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「いらっしゃいませ!あ、山中さん。お疲れ様です。いつものでよろしいですか?」

淹れたてのコーヒーの香りが漂う店内。

ここが私の職場。

このカフェでのバイトも3年目。

サークルにも入っていない私は、大学の講義が終わるとこの店に直行し、白ワイシャツに緑のエプロン、黒のスラックスにローファーという制服に着替える。

常連客からは「いつも元気だね」なんて言われるけど、正直なところ体力は限界に近かった。

私の家は決して裕福な家とは言えなかった。

それでも私は行きたい大学のために一人暮らしをしているせいで、学費を工面しながら家賃と生活費を自力で稼ぎ出すためには、学業の合間を縫ってシフトを詰め込むしかない。

店長に無理を言って、休日は開店から閉店までのフルタイム勤務を入れさせてもらっている。

慣れたものの一日中立ちっぱなしはやはり辛く、仕事が終わる頃には身体に顕著に現れていた。

特に気になるのはこのローファーに包まれた足。

接客業としての清潔感を出すためにローファーを履くように言われているが、安物で一足しか持っていないこのローファーは通気性が悪く、10時間を超える勤務が終わる頃には靴下は汗を吸ってずっしりと重くなり、靴の中は逃げ場のない湿気で蒸れきっている。

店内ではコーヒーの香りで誤魔化されているものの、スラックスの裾からは自分でも顔をしかめるような足の匂いが時折立ち上がった。

閉店まで残り1時間程となり、店内の混雑が少し引いたタイミングで、常連の山中さんがいつものようにカウンター席に座った。

山中さんは上場企業の課長らしく、いつもビシッとしたスーツを着こなしている。

若くして出世しているだけあって、落ち着いた大人の余裕を感じさせる憧れの存在だった。

「山中さん、今日も残業ですか?大変ですね」

私はいつものカフェラテを差し出しながら、山中さんに笑顔で話し掛ける。

しかし、心の中では別のことで頭がいっぱいだった。

学費の納付期限が迫っていたのだ。

今のバイト代だけではどうしてもあと数万円が足らず、店長に頭を下げて前借できないか相談することも視野に入れていた。

「まぁね。けど菜央ちゃんこそいつも以上にシフトに入ってない?なんかいない時がない気がするけど…無理して倒れないか心配だよ」

山中さんの優しい言葉に、私はつい本音を漏らしてしまった。

「あはは、バレちゃいましたか。恥ずかしい話ですが実はちょっと…いや、結構お金に困ってまして。実家が少し大変で、学費を自分で工面しなきゃいけないんですけど、それがなかなか厳しくて」

私は苦笑いしながら、カウンター越しに山中さんを見つめた。

そこでふと思いつく。

「山中さんの会社って大きいですよね。あの、もしよろしければ…土日とか夜間だけでも良いので、何か短期のバイトとかあったりしませんかね?力仕事でも掃除でも何でもやります!私、体力だけは自信があるんで」

店の常連さんにこんなことを言うなんておかしいのは分かっているけど、それ程私は必死だった。


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上場企業の課長という肩書きは、想像以上に精神的にくる仕事だった。

課長とは言え所詮は中間管理職。

上からも下からも色々言われ、それをなんとか調整しながら自分の仕事もこなすしかないのだから。

俺がこのカフェに通い詰める理由は、最初はこの落ち着いた空間に癒しを求めたからだった。

しかし今の目的は全く別のところにある。

『水城 菜央』

この店でアルバイトをする大学生で、彼女はほぼ毎日この店に出勤していた。

スポーツをやっていたのか言動がハキハキしており、整った顔な上に人懐っこい笑顔で接客をする菜央ちゃんは、この店でとても人気のある女の子だ。

そんな彼女の顔もさることながら、俺が注目していたのはその足元だった。

その可愛らしさを感じる見た目からは想像できない程に、その履いているローファーは外回りの営業のように履きこまれて足に馴染んでいたのだ。

歩く度に革の軋む音がし、耳を澄ませると時折湿ったような混ざるその足音は、ローファーの中でたっぷりと汗をかいているのを想像させる音だった。

そんな若いながら俺好みの臭そうな足をしている菜央ちゃんに、俺は仕事終わりの喜びを見出している。

レジで踏ん張る時のふくらはぎ、トレイを運ぶ時のローファーの中での指の動き、そんな菜央ちゃんをジッと見ているだけでいやらしい妄想が捗り、仕事のストレスを忘れることができた。


そして俺は知っている。

彼女が学費のために、自分の限界を超えてシフトを入れていることを。

菜央ちゃんは気付いていないだろうが、俺は毎日店の前を通っては菜央ちゃんがいるかを確認しているし、前に店長との会話を盗み聞きもしていた。

そんな彼女の状況を踏まえた上で、お金を対価にいやらしいことをする妄想も何度もした。

そして今日、菜央ちゃんはついに俺に相談をしてきたのだ。

「何でもやります!私、体力だけは自信があるんで」

その言葉を聞いた瞬間、何度も妄想してきたことを現実にするチャンスが来たと思った。

だから俺は、親身に相談に乗るように深刻な表情を作り、顎に手を当てて考えるふりをする。

当然俺の会社にそんなバイトはない。

しかし、俺個人なら菜央ちゃんのために多少貢ぐぐらいの余裕はある。

「ううん…」

俺はゆっくりとコーヒーを口に含み、次の言葉を慎重に選ぶ。

そんな俺を菜央ちゃんは、カウンター越しに縋るような顔で見ていた。

「残念だけど、うちの会社はアルバイトの条件がかなり厳しくてね。学生さんをねじ込むのは、俺の権限でもちょっと難しいんだ」

「そう…ですか。まぁそうですよね!いきなり無理なお願いしちゃってすみません。今の話は忘れてください」

菜央ちゃんの肩が目に見えて落ちる中、俺は本題に入るために小さく咳払いをする。

「あのさ…」

俺はわざと声を潜め、周囲を気にする素振りを見せた。

「本当に失礼な話だし、不快に思ったらすぐに止めて欲しいんだけど。菜央ちゃんみたいに、その…若くて可愛い子なら、今の時代選択肢は他にもあるんじゃないかな。最近よく聞くだろう? 『パパ活』とか…男性に同行して報酬をもらうようなものが」

菜央ちゃんは一瞬驚いたように目を見開いたが、拒絶の反応は見えなかった。

「あはは、パパ活ですか。正直、一度考えたことはありますよ。それで学費が払えるなら、なりふり構っていられないなって。でも、やっぱりアプリとかで知らない人と会うのは怖いですし…事件に巻き込まれたり、裏に怖い人がいるんじゃないかって思うと、なかなか踏ん切りがつかなくて」

「確かにね。素性の知れない人を相手にするのはリスクが高すぎるか」

俺は頷きながら、俺にとって重要なことを聞くためにさらに踏み込んだ。

「ちなみにさ、『パパ活』自体には抵抗とか嫌悪はないの??」

ドキドキしながら言うと、菜央ちゃんは一瞬驚いた顔をした後に困ったように苦笑いした。

「うーん…正直、お金を貰えるなら背に腹は変えられないっていうか。危険がないなら、それ自体に私個人としては嫌悪はないですかね…。ただ、流石に痛いことをされたり、変なところを舐めさせられたりするのは無理ですよ?手でするぐらいなら仕事だと割り切れるかもしれないですけど…」

お金のためならできると言う菜央ちゃんに俺が内心歓喜する中、菜央ちゃんはそこまで言ってふっと表情を緩める。

「まぁ、どうしても相手が男性だと力では勝てないですし、危険が0って訳にはいかないですよね。あはは、すみません。変に気を遣わせちゃって。自分で地道に探してみます!考えてくれてありがとうございます」

そう明るく笑って言うと、菜央ちゃんは俺の空になったカップを下げようと手を伸ばした。

しかし仕掛けるなら今しかないと、俺はカップを取ろうとする手を制するように話し掛ける。

「ちなみに…月にあといくらぐらいあれば、その学費の不安はなくなるんだい?」

緊張が伝わらないように、俺は努めて事務的な質問を装って聞いた。

「そうですね…。今のバイト代にプラスして月5万…5万円あればかなり楽になります。それならこれ以上仕事増やさなくても、なんとかやっていける計算なんですけど」


5万円…


俺の年収からすれば、月5万ぐらいならどうにでもできる。

むしろ、たった5万円で菜央ちゃんを楽しめるなんて安いくらいだ。

俺は緊張のあまり唾を飲んで喉を鳴らした後、冗談で済むようなトーンで切り出した。

「そのパパ活の相手なんだけどさ。相手が俺…とかだったらどう?」

俺の言葉を聞いて菜央ちゃんは一瞬キョトンとした後、弾けるように笑い声を上げた。

「あははっ、山中さんがパパですか!確かに山中さん相手なら安心ですね!どこの誰かも分かんない男性より100倍良いですよ!」

「……実は冗談じゃなかったりして」

俺が口角を上げたまま真っ直ぐに目を見つめると、菜央ちゃんの笑い声が少しずつ小さくなっていく。

「え…?ほんと…ですか?あ、もしかして山中さん、私に同情してお金をくれようとしてます?山中さんは本当に優しいですね…。けど流石に私も、そんな理由でお金を受け取って甘えるわけにはいかないですよ」

彼女は困ったように笑い、首を振る。

どうやら俺が、菜央ちゃんへお金を援助するための理由付けを無理やりしたと思っているらしい。

俺の好感度が菜央ちゃんの中で高いことを確信した俺は、意を決してそのまま続けた。

「いや、違うんだ菜央ちゃん。同情なんかじゃなくて…。俺は本気で言ってるんだよ。正直菜央ちゃんのことがめちゃくちゃタイプで、むしろ俺の方からパパ活を頼みたいぐらいと言うか…」

「………え?えぇ!?」

俺の真剣な言い方にそれを信じたのか、菜央ちゃんの動きが止まる。

「マジだから。隠してたけど、俺、この店に通っているのも、菜央ちゃんを目当てに来ているんだよ」

「はっ、えっ? えぇっっ!?」

菜央ちゃんは見るからに動揺しており、驚きのせいか目がかなり泳いでいた。

「えっと、それ…本当に、本気ってことですか…?」

菜央ちゃんがまだ信じられないといった様子で聞き返してくるのに、俺は即座に迷いなく頷いた。

「あぁ、本気だよ。週に一回、カフェのバイトが終わった後に一時間だけ、俺に菜央ちゃんの時間をくれないかな。それで月に5万円払うよ。ど、どうかな…?」

俺は菜央ちゃんの目をじっと見つめて反応を伺うと、菜央ちゃんの表情がかなり苦悩しているように染まっていく。


やはりパパ活は無理があったか…


もし拒絶されたり引かれていたらどうしようと、今更冷静になった頭で恐怖していた時。

菜央ちゃんが、俺にギリギリ聞こえるような小さい声で言った。

「あの…さっきも言いましたけど、私自身あまり経験がなくて…その…手でしてあげるくらいのことしかできないですよ…?」

一瞬時が止まったように感じた。

「………え?」

「私なんかに大金を払ってくれても…私、それに見合うサービスをできる自信がなくて。それでも本当に良いんですか…?」

俺は自分の浅はかな不安を恥じた。

菜央ちゃんは俺を拒絶していたのではなく、自分がパパ活の相手として、十分な役割を果たせないことを気にして心配していたのだ。


ほんと良い子と言うか…なんか心配になってきたな…


「なんだ、そんなことを気にしていたのか」

俺は自分が思う、最大限に安心感を与える笑顔を浮かべて続ける。

「大丈夫だよ、菜央ちゃん。君に無理をさせるつもりはないから。さっき言った通り、俺は菜央ちゃんのことがドストライクなんだ。いてくれるだけでも価値があるよ」

「そ、そんな…」

「それにね、俺が望むことは菜央ちゃんが想像しているのとは多分違うと思うから。もし実際にやってみて無理そうだったら止めても良いしね」

まさか、俺が菜央ちゃんの臭い足を好き放題したいのが願望なんて考えてもいないだろう。

「ほ、ほんとですか…?山中さんがそれで良いって言うなら…お願いします。私、精一杯やらせてもらいます」

菜央ちゃんが意を決したかのように言うと、そのまま丁寧に深く頭を下げた。 その姿を見て、上手くいったことへの喜びで俺は机の下で自分の手を強く握りしめた。

「…さっそくなんだけど、今日のバイト終わりとかどうかな?今日って月の最初の土曜だし、キリが良いからさ。あ、もちろん無理なら菜央ちゃんのタイミングで良いんだけどね!」

俺は平静を装いながらも、内心では祈るような気持ちで言う。 今日は土曜日。

菜央ちゃんは朝から晩までフルタイムで勤務しているはずだし、しかも今日は客入りも多くて彼女はほとんど座らず店中を駆け回っていた。

つまり、今の菜央ちゃんのそのローファーの中は、俺が望む一番良い状態になっているはず。

「きょ、今日ですか!?予定的には全然大丈夫なんですけど…」

菜央ちゃんは戸惑ったように、自分の身体に視線を落とした。

「でも、今日ってちょっと長めに働く日だから終わるの遅いし…。それに、今日一日中動き回ってたんで、自分でも分かるくらいちょっと匂うかもしれなくて。シャワー浴びてからの方が良いですよね…?じゃないと山中さんにも失礼だし…」

また俺の考える内容とは別のことで悩んでいる菜央ちゃんに、いっそ俺の願望を今伝えたほうが早いんじゃないかとすら思った。

だけどまだ本音を出すわけにはいかないため、俺は余裕のある笑顔を浮かべながら言う。

「全然、俺は気にしないよ。むしろ仕事終わりのありのままの菜央ちゃんがいいんだ。もし都合が大丈夫なら今日は車で来てるから、バイトが終わったら駐車場まで来てよ。車内なら人目も気にならないし、そこでちゃんと説明するから、できるできないはそこで判断してくれれば良いからさ」

「車の中ですか?」

「うん。安心してほしいから先に言うけど、菜央ちゃんは一切脱がなくていいからね。俺の方から変なところを触ったりもしない。それは約束する」

菜央ちゃんは目を丸くした。

「え…?脱がなくて良いんですか? それじゃ何を…」

「それはちょっとここで言うの恥ずかしいから、車の中で説明するね。けど、菜央ちゃんが痛いと思うようなことは絶対にしないし、嫌だと思ったらすぐに言ってくれれば止めるから。ね?」

「………山中さんがそこまで言うなら。分かりました。じゃあ、バイト終わったら駐車場に行きますね。なんか、汚い格好のままで申し訳ないですけど…」

菜央ちゃんは少し頬を染めながら、申し訳なさそうな目で俺を見つめた。

「じゃあ、後でね」

「はい! お疲れ様です!」

そう言って元気に仕事に戻っていく彼の背中を見送りながら、俺は車のキーを強く握りしめた。

ーーーーーーーーーーーーーー


夜22時。

人通りの少なくなったカフェの駐車場で待っていると、店の裏口から菜央ちゃんが姿を現した。

俺は運転席の窓から手を振り、そんな菜央ちゃんを呼び寄せる。

「菜央ちゃんお疲れ。こっちだよ」

「あ、山中さん!すみません、遅くなりました…」

俺が乗っているのは、窓にフルスモークが施された大型のSUVだ。

外からは中の様子が一切見えないこの車を選んでいた過去の自分を、これほど褒め称えたいと思ったことはない。

「後ろに乗って。俺も後ろに行くから」

「あ、はい…お邪魔します」

菜央ちゃんが後部座席のドアを開け、車内に入り込んでくる。

それを見て俺も運転席から後部へと移動し、菜央ちゃんと並んで座った。

「仕事お疲れ。疲れてるとこごめんね」

「いえ、体力的には大丈夫なんですけど、やっぱり私汗臭いかもです」

菜央ちゃんは申し訳なさそうに笑いながら、何かを意識するように足を動かした。

その瞬間。

まだ靴を脱いでいないにもかかわらず、足元からむわっとした熱気が立ち上ってきた。

「っ!!」

通気性の悪いローファーの中で、長時間かけて熟成された女の足の重厚な匂い。

靴の隙間から押し出されたその匂いは、密閉された車内に広がって俺の鼻腔をダイレクトに刺激した。

その匂いでいかに菜央ちゃんの足が蒸れているかが伝わり、俺のチンポは一気に熱を帯びた。

俺は必死に興奮を隠しながら、なんとか平然を装う。

そして隣に座る菜央ちゃんは、どこか落ち着かない様子で膝の上で手を弄んでいた。

「あの…山中さん。本当に良いんですか?私、さっきも言いましたけど、知識も経験もほとんどないし…。山中さんみたいなカッコいい大人の男性に、私なんかが何かできるのか不安で…」

「菜央ちゃん」

俺は努めて穏やかな声で、少しでも不安を打ち消すように語りかける。

「逆に聞くけど、菜央ちゃんは本当に良いんだね?俺を相手に、その…パパ活をするってことで」

菜央ちゃんは少し緊張した面持ちで俺を見つめ返し、それから可愛らしいけどどこか覚悟を決めたような笑顔を見せた。

「はい。正直、最初はびっくりしましたけど。よく分からないおじさんにパパ活するより、いつも優しくしてくれる山中さんの方がずっと安心ですし…山中さんのことは信頼してますから」

「…ありがとう。君にそう言ってもらえると嬉しいよ」

俺はそう言いながら、ゆっくりと深呼吸をして自分の中での覚悟を決める。

「それじゃ、仕事の内容を話すね。あまり驚かないで聞いてほしい」

真剣そうに頷く菜央ちゃんを見ながら膝の上に置いた手を強く握りしめ、俺は意を決して言った。

「引かないでほしいんだけど…実は俺、足が好きなんだよ」

「………足、ですか?」

菜央ちゃんはポカンと口を開け、あまり理解していないような顔で俺を見つめる。

「よく分からないよな…。変態だって笑ってくれていい。具体的に言うと、俺は菜央ちゃんの…その…足の匂いとかを嗅いだりしたいんだよ」

「…えっ!?」

驚いたように菜央ちゃんの肩がびくんと跳ねた。 そして反射的に自身のローファーの足を、座席の下へ隠すように少し引いた。

拒絶とも取れる動きに少し傷つきながらも続ける。

「だから菜央ちゃんは服を脱いだりする必要はないんだ。ただ、その足を俺の好きなようにさせてもらいたい。それが俺が君に望むことだよ」

「あ、足を…?」

そう言って菜央ちゃんは自分の足元を見つめたまま、固まってしまった。

「ごめん。引いたよな…足が好きなんて気色悪いもんな」

俺は自嘲気味に、苦い笑みを浮かべた。 足を嗅ぎたいなんて言われたら、普通の感覚なら嫌悪感があって当然だ。

「もし嫌だったら断ってくれてもいい。今すぐこの車から逃げてくれて構わない。それに、店にももう俺は行かないようにするから。だからそこは安心してくれていいよ」

俺は誘導するようにドアを指す。

しかし菜央ちゃんは動かなかった。 ただ沈黙の中で、何かを考えるようにじっと俯いている。

「あの…足を好きにするって、嗅ぐ以外には何をするんですか?」

菜央ちゃんが探るように、しかし怯えた様子はないように聞いてくる。

「嗅ぐ以外には、できれば足コキとか…されたいかな…」

「足コキですか…」

それだけ言うと、菜央ちゃんは再び黙り込んだ。 そして少ししてからふっと息を吐くと、意外なほどあっさりとした口調で答えた。

「分かりました。本当にそれだけで5万円も貰っちゃって良いんですか?」

「も、もちろん!それだけって言うけど、俺にとってはそれが一番したいことだから…」

「そう…なんですね。分かりました。山中さんがそれでいいなら、私の足で良ければ好きにしてください」

その言葉を聞いた瞬間、歓喜で思わず跳ねそうになった。

それ程までに、菜央ちゃんの足を味わえることが信じられなかった。

「ありがとう!! めちゃくちゃ嬉しいよ!!じゃ、じゃあ早速…始めても良いかな?」

俺の視線は、吸い寄せられるように足元へと固定される。

「靴は脱いだ方がいいですか?」

「いや、一旦脱がないで。ローファーのまま俺の太ももの上に乗せて、両足を伸ばしてもらえるかな?」

「分かりました。…失礼します」

菜央ちゃんが車内で身をよじり、俺の太ももに両足を乗せる。

それだけで俺は興奮でクラクラした。 労働の後の菜央ちゃんの黒いローファーが、今俺の膝の上で熱を帯びながら存在感を放っている。

安物の合成皮革は、菜央ちゃんの激しい動きと汗によって柔らかく馴染み、足の形を浮き彫りにするように歪んでいた。

太腿から伝わる菜央ちゃんの足の重みと、靴越しに伝わってくる体温。

女性にしては背の高い菜央ちゃんに見合う、女性らしさがありながらも大きいそのローファーは迫力があった。

「脱がせるね」

「は、はい…」

自分でも驚くほど声が震え、菜央ちゃんの声もまた緊張しているようだった。

俺は慎重に菜央ちゃんの右を両手で包み込み、踵に指をかけてゆっくりと力を込める。


グポッ


ローファーの中で密閉され、足汗と革で蒸された靴下の足がローファーから離れる淫らな音が車内に響く。

そして踵が靴の縁を乗り越えた瞬間、そこから熱く湿った空気が溢れ出した。







続きは4月12日に他プランでも公開予定

現在タバコプランにて先行公開中

全文約18000文字

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