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初めに

 こんにちは。えむとさです。


 最近、即興『警察官』という小説を書きました。

 この小説を書いたきっかけは、「小説を書くことが難しい」と言った友達の言葉がきっかけです。その友達に「簡単に小説を書く方法」を提案するために即興で書いたのが、あの小説なのです。

 もちろん小説を書いて見せた以外にも、小説の書き方について話をしました。

 そう。そんな話をしたばかりの状態の私は、折角なので2021年8月の時点の私自身が考える『簡単に小説を書く方法』をコラムとして書き残しておこうと思い、筆をとっています。


 まず前提として、ご存じの通り、私は決して文章がうまいわけではありません。

 正直、ちゃんとした小説を書けているかどうかも未だに疑問符が残るスキルレベルであると思います。そのため、偉そうに小説の書き方を語るなどというのはおこがましいにもほどがある話です。

小説の定義

 では、小説の書き方について、私が気持ちよく語ることができるように、まずは小説という言葉の定義から考えましょう。

 

 まず、このコラム上での「小説」というものの定義を、一般的な定義から、ずらします。小説という概念を再定義するということです。独自に「小説」という概念を私が再定義してしまえば、私が正解であり、神になります。

 そうすれば、誰に気兼ねすることなく自由に語ることができます。

 

 それでは、「小説」という言葉をどう再定義しましょう。

 私は、こう再定義します。

 

 "自分の妄想や願望を具現化した文字列"

 

 はい。

 ということで、小説を簡単に書く方法を一緒に考えていきましょう。

妄想と願望の具現化

 まず、小説を書こうと思っているということは妄想や願望を持っていることが大前提だと思います。

 しかし、それが詳細なイメージである必要はありません。例えば、私は「警察官とエッチなことをしたい」という大雑把な妄想を持っています。


 他にはどんな妄想や願望があるでしょう。

 「警察官は異常を異常と感じられず、僕の思い通りになる」

 「警察官の匂いを嗅ぎたい」

 「警察官に精液を飲ませたい」


 こんな風に列挙することはそこまで難しくないのではないでしょうか。

 ただ、欲張りすぎてはいけません。

 最初は、以下の2つ程度の願望に制限をかけておきましょう。

 「○○の身体を触りたい」

 「○○を射精させたい」


 この○○の部分を埋めればOK。

 

 ちなみに、もし1本小説が書けたのなら、さらに妄想と願望の数を増やしてみてください。それが増えれば増えるほど、小説を書く難易度が上昇します。

 逆に言えば、書くのが難しいときは減らせばいいのです。


 小説は人生に一度しか書けないわけではありません。

 一つの小説に願望を詰め込みすぎる必要はないのです。


 スーパーのレジ袋が3つあるのに、1つの袋に全ての商品を詰め込む必要がないように、言語化できた願望が余ったのならば、別の小説という袋の中に入れればいいだけなのです。思いついたらそれをその場で必ず使わなければならないというルールはありません。


 余分な妄想は、ジップロックに入れて冷蔵庫で保存しておきましょう。

最高の小説を諦める

 さあ、妄想が言語化できました。

 これをもとに、小説を書いてください。

 さあ、どうぞ! ご自由に!

 

 そういわれて、小説を書いたことがない方が思い浮かべる小説というものは、きっとすごく洗練されていて完成されたものだと思います。


 よく聞いてください。

 そこが一番のつまづきポイントです。


 結論から言うと、パーフェクトな小説を最初から生み出すことができません。

 絶対に。

 相当の才能の持ち主、または小説に近いものを書く訓練をした経験がない人には、妄想の具現化を、完全な形で達成することは、絶対に不可能です。


 いや、世の中に絶対はなんてありませんよね。

 ごく少ない確率で、それが生み出せる確率はあるかもしれません。

 それは「猿がタイプライターの鍵盤をいつまでもランダムに叩き続ければウィリアム・シェイクスピアの作品を打ち出す」レベルの確率だと思います。

 『無限の猿定理』ってやつですね。

 

 でも、私たちが小説を書くことに費やせる時間は有限です。

 そのため、最初から完全で最高の小説を書くことを目指すことは、きっぱり諦めましょう。

 

 私が、これを冗談を言っているのだと思って、笑っている人もいるかもしれませんが、私は本気です。そう、これはある種の妥協です。

 でも、この妥協を決断をできるかどうかが、一番最初の小説を書くことができるかどうかの大きな分岐点です。

 逆に言えば、この決断ができれば小説は書けます。

 だから諦めてください。


 いいな、諦めろ!

 分かったか!


 といっても、永遠に諦めろと言っているわけではありません。

 

 ドラクエでレベル上げをせずに、装備を整えずに、ボスを倒しに行く気ですか? と言っているわけです。最初の小説というのは、最初の街の周りにいるスライムと同じです。経験値を得るために設置されたエネミーです。チュートリアルです。

 倒しましょう。

 

 そんなことは嘘だ。

 だって、pixivに上がっている作者の1作目の小説は、すごく上手で完成されているじゃないか。

 

 そう思った方もいるかもしれません。

 ではあなたは、スライムを倒した瞬間をスクリーンショットに取ってSNSで公開しますか? 私はしません。大抵の人はそうだと思います。故にその1作目だとあなたが思っているその小説は、実はスライムとのレベル上げの果て、ボスと戦ったときのスクリーンショットに過ぎないのかもしれません。

 

 もちろん例外はあります。その人が天賦の才を持っていた場合です。

 つまり、レベル1の状態でボスを倒せるパラメータを持っていた。


 でもあなたには、そのパラメータはありませんよね。

 もちろん私にもなかった。

 だから、スライムを倒す必要があるのです。

小説の卵

 では、実際に私が書いた小説を披露します。

 

 私が先ほど挙げた妄想は、以下の4つです。

 「警察官とエッチなことをしたい」

 「警察官は異常を異常と感じられず、僕の思い通りになる」

 「警察官の匂いを嗅ぎたい」

 「精液を飲ませたい」

 

 これを小説にします。はい。


"

 男がいる。

 筋肉質な男がいる。

 彼は警察官だ。

 勤務中だ。

 

 僕は、彼に近づく。

 彼は、僕に気づかない。

 なぜなら、気づくことができないように、催眠術をかけたからだ。

 

 僕は、彼の匂いを嗅いだ。

 良い匂いがする。

 彼は仕事を続けている。

 彼のベルトを外した。

 ズボンを下ろす。

 パンツが見えるようになった。

 ボクサーブリーフだった。

 色は黒だった。

 少し膨らんでいる。

 触ると柔らかい。

 少し湿っている。

 ボクサーブリーフを脱がす。

 チンポが見える。

 彼は気づかずに仕事を続けている。

 僕は彼のチンポを握った。

 彼のチンポは勃起した。

 しばらくすると、彼は射精した。

 仕事中に射精した。

 その精液を彼に飲ませた。

 僕も射精した。

 その精液も彼に飲ませた。

 

 彼は警察官だ。

 終わり

"

 はい。


 え?

 こんなのは自分が書きたい小説じゃない?

 そう思った?


 だけど、試してみてください。

 書けるかどうか試してみてください。

 私と同じように、自分の妄想を、この低レベルな小説と同じように具現化してみてください。


 はたして、あなたはこのレベルの小説を書くことができますか?

 むしろ、この程度なら、書けそうな気がしてきませんか?

 

 先ほども言った通り、これはスライムです。

 レベル上げのためだけに存在するエネミーです。

 倒さなければ、次の敵は倒せない。

 試してみてください。

 

 私は4つの妄想を具現化させました。

 しかし、あなたは2つの妄想を具現化するだけでいい。

 それが難しければ、1つの妄想だけでもいい。

 とにかく最低限、文字に起こして具現化するのです。

 

 そうしてできた文字列は、紛れもなく小説です。

 そうすれば、あなたは小説を書くことができたことになります。

 おめでとうございます!

 

 あれ? 嬉しそうじゃないですね。

 これはやはり小説だと思えませんか?

 でも「妄想や願望を具現化した文字列」であることに間違いはありません。


 なぜ満足できないか。

 それは、この小説の情報量が、頭の中のイメージを表現するために必要な情報量に達していないからではないでしょうか。全然こんな情報量じゃ、自分の頭の中にあるイメージを誰にも伝えることができない。まるで初代プレステのカクカクしたポリゴンみたいだ!

 だから、小説だと思えないのだと思います。

 

 そこまでいうなら、少し定義を変えます。

 では、これは小説ではなく、小説の卵としましょう。

 間違いなく、あなたは小説を書けた。だけど、それは卵だった。

 そういうことにしましょう。

 

 では、卵の殻を破るにはどうしたらいいのでしょうか。

卵の殻を破る

 では、実際に卵の殻を破ってみましょう。

 生卵を割ってください。比喩ではなく、鶏卵です。

 さあ、生の鶏卵を割ってください。

 当然、今、あなたは鶏卵を手に持っていますよね?


 もし、持っていないのならば、割る必要はありません。

 むしろ割らないでください。これはたとえ話です。

 万が一、生卵を片手にこれを読んでいたとしたら、ごめんなさい。

 卵焼きを作って食べてください。

 

 何が言いたいかというと、あなたは今、小説の卵を持っていますか?

 実際に書いてみましたか?

 卵の殻を破るには、卵が必要です。卵がなければ卵の殻を破ることができない。

 そんなの言われなくても分かること。自明ですよね。

 

 卵を持たずに、このまま読み進めても卵の殻を破る方法は伝わらないでしょう。

 

 だから、あなたの手の中にはきっと小説の卵がある。

 卵を片手に、これを読んでいる。

 その前提で話を進めます。

 

 卵の殻の破り方は簡単です。

 なぜその小説が卵なのか。

 その理由は、前述したとおり情報量が足りないからです。

 だから情報を足していけばいいだけなのです。

 

 私は、例示した先ほどの「卵」に情報を足すことで、即興「警察官」を書きました。

 足し終わるまでに、約1時間ほどかかりました。


 即興『警察官』は、あなたにとって「小説」でしょうか?

 それとも、あなたにとっては、「小説のひよこ」に見えますか?

 どちらでも構いません。

 とにかく、あなたの手の中にある卵の殻を破りましょう。

 

 ”卵の『警察官』”と”即興『警察官』”との違いを見比べると何が違うでしょう。

 どんな情報が足されているでしょう。

 見比べてみてください。


 と、丸投げすることもできます。

 ですが、私は親切なので、自分で比較して列挙してみました。


 はい、どうぞ!

 

 ・季節、天候、気温についての詳細

 ・汗をかいているという警察官の状態

 ・僕が五感で得た情報の詳細

 ・呼吸が荒いという僕の状態

 ・僕の息が不快だという警察官の気持ち

 ・僕と警察官の周りの風景

 ・ズボンを降ろしたときの匂い

 ・ズボンを降ろされた警察官の気持ち

 ・ボクサーブリーフの匂い

 ・ボクサーブリーフを嗅がれているときの警察官の表情

 ・脱がしたボクサーブリーフを警察官にかぶせるという僕の行為

 ・ボクサーブリーフをかぶせられた警察官の気持ち

 ・警察官のチンポの詳細

 ・射精させるまでの僕の行動の過程

 ・チンポを刺激されている警察官の状態

 ・刺激されたチンポの反応

 ・チンポを刺激されているときの警察官の気持ち

 ・チンポを刺激されているときの警察官の表情

 ・チンポを刺激されているときの警察官の肉体に起こる変化

 ・僕が警察官のチンポをしゃぶるという行為

 ・警察官のチンポをしゃぶったときの僕の五感

 ・警察官のチンポをしゃぶったときの僕の気持ち

 ・チンポをしゃぶられている警察官の状態、気持ち、身体の動き

 ・射精したときの警察官の行動、言葉

 ・精液についての詳細

 ・警察官に精液を飲ませる直前の僕の視覚情報に基づく警察官の外見

 ・精液を飲まされている最中の警察官の表情の変化

 ・警察官の身体の中を流れる精液の動き

 ・飲み込まれた精液のその後についての僕の想像

 ・僕が射精するときの詳しい状況

 ・警察官の手のひらの見た目

 ・これまで起きた異常の総括、説明

 ・警察官と僕とのがキスするという行為

 ・警察官と僕とのがチンポを擦り合うという行為

 ・僕が感じた警察官の身体の大きさという外見

 ・警察官と僕との異常な会話

 ・別れ際に警察官に残った異常の痕跡

 ・警察官の手のひらに残った異常の痕跡

 ・警察官と握手するという僕の行為

 

 どうでしょうか! 分かりました?

 いや、ただ羅列されてもって?

 羅列されて、今からどうしたらいいのって?

 そう、思っちゃうー?


 じゃあ、もう少し整理しましょう。

 私が小説の卵の殻を破るために付け足した情報は、一見、無作為なようで、ある程度の分類ができることが分かります。

 羅列した情報の語尾に着目し絞り込んで再度、列挙して見ましょう。


 ・詳細

 ・状態

 ・気持ち

 ・風景

 ・匂い(五感)

 ・外見(表情、見た目)

 ・行為

 ・過程

 ・反応

 ・変化(動き)

 ・言葉

 ・想像

 ・痕跡

 

 つまり、これらの情報を足すことで、私は卵の殻を破ったということになります。


 私は、卵の殻を破るという行為を、ほぼ無意識的にやっています。

 でも、誰しもが最初から卵の殻を破れるわけではない。

 私が初めて卵の殻を破ったときも、どうして卵の殻を破れるようになったのか分からなかったくらい唐突なタイミングでした。

 だから、とにかく殻を破るということを試行し続けるしかないのです。


 殻が割れるまでには、色々なことを考える必要があるでしょう。

 どういう情報を付け足すと殻を破れるのか。

 卵の情報量を増やすには、何に着目するべきなのか。

 その答えを見つけ出すという意味では、私が列挙した情報は、あなたが卵の殻を破るためのちょっとしたヒントになるかもしれません。

 

 勘のいい方はお気づきかもしれませんが、こうすれば『卵の殻を必ず破ることができるようになる』という方法論を、私はそもそもこのコラムで語るつもりがありません。


 あ、殴らないで。やめて。


 ですが、『殻の破れた卵』と『殻の破れる前の卵』を比較することで、あなた自身が殻の破り方を見つける。それが一番の近道だと思っています。

 だって、あなたは『殻の破れた卵』をPixivで沢山見ることができても『殻の破れる前の卵』を見る機会は珍しいでしょ?

 それを比較してこうして分析する機会も、今まであんまりなかったでしょ?

 これって、それなりに有益な情報だと思うんだけど、どう?

自転車の漕ぎ方

 私が方法論を語らない理由。

 そしてあなたに卵を作るように促した理由。


 それは、小説を書くことが、自転車に乗ることと似ているからです。

 初めて自転車に乗ったときのことを覚えていますか?

 自転車に乗っているとき、理屈で操縦していますか?


 それと同じです。習うより慣れろです。

 だから、あなたには、卵を手に持ってこれを読んで欲しかった。


 自転車を感覚で操縦できるようになることが一番、最初のステップ。

 それが卵を作ること。そして卵の殻を破ること。

 

 確かに、小説の書き方というような方法論は、世の中に沢山出回っています。

 だけど、それは自転車に乗れるようになった後、必要になるテクニックだと私は思います。


 だって、自転車自体を感覚で操縦していたとしても、その時々で頭を使って判断しなければならない場面は沢山あるはず。

 ブレーキやギアチェンジ、角を曲がるときにその先に車はいないか。交通ルールを守っているか。無灯火運転をしていないか。歩行者はいないか。

 自転車に乗る上でも色々なことを気を付けると思います。

 つまりいわゆる小難しい小説のテクニックは、それと同じだと思うのです。

 

 小説を書きたいのになかなか小説が書けない人は、自転車のこぎ方がわからないまま、先に小難しいルールやテクニック、そういうことを考えすぎて、それに囚われてしまっている節があるのだと思います。私もそうでした。

 だから、一度、覚えた小説の書き方やルールなど全て忘れて、河川敷で自転車の練習をするように、何度も転びながら感覚を掴んでみるのはどうでしょう。


 私にとっては、それが小説の卵を作るということだと考えています。

 そして、その殻を破る。

 殻が破れたとき、あなたは既に自転車を一人で漕ぎ始めている。

黄色いひよこで溢れる道を一緒に

 卵の殻が破れたとき、できあがるのがひよこであっても、ニワトリであっても、それは小説に変わりはないと思います。いきなり立派なニワトリが生まれるかどうかは、きっと経験などの小説を書くスキルレベルをどの程度持っているかどうかに依存することだと思います。上達すると、きっとふわふわのニワトリが生まれることでしょう。


 もしニワトリを生みたかったのに、ひよこが生まれてガッカリしても大丈夫。

 卵の殻を破る方法と、ひよこをニワトリに育てる方法は同じです。

 足りないのは情報量。

 ひよこを育てる方法は、卵の殻を破るのと同じように情報量を足していくこと。それが基本のはず。

 

 時には、情報量を引くことでより良いニワトリになることもあるでしょう。

 ほかにもね、いろいろ小手先のテクニックはそりゃあるよ。

 でもね、そんなのずっと先の話だよ。


 自分のイメージが、その殻を破って具現化したときの喜び。楽しさ。

 それがきっと小説を書くことの醍醐味だと思う。

 イメージ通りに書けなかったとしても、それが形になって、確かに文字列として質量をもってそこに存在している。その喜びが、自信が、きっと次の卵を産み、次の卵の殻を破る力になる。

 

 だから、小説を書くことはとても簡単。

 でも、自分の書いた小説に満足できるようになるまではきっとすごく長い道のりなんだと思う。

 僕もまだその道の途中。

 もし小説を書いてみたいなら、その道を一緒に自転車で進んでみない?


 イメージの空を飛ぶニワトリを追いかけて、手のひらには卵を握りしめて。

 ピヨピヨと鳴く、黄色いひよこで溢れる道を一緒に。

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