妊娠を脂肪で隠したトップアイドル (Pixiv Fanbox)
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まばゆいスポットライトの光を全身に浴びて、美波はステージのセンターで完璧な笑顔を咲かせていた。
彼女の容姿は、まさに天性のアイドルそのものだった。幾千のファンを釘付けにするのは、内側から発光するような透明感のある白い肌と、風に揺れる艶やかな黒髪。何よりも、見る者を一瞬で虜にする大きな瞳は、星を閉じ込めたようにきらめいていた。衣装のノースリーブから伸びる手足は折れそうなほどに細く、しなやかで、無駄な脂肪など一切見当たらない。ウエストはコルセットで締めているかのように薄く、ミニスカートの裾から覗く太ももには、健康的ながらも華奢なラインが保たれている。誰もが憧れ、羨む、完璧に管理された美の結晶。それがトップアイドルグループの絶対的エース、美波の姿だった。
重低音のスピーカーが震え、満員の会場から地鳴りのような歓声が沸き起こる。新曲の激しいダンスナンバーを終え、MCタイムへと移る瞬間、美波は一歩前に出てマイクを両手で握りしめた。
「みんなー!今日は記念すべきツアーファイナルに来てくれて、本当に本当にありがとう!」
「美波ちゃんー!今日も世界一可愛いよー!」
「ありがとう!みんなの熱気、ステージのここまでちゃんと届いてるよ!後ろの席のみんなも、私のこと見えてる?」
「見えてるよー!一生推し続けるからねー!」
「嬉しいっ!その言葉が私の毎日のエネルギーなんだから。今日はみんなのハートを全部、私が独り占めしちゃうぞ!」
「もうとっくに奪われてるよー!」
「ふふ、じゃあもっともっと熱くなろうね!次の曲は、私たちの始まりの曲……聴いてください」
一糸乱れぬコール、色とりどりのサイリウムの海。その光の渦の中心で、美波は誰よりも輝いていた。
しかし、その完璧な笑顔の裏側で、美波の心臓は今にも弾けそうなほどの恐怖と不安で脈打っていた。ステージを降り、衣装を脱ぎ捨てて一人きりになった楽屋の姿は、ファンの知る彼女とはあまりにもかけ離れていた。
彼女には、世間に決して知られてはならない秘密があった。業界関係者にも隠れて密かに交際していた恋人との間に、新しい命が宿ってしまったのだ。
生理が遅れていることに気づき、震える手で試した検査薬に浮かび上がった二本線。あの瞬間の絶望を、美波は生涯忘れることができないだろう。頭の中が真っ白になり、目の前が暗転した。トップアイドルの妊娠。それが公になれば、自分だけでなく、グループのメンバー、事務所、そして何より自分を信じてくれたファンを奈落の底に突き落とすことになる。
最初は、すぐに病院へ行って手術を受けようと考えた。このキャリアを守るためには、無かったことにするしかない。そう自分に言い聞かせ、中絶の手続きを調べるために、誰もいない深夜のベッドでお腹に手を当てた。その瞬間、信じられないほどの愛おしさと、言いようのない罪悪感が胸を突き上げてきた。この小さな命を、自分のエゴで消してしまっていいのだろうか。一度宿った輝きを、闇に葬ることが本当に正しいのだろうか。
「……産む。誰にも言わずに、隠れてこの子を育てる」
それは、アイドルとしての死を意味するかもしれない無謀な決断だった。しかし、彼女の心は決まった。
それから数ヶ月が経過した。美波は体調不良の兆候をプロ根性で押し殺し、一切周囲に妊娠を悟られないよう、これまで通りのスケジュールをこなしていた。しかし、人間の身体は嘘をつけない。妊娠中期に差し掛かるにつれ、細身に作られた特注のステージ衣装を着る際、下腹部にかすかな違和感を覚えるようになってきた。
かつては平坦で、うっすらと腹筋の筋が見えていたはずのお腹が、明らかに前へと突き出し始めている。衣装のチャックを上げるたび、スタイリストの手が止まることが増えた。
「美波ちゃん、少しサイズ変わった?お腹のあたり、ちょっときつそうだけど……」
「あ、すみません!最近、ついつい夜食を食べちゃって。すぐに絞ります!」
その場は笑顔で誤魔化したものの、状況は日々悪化していった。ダンスで激しく体を捻るたび、お腹の張りが衣装の生地越しに強調される。どれだけ息を吸い込んでお腹を凹ませようとしても、子宮の膨らみを隠すことは不可能な領域に入りつつあった。
影響は、最も敏感なファンたちのアナライズにも現れ始めた。ある日の握手会、長年美波を応援してきた熱心なファンが、怪訝そうな表情で彼女を見つめた。
「美波ちゃん、今日の衣装、なんだかいつもとシルエットが違くない?」
「ええ?そうかな?ちょっとデザインが変わったのかも!」
「うーん、そうじゃなくて……なんというか、お腹のあたりがぽっこりして見えるっていうか……。もしかして、体調悪くてむくんでるとか?」
「あはは、ただの食べ過ぎだよ!最近、お米が美味しくてさ!」
「そうならいいんだけど……ネットでも、美波ちゃんが最近激しいステップを避けてるんじゃないかって噂になってて。妊娠説とか流してる変なやつもいるから、気をつけてね」
「え……っ。うん、ありがとね。心配してくれて嬉しいよ」
剥がしのスタッフに促され、ファンが去った後、美波の手のひらは冷たい汗でびっしょりと濡れていた。すでにファンの間で疑惑の種が撒かれている。このままお腹の膨らみだけが成長していけば、数週間と経たないうちに「現役アイドルの妊娠」という最悪の形で全てが白日の下に晒されるだろう。
どうすればいい。どうすれば、このお腹の命を守りながら、アイドルとしての活動を続けられるのか。
自室のベッドで丸くなり、膨らみ始めた下腹部をさすりながら、美波は狂気とも言える奇策を思いついた。
(お腹だけが膨らむから怪しまれるんだ……。だったら、身体の全部を膨らませればいい。私がだらしなくて、プロ意識がなくて、ただの『激太りしたデブ』になれば、誰もこれが妊娠だなんて思わない……!)
「激太りしたアイドル」として世間から嘲笑され、叩かれる方が、「ファンを裏切って妊娠したアイドル」として完全破滅するよりもマシだ。太った脂肪のクッションで、お腹の赤ちゃんを包み込み、誰の目からも隠し通す。
美波は鏡の前に立ち、まだ華奢な自分の身体を見つめた。この美しい身体を、自らの手で徹底的に破壊し、脂肪の泥に沈める。それは、アイドル美波が仕掛ける、命がけの「肥育作戦」の幕開けだった。
身長:158.0cm / 体重:45.0kg(前月比 ±0kg)
BMI:18.0(低体重)
B:82(Cカップ) / W:58 / H:84
美波の狂気とも言える「肥育作戦」は、凄絶な夜の食事から始まった。
深夜の自室。薄暗い部屋の中に、コンビニのビニール袋とデリバリーの空き箱がいくつも転がっている。テーブルの上に広げられているのは、アイドルとして長年徹底したカロリー制限を行ってきた彼女にとって、あまりにも暴力的なカロリーの山だった。特大サイズのカツ丼、マヨネーズがたっぷりと乗った照り焼きチキンピザ、ポテトチップスの特大袋、そして2リットルのコーラ。
「……食べるんだ。全部、お腹の底に詰め込むの」
美波は冷めたカツ丼をプラスチックのスプーンで掬い上げ、機械的な動作で口へと運んだ。油をたっぷり吸った衣と甘辛いタレが、すでに満腹の胃袋を激しく刺激する。本来なら一口で胸焼けがしそうな脂っぽさだが、彼女は無理やりコーラで喉の奥へと流し込んだ。
(もっと、もっと太らなきゃ……このお腹の膨らみを、全部だらしない脂肪で隠蔽するの……っ)
吐き気が込み上げてくるのを必死に堪え、涙目で次のピザのピースに手を伸ばす。とろけるチーズとマヨネーズがべっとりと唇に絡みつく。かつてはサラダと鶏胸肉しか受け付けなかった清浄な身体が、急激な脂質と糖質の暴力によって内側から作り変えられていくような、背徳的な熱さを感じていた。
数日後、入浴のために服を脱いだ美波は、洗面台の大きな鏡の前に立ち尽くした。
そこに映っていたのは、もはや完璧なアイドルのプロポーションではなかった。脱ぎ捨てた細身のデニムからは、締め付けられていたウエストの肉がぷるんと解放され、赤いゴムの跡がくっきりと残っている。
かつては息を吸い込めば肋骨の形がくっきりと浮かび上がっていた胴体には、全体的にぽってりとした皮下脂肪が乗り始めていた。キュッと引き締まっていたウエストのくびれは曖昧になり、指で摘むと、柔らかく厚みのある肉が確かな質量を持って掴めた。
シャワーの湯を浴びながら、彼女は自分の身体をまさぐる。華奢だった二の腕は振るたびにタプタプと揺れ、太ももの間にはかつてあったはずの隙間が完全に消え去っていた。
「あ……んっ……」
胸の下に手を当てて持ち上げると、明らかに以前よりも重みを増している。Cカップだったはずの胸は、急速についた脂肪によってEカップにまで膨張し、手のひらからこぼれ落ちるほどに豊満になっていた。そして、肝心のお腹周り。妊娠による硬い子宮の膨らみを覆い隠すように、分厚く柔らかな脂肪の層がぽっこりと前へ突き出し始めている。絶望と安堵が入り交じる複雑な感情を抱えながら、彼女はお湯の滴る、醜くも愛おしいだらしないお腹をそっと撫でた。
しかし、急激な体型の変化は、アイドルとしてのパフォーマンスに深刻な影響を及ぼし始めていた。
週末のライブ。アップテンポな曲が続くセットリストの中で、美波は明らかな異変を感じていた。
(……身体が、重いっ……!衣装が、キツい……!)
いつもなら軽々と跳躍できる振り付けで足が上がらない。ターンをすれば重心がブレてよろけそうになる。何より、胸やお尻についた余分な肉が、動くたびにブルンブルンと不格好に揺れ動くのだ。特注の衣装はすでにはち切れそうにパンパンで、太ももを覆う短いスカートからは、むっちりとした肉がはみ出している。ほんの数曲歌って踊っただけで、肺が焼けるように痛くなり、滝のような汗が全身から噴き出し、メイクがドロドロに崩れていった。
すれ違いざまに、同じメンバーの涼香が小声で注意を促す。
「美波、ちょっと遅れてるよ!足上がってない!」
「ごっ、ごめん……!はぁっ、はぁっ……」
息も絶え絶えに返事をしながら、美波は必死に笑顔を作った。しかし、最前列付近にいるコアなファンたちの目は誤魔化せなかった。彼らはペンライトを振る手を止め、戸惑ったような、あるいは欲情したような視線で、汗だくで肉を揺らす美波の太ももやお腹周りを凝視している。
翌日、美波は妊娠の経過を診てもらうため、帽子とマスクで顔を隠して産婦人科を訪れた。
「美波さん、体重計に乗ってください」
「はい……」
デジタル表示の数値を見て、担当の女性医師は厳しい声を上げた。
「……美波さん。この1ヶ月で13キロ増ですよ。どうしてこんなに増えているんですか?」
「あ、あの……仕事のストレスで、夜中にどうしても食べてしまって……」
「言い訳はいいです。妊娠初期の急激な体重増加は、母体にも胎児にも多大な負担をかけます」
「……すみません」
「妊娠高血圧症候群や、妊娠糖尿病のリスクを理解していますか?あなたの今の体型、脂肪がつきすぎてエコーも見えにくくなっているんですよ」
「はい……でも、どうしてもお腹が空いて、甘いものが欲しくなってしまって……」
「アイドルという職業柄、周囲に隠さなければならないストレスがあるのは理解できますが、今はあなたの体の中にもう一つの命があるんです。これ以上の自暴自棄な生活は絶対にやめてください」
「……っ、気をつけます。本当に……」
真っ当な叱責に、美波はうつむくしかなかった。医師は、美波が「わざと」太ろうとしていることなど知る由もない。
病院からの帰り道。今着けている下着がひどく食い込んで痛むため、美波はランジェリーショップに立ち寄ることにした。人目を避けるように奥のフィッティングルームに入り、店員にサイズを測ってもらう。
「いらっしゃいませ。本日はどのような下着をお探しですか?」
「あの、最近少し胸がキツくなってしまって……新しく測ってもらえませんか?」
「かしこまりました。では、メジャーを当てさせていただきますね。……失礼いたします」
「……っ」
「お客様、以前よりもアンダーバストとカップサイズがかなり上がっていらっしゃいます。お胸周りにお肉がついて、とても女性らしい、ふくよかなシルエットになられましたね」
「あ、はい……少し、太ってしまって。前のサイズだとお肉が乗っちゃって痛いんです」
「ワイヤーがお肉に食い込んでいたのですね。ウエスト周りも少しふんわりされましたし、今回は全体的にしっかりホールドして、脇や背中のお肉も逃がさないタイプをお勧めいたします」
「……それで、お願いします。できるだけお肉が目立たないデザインで……」
「かしこまりました。お胸のボリュームがとても綺麗に出るものをお持ちしますね」
新調したEカップのブラジャーと大きなショーツを身に着けると、以前のものがどれほど自分の肉を無理やり締め付けていたのかがわかった。鏡に映る自分は、清純派アイドルというより、だらしなく肉付いたグラビアアイドルのようだった。
事務所の会議室で、マネージャーから厳しい呼び出しを受けた。
「美波、ちょっといいか」
「はい、なんでしょうか」
「お前、最近本当にお肉ついたんじゃないか?衣装部から『美波の背中のファスナーが上がらない』って泣きつかれたぞ」
「ごめんなさい……ストレスで、つい食べ過ぎちゃって……」
「『つい』のレベルじゃないだろ。顎の下にも肉がついてるし、太ももなんて前の倍くらいあるんじゃないか?それに、そのお腹の肉はどうしたんだ」
「……っ、そこまでは太ってないです!少しむくんでるだけで……」
「いや、どう見ても太ってる。ファンからも『美波、顔パンパンじゃん』『自己管理できてない』、果ては『妊娠でもしたのか』って声まで出始めてるんだぞ」
「っ……!違います、ただのストレス太りです!」
「だったら痩せろ!お前はグループの不動のセンターなんだぞ。ぽっちゃりキャラで売ってるわけじゃないんだ!」
「わかっています……来月の撮影までに、絶対に絞りますから!」
「絶対にだぞ。これ以上醜く太るなら、センターから外すしかないからな。プロ意識を持て!」
「……はい」
マネージャーの怒号が響く中、美波はお腹の脂肪を隠すように両手を握りしめた。痩せることなどできない。ファンの疑惑を「ただのデブ」へと完全に逸らすため、これからもっと醜く、もっと巨大に膨らんでいかなければならないのだから。
身長:158.0cm / 体重:58.0kg(前月比 +13.0kg)
BMI:23.2(普通体重・上限ギリギリ)
B:90 (Eカップ) / W:72 / H:92
美波の身体はもはや「ぽっちゃりしたアイドル」という可愛らしい枠組みを完全に破壊し、異次元の変貌を遂げていた。
テレビ局の楽屋。他のメンバーが体型維持のためにサラダや春雨スープを口にする中、美波の目の前には信じられない量の食べ物が並んでいる。大盛りのカルボナーラ、マヨネーズがたっぷりかかった唐揚げ弁当、そして食後のデザートとして用意されたホールケーキ。
「……いただきます」
周囲の冷ややかな視線を浴びながらも、美波はフォークを握りしめ、濃厚なクリームが絡んだパスタを口いっぱいに頬張った。咀嚼するたびに、顎の下についた分厚い二重顎がタプタプと不格好に揺れる。
実はこの時期、妊娠中期特有のマイナートラブルが美波を襲っていた。大きくなり始めた子宮が胃や腸を圧迫し、常に胃もたれと軽い吐き気が続いているのだ。本来であれば、さっぱりとしたものを少量ずつしか食べられない時期。しかし、彼女は胃袋の悲鳴を無視して、ひたすらに高カロリーな油物を詰め込み続けた。
硬く膨らみつつあるお腹の赤ちゃんを隠すためには、さらに分厚く、さらに醜い脂肪の鎧が必要なのだ。
パスタを飲み込み、脂の滴る唐揚げを次々と胃に流し込む。衣装のウエスト部分はすでに限界を迎えており、こっそりホックを外したスカートの上には、分厚い浮き輪のような腹の肉がだらしなく溢れ出していた。食道まで食べ物が詰まっているような強烈な吐き気を、甘ったるいホールケーキを丸呑みすることで無理やり喉の奥へと押し込む。全身の血が胃に集中し、異常なほどに発汗した彼女の顔は、脂でテカテカと光っていた。
その夜。自室の風呂場で全裸になった美波は、湯船に足を踏み入れた。
ザバーッ!と、かつてないほどの大量の湯がバスタブから溢れ出し、洗い場の床に濁流となって流れ落ちた。湯船に沈んだ自分の身体を見下ろし、美波はゆっくりと絶望の息を吐き出した。
(……すごい。私、本当にただの巨大なデブになっちゃった……)
お湯から突き出しているのは、巨大な肉の塊だった。かつての華奢な面影はどこにもない。
妊娠特有の身体の変化が、暴力的な脂肪の増殖と混ざり合い、凄まじいことになっていた。
まず、胸だ。脂肪がついただけでなく、出産に向けた準備として乳腺が急激に発達し、EカップからGカップへと恐ろしいスピードで膨張していた。ちぎれそうなほどの重量を持って下へ向かって垂れ下がり、薄くなった皮膚の下には青白い静脈が網の目のように浮き上がっている。乳輪は以前より二回りも大きく広がり、色素が沈着して浅黒く変色していた。お湯の熱に触れただけでチリチリとした強い張り痛みが走り、母乳を作る準備が着々と進んでいることを物語っていた。
そして、最も隠さなければならないお腹周り。
下腹部の奥には、スイカのように硬く、パンパンに張った子宮の膨らみが確実に存在している。仰向けになれば、本来ならその神秘的な丸みがくっきりと浮かび上がるはずだ。しかし今の美波の身体は、その硬い命のドームを、醜く分厚い三段腹の脂肪がスライムのようにすっぽりと覆い隠していた。
座れば太ももの上に巨大な肉の浮き輪が乗っかり、へそは完全に脂肪の谷間に埋没している。急激な皮膚の伸長に細胞が追いつかず、お腹の側面から太ももの付け根にかけて、赤紫色の生々しい肉割れ(妊娠線)が地割れのように無数に走っていた。足首は妊娠によるむくみ(浮腫)と脂肪で完全に境目がなくなり、丸太のように太くなっている。指で押すと、低反発マットのように跡がくっきりと残り、なかなか元に戻らなかった。
翌日、体型に合わせた下着を新調するため、再びランジェリーショップを訪れた。
「お客様、今回はアンダーバストもカップも、さらに二回りほど大きくなっておりますね」
「そうですか……なんだか、最近胸がすごく張って、重くて……肩こりがひどいんです」
「お肉がつかれただけでなく、女性ホルモンのバランスも変化しているのかもしれませんね。乳腺が張っていらっしゃるような、特有の硬さがあります」
「えっ……!あ、あの、ただの食べ過ぎです!最近ケーキとか甘いものばかり食べてるから……っ」
「そうでしたか。ですが、以前のお下着ではもうお胸が完全に溢れてしまいます。本日はHカップの、肩紐が太くしっかりお胸の重量を支えられるタイプをお持ちしましょうか」
「……はい、お願いします。あと、ショーツもお腹の……その、お肉をすっぽり包める一番大きいサイズで……」
「かしこまりました。お腹周りもかなりふくよかになられましたから、マタニティ用のような、お腹を締め付けないハイウエストの深履きのものをお探ししますね」
「マ、マタニティ用……!?いえ、普通のショーツの、とにかく大きいやつでいいです!」
「かしこまりました。すぐにお持ちいたしますね」
店員の鋭い指摘に冷や汗をかきながら、美波は巨大なHカップのブラジャーと、テントのように巨大なショーツを購入した。
アイドルとしての日常は、すでに崩壊の一途を辿っていた。
ライブのリハーサル。激しいフォーメーション移動のたび、美波の巨大な身体は重力に逆らえず、ドスドスと重苦しい足音を立てた。隙間が完全になくなった太ももが歩くたびに激しく擦れ合い、股擦れを起こしてヒリヒリと赤く腫れ上がっている。
「はぁっ……!はぁっ……!」
動くたびに巨大な胸がブルンブルンと暴れ回り、お腹の肉が波打つように揺れる。
客席のファンは、激太りした美波を見て完全に引いていた。SNSでは「美波豚化」「自己管理ゼロ」「見てて痛々しいから引退しろ」といったバッシングが飛び交い、彼女の握手会レーンは誰も並ばない空白の時間が続くようになっていた。
リハーサル後の楽屋。ドスン、とパイプ椅子に腰を下ろした瞬間、ギシィッ!と椅子が悲鳴のような軋み音を立てた。その音に反応して、メンバーの涼香が呆れたような顔で近づいてきた。ここから、美波にとって最も冷や汗をかく追及が始まった。
「ちょっと美波、今日のステップ、全然足上がってなかったよ。ドスドス音立ててたし」
「はぁっ、はぁっ……ごめん、衣装がキツくて、息が……」
「息が、じゃないよ。ねえ、本当に何キロ太ったの?衣装さん、また美波のサイズ直すために泣きそうになってたよ」
「……ごめんなさい。でも、どうしても食欲が止まらなくて」
「止まらないってレベルじゃないよ。その太もも、前の二倍はあるんじゃない?股擦れして歩き方おかしくなってるし」
「そんなことない……ちょっとお肉がこすれるだけ……っ」
「いいや、おかしい。それにそのお腹!いくらなんでも出過ぎでしょ。胸からストンって、ドラム缶みたいになってるじゃない」
「……っ!だ、ダメ、見ないで!」
「なんで隠すのよ。ちょっと見せてよ。どれだけお肉ついてるか、私が確認してあげる」
「やめて!本当に、ただの脂肪だから……っ!」
「……ねえ。なんか、ただの太り方じゃなくない?下っ腹のあたり、妙にパーンって張ってるっていうか……歩くときもお腹かばってるよね?」
「そんなことない!お腹いっぱい食べてるから苦しいだけだよ!」
「ちょっと触らせてよ。……え、何これ。この分厚いお肉の下のほう、なんか硬くない?」
「……ひゃあっ!くすぐったいってば!」
「ごまかさないでよ。ねえ美波、あんたもしかして……」
「ただのデブだよ!!ほら、見てよこれ!」
美波は咄嗟に、スカートのウエストから溢れ出ている自分の巨大な三段腹を両手でガシッと掴み、涼香の目の前でブルンブルンと激しく揺らして見せた。
「うわっ……!」
「ほら!ただの柔らかいお肉でしょ!?掴めるし、こんなに揺れるし!ただの食べ過ぎの、だらしない脂肪の塊なの!お願いだから、もう私の体型のこと言わないで……っ」
「……わかったよ。ごめん、言い過ぎた。でも、本当にその体型じゃ、次のツアーは出られないよ」
「わかってる……。なんとかするから」
涼香が去った後、美波は全身から冷や汗を吹き出しながら、ブルブルと震える自分のお腹の肉を抱きしめた。危なかった。あともう少し深く触られていたら、確実に子宮の膨らみを察知されていただろう。
その数日後、人目を忍んで訪れた産婦人科の診察室で、美波は医師からかつてないほど激しい叱責を受けていた。
「美波さん、体重計の数値を見ましたか?どういうことですかこれは!」
「……すみません、どうしても食べるのが止められなくて……っ」
「1ヶ月でさらに14.5キロ増。トータルで約30キロの増加ですよ!今のあなたは、母体としてもアイドルとしても、極めて危険な状態です!」
「お腹の赤ちゃんは……無事なんですか?」
「今は心音も正常ですが、あなたの血圧が急上昇し、尿蛋白も出ています。完全な妊娠高血圧症候群の初期症状です!」
「……っ」
「それに、この急激な脂肪の増加……産道にまで分厚い脂肪がついてしまっています。これでは赤ちゃんがスムーズに降りてこられず、難産になる可能性が非常に高いです。最悪の場合、母子ともに命の危険がありますよ」
「そんな……!でも、食べないと、お腹が目立って……っ」
「何を言っているんですか!お腹の赤ちゃんを守るための脂肪が、逆に赤ちゃんを苦しめているんですよ!今すぐカロリー制限を始めなさい。次に体重が増えていたら、問答無用で強制入院させます」
「……わかりました。努力します……」
病院を後にした美波の足取りは、鉛のように重かった。股擦れの痛みでガニ股になりながら歩く。息を吸うだけで、Hカップのブラジャーのワイヤーが分厚い胸の下の肉に食い込んで激痛が走る。
それでも、彼女は病院の帰りにコンビニに寄り、大量の菓子パンと甘いジュースを買い込んだ。
(先生、ごめんなさい……。でも、入院なんてしたら全てが終わる。この身体が脂肪で破裂したとしても……私は、食べるのをやめられない……!)
帰り道の暗がりの中、美波は涙をこぼしながら、震える手で菓子パンの袋を引き裂き、パンパンに膨れた頬をさらに膨らませて、狂ったようにカロリーを貪り食った。
身長:158.0cm / 体重:72.5kg(前月比 +14.5kg)
BMI:29.0(肥満度1)
B:102 (Hカップ) / W:88 / H:105
妊娠後期に突入した美波の身体は、アイドルとしての限界をとうの昔に超え、ただ生きていることすら苦痛を伴うほどの巨大な肉の塊へと成り果てていた。
深夜。自室の床に座り込んだ美波の目の前には、ピザのLサイズが3枚、特盛のフライドポテト、そしてファミリーサイズのアイスクリームが並んでいる。妊娠後期の「後期つわり」と呼ばれる胃の圧迫感と胸焼けが彼女を襲っていたが、それでも彼女は食べることをやめなかった。いや、もはや「食べなければならない」という強迫観念に支配されていた。
大きくなった子宮はみぞおちのすぐ下まで達し、その上に乗っかった分厚い脂肪の鎧が、さらに胃袋を押し潰している。一口食べるごとに逆流してきそうな酸をコーラで無理やり押し流し、脂まみれのピザを泣きながら胃袋へ詰め込む。
(……赤ちゃんが大きくなってる。もっと、もっと食べないと……このお腹の丸みがバレちゃう……っ)
翌朝、ベッドから起き上がることすら一苦労だった。
「よいしょ……っ、うっ……!」
関節にのしかかる凄まじい重量。88キロの体重は、158センチの小柄な骨格には耐えきれない負荷だった。膝は常にきしみ、足の裏は自重で真っ赤に腫れ上がっている。
風呂場に向かい、全裸になって鏡の前に立つ。
もはやそこには、人間の女性としてのくびれや曲線美の欠片もなかった。首は完全に脂肪に埋もれ、肩から胸、そしてお腹にかけて、雪崩のように肉が連続している。
胸はついにIカップにまで到達していた。重すぎる乳房は肋骨を圧迫し、呼吸をするだけで苦しい。乳輪は黒ずみ、時折ツンとした痛みとともに、薄く黄色がかった初乳が滲み出すようになっていた。
そして、お腹。
臨月間近の巨大な子宮の膨らみに、数十キロの皮下脂肪が加わったその腹部は、異様なまでの大きさに膨れ上がっていた。スイカを丸ごと飲み込んだかのような硬い膨らみの上に、だるんと垂れ下がった巨大な三段腹がエプロンのように覆い被さっている。おへそは底知れぬ肉の穴と化し、無数に走る肉割れ(妊娠線)は、皮膚が裂ける寸前であることを赤々と警告していた。
湯船に入ろうと片足を上げた瞬間、よろけて壁に手をつく。
「あっ……危なっ……」
自力で身体を洗うこともままならない。手が背中に届かず、垂れ下がったお腹の下や、巨大な胸の下は肉を持ち上げなければ洗うことすらできなかった。
アイドルとしての活動は、もはや悲惨なものだった。
衣装は特注の、テントのようなダボダボのワンピースに変更された。それでも、彼女の巨大な身体を隠し切ることはできず、動くたびに分厚い肉が波打つのがわかった。
ライブ本番。美波のポジションは、かつてのセンターから最後列の一番端へと追いやられていた。
「……っ、はぁっ、はぁっ……」
ステップを踏むことはおろか、立って歌うだけで限界だった。少し体を動かしただけで滝のような汗が噴き出し、マイクには激しい息切れの音が乗る。客席のファンは、彼女に向かってペンライトを振ることはなくなり、代わりに冷たい嘲笑や怒りの声を浴びせた。
「なんだよあのでかいの。邪魔だな」
「完全に豚じゃん。プロ意識なさすぎだろ」
「あんなのアイドルじゃない。早く引退しろよ」
耳に入る心ない言葉に、美波の心はズタズタに引き裂かれていた。それでも、彼女はお腹の命を守るため、必死にへらへらと笑い、だらしないデブを演じ続けた。
ある日の番組収録の合間。通りすがりのスタッフが、無遠慮に声をかけてきた。
「おっ、美波ちゃん。なんだか本当に妊婦さんみたいなお腹だね!臨月ですか?なんてね」
「っ……!や、やめてください!」
美波は反射的にお腹を両手で庇い、後ずさった。
「あ、ごめんごめん!あんまり見事な太りっぷりだったからつい。でも、アイドルなんだから少しは痩せないとマズイよ?」
「……ただの食べ過ぎです。本当に、ただの自己管理ができないデブなんです」
「まあ、その体型じゃ説得力ないけどね。頑張って痩せなよ」
スタッフが去った後、美波はトイレに駆け込み、巨大なお腹を抱えて震えた。
(……バレる。もう限界だ。これ以上は、誤魔化しきれない……っ)
病院での定期健診。医師の顔には、もはや怒りを超えた深い絶望と焦燥が浮かんでいた。
「美波さん……。あなたの体重、88キロです。身長158センチで、BMIは35を超えました。これは高度肥満の領域です」
「……はい」
「血圧は上が160を超えています。完全に妊娠高血圧症候群です。いつ子癇発作(けいれん)が起きてもおかしくない、極めて危険な状態です」
「赤ちゃんは……赤ちゃんは大丈夫なんですか!?」
「胎児の心音は確認できていますが、あなた自身の身体が限界です。これだけ脂肪がついてしまうと、通常分娩は不可能です。帝王切開になりますが、この分厚い脂肪のせいで麻酔が効きにくく、手術自体のリスクも跳ね上がっています」
「……私が、悪いんです。全部……」
「今すぐ入院してください。これ以上の体重増加は、母子ともに命に関わります」
「ダメです……っ!入院したら、事務所にバレてしまいます……!」
「命より仕事が大事なんですか!?あなたは自分が今、どれだけ危険な状態にいるのかわかっていない!」
医師の怒鳴り声に、美波はただ泣き崩れるしかなかった。
翌日、事務所の社長室に呼び出された美波は、ついに最後通告を受けた。
「美波。……もう、見ていられない」
社長は深くため息をつき、美波の巨大な身体を見つめた。
「申し訳、ありません……っ」
「マネージャーからも報告は受けている。お前の体型は、もはやアイドルとしてステージに立てる状態じゃない。ファンからのクレームも限界だ」
「……はい」
「休業しろ。体調不良という名目で、今日から表舞台から降りてもらう」
「……っ!」
「なぜここまで自分をコントロールできなかったんだ?お前なら、もっと上に行けたはずだぞ」
「どうしても……食べることでしか、ストレスを発散できなくて……」
「復帰のめどは立たない。痩せて元の体型に戻るまでは、一切の活動を禁ずる。……いいな?」
「わかりました。……必ず、戻ってきます」
「その体を見てから言え。……とにかく、今は休め」
社長室を出た瞬間、美波の張り詰めていた糸がプツリと切れた。
(終わった……。私のアイドル人生、終わっちゃった……)
巨大なお腹を抱え、彼女は力なく廊下にへたり込んだ。関節が悲鳴を上げ、立ち上がることすらできない。
「美波!」
駆けつけてきたマネージャーが、彼女を抱き起こそうとしたが、その重さに顔を歪めた。
「……ごめんなさい、ごめんなさい……っ」
「いいから、泣くな。今はゆっくり休め」
誰にも妊娠を悟られることなく、美波は「激太りによる無期限休業」という形で、ひっそりとアイドル界から姿を消した。しかし、彼女の「肥育」はまだ終わらない。出産までの残り数ヶ月、命を産み落とすその瞬間まで、彼女の肉体は膨張し続けなければならないのだから。
身長:158.0cm / 体重:88.0kg(前月比 +15.5kg)
BMI:35.2(高度肥満)
B:115 (Iカップ) / W:105 / H:120
休業に入った美波は、世間の目から完全に隔離されたマンションの一室で、ひたすらに己の肉体を膨張させ続けていた。もはや「アイドルとしての体面」などという概念は完全に崩壊し、彼女の生活はただ「食べる」ことと「寝る」ことだけに支配されていた。
薄暗い部屋には、デリバリーの空き容器や、ファミリーサイズのポテトチップスの空き袋が山のように積まれている。ベッドから起き上がるだけで、限界を超えた膝の関節がメキメキと悲鳴を上げ、100キロの大台に迫る圧倒的な質量が足の裏にのしかかった。
「はぁっ……はぁっ……んっ……」
少し動くだけで、滝のような脂汗が全身から噴き出す。
彼女は息も絶え絶えになりながら、テーブルに並べられた特大サイズのフライドチキンバーレルに手を伸ばした。臨月を迎え、スイカのように巨大化した子宮が胃袋を極限まで圧迫している。本来であれば水すら喉を通らないほどの苦しさだが、美波は脂ぎったチキンを無理やり口に押し込み、マヨネーズをたっぷりかけた白米とともに咀嚼した。
(お腹の皮が……弾けそう……っ。でも、もっと脂肪で包み込まないと……)
内側からは命の胎動がドスドスと激しく蹴り上げ、外側からは何十キロという分厚い皮下脂肪が容赦なく内臓を押し潰す。身体の内と外からの凄まじい圧力に、美波は涙目になりながらも、カロリーの塊を胃袋へと流し込み続けた。
数日に一度の入浴は、もはや命がけの作業だった。
浴室の鏡に映る自分の全裸を見るたび、美波は自らの姿の異様さに息を呑んだ。
そこにいるのは、かつて数万人を魅了したトップアイドルではない。ただひたすらに醜く、巨大に肥え太った、肉の化めいた女だった。首のくびれは完全に消失し、丸太のように太くなった腕は、脇を締めることすらできない。
胸はついにJカップという、規格外の暴力的なサイズにまで膨張していた。乳房というよりは、巨大な水風船が二つ、首からぶら下がっているかのようだ。その恐ろしい重量に耐えきれず、胸はだらんと下へ垂れ下がり、巨大化したお腹の肉の上にどすりと乗っかっている。少し触れただけでパンパンに張った乳腺が激痛を発し、濃い茶色に変色した巨大な乳輪からは、出産に向けた準備として母乳がツーツーと滲み出していた。
そして、その下にある腹部。
臨月を迎えたお腹は、もはや前が見えないほどに前方に突き出している。硬く張った子宮のドームを、これまでの暴飲暴食で作られた分厚く柔らかい三段腹が、ドロリとしたスライムのように何重にも覆い隠していた。極限まで引き伸ばされた皮膚はテカテカと不気味な光沢を放ち、赤紫色に深くえぐれた肉割れ(妊娠線)が、お腹から太ももにかけてびっしりと走っている。太ももは完全に隙間を失い、股擦れで爛れた皮膚が黒ずんでいた。
お湯を張ったバスタブに足を踏み入れると、ザバーッ!と半分以上の湯が溢れ出した。湯船に沈むと、巨大なお腹の肉が浮力で持ち上がり、水面にぷかぷかと島のように浮かび上がる。自分の足の指先など、もう何ヶ月も見ていなかった。
休業中とはいえ、定期健診のために外出着が必要だった。しかし、市販の服はどんなに大きなサイズでも彼女の肉体を収めることができず、ついに自宅に秘密裏に仕立て屋を呼ぶことになった。
「美波様、失礼いたします。こちらで採寸させていただきますね」
「……はい、お願いします。はぁっ……はぁっ……」
「少し息苦しそうですね。無理をなさらず、楽な姿勢で……では、バストから測ります。……失礼します」
「あっ……痛っ、あんまり引っ張らないでください……胸が、張ってて……」
「申し訳ありません。……128センチですね。以前お伺いした時よりも、かなり……ふくよかになられましたね」
「はい……。とにかく、体のラインが全くわからない、テントみたいなワンピースにしてください」
「かしこまりました。……ウエスト周りですが、かなり余裕を持たせた方がよろしいですね。……あっ」
「どうか、しましたか……?」
「いえ、ウエストが125センチと……これほど急激にお腹周りにお肉がつかれると、動くのもお辛いでしょう」
「……膝が、砕けそうです。生地は、とにかく伸縮性のある柔らかいものにしてください」
「ええ、特注のストレッチ素材でお作りします。これなら、お身体を締め付けることはありませんよ」
「お願いします……。誰にも、この体型を見られたくないんです」
採寸を終えた数日後、様子を見に来たマネージャーが自宅を訪れた。ドアを開けた瞬間、マネージャーは絶句した。
「美波……お前、なんだその姿は……!」
「マネージャー……すみません、立ち上がって挨拶できなくて。はぁっ、はぁっ……」
「先月よりさらに巨大になってるじゃないか!顔なんてパンパンで元の輪郭がないぞ!」
「ずっと家にいて、食べてばかりいるので……食欲が、どうしても止まらなくて」
「ただの食べ過ぎってレベルじゃないだろ!お前、今体重何キロあるんだ!?」
「……100キロは、超えたと、思います」
「ひゃ、100キロ!?冗談だろ、お前みたいな小柄な体で……関節が壊れるぞ!」
「もう、壊れてます。歩くのもやっとで……股擦れが痛くて……」
「……なあ美波。お前のそのお腹、なんかおかしくないか?」
「えっ……!」
「いくら太ったからって、そんなに前にせり出すか?まるで……妊婦みたいに、パーンって張ってるじゃないか」
「ち、違います!ただの脂肪です!内臓脂肪がひどくて、姿勢が悪いから……っ!」
美波は慌てて巨大な胸の下に広がるお腹の肉を手で隠そうとしたが、あまりにも巨大すぎて隠しきれない。
「本当か?嘘ついてないだろうな。お前、何か重大な隠し事をしてるんじゃないのか?」
「してないです!ただの、自己管理ができない醜い豚なんです!ほら、この二の腕も、太ももも、全部だらしない脂肪の塊でしょ!?」
「……わかった、もういい。興奮するな、息が上がってるぞ」
「はぁっ……はぁっ……信じて、ください……」
「わかったよ。だがな、お前のその体、もう自力で痩せられるレベルじゃない。休業が明けたら、強制的に医療機関の肥満外来に入れるからな」
「はい……なんでも、します。だから今は、ただ休ませてください」
マネージャーの鋭い指摘に、美波の心臓は破裂しそうなほどに早鐘を打っていた。あと少し。あと数日誤魔化し通せば、このお腹の命を無事に産み落とすことができる。
その日の深夜、陣痛の兆候を感じた美波は、人目を避けてジャンボタクシーを呼び、産婦人科へと駆け込んだ。車椅子に乗せられて診察室に入ると、担当医は青ざめた顔で立ち上がった。
「美波さん……!体重が105キロを超えています!血圧も上が180、完全に危険水域です!」
「先生……お腹が、痛くて……っ、はぁっ、はぁっ!」
「陣痛が始まっていますね。ですが、この過度な肥満状態での自然分娩は絶対に不可能です。産道に脂肪がつきすぎていて、赤ちゃんが降りてこられません!」
「赤ちゃん……助けて、ください……っ」
「今すぐ緊急帝王切開の準備をします。ですが、これほど分厚い皮下脂肪があると、麻酔の針が届きにくく、切開した傷口が癒着するリスクも跳ね上がります。最悪の事態も覚悟してください」
「私に……どんなバツが下ってもいい。私が醜く太ったのは、この子を、世間の目から守るためだったから……っ」
「……とにかく、全力を尽くします。深呼吸して!」
「はぁっ……はぁっ……!痛っ……あぁっ!」
「ストレッチャーに乗せ替えます!急いで!」
手術室へと運ばれるストレッチャーの上、美波の視界は痛みと熱でぐにゃぐにゃと歪んでいた。天井の蛍光灯が流れていく中、彼女は自分の巨大なお腹を両手でしっかりと抱きしめた。
極限まで太り、醜く膨れ上がったこの肉体は、全てはこの小さな命を守り抜くための分厚い鎧だった。
もう、何も隠す必要はない。
「絶対に……産むから……っ!」
巨大な脂肪の山の下で、新しい命が力強く脈打っていた。
身長:158.0cm / 体重:105.5kg(前月比 +17.5kg)
BMI:42.3(超高度肥満・生命の危機)
B:128 (Jカップ) / W:125 / H:138
無影灯の眩しい光の中、産院の分娩室に元気な産声が響き渡った。
100キロを超える極限の肥満体での帝王切開は難航を極めた。分厚い黄色い皮下脂肪の層を何十センチもかき分けなければ子宮に到達できず、医師たちも冷や汗を流すほどの危険な大手術となったが、その醜くも分厚い脂肪の鎧に守られていた小さな命は、無事にこの世界へと取り出された。
麻酔から覚めた美波が最初にしたことは、中身が空っぽになったはずの自分のお腹を撫でることだった。
しかし、そこにあったのは以前のような平坦な腹部ではない。極限まで引き伸ばされた皮膚と、暴飲暴食によって蓄積された数十キロの純粋な脂肪が、まるで空気が半分抜けた巨大な水風船のように、ベッドの上にスライム状に広がって無惨な姿を晒していた。指でつかむと、ズブズブとどこまでも沈み込んでいくような、だらしなく柔らかい巨大な肉の塊だった。
「……産まれたんだ。無事に……」
涙を流しながら喜んだのも束の間。休業から半年後、母体へのダメージが癒え始めた頃から、美波の血の滲むような地獄のダイエットが幕を開けた。
食事は味の一切しないパサパサの鶏のササミと、ドレッシング抜きの温野菜のみ。かつてピザのLサイズを何枚も飲み込み、巨大な胃袋へと拡張しきっていた彼女の身体は、猛烈な飢餓感に狂いそうになっていた。深夜になるとお腹の虫がグーグーと鳴り響き、食べ物の幻覚を見るほどだった。
さらに過酷だったのは運動だ。砕けそうな膝の関節をかばうため、人目を避けて通った市民プールのマタニティ用ウォーキングコース。特注で作らせた8Lサイズの巨大な水着に、はち切れんばかりの全身の肉を無理やり押し込んでプールに入る。
「よいしょ……っ、はぁっ、はぁっ……!」
水の中であっても、105キロという圧倒的な質量の肉体を引きずるのは地獄だった。
一歩足を踏み出すたびに、股擦れで爛れた丸太のような太ももが激しく擦れ合い、ブルンッ、ブルンッ!と巨大な肉の波がうねる。水着の生地から無惨にはみ出した背中や腰の三段腹が、歩く振動に合わせてドプン、ドプンと重苦しく揺れ動いた。かつてスイカのように張り裂けそうだった巨大な胸は、授乳と急激な体重減少の影響で張りを失い始めていたが、それでも凄まじい重量を持ってだらんと垂れ下がり、水面をバチャバチャと波立たせた。
「絶対に、痩せる……!もう一度、あのキラキラしたステージに……っ」
しかし、短期間で極限まで太りすぎた代償は、彼女の想像を絶するものだった。
過酷なカロリー制限と有酸素運動で体重計の数値こそ少しずつ落ちていったものの、基礎代謝は最悪な状態まで落ち込んでおり、何より風船の空気を抜いたようにたるみきった皮膚と頑固な皮下脂肪は、元の形に戻ることを拒絶していた。
血を吐くような努力の末、105キロあった体重をなんとか60キロ台前半まで落とした。しかし、そこから体重はピタリと落ちなくなった。完全に停滞期、いや、彼女の限界だったのだ。
鏡の前に立つ。そこにいるのは、かつての「折れそうなほど華奢なトップアイドル」ではない。
お腹周りの分厚い脂肪は頑固に居座り続け、ズボンの上に乗っかる分厚い「浮き輪肉」は、どれだけ運動しても消えない。太ももは指でつまめばブルブルとだらしなく震え、二の腕には振袖のようなたるんだ肉が垂れ下がっている。全体的にむっちりとした、「生活感に溢れたおばさん体型」という中途半端で醜い状態で、彼女の肉体は固定されてしまったのだ。
それでも、美波はアイドル活動への復帰を強行した。
しかし、待っていた現実はあまりにも残酷だった。
「それでは次の曲、センターの涼香ちゃん、お願いします!」
かつて美波が立っていた一番輝く場所には、後輩の涼香が立っていた。美波の現在の立ち位置は、一番後ろの列の、さらに一番端の目立たないポジション。
(……息が、苦しい……っ。体が、重いよぉ……っ)
復帰のために新調された衣装は、62キロのむっちりとした身体にはまだひどく窮屈だった。コルセットで無理やりたるんだ巨大な三段腹と腰回りの脂肪を押し込んでいるため、息をするのも苦しい。寄せて上げたFカップの重い胸は、ステップを踏むたびにドスッ、ドスッと鈍い音を立ててブルンブルンと無様に揺れ狂い、ワイヤーが肉に食い込んで激痛が走る。
ターンをするたびに、コルセットから逃げ出した背中の肉や下腹部の脂肪が、衣装の布地を内側から押し返すようにボヨンッ!とだらしなく波打つのが自分でもはっきりとわかった。少し踊っただけで、周りの若いメンバーは涼しい顔をしているのに、美波一人だけが豚のように鼻息を荒くし、滝のような汗を流して顔をドロドロにしていた。
観客席を見渡しても、美波のイメージカラーのサイリウムは数えるほどしかない。
休業前からのファンは完全に離れてしまっており、復帰後の握手会でも彼女のレーンだけが不自然に空っぽだった。
「美波ちゃん、やっぱり昔みたいには戻れないんだね。お肉揺れてるよ」
「なんか、完全に生活感出ちゃったっていうか……ダンスも重いし、おばさんだよね」
直接耳に届く心ない声。屈辱と焦燥感で、美波の心はどす黒く塗りつぶされていった。
その日の深夜。
暗い自宅の部屋で、ベビーベッドからは夜泣きをする赤ん坊の甲高い声が響き渡っている。
「……もう、泣かないでよ……っ。私だって、疲れてるのに……っ!」
フラフラと立ち上がり、ミルクを作ろうとした美波の視界がぐらりと揺れた。
いくら運動しても燃えない分厚い脂肪、かつての輝きを取り戻せないアイドル活動への絶望、そして24時間休みなしで続く育児の疲労と孤独感。
張り詰めていた理性の糸が、ブツンッ、と音を立てて千切れた。
気づけば、彼女はスマートフォンのデリバリーアプリを開き、無意識のうちに大量のジャンクフードを注文していた。
30分後、テーブルの上にはLサイズの照り焼きマヨネーズピザ、特大サイズのフライドポテト、ファミリーサイズのチキンナゲット、そして2リットルのコーラが並べられた。
「ダメ……食べちゃダメ……。また、あの醜くて身動きが取れない、ただの肉の塊に戻っちゃう……っ」
頭ではわかっている。あんな地獄のようなダイエットを乗り越えて、ようやく人前に出られるサイズになったのに。今これを食べれば全てが水の泡になる。
しかし、震える手は魅入られたように、熱々のピザのピースを掴んでいた。
「……あむっ」
濃厚なチーズとマヨネーズの強烈な脂が、舌の上で爆発した。
「……っ!おいし……い……」
長期間の過酷な糖質制限とカロリー制限で飢餓状態にあった脳が、凄まじい快楽物質を分泌する。理性が完全に吹き飛んだ。美波は獣のようにピザに食らいついた。コーラで流し込み、脂でギトギトになった手でフライドポテトを鷲掴みにして口にねじ込む。
「あはは……美味しい……っ、あっ、もっと……っ」
咀嚼するたびに、顎の下についた二重顎の肉がタプタプと揺れる。
食べ物を胃袋に詰め込むたび、コルセットから解放されたたるんだ下腹部が、熱を持ってぽっこりと前へ突き出していくのがわかる。極限までしぼんでいた脂肪細胞たちが、歓喜の声を上げて脂質と糖分をスポンジのように吸収し、再び内側から膨張していくような恐ろしい錯覚に陥った。
「もう、どうでもいい……っ。センターなんていらない。痩せるのなんて、息苦しいだけだ……っ!」
唐揚げを貪り食いながら、美波はだらしなく弛んだ自分のお腹の肉を両手でギュッと掴んだ。指の間にムニッと溢れ出す、柔らかくて温かい、圧倒的な脂肪の淫靡な感触。掴んだ肉を上下に揺らすと、ブルンッ、ブルンッ!と凄まじい質量を伴って波打つ。
それは、誰にも言えない秘密を抱え込み、過酷な日々を生き抜くための、彼女にとって唯一の「安心できる鎧」だったのだ。
「ふふ……あははっ!もっと、もっとお肉つけなきゃ……。足りない、全然足りないよぉ……っ」
赤ん坊の泣き声が響く部屋の中、彼女は涙を流しながら、狂ったように笑い、カロリーの山を胃袋へと詰め込み続けた。
パンパンに膨れ上がった胃が、休火山だった脂肪たちを再び目覚めさせる。一度味わってしまった「限界まで肥え太る快感と、脂肪に包まれる安心感」から、彼女が逃れられる日は、もう二度と来ないのかもしれない。
身長:158.0cm / 体重:62.0kg(前月比 +4.0kg、ピーク時より -43.5kg)
BMI:24.8(普通体重・上限ギリギリ)
B:95 (Fカップ) / W:78 / H:95