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 その日、僕はアラームが鳴る前に目を醒ました。

 ほとんど眠れないまま朝を迎えていた。重い頭痛がする。だけど同時に、何か胸の支えが取れたような、なぜかそんな気持ちがしていた。

 眠気はなかった。

 僕はどこか浮ついた気持ちのまま、登校して授業をやり過ごし、放課後を迎えた。

 少し遅れて生徒指導室に顔を出した松原先生は、僕を見るなり顔をしかめた。

「大丈夫か? 少し顔色が悪いぞ」

「昨日はよく眠れなかったんです」

 僕は正直に言った。松原先生は僕のことを心配している様子だった。ありがたいと思ったが、正直言って今はそんなことどうでもよかった。

「今日は、先生に話したいことがあるってお願いしていたと思うんですが」

 僕がそう切り出すと、先生は頷く。

「何の相談なんだ?」

「長くなるかもしれません。部活はもう大丈夫ですか?」

「今日は、もう特に俺が構う必要のないように言っておいたから、気にしなくていいよ」

 松原先生は僕を安心させるように少し笑ってみせた。

 

「じゃあ、まず扉に鍵をかけてもらえますか?」

 座ろうと椅子に手をかけた先生の行動を遮るように僕は言った。

「分かった」

 先生は指示に従い、生徒指導室の出入り口である扉に鍵をかける。カチリ、と鍵のかかる音を聞いて僕は続けざまにお願いする。

「窓にカーテンもお願いします。外から見えないように」

「分かった」

 松原先生は、極めて従順に僕の指示に従った。

 

 生徒指導室の出入り口は一つ。教室などとは違い、扉にはめてある窓には中が覗けないように布が固定されている。音も漏れにくい構造になっている。プライバシー保護のためだろう

 外に面する壁側の窓は一つ。松原先生は言われた通りに、白いカーテンをかけ、隙間から中が見えないようにしっかり確認しているようだった。

 それが終わると松原先生は指示を仰ぐように僕の顔を見た。

「そこに立ってください」

 僕は指で示し、松原先生にあらかじめ考えておいた立ち位置を指定した。

「ここに立てばいいのか?」

 立つ、という指示に、松原先生は少し不思議そうな顔をしながら従っていた。

 そこは出入り口から死角になる場所だった。万が一、はめ込みの窓にかけられている布がはがれて、そこから覗き込まれたとしても外からは見えないだろう。

 松原先生はグレーのTシャツに、蛍光色のラインが入ったハーフパンツを履いている。筋肉の凹凸は、シャツの上からでも分かる。ゴリゴリのマッチョ、とまではいかないけれど、腕や太腿なんかは結構太くて、やはり運動部の顧問をするだけあって、それなりに身体を鍛えているように見える。普段からヤンチャな子供を相手にするのだから、体力もあるのだと思う。きっと同世代の男性と比較しても、平均以上の身体能力はあるんじゃないかと思う。これには少し僕の希望も入っているけれど。

 そんな逞しい松原先生をスマートフォンの液晶越しに観察する。先生は身体ごとすっぼりスマートフォンの液晶の中に収まっていて、顔だって決して悪いわけではないから、なんだか何かの動画を再生しているような錯覚に陥ってしまいそうだった。

 先生はいつもと何も変わらない。

「それで、次はどうすればいいんだ?」

 松原先生は言った。

 僕は、スマートフォンのカメラを松原先生に向けた。

*

 暗い部屋の中で、スマートフォンの明かりだけが灯っている。

 深夜。動画は再生される。

 見慣れた生徒指導室に立っている松原先生。全身が画面に収まっている。

 先生は真顔のままで、直立している。背筋を伸ばして、しっかり前を見ているがカメラを見ているというよりは、そのずっと先を見つめているようだった。

「松原和之、33歳です」

 教師らしくはっきり明瞭な発声。豊かな低音が発せられるたびに、喉仏が動く。

 松原先生はおもむろにハーフパンツを下ろして下着を晒した。特徴のない無地のボクサーブリーフ。触り心地の良さそうな質感の膨らみは、先生が男性であることをはっきり示している。先生は惜しげもなくそのボクサーブリーフすらも脱ぎ去った。

 ぶるんと剥き出しになった男性器。カメラはズームしてそれを生々しく映し出した。亀頭の半分くらい皮が被っている。先生の指はそれを摘み、強調して見せる。

「松原和之、33歳。仮性包茎です」

 しばらくカメラにアピールしたあと、先生は指先に力を入れた。

「露茎します」

 ゆっくりと皮が捲れ上がり、カリの部分までぶりんと露出する。肉厚なペニスが全貌を現す。しかし、先生が指を離すとそれは再び皮を被り始めて、もとの半被りの位置まで戻った。

 再び松原先生は自らのペニスを摘み、皮を剥く。カメラはゆっくりとズームアウトして、先生の全身を映し出した。松原先生は少し俯きながら自分のペニスを摘んで、それをカメラにアピールしている。先生の表情は至って大真面目だった。だから、間が抜けている。

 動画は一度、途切れる。すぐに続きが始まる。

 松原先生は全裸になっていた。頭のてっぺんから足のつま先まで一糸も纏わず、床に這いつくばり、片手で腕立て伏せをしている。足の指先と手の指先で全身の体重を支え、全身の筋肉がぐりんぐりんと膨れたり縮んだりしている。蒸気機関のように顔を赤くして湯気をあげながら、まるでそれが何か重大な使命であるかのように真剣な顔つきで松原先生は一心不乱に腕立て伏せを続ける。

 代謝のいい先生の身体は、みるみるうちに汗の粒を作って、それらは先生の皮膚を流れて、ポタポタと床に落ちた。

 蒸し暑い梅雨の季節。画面を見ているだけで、むせかえるような先生の体臭が溢れてくるような錯覚を起こさせる。それほどに先生はエネルギッシュだった。

「やめ」

 声がかかると、先生は身体をバネのように使って一気に立ち上がった。姿勢良く前を向いて、両指の一本一本までまっすぐ伸ばして揃えている。しかし、呼吸はまだ荒く、鼻の穴を広げ、胸を大きく弾ませながら肩で息を続けていた。

 静止した身体からは堰を切ったようにさらに汗が溢れ出していた。先生はTシャツを拾い上げると、汗だくのままそれを着始めた。シャツにはぐっしょりと汗染みが広がっていき、肌にべっとりと張り付いた。松原先生はさらにシャツの裾を掴むと、自分の身につけているシャツを使って顔についた汗を拭き取った。余すことなくシャツに汗を染み込ませようとしているかのようだった。実際、先生のシャツはほとんど乾いている箇所がないくらいに汗に塗れていた。

 次に松原先生は、自分のボクサーブリーフを拾い上げて、それを自らの顔に押し当てた。そして何度も深呼吸を繰り返し、何かを探すようにボクサーブリーフの生地が顔に当たる位置を少しずつずらしていく。ちょうど股間の位置に鼻が当たった瞬間に、先生の動きが止まる。

 カメラはゆっくりと松原先生の無防備に曝け出されている股間にズームし始める。先生のペニスは何に触れられているわけでもないというのに、ヒクヒクと反応しているようだった。そして膨らみ始めたかと思うと、亀頭を半分ほど覆っていた皮はひとりでに捲れ上がり始めて、ぶるんと露茎した。先程、先生が自分自身で剥いた時よりもずっと大きくなったペニスは、むくむくと角度を変えて、びたんと先生の腹に当たった。

「松原和之、33歳。自分のチンポの匂いで完全に勃起しました」

 ゆっくりとカメラは上へ向かって移動していき、先生の顔を写した。腕立て伏せをしていたときのように先生の顔は赤く、肩をいからせながら、その表情はいたって真剣そのもだ。そしてゆっくりズームアウトしていく。松原先生が、自分自身の下着を嗅ぎながら興奮する姿を、カメラは写し続けていた。

 動画を少し先に進める。

 先生は、椅子に腰を下ろしている。

「こんなので良かったのか?」

 そう言ってカメラに向かって笑いかけながら、汗ばんだ身体をタオルで拭いている。汗ばんだ脚を拭き、太ももを拭く。男らしく大きく開いた股。そして男らしくそそり立った性器。

 曝け出された性器は、穏やかな表情を浮かべる松原先生とは裏腹に、その凶悪なシルエットをこれでもかと主張していた。重量感のある陰嚢は、先生の腰掛けている木製の椅子の上にぺっとり張り付くように乗っかっていて、まるで生き物のように時折蠢いているようだった。

 亀頭の先、鈴口からは透明なカウパー腺液が糸を引いていた。

 松原先生は指先でその粘液を絡め取ると、慣れた手つきで亀頭全体に広げて伸ばした。その指の動きに合わせて、先生の目が少し細められる。そして小さく唇を開き、ふーっと長い息をゆっくりと吐き出している。

 ゆっくりと指を前後させ、ペニスを扱き始めると松原先生は、乾いた唇をぺろりと舐めた。視線はまっすぐカメラに向けられている。

「全然役に立てなくてすまなかったな」

 ペニスを扱く手のスピードが次第に上がっていく。

「シコシコ」

 唐突に、松原先生は言った。

 一瞬、驚いたような表情を先生は見せる。先生の指先は、ペニスの皮をぐっと押し下げるように力を込めたまま止まっていた。ピンと直立したペニスの先からだらだらと我慢汁が溢れ出していていた。まるで今まで扱くために使ったエネルギーが、我慢汁に置き換わっているかのようだ。

「ん?」

 先生は、もう一方の手を使って我慢汁を掬い取ると、それを唇に近づけるとぺろりと舐めとった。

「シコシコ」

 再び松原先生は言った。

 言葉に合わせて、二回ペニスをストロークする。そして再び、ペニスの皮を押し下げるようにして指先は止まる。

 それから先生は堰を切ったように、シコシコ、シコシコと連呼し、その言葉に合わせてペニスを扱き始めた。目線はしっかりとカメラに向けたまま、シコシコ、シコシコ、眉間に皺を寄せ、唾を飛ばしながら。

 どんどん前のめりに、前傾姿勢になって、腰が浮き始める。

 青筋を立てて、何かに腹を立てているかのように、唇を突き出しながら、シコシコと連呼し続けて、最後に「チンポ!」と鋭く叫んだかと思うと、大きく指をストロークさせて、全身をこわばらせた。すると鈴口から勢いよく白く濁った精液が噴き上げ、松原先生は射精した。射精している最中、先生の手はペニスから離れて、陰嚢を握りしめていた。おかげでペニスは縦横無尽に跳ねながら精液を撒き散らすスプリンクラーだった。射精している最中もカメラから一度たりとも目を逸らさず、精液がどこに撒き散らされようとお構いなしだった。

 松原先生のペニスは射精してもなお、堅く勃起しており、時折ヒクヒクと釣竿のように上下していた。

 松原先生は唇を尖らせたまま、肩で大きく息をしていた。その姿は、普段の柔和な印象のある松原先生からは想像し難い。野性味があって、どこか男臭い感じがした。

Comments

mtosak

(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎

Sir.Cold

久しぶりの連載、ありがとうございます。 カメラを通じて動画を見ているような描写がおもしろいです!

Hypno

久しぶりです