小説 【入れ替わり・幼馴染】① (Pixiv Fanbox)
Published:
2025-08-11 08:17:22
Imported:
2026-06
Content
性別交換、しますか?『入れ替わり×幼馴染』
-あらすじ-
幼馴染の男女が入れ替わった瞬間から、日常は一変する——。
慣れない体を意識すればするほど、胸の奥がざわめき、自分の異性の肉体に視線が吸い寄せられる。指先が触れた肌の温度……それはもう、幼馴染の男女の友達の距離じゃいられない。
笑いと動揺の中で、心と身体が少しずつ近づいていく一日限りの青春入れ替わりエロコメディ。
-登場人物-
・冨永 蓮 (とみなが れん)
性別:男
年齢:20歳
職業:大学生
(経済学部・2年生)
・橘 美咲 (たちばな みさき)
性別:女
年齢:21歳
職業:大学生
(経済学部・2年生)
・相沢 悠斗 (あいざわ ゆうと)
性別:男
年齢:21歳
職業:大学生
(経済学部・2年生)
・稗田 舞子 (ひえだ まいこ)
性別:女
年齢:20歳
職業:大学生
(経営学部・2年生)
-目次-
1.そんな薬、あるわけ――
2. この体のまま、授業出るの!?
3. ナンパとオカマ口調
1.そんな薬、あるわけ――
とある日の午前、とある大学のキャンパス8号館の裏手にある静かなベンチ。
いつものように、冨永蓮(とみなが れん)と橘美咲(たちばな みさき)は他愛のない言い合いをしていた。
「だから言ってんじゃん。男子の方が絶対楽だって。暑くてもタンクトップ一枚で済むし、夜でも堂々と出歩ける。生理もない。得すぎでしょ!?」
そう吐き捨てたのは橘美咲。サバサバした性格で、口数が多いわけじゃないが、昔からの幼馴染の蓮に対しては遠慮なく物を言う。
「いやいやいや、女子の方が得だろ!?服のバリエーション多いし、SNSとかちょっと盛れればすぐ“いいね”つくし。あと、奢られるじゃん!?俺ら男子、基本ずっと損じゃん!?」
「はぁ?誰が奢ってもらってんのよ!?奢られた記憶なんて、ないけど!?」
「ウソつけ、前にテニサーの男子に焼き肉奢られてたじゃん!!」
「それは私が“かわいかった”んじゃなくて、男側が勝手に舞い上がってただけでしょ!?」
「でも、結果として奢られてるよね!?やっぱ得じゃん!!」
「あーもう!!お互いの体入れ替えれたらいいのに!!そんで、どっちがホントに得か体験してみなさいよ!!でも、そんなのできるわけないでしょ!?」
そう言った瞬間、美咲は自分の言葉にハッとした顔をして、バッグの中をごそごそと探り出した。
「あ、そういえば!!……入れ替われるかも…!!私と蓮の体交換できるかも!?」
「ん?どう言うこと?」
小さな透明のプラスチックケース。密閉されたその中には銀色の小さな錠剤が2粒だけ、吸湿防止剤とともに入っていた。
「これ、入れ替わり薬!!ホントに効くかは知らないけど、岡本先輩にもらったの!!。1人1錠。服用した瞬間から効果がでて、24時間後に自動的に戻るんだって!!」
「……は?ウソだろ。なんだよそれ。ドッキリ?」
「私だって信じてないわよ。でも、どうせなら一回やってみる?まあどうせ効かないと思うけど。あんたが女の“楽”さを知るチャンスよ?」
そう言いながら、美咲はひとつを指でつまみ、口に放り込んで、水筒の水でごくりと飲み込んだ。
「うわ、ほんとに飲んだ……」
「ふん、どうせ何も起きないわよ。私もバカバカしいと思ってるし――」
そう言いかけた瞬間だった。
美咲の身体がぐらりと揺れた。
「え、ちょ……な、にこれ……?え?ちょ、ちょっと、あれ……視界が……っ」
一瞬、世界が光に包まれる。耳鳴り。めまい。心臓の鼓動がどこか“別の場所”から聞こえてくるような、奇妙な感覚。
一方、蓮。
彼も少し遅れて薬を飲んでいた。
「ま、まじかよ…まぁ、どうせ効かないだろうけど。なんか美咲が飲んだら俺も飲まないとダサいしな……」
ペットボトルの水を開けてそれを飲んだ。
ごくり、と喉を鳴らす。
……次の瞬間。
蓮の目線が、急激に低くなった。
頬にかかる柔らかな髪。胸元にふわりと感じる不自然な重み。太ももが妙に柔らかくて、軽い。
横から自分(蓮の肉体)の声が聞こえた…
「きゃっ――!?なに、なにこれぇっ!?え!?うそ!?声、低っ!?」
目を見開いたのは――蓮の体に入った美咲だった。
立ち上がって、自分の手を見る。節が太く、筋っぽい男の手。太ももは硬くて、ごつごつしてる。息を呑んで、手元にある美咲の可愛らしいカバンを漁り、手鏡を持ち顔を映した。
「うそ……ちょっ、え、マジで蓮!?私……私、えっ、嘘でしょ……!?」
情けないほどに裏返った、オカマのような叫び声が空に響いた。
⸻
その横から聞き覚えのある、自分(美咲)の声が聞こえた…
「っ……え、なにこれ。ちょ、ちょっと待って……!?」
鏡を探す必要もなかった。すぐそこにいた“自分”――つまり、美咲の中身が入った蓮が、混乱した目でこちらを見つめていた。
そして――
「うっそ……やっば……マジで美咲の体じゃん……!?」
自分の手を胸に当てる。跳ね返すような弾力。脈打つ心音が、胸の奥に広がってくる。
「へへっ……すげぇ……これは……やばい……♡」
美咲(精神は蓮)は思わず鼻の下を伸ばし、にやけた顔を隠せなかった。
「これが……女子の体か……!ていうか、美咲の体か……!おいおい、これ、やば……!♡」
思わず口元を覆うが、唇が小さくて柔らかく、指先が細い。
心の奥でわき上がる、ぞくっとするような興奮――。
その顔を見て、蓮(精神は美咲)は顔をしかめた。
「勝手に体をあちこち触らないでよ!!てかあんた、なんか変なこと考えてないでしょうね!?」
「いやいや!違う違う!ただ感動してるだけ!♡」
「……鼻の下、すごい伸びてるよ!?」
「は、はぁ!?伸びてねぇよ……♡」
2.この体のまま、授業出るの!?
蓮(精神は美咲)は、自分の腕にまいてある男性が好みそうなゴツい腕時計を見て思わず呻いた。
「……うわ、ヤバ……一限、あと10分で始まる……!」
「やば!!今日、講義ある日だったよな!?何の講義だっけ?」
「マクロ経済学!!一限。あんたも私も、同じやつ!!」
「え、待って、今日マクロ……?あ、それってさ、二限、体育実技の水泳じゃなかったっけ?♡」
その瞬間だった。
「……っっっいゃああああああああああああ!?!?」
蓮(精神は美咲)が、まさに“おかま”のような裏返った絶叫を上げた。
「なに!?どした!?」
「水泳ってことは……つまり、蓮のこの体で、男の更衣室で、男の水着着て……泳ぐの……!?やだやだやだ!無理無理無理!!」
バタバタと足をじたばたさせ、髪の毛(いつもより短い)をぐしゃぐしゃにかき乱す蓮(精神は美咲)。普段は冷静で理知的な彼女が、完全にパニック状態だ。
一方、美咲(精神は蓮)はというと――
「うぉ♡って言うことは…俺は女子更衣室ってこと?♡水着……女子のスクール水着……♡俺が着ていいってこと……?♡」
呆れるほど鼻の下が伸びていた。
「だ、だめだからねっ!?へんなこと、絶対、絶対しないでよ!!それに、私の顔で鼻の下伸ばさないでってば!!」
「の、伸ばしてねぇよ……♡」
「うぅ…でも体育実技の授業、出席足りてないの……出ないと単位ヤバいのよ……だから、仕方なく許可するけど、変なとこ絶対触るな!!絶対鏡見るな!絶対視線を動かすな!!で、無になって出席しろっ!!」
「いや、視線動かさないは無理でしょ♡目って動くもんだし……♡」
「変なとこ見たら◯すから!?」
「はいはい♡」
怒ると怖い美咲の気配は、たとえ蓮の体に入っていようと健在だった。
⸻
とりあえず、一限には出なければならない。
二人はやむなく、入れ替わったまま教室に向かった。
蓮(精神は美咲)は、自分の足が長くて速く歩けることに少し驚きながらも、歩くたびに揺れる股にある男性特有の“存在感”が気になって仕方がなかった。
「な、なにこれ……普通に歩くだけで……こう、存在を感じるっていうか……不安定っていうか……これ、男子ってずっとこうなの……!?」
それを背後で聞いていた美咲(精神は蓮)は、にやけ顔。
「俺はこっちの美沙の体、めっちゃ快適♡股になにもついてなくて歩きやすいし♡おっぱいってほんとにあるんだなって実感できるし♡歩くと揺れるし♡あ、美咲、もしかして今日、勝負下着?♡歩いてる感じだと、パンティの面積少ないやつ履いてるよな…♡」
「◯すぞ」
「いや〜ん♡蓮くん怖ぁい♡」
⸻
やがて、教室の前に着いた。
入れ替わった二人が、どちらもぎこちない動きで席につく。友人たちが軽く会釈するも、美咲(精神は蓮)は慌てて小さく会釈を返しながら、口を開かないよう気をつけていた。
(声が出たらバレる……マジで……緊張する……♡)
一方、蓮(精神は美咲)は、教科書を開きながら腕の筋の太さを見つめていた。
(……ほんとに……私、男の体になってるんだ……最悪…早く元に戻りたい…)
心の奥で、戸惑いがまだざわついていた。
でも、講義は待ってくれない。
しかも、この講義の後には――体育実技(水泳)という試練が待ち受けている。
3.ナンパとオカマ口調
午前9時10分――。
マクロ経済学の講義が始まって、すでに10分が過ぎていた。
静かな教室に、教授の低い声が響く。
「それでは、GDPの定義から確認しましょう……国内総生産は、一定期間内に国内で生産されたすべての最終財・サービスの……」
美咲(精神は蓮)は、興奮していた。
(やば…♡美咲の女の体で講義受けるの緊張する…♡てか、周りの男達、チラチラと俺のこと見過ぎだろ…♡)
自分の体に向けられていた視線が、今は「美咲の姿」に向いている。その意味が、蓮にはひしひしと実感として伝わってきていた。
胸があるだけで、どうしてこうも目立つんだ……?揺れてないか?大丈夫か?おかしくないよな…?♡
一方、蓮(精神は美咲)は、腕組みしながら教授の言葉を黙って聞いていた。いつもと違ってガタイの良い自分の体が、教室でやけに「空気のような存在」になっていることに、内心ほっとしていた。
(なんか、意外といつもより視線を感じないわね……)
そこまで思ったところで、教室の後ろの扉が「ガラッ」と開いた。
「うぃーっす、遅れましたぁー!」
ドスドスと入ってきたのは、二人と同じ学部の同じ学年の男子生徒、相沢悠斗(あいざわ ゆうと)だった。
チャラい雰囲気に金髪のマッシュ。女好きで、蓮とも仲が良く、美咲にもよく声をかけているチャラ男だった。
悠斗は二人を見つけるや否や、二人の席の横に向かってきて、椅子に腰掛けた。
「お、美咲ちゃ~ん!♡今日もいい感じに可愛いなぁ~♡」
(うっわ、出た……!)
美咲(精神は蓮)は顔を引きつらせた。席の横の悠斗の視線が、あからさまに胸元を泳いでいるのがわかった。
(え……なにこれ、こいつ、毎回こんな目で美咲を見てたの……?)
悠斗は当然のように、美咲(精神は蓮)にヒソヒソ声で耳元に囁いた。
「なあ、今日このあと暇?一緒にカフェでも行かね?♡」
耳元で同性の男から囁かれて、美咲(精神は蓮)はゾッとした…。
「…………」
返事をどうして返したらいいのか、わからない。
そのとき、蓮(精神は美咲)が、横の席から声を上げた。
「あらやだ、アンタ。うちの“親友”に何してくれちゃってんのよぉ~?♡」
蓮(精神は美咲)は元の自分の体がナンパされてるのを止めるために、二人の会話に割って入った…しかし、蓮(精神は美咲)もテンパっていて、女口調で話してしまった…。
「えっ……?」
悠斗が奥を見た瞬間――
がっしりした蓮の体で、頬杖をつきながら“オカマっぽい”仕草でウィンクする、蓮(精神は美咲)の姿があった。
「……えっ、蓮?お前、どうしたん?キモ…」
「だっ、誰がキモいのよ!!ちょぉ~っとだけ、アタシ、イメチェンしてみたの♡ それよりぃ、女の子にちょっかい出すのはダメよぉ?♡」
蓮(精神は美咲)が、冗談めかして指を振る。自分の体を悠斗から守るために、咄嗟にオカマのような仕草をとってしまった。
悠斗と美咲(精神は蓮)はしばらくポカンと見ていたが、やがて気まずそうに笑った。
「あ、そ、そういうノリか。びっくりしたわ……てか、そっち系じゃねぇよな…?」
(お、おい!!ちょっと美咲!?何してんだよ俺の体でオカマ口調とか……!!周りに何人か友達もいるのに…そっち系って思われたらどうするんだよ!?)
美咲(精神は蓮)は思わず足を伸ばして机の下で蓮(精神は美咲)の足を強く蹴った。
「きゃっ!?な、何よっ!?」
「静かにしなさい」
教授の声がピシャリと飛んできて、全員が姿勢を正す。
(くそっ……教授が怒ったらこっちにみんな注目するだろ…!?なんだよ…あのオカマ口調…周りのやつに絶対そっち系って思われたじゃないかよ…)
美咲(精神は蓮)は心の中で頭を抱えながらも、二人はなんとかその場を切り抜けた。
講義はそのまま進んでいく。
GDP、三面等価、名目と実質……頭には入らない内容が黒板に次々と書き込まれていくが、蓮(精神は美咲)の頭の中は、
「水泳の授業どうしよう……」
という言葉でいっぱいだった。
逆に美咲(精神は蓮)の方は次の体育実技の講義に期待に胸を躍らせていた…。
-続く-