とある部屋へ (Pixiv Fanbox)
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ドスッドスッドスッドスッ......
「ぶふぅ......ぶふぅ......」
汗だくで歩く千束とたきな
「んぶぅ......急に暑くなったねぇ......」
「もう春ですからね......ふぅ......」
冬が明け、桜が咲き始めた春先
千束とたきなは止まらない汗にうんざりしていた
既に服はびしょ濡れで川に落ちたと言われても違和感がない
「あぁ......いたたた......」
2人が歩いていると路肩に腰を押さえてうずくまるお婆さんの姿があった
千束はのしのしとお婆さんに近寄る
「ふぅ......お婆ちゃん?どうしたの?大丈夫?」
「あぁ......実は腰を痛めてしまってねぇ......いたた......」
「そりゃ大変だ!お家どこ?送ってあげるよ!」
「えぇ?でも悪いよ......」
「いいのいいの!たきな手伝って!」
「は、はい」
千束はお婆さんに背を向けておんぶする
「よっこいしょぉ!」
立ち上がると突き出した巨尻がお婆さんの椅子がわりになる
「大丈夫ですか?千束」
たきなはお婆さんの荷物を持っている
「平気平気!」
千束はのしのしと歩き出す
「お婆ちゃん、乗り心地はどう?」
「大丈夫だよ、広くて柔らかくて安心するよ」
「あはは、それは良かった」
千束の贅肉がクッションの役割をしているらしく、お婆さんも雑談できるほど楽なようだった
しばらく歩くとお婆さんが指定した建物に到着した
「ずいぶん立派なお屋敷ですね...」
「だねー、たきなチャイム鳴らして」
チャイムを鳴らすと中から足音がする
「はーい、わっ!」
中から出てきたのは和服姿の女性だった
千束とたきなの姿を見て驚いた様子だった
「由紀子さん、私私」
お婆さんが千束の背中からひょこっと頭を出す
「まっ!?お義母さん!?どうしたんですか!?」
「腰を痛めちゃってね、この子達に助けてもらったのよ」
「まぁそれはそれは!ありがとうございました!」
「いえいえ!全然大丈夫です!ね、たきな」
「はい」
「でも是非お礼はさせてちょうだい」
お婆さんは提案をする
「由紀子さん、ちょうど夕食時よね?2人に夕飯をご馳走するのはどうかしら?」
「そうですね!是非上がって下さい!」
「え......でも......」
「それは......」
千束とたきなは躊躇する
2人の食欲ではおそらく一般家庭の数日分の食料を食い尽くしてしまう
「遠慮しないでください、それにあなた達......相当召し上がりますよね?」
由紀子は2人を見て微笑む
その言葉を聞いて2人はバツが悪そうにする
「うふふ、心配しないで下さい、きっと満足していただけると思いますよ?」
由紀子はそう言うと2人を招き入れる
そしてお婆さんを部屋に置いた後、2人は由紀子に付いていく
すると家の奥に道場のような建物があり、中に入る
すると半裸の巨漢達が汗と泥にまみれながら組み合っていた
そこは相撲部屋だったのだ
「お!女将さん!ごっつぁんです!」
男達は由紀子を見つけると挨拶をする
そして男達の視線は千束とたきなに移る
「うぉ......デケェ......!」
「凄いな......!何kgあるんだ......?」
力士達は千束達の姿を見て唸る
「み、みなさん......視線が......」
たきなはお腹と胸に手を当ててモジモジとする
「こら!女の子の身体をジロジロ見るんじゃありません!」
由紀子は力士達をめっ!と叱る
「ごめんなさいね?」
「い、いえ......」
「気にしないで下さい、凄いデブなのは事実なので!」
千束は巨大な腹をぽんぽんと叩く
その様子を見て力士の一人が口を開く
「......だけど君達、かなり身体が動きそうだな?」
「「!」」
その言葉に驚く千束とたきな
「まずその巨体で普通に動けている時点で運動神経が抜群だ、それに身体の張り具合......筋肉もそれなりに付いていそうだ」
千束とたきなは太る以前はまるでワイヤーアクションのような身のこなしをしていたし、今の肥満体になってからも定期的にトレーニングを続けているため並の痩せた人よりも身体が動く
流石に飛んだり跳ねたりは物理的に厳しいが敵と対面した際の身のこなしは健在だ
「飯ができるまでまだ少し時間がある......少し手合わせしないか?」
まさかの提案だった
「い、いやぁ......それは......」
流石の千束もその提案には尻込みする
「土俵って女人禁制なのでは?」
たきなは力士に尋ねる
「確かにそうだ、だけど今の時代、新しいものをどんどん吸収していかないと廃れていく一方だからな......あと単純に強い奴とやりたい」
力士の純粋で力強い願いについに千束は折れる
「......分かりました!やりましょう!」
「千束!?」
「ご飯ご馳走になるんだしさ、それに本物のお相撲さんと手合わせなんて中々できないじゃん?」
「それは確かに......いい経験になるかもですね......」
たきなも少し悩みながらも了承した
こうして千束とたきなは相撲を取ることになった
「おっ、サイズは大丈夫そうだな」
千束とたきなは着替えを終えて土俵に戻ってきた
「廻しって初めて着たけど腰が凄く楽〜」
「コルセットのような役割になってるみたいですね」
本物の廻しを巻いた2人の姿は物凄く様になっていた
流石に裸一貫とという訳にはいかないのでTシャツは着ている
「似合ってるな2人とも」
「えー、褒めてますー?それ」
「あぁ、絶賛してる」
廻しが似合うのは女子にとっては複雑極まりないが彼は悪気は無さそうだった
「よし、早速やろうか」
力士は土俵に上がり、腰を落とす
「では私からいきます」
初陣はたきなが飾る
たきなは土俵の前で一礼し、力士と向かい合う
「失礼だけど体重は?」
「379kgです」
「俺と200kgも違うのか......ちなみに君は?」
「341kgでーす」
「凄いな......うしっ!」
力士は腹を叩き気合いを入れる
「はっけよい!のこった!」
号令とともに2人は組み合う
力士は全力でぶつかった
しかし200kgの差は凄まじく、たきなの巨体はびくともしない
「くっ!」
力士は即座にたきなの廻しを掴もうとする
しかし柔らかい脇腹の贅肉に廻しが食い込んでいるため中々上手く掴めない
「ふん!ふん!」
そんな力士を尻目にたきなは攻撃を仕掛ける
「ぐぅっ!?」
力士は今まで感じた事のない重量感に動揺を隠せない
(お、重てぇ!?押し切られる!?)
あっという間に土俵際に追い込まれる
抵抗してたきなの身体を押すが女子特有の柔らかい贅肉がブニブニと動くだけで押し返せない
(くそっ!こうなったら!)
たきなもこのまま押し切ろうと更に体重をかけようと体勢を整える
力士はその瞬間を見逃さず、たきなが改めて体重をかけようとした瞬間に身体を逃し、たきなの脇に移動する
するとたきなのつっぱりは空を切り、前のめりになったことで腹や胸の重みで身体を止める事ができず、そのまま倒れ込んでしまう
「うぶぉぉ!?」
「勝負あり!」
「ふぅ......危なかった......」
「たきな、大丈夫?」
「うぶぅ......だ、大丈夫でふぅ......んふぅ......」
たきなは思いの外体力を消耗したため立ち上がれず、四つん這いで部屋の端に移動した
「うし!次は君だな」
「続けざまで大丈夫?休憩したら?」
「心配しなくていい、稽古ではこの何倍も連続で取り組みをするからな」
「そっか!よーし、負けないぞぉ!」
千束は腹の肉をパンパン叩きながら土俵に上がる
「はっけよい!のこった!」
「おりゃぁ!」
「ぐぅっ!?」
たきなよりは軽いとはいえ、圧倒的な体重差に力士は苦悶の表情を浮かべる
「どすこい!どすこい!」
千束は張り手の応酬を力士に食らわせる
しかもその一発一発は的確に力士のダメージを蓄積させ、体勢を崩させる
「ぐっ!?こ、この!」
力士は負けじと張り手を返すが、千束はその張り手を器用にいなし、避ける
普段銃弾を相手にしている千束にとっては張り手を処理することくらい訳ないのだ
しかし力士もただでは負けない
千束の張り手は的確な分、予想がつけやすい
力士は一瞬千束の張り手を避けると一気に距離を詰める
そして巨体同士がパァンッ!とぶつかる
「ぶぉっ!?」
力士の本気のぶちかましに千束は動揺する
その動揺を見逃さず、力士は千束の上体を起こし、贅肉に埋もれた廻しを掴む
すると先程の防戦一方が嘘のように千束の巨体をのけぞらせる
「ふぐぐぐぐ......!」
一度のけぞってしまった千束の巨体はバランスを取る事で精一杯で、巨大な尻の重みで今にも後ろに倒れそうになる
しかし千束の強靭な体幹がどうにか転倒は阻止していた
しかし力士はこの絶好のチャンスを見逃すはずもなかった
「ぐっ!おらぁぁぁ!!」
「!?」
力士は一気に千束の巨体を引き寄せると自身の腰に千束を乗せるとそのまま身体をひねり、投げ飛ばした
「うぶぉぉぉ!?」
「勝負あり!」
見事な上手投げで力士は千束に勝利した
「ぜぇっぜぇっ......!」
土にまみれた千束は巨大な腹を上下させながら必死に呼吸をする
力士はその姿を見て、千束に手を差し伸べる
「いやぁ、いい取り組みだった!負けるかと思った、立てるか?」
「んぶぅ......あ、ありがとうございますぅ......ふぐぅ!」
千束は力士の手を借りて上体を起こすと巨体を転がし、四つん這いになってのっそりと立ち上がる
「んぶぅ......いやぁ悔しいなぁ......」
「千束、大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫!お肉がクッションになったから!」
千束とたきなは土をはらう
「はい!勝負も終わった事だし、お食事にしましょう!」
由紀子は手を叩くと他の力士達がテーブルを用意し、大量の料理を運び込む
山盛りの揚げ物にまるでタライの様な大きさの鍋にたっぷり入ったちゃんこ鍋、更に業務用の炊飯器が運び込まれる
ぐぎゅううぅぅぅぅぅぅぅ......
ぐろろろろぉぉぉぉぉぉぉ......
すると千束とたきなの腹から爆音の腹の虫が鳴り響く
2人はお腹押さえて気まずそうにする
「ははは!腹減ったよな!俺も腹ペコだ!」
テーブルを囲んで巨大な尻をズドンッと下ろすとみんなで手を合わせ、一斉に食べ始める
「がつがつがつがつがつがつ......んぶぉ!うんまぁ!あむっ!はぐっ!がつがつがつ......」
「はふぅ!んんぶ!おいひぃでふぅ!がつがつがつがつがつがつがつがつがつ......」
千束とたきなは力士達顔負けの食べっぷりを見せる
「あらあら!気持ちいい食べっぷりねぇ!おかわりもたくさんあるからたくさん食べてねぇ!」
由紀子はとても嬉しそうに白米を山盛りに盛っている
「おぶぅっ!んぐんぐんぐんぐ......ぶはぁっ!おかわりくださーい!」
「はぐはぐはぐ......ぶふっ!わ、私もおかわりをお願いします!」
「はーい!」
間髪入れず山盛りご飯を渡す由紀子
2人は目を輝かせ、どんどんかき込んでいく
それから約一時間
力士達はとっくに食事を終えていた
しかし、千束とたきなは未だに食べ続けていた
2人の腹は驚く程大きく膨らんでいた
「ずぞぞぞぉぉぉぉ!」
「ずぞぞぞぉぉぉぉ!」
ちゃんこの残り汁を米にかけてまるで飲み物のように米を飲み込んでいき、ついに用意された料理は一つ残らず完食された
「うぅぶ!ご、ご馳走様でしたぁ......ごぶっ!」
「ご馳走様でしたぁ......んぶっ!ぶふっ!」
大きく突き出した腹をさする2人
「「ぶげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっぷっ!!」」
盛大にゲップをする2人
その様子をニコニコと見ている由紀子
「はい、お粗末様でした、しばらく動けないでしょ?休んでなさいな」
「そ、そうさせてもらいまぁす......ぐふぅ......」
すると2人はその場で横になる
横になると腹の中身がどぷんっ!と波打つのが分かる
「おぶぅ......お腹パンパン......ぐるぢぃ......」
「ぐぶっ......食べ過ぎましたね......んぶぅ......」
山のような腹をさする2人
すると2人の表情が急に緩む
「んぁぁ......ねむ......」
「ふわぁぁ......」
まぶたが急に重くなり、大きなあくびをしながら2人はそのまま意識を手放してしまった
「ぐごぉぉぉぉぉぉ......ぐががぁぁぁぁぁ......」
「ぶがああぁぁぁぁ......ぶごぉぉぉぉぉぉ......」
眠りについた途端に2人は爆音のいびきをかき始める
するとその音を聞き付けて由紀子と力士は様子を見に来る
「あらあら寝ちゃった?」
「あれだけ食えばなぁ......凄いなこの腹」
呼吸の度に山のような腹の肉が上下している
「本当ねぇ......ふふ、まるで大きな赤ちゃんみたい......可愛いわね」
由紀子は千束とたきなのお腹に手を当てる
しっとりと柔らかい贅肉の感触とその中の食べ物が詰まってカチカチになった胃袋の感触、そしてその胃袋が全力で食べ物を消化しているため、ゴポゴポぎゅるぎゅると音が鳴っている
「ぶがああぁぁぁぁ......げぇっふぅぅぅぅぅ......」
「おぶぅっふぅぅぅぅぅ......んがぁぁぁぁぁぁ......」
お腹に刺激が加わったせいかいびきに混じってゲップが漏れ、口から食べ物の混じった匂いが吹き出す
「んふふ、しょうがないおデブちゃん達ね、悪いけど毛布持ってきて、流石に風邪引いちゃうわ」
「分かったよ」
こうして結局朝まで眠ってしまい、ちゃっかり朝食まで腹一杯ご馳走になる2人であった
「ほらほら、キビキビ働けデブ共!」
「ぜぇっぜぇっ......す、少し休憩......」
「んぶぅ......わ、私も......」
「今休んだら昼飯は抜きだからな」
「そ、そんなぁ......」
「無断外泊のツケだ、諦めるんだな」
「ミ、ミカさんまで......」
2人は汗だくになりながらてんてこ舞いで働きながら優しかった相撲部屋の面々の事を思い出すのであった
完