Home Creators Posts Import Register Favorites Logout

Content

1

俺は後悔していた。

自宅の浴室。

俺は全裸で明日に備えて、チン毛を剃っていた。

(なんで、あの場で決断してしまったんだ)

軽いため息をつきながら、自分のチンコを見下ろす。

4cmもないほどのサイズ。

皮はすっぽりと覆い被さっている。

毛の剃られたチンコは、お世辞にも大人のものとは思えなかった。

───あそこが大きく見えることもあるんですよ

Kさんの言葉が蘇る。

毛を剃ってみてわかった。

平均的なサイズの人は、毛で隠れている分が加算されて、サイズが大きく見えるのだろう。

ただ。

(俺のじゃあ、逆効果じゃないか)

チン毛があることで、かろうじて大人だと言い張れていたものが、その言い訳を失っている。

浴室の鏡を見る。

だいぶ青髭はなくなり、顔に触れてもざらざらとした感触がなくなった。

毎週近所をジョギングしているため、30歳を過ぎても体は痩せて引き締まっていた。

その股間には、粗末なチンコがちょこんとついている。

重みがなく垂れ下がらないので、鏡に向かって真っ直ぐ前を向いている。

亀頭は包皮に包まれて見えない。

余った皮が、筒状に突き出して、その先端が鏡に映っていた。

(明日Kさんにこれを見られるのか……)

Kさんは25歳。

俺よりも8つ年下だ。

服を着たKさんの前で、下半身を露出した自分の姿を想像してしまう。

銭湯などでは友人や他人にも、なるべく見られないように隠してきた。

いざ見られることを意識すると、しだいに股間に血流が集まるのがわかる。

前を向いたチンコは、むくむくと伸びていく。

ギンギンに硬くなったチンコはそれでも皮を被っていた。

思わず手を股間に運ぶ。

指で硬いチンコをつまみ、わずかにこする。

じわっと透明な先走りが漏れ出す。

軽くしごいただけで、先走りはびしょびしょに溢れ、快感の気配がする。

(オナニーしてはダメだ)

俺は2週間ほど禁欲をしていた。

風呂から上がり、スウェットを着る。

まだ硬いチンコはスウェット越しに、ピンと布地を張る。

2

椅子に座り、テーブルのノートパソコンを開く。

検索ブラウザの画面がついたままになっている。

検索欄には『VIO脱毛 勃起』

検索結果には、クリニックのQ&Aや体験談などが並んでいる。

すでにすべて閲覧済みで、リンクの文字の色が変わっている。

施術中に勃起してしまう患者は多いようだ。

何度も見たページを再びクリックする。

『Q:勃起してしまう人はいますか?』

『A:勃起してしまう方もいらっしゃいますが、スタッフからするとよくあることです。照射がはじまると、レーザーの痛みですぐに勃起はおさまります。』

スウェットの中で収まりかけていたチンコがまた硬くなる。

じわっと先走りが染み出るのを感じる。

椅子に座ったまま、スウェットを下げる。

トランクスの腰ゴムを引っ張り、勃起したチンコを出す。

ピクピクと脈拍に応じて震えている。

すっぽりと覆われた皮の先端には、カルデラ湖のように先走りが溜まっている。

テーブルに置いてある定規を手にして、チンコに当てる。

チンコの根本にグッと定規の端を押し当てる。

「9cm……」

厳密には8.6cm。

キーボードを叩き、チンコの平均サイズを検索する。

「平常時8cm、勃起時13cm……」

一応勃起すれば平常時の平均には勝っている。

ただ。

『照射がはじまると、レーザーの痛みですぐに勃起はおさまります。』

(おさまったら困るんだよ……)

勃起を維持するために、禁欲をしていた。

2週間の禁欲で、俺のチンコは少しの刺激で簡単に勃起する。

それだけでなく、いつもより硬い気がする。

チンコを手にすると、じわりとまた先走りが出る。

カルデラ湖の許容量を超えて溢れ出した先走りが、チンコを伝って垂れる。

ティッシュでそれを拭う。

簡単には収まらない勃起をそのままに、またパソコンの画面を見る。

別のサイト。

クリニックではなく、美容サロンのサイト。

『ご安心ください。施術師は仕事で見慣れているので、患者の陰茎のサイズは気にしません。』

その一文を見ながら、俺はまた小さくため息をつく。

他人だったらまだ良かっただろう。

Kさんとはヒゲ脱毛を通して、通うたびに会話をするようになった。

人柄の良いKさんは話しやすかった。

仲良くなってしまった。

それが問題だった。

飲みにまで行く仲になった相手に、このチンコを見られるのが嫌なんじゃないか。

なんでVIOの話になったのかは覚えていない。

衛生的に良いという話のあと、冗談混じりにKさんは言った。

「あそこが大きく見えることもあるんですよ」

笑いを誘ったのだと一拍置いて気が付く。

不自然に笑ったあと、VIO脱毛を決めてしまった。

酔いが回っていたのもあるが、Kさんなら身を委ねられると思ってしまった。

家に帰ったあとに後悔した。

翌日Kさんから「昨日はありがとうございました!予約入れておきました!」とメッセージが来ていた。

断ろうと何度も思った。

ただ、俺が決意したタイミングからして、チンコの小ささを気にしていると思われているだろう。

だから今断れば、やっぱり小さなチンコを見られるのが恥ずかしかったんだと思われないか?

俺が勤めている会社もKさんは知っている。

そこそこ大きな企業だから、金額が理由だとは思われないだろう。

そうこうしているうちに予約の日が近づいてくる。

断れない。

(それなら……)

どうせ見られてしまうなら───むしろ勃起させておこう。

そのための禁欲。

施術中、勃起を維持できれば実際のサイズを撹乱できるんじゃないか。

予約までの2週間、それまでは毎日していたオナニーを我慢していた。

いじりはするが、射精まではしなかった。

股間にはまだ勃起したままのチンコがあった。

再び手を伸ばす。

腰を少し浮かせて、トランクスも膝まで下げる。

二本指でつまみ、こすっていく。

徐々に快感が近づいてくる。

手を止める。

快感は寸前で立ち止まる。

───はずだった。

「ぁ、待って」

決壊する感覚。

両手で慌てて、チンコの先端を覆う。

「やば」

足先がピンと伸びる。

「ぁ!」

次の瞬間には射精していた。

手の中にあたたかい液体が勢いよく噴き出す。

ビュッビュッと続けざまに噴き出す精液に合わせて、体がびくつく。

手の中に収まりきらず、股の下に伝って、椅子に精液が溜まっていく。

2週間我慢していただけあり、その量は多かった。

普段のオナニーの量ではなかった。

「ああ……」

いってしまった事実を呆然と受け止めながら、ベタベタの手でティッシュを取る。

3

翌日、朝一番でクリニックには電話をかけた。

いっそのことキャンセルしてしまおうかとも考えたが、電話対応してくれたのがKさんだったから言い出せなかった。

用事が入ったと適当な嘘をついて、予約は2週間後に延期してもらった。

Kさんは、いつも通りの明るい口調で、「了解しました!全然気にしないでください」と言った。

昨夜の暴発で、禁欲はふりだしに戻った。

また禁欲の生活が始まった。

1週間も経つと、また普段より勃起もしやすくなる。

朝。

目を覚ますと、ギンギンに硬くなったチンコがトランクスとスウェットを押し上げているのがわかる。

まだぼんやりした意識の中、トランクスの中に手を入れる。

熱いチンコを軽く握る。

チンコの付け根にはまた毛が生え始め、ちくちくとした感触を手に感じる。

じわりと先走りが染みだす感覚。

先週の失敗がよぎり、手を離す。

勃起したチンコをそのままに、布団から出る。

顔を洗い、朝食を食べる。

スウェットを脱ぐ。

すでに収まったチンコはいつものように縮こまっている。

トランクス姿で、スラックスに足を通す。

姿見を見る。

スーツを着れば、落ち着いた大人にしか見えない。

その股間に小さなチンコが付いているなんて誰にもわからない。

「おはようございます」

会社のトイレで部下と会う。

「おはようございます」

部下は隣の小便器に立つ。

俺は便器と自分の隙間をなくすように数cm前に出る。

「今日寒いっすね」

「そうだな。夜雪降るって予報だったね」

「マジすか」

何気なく隣に目をやる。

部下と便器の隙間は開いている。

スラックスのファスナーを下ろすと、太く重そうなチンコがだらりと放り出される。

皮は剥けていて、使用感のあるくすんだ亀頭が剥き出しになっている。

俺は、ベルトを緩めてファスナーを下ろし、トランクスのゴムを下げて、陰嚢に引っ掛ける。

チンコを完全にパンツから出して、用を足す。

チンコに長さがあれば、社会の窓から出すだけで事足りるだろう。

俺のチンコだと、ファスナーから十分に外に出せない。

チンコが小さいと、最後に勢いを失って真下に落ちる尿の雫が、スラックスに垂れてしまう。

だからトランクスから完全にチンコを出す必要があった。

部下の大きなチンコなら、社会の窓から出すだけで何の問題もないのだろう。

重そうなチンコを持つ左手の薬指に結婚指輪が光っている。

俺より2歳下。

3歳の子供がいる。

「最近妻が全然してくれないんすよ~」という愚痴を以前飲み屋で聞かされたことがあった。

結婚して子供が生まれると、自然とそうなっていくものらしい。

そのときに部下に見せてもらった、妻の写真を思い出す。

素直に美人だと思った。

「Yさんはまだ遊び放題っすか?」

「い、いや全然そんな」

「えーうそ、Yさんモテそうなのに」

俺は自分がまだ未経験だとは言えなかった。

(あのでかいチンコでヤッたのか……)

AVで見た、巨根の男優と交わる女優を思い出す。

その顔が、部下とその妻に置き換わる。

(やべ)

勃起の予兆を感じて、慌てて想像を振り払う。

自分のものを見る。

ちょこんとついたチンコは、今は皮を剥いている。

尿が出おわり、手を離すと自然に皮がすっぽりと被る。

プルプルとチンコを震わし、尿の雫を振り払う。

隣では部下が、ブルンブルンと大きなチンコを振っていた。

2人でトイレから出る。

いつも通り仕事をしてさらに1週間が経つ。

脱毛の予約の日がやってくる。

4

仕事終わりにクリニックへ来た。

受付の女性に診察カードを渡す。

「Yさんですね、お待ちしておりました」

しばらく待合室で待つと、名前を呼ばれる。

通されたのは、施術室への通路の途中にある、準備スペースだった。

洋服店の試着室ほどの小さなスペースが、4つ並んでいる。

カーテンを開けて中へ入る。

看護師の女性から説明を受ける。

まずは患部に麻酔クリームを塗る。

この工程はヒゲ脱毛の際も同じだった。

看護師が説明を終えて立ち去る。

狭い準備スペースに1人。

カーテンを閉める。

今回はヒゲの施術はない。

ジャケットを脱ぎ、ハンガーにかける。

スラックスとトランクスを下ろす。

外の通路を誰かが通る音がして、びくりとする。

たった一枚のカーテンで仕切られたスペースで、下半身を露出している。

ヒゲの脱毛の際は、ここで服を脱ぐことはなかった。

心を落ち着かせて、ワイシャツをまくる。

毛のない皮かぶりの小さなチンコを見下ろす。

準備スペースに設置されている使い捨てのビニール手袋をはめて、麻酔クリームの蓋を開ける。

ビニール越しに指の腹にクリームを取り、チンコの付け根に塗っていく。

クリームのひんやりとした感触が伝わる。

チンコの竿にも塗っていく。

緊張で勃つことはなかった。

麻酔を浸透させるために、塗布した部分にラップを巻いていく。

看護師に説明されたように、褌のようにT字に股間に巻き付けていく。

巻き終えると、紙パンツを身につけ、スラックスを履く。

その後は麻酔が効くまで30分ほど待合室で待つ。

(この後、Kさんに見られるのか……)

じわり。

紙パンツの中で液体が染み出す感覚があった。

ラップの内側が濡れている気がする。

先走りが出ているかもしれない。

スマホでSNSを見ながら気を紛らす。

30分ほど経つ。

「Yさん、こんばんは」

名前を呼ばれて顔を上げると、Kさんがいた。

瑞々しい肌に、ぱっちりとした目がこちらを見ている。

「では、施術室へ行きましょう」

俺は立ち上がる。

5

「今日もお仕事終わりですか?」

「そうなんです」

「お疲れさまです。では今日は、VIOの照射1回目ですね」

「……はい」

「では、下はすべて脱いでいただいて。事前に麻酔クリームは塗ってありますよね」

「はい」

「こちらの体拭きシートで、クリームを拭き取ってください。準備ができたらベッドに横になって、タオルをかけてお待ちくださいね。では、10分ほどしたらまた伺います」

Kさんは施術室から出て行った。

俺は部屋に1人になる。

ジャケットを脱ぎ、ロッカーのハンガーにかける。

ネクタイも外し、ワイシャツの一番上のボタンを外す。

革靴を脱ぐ。

ベルトを外し、スラックスを脱ぐ。

ワイシャツに、靴下、紙パンツだけになる。

紙パンツも脱ぐと、ラップで巻かれた下半身が露わになる。

ぴったりと肌に張り付くラップを、手こずりながら外していく。

なんとか外し終えると、丸めてゴミ箱に捨てる。

股間にはベタベタになった麻酔クリームが残っている。

その中央に、縮こまったチンコがあった。

緊張のせいか、小ぶりなチンコはいつも以上に小さくなっていた。

先端で皮は余り、ラップで押さえつけられた癖がそのまま残り、おかしな角度に曲がっている。

(こんなチンコ見せられない……!)

俺はシートで麻酔クリームを拭いていく。

麻酔クリームに先走りが混ざり、ぬるぬるになった液体を拭っては、ゴミ箱に捨てていく。

拭いてもじわりと先走りが出る。

チンコの皮を剥いてみると、透明な粘性の液体で亀頭は覆われていた。

それも拭いながら、手で軽くしごいていく。

禁欲していたチンコはむくむくと硬さを帯びてくる。

いつもはヒゲ部分のクリームを拭うだけなのですぐに終わるが、今回は手順が多い。

パンツを脱いで、ラップを外して、クリームを拭いて、半勃起させて、皮を剥いて。

いつKさんが戻ってくるかわからない。

あらかた拭き終えると、急いでタオルをかけてベッドに横になる。

あらかじめ考えていた作戦の通り、チンコは皮を剥いて、半分勃たせることには成功した。

はじめから完全に勃起してしまってはさすがに変態だと思われかねない。

あくまで触れられたことで勃起したことにしなくては。

亀頭にタオル地が触れ、落ち着かない。

横になると、まるで見ていたのかというタイミング、でちょうどよく扉をノックされる。

返事をすると、Kさんが入ってきて、俺のそばに立つ。

俺は下半身裸の状態で、たった1枚のタオルで隠されているのみだった。

じわり。

(まずい、先走りが出てしまったかもしれない……!)

「レーザーの光を見ないように、アイマスクをつけますね」

俺の視界は奪われる。

「では、照射範囲の確認をしますね」

暗闇の中、タオルを掴まれる感覚があり、少しずつ持ち上がっていく。

6

チンコが空気に触れる。

Kさんは俺のチンコを見ているのか?

チンコはちゃんと半勃ちになっているのか?

小さいと思われていないか?

先走りが出ていないか?

暗闇の中、突然チンコを触られる感覚がある。

ぴくりと体が反応してしまう。

目が見えないので、次の瞬間何が起こるのかわからない。

心の準備ができないままチンコを触られている。

心臓は激しく脈打っている。

「麻酔クリームの拭き残しを拭き取っていきますね」

肌ざわりのいい何かが股間に当たる。

シート越しにKさんの手が丁寧に俺の股間を撫でる。

(あ……)

今チンコを撫でられている。

人にチンコを触られるのは初めてだった。

暗闇の中、竿を撫でられる。

禁欲で敏感なチンコは簡単に硬くなる。

(今、勃ってるのか……?)

確信は持てないが、おそらく勃起しているのだろう。

じわり。

(やばい、また先走りが出たかもしれない)

いや、おそらく出ているのだろう。

「……すみません」

勃起にか先走りにか、そのどちらにもか、とりあえず謝る。

「大丈夫ですよ。生理現象ですから気になさらないでください。他の患者さんもよくなりますので」

やっぱり、勃起か、先走りかが起こっているのだ。

「では、照射範囲にマーキングしていきますね」

今度は硬い突起物が突然へそのあたりに当たる。

またしてもぴくりと反応してしまう。

今度ななんだ?

マーキングと言っていた。

ヒゲ脱毛のときは、赤いマーカーペンのようなもので照射する部位に、肌の上に記入していたので、同じことをしているのだろう。

先ほどまでとは違った感覚が襲ってくる。

じわり。

また先走りが出る。

普段、自分でオナニーをする際は当たり前だが、どのような強さで、どのような速度で、さらにはそれを目で確認しながらいじることができる。

今は真っ暗闇の中だ。

次に何が起こるかわからない。

どこを触られるかわからない。

心構えができないまま、Kさんは容赦なく俺のチンコを触り、マーキングのためにさまざまな角度に傾ける。

マーカーは陰嚢をなぞり、そのまま股の間へと滑っていく。

ぞくぞくとした感覚が迫り上がってくる。

(ああ、やばい)

ごくりと生唾を飲む。

じわり。

「あ、あの、Kさん……」

「はい、どうしました?」

「あ、その……」

「大丈夫ですよ、なんでも言ってください」

「……」

話しかけたことでKさんの手は止まっている。

押し寄せてきた快感が遠ざかるのを待つ。

「Yさん?」

だが、なかなか遠ざからない。

それどころか次第に近づいてきている気がする。

このまま耐えられるか?

じわり。

(まずい)

これは2週間前の家での失敗と同じ感覚だった。

(まずい、まずい)

すぐ間近まで近づいたそれはもう我慢できそうになかった。

「い、いってしまいそうで……」

「え?」

「ぁぁ……!」

びくりと体が大きく跳ね上がった。

7

ワイシャツにぼとりと落ちた。

その箇所にじんわりとした温かさを肌が感じとる。

その間にも、我慢しきれなかったものが続けざまに発射されていた。

その度に腰が力んで、びくりと身体を持ち上げる。

へそのあたり。

竿の根本。

ぼたりと落ちては温かい感触が広がる。

(ああ、やってしまった)

人前で射精してしまった。

こんなに情けないことはなかった。

しごかれたわけでもない。

ただ触れられていただけだ。

仕事の一環で、あくまで機械的な作業。

それだけで、俺の体は勝手に果ててしまった。

「あ、えっと……」

Kさんの声が暗闇の中から聞こえる。

「……すみません」

俺は謝ることしかできなかった。

「あ、いえ、こういうことも稀にあるみたいなんで……」

稀に、だ。

「とりあえず、アイマスク外しますね、少し休憩しましょう」

暗闇から一転、眩しい光に包まれる。

目が慣れてくると、Kさんと目が合う。

綺麗と可愛らしさが同居したような、整った顔立ち。

気まずくて目をそらす。

上体を起こして自分の体を見る。

白い精液が俺の体に点々と散らばっていた。

勃起したチンコの根元には、さっき描かれたマーキングが、赤い線で確認できる。

その上にも白い精液は落ちている。

目隠しをしていたあいだは、どこか他人事のように思えた。

だが今、視界が戻ったことで、一気に現実に引き戻される。

俺は射精したんだという事実を思い知らされる。

Kさんが拭きとる用のシートを用意してくれる。

それを手に取り、肌についた精液を拭っていく。

ベトベトのチンコを見る。

皮を剥いたままのチンコはまだ勃起したままだった。

自分のチンコをつまみ、精液を拭っていく。

ただでさえ敏感な亀頭は射精後でさらに敏感になっている。

シートが触れると、思わず体が反応してしまう。

Kさんに見られている。

ワイシャツに飛んだ精液は、すくうようにして拭きとる。

「ベッドシートを新しいものにしますので、すみませんが、一度立ち上がっていただけますか?」

Kさんは少し申し訳なさそうに言う。

俺は下半身裸のままベッドから立ち上がる。

半勃起のチンコはピンと前に伸びている。

Kさんは素早い手つきでシートを取り替え、汚れがついてしまったタオルも交換のためか手にする。

「では、5分後くらいにまた伺います」

そう言って部屋を出て行った。

ひとりになると、さっきまでのいたたまれない、窮屈な感覚がいくらか和らぐ。

ワイシャツを拭いている途中で、チンコは元の小さなサイズに戻っていく。

剥いていたチンコの皮は戻ってしまい、亀頭をすっぽりと覆う。

先で余った皮が、きゅっとすぼまる。

真上から見たそれは、棒状ではなく三角の形をしていた。

ハプニングに対する不甲斐なさのためか、いつも以上に縮こまって見える。

時間が経つにつれ、自分がとんでもないことをしてしまったことを思い知り、下腹あたりがざわついてくる。

「はぁ」

小さくため息をつく。

このチンコを見られまいとした行動だった。

その結果、それ以上に情けないところを見られてしまった。

拭き終え、Kさんが整えてくれたベッドに腰を下ろす。

そこで初めてタオルがないことに気がつく。

さっきのタオルはKさんが持っていってしまった。

ベッドに横になると、皮の被ったチンコがまっすぐ天井を向く。

手を伸ばし、2本の指で、ぐいっと根元まで皮を剥く。

ちょうどドアにノックの音がする。

反射的に晒されたチンコを手で隠す。

いや、射精を見られて、今さら隠す意味があるか?

手をどかして、返事をする。

Kさんが入ってくる。

俺のすぐそばに立ち、ひと通り、拭いた箇所を目で確認して言う。

「念のため、上の衣服も脱いでおきましょうか」

8

俺はワイシャツのボタンを外していく。

Kさんは機械に体を向けながらも、こちらに意識を向けているようだった。

その目がチラチラとこちらを見ているのがわかる。

ボタンを外すには両手を使う。

おのずと小さなチンコは曝け出される。

チンコの皮が徐々に戻っていくのを感じる。

ワイシャツを脱ぐと同時に、すっぽりと皮が被さってしまう。

俺はさりげなく指の甲をチンコにあてる。

手を根元へとスライドさせて、摩擦力で皮を剥いていく。

摘んで剥いたのでは、「包茎が恥ずかしいので、ズル剥けに見せたくて剥きました」と言っているようなものだ。

実際そうではあるが、それを最大限悟られないように、なるべくさりげない挙動で皮を剥いていく。

我ながら姑息だった。

そもそもKさんに背中を向けて脱げばよかった。

そうすれば、見栄剥きの犯行現場を見られずに済んだ。

背中越しの動きで見栄剥きの推測をされたとしても、現行犯になることはなかった。

かろうじて応急処置的に皮を剥くことはできた。

だが、しっかりと剥き直す隙がない。

Kさんが目を離すか、俺が背中を向けるか。

変なプライドで背中を向けられなかった。

射精しておいて、今さら短小包茎を見られるのが恥ずかしいのか?

Kさんにそう思われないだろうか。

俺はランニングシャツに、下半身は裸。

院内は土足なので、ベッドから降りている今は、足に靴下と革靴をつけている。

ランニングシャツを脱ぐとき、股間でまた嫌な予感が走る。

シャツを脱いで見ると、やはりまた皮が被っている。

すでにKさんにはすっぽりと皮を被ったチンコは見られているかもしれない。

それでも。

またさっきの姑息な手段で見栄剥きをしようとしたそのとき。

「あの……もし普段剥けていないようでしたら、そのままで大丈夫ですよ。施術には問題ありませんので」

足元の床が崩れ去るような感覚。

とどめを刺された気分だった。

顔が熱くなる。

とっくに俺の皮被りのチンコは見られていたのだ。

そしてそれをさりげなく剥く往生際の悪さも。

射精を見られておいて、そのくせ包茎ごときを隠そうとしていた自分を、客観的に見させられたような気分だった。

さっきまでは自分の画策に必死で視野が狭くなっていたが、Kさんの言葉で自分を俯瞰してしまった。

先っぽまで被ったチンコの皮を、さりげなく剥く自分。

中途半端にしか剥けずに、あっさりと戻ってしまう皮。

自らに対して共感性羞恥のような感覚が襲ってくる。

「……はい」

子供のバレバレのかくれんぼと、それに付き合う大人。

そんなシチュエーションが頭に浮かぶ。

俺は肩を落として、ベッドに横になる。

靴下のみをつけた裸のまま。

皮の被った小さなチンコを晒したまま、それを隠すこともなく。

チンコは4cmもないほどだった。

俺はすべてを見られた。

先走りも、勃起も、射精も、見栄剥きも、何もかも。

9

施術が終わると、俺はまた、服を着る。

染みのついたワイシャツを着て、スラックスを履き、ジャケットを羽織る。

クリニックを後にして、電車に乗る。

何事もなかったかのように。

周囲からは、一日仕事を終えたサラリーマンにしか見えないだろう。

翌日も仕事をする。

同僚と挨拶をする。

部下の作った資料の問題点を指摘して、作り直させる。

誰もこのスーツの下に、毛のない小さなチンコがあるとも知らずに。

人の手で、簡単に射精してしまったとも知らずに。

Comments

No comments found for this post.