して消す。

これは、記録すべき内容なのだろうか。

施術中のトラブルではあるが、共有することなのか。

そんなことを考えている間に、5分が過ぎた。

施術室の扉をノックし、中に入る。

Yさんは体を拭き終え、下半身を露出したままベッドに横になっていた。

気まずそうに目線は合わせない。

俺は、タオルを渡し忘れていたことに気づいた。

回収したまま、新しいものを用意していなかった。

皮の剥けたチンコの勃起はもう収まっていた。

はじめ6cmほどあったチンコはさらに小さくなっている。

Yさんのそばに立つと、ワイシャツに残った染みが目に入る。

(さすがに、もう射精はしないだろう)

でも、もしまた同じことが起こったら。

「念のため、上の衣服も脱いでおきましょうか」

努めて明るい声で言う。

「あ、は、はい……」

Yさんは、肩を落としてベッドから立ち上がった。

通常、VIO脱毛で上半身を脱ぐ必要はない。

Yさんは、俺の目の前でワイシャツのボタンを外していく。

中には白いランニングシャツを着ていた。

チンコはちょこんとまっすぐ前を向いている。

見ているうちに、チンコの皮が徐々に被さっていく。

露出していた、真っ赤な亀頭がすっぽりと皮に覆われ、先端で包皮が余った。

先がすぼまって、尖った形状になる。

Yさんはさりげなく手をチンコに持っていった。

握られた手の指の甲を、チンコに沿わせ、滑らせるように皮を剥いていく。

露骨に摘むのではなく、あくまで自然な動作に見せようとして、剥いていることを悟らせまいとしている。

かろうじてカリで引っかかり、皮をキープさせてから、ランニングシャツを脱ぐ。

だが、その間にまた皮はあっさりと戻ってしまう。

再びすっぽりと被さる。

見栄剥きしていることは、はじめに見たときから気がついていた。

さまざまなのチンコを見てきた経験で、皮のだぶり具合や、亀頭の乾き具合などから、普段が包茎かどうかは簡単に判断できる。

たまに見栄剥きの患者もいるが、とくに指摘しない。

(……でも)

刺激に慣れていない亀頭を触れられたことも、あの失敗の原因かもしれない。

ランニングシャツを脱ぎ、靴下と革靴だけを身につけたほとんど全裸のYさんは、またKに軽く背を向けて皮を剥こうとしている。

俺は言葉を選びながら言った。

「あの……もし普段剥けていないようでしたら、そのままで大丈夫ですよ。施術には問題ありませんので」

「……はい」

見栄剥きを指摘されたYさんは、皮を被せたままベッドに戻った。

「じゃあ、再開していきますね」

俺はYさんにアイマスクをつける。

ベッドには上も裸になったYさんが仰向けになっている。

足に黒い靴下だけを身につけ、チンコはすっぽりと皮を被って天井を向いている。

ちょこんと軽そうなチンコは4cmほどしかない。

陰毛も剃っているため、大人のものとは思えなかった。

このサイズでは、脱毛がかえって股間の未熟さを際立たせてしまうだろう。

俺はそのチンコを摘む。

はじめに摘んだときよりも明らかに柔らかかった。

施術を再開する。

先端で余った皮の中には透明な液体が溜まっていた。

射精後に滲み出たカウパーなのか、ふたたび触れられたことで滲み出たカウパーなのか───判断はつかない。

「でははじめていきますね」

レーザーのヘッドを患部に当てていく。

機械音のあと、発光とともにバチっと音が鳴る。

はじめのトラブルが嘘のように施術は問題なく終わった。

脱毛中は痛みに意識が向かうのか、勃起することはなかった。

照射後、炎症止めクリームを塗る。

チンコの周りにクリームを伸ばす際、少し反応した程度だった。

カウパーが包皮に溜めきれず溢れ出し、それを拭うこともあったが、通常の業務の範囲内だった。

ただ、クリームを塗る手が、さっきよりほんの少しだけ丁寧になっていることに、俺自身は気づいていた。

「お疲れさまでした。これで終了です」

「あ、ありがとうございました」

「お着替えが済んだら、そのままお帰りいただいて大丈夫です。今日はお風呂は軽く済ましていただいて、飲酒は控えてください」

「はい」

短い沈黙。

「……では失礼します」

部屋から出ようとしたとき。

「あの……」

Yさんが声を出した。

「はい」

「その……すみませんでした」

「いえ、全然気にしないでください」

俺はYさんの目を見て力強く言った。

それ以上、できることはなかった。

控え室に戻る。

しばらくして、施術室の扉が開く音がする。

スーツ姿のYさんが、帰っていくところだった。

いつも通りのスマートな印象。

革靴の踵を鳴らして歩いていく。

さっきまで施術台の上で射精していた男と、同一人物には見えなかった。

電車に乗り、また明日からも仕事をこなしていくのだろう。

仕立てのいいスーツに身を包んで。

その股間には、簡単にイッてしまう小さなチンコがあることを、誰も知らないのだろう。

カルテには今日の件は書かないことにした。

次回も俺が担当すればいいだけの話だ。

俺だけがYさんの秘密を知っている。

Yさんのチンコの硬さを俺の手はまだ覚えている。

その脈拍も。

精液の感触も。

その温度も。

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