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ロッカールームの照明が、

わたしのありのままの姿を照らし出す。


赤いハイレグTバックの生地の細さは、隠す気がまったくない。

それどころかいちばんデリケートなところに食い込んで、

動くたびに、見せたくない形まで露わにする。


胸には、白いカラーと蝶ネクタイ。

それ以外は全部、むき出し。

白い乳房も……その先まで。


「……こんな格好で働いてるなんて、いまだに信じられない」


家でエプロンして料理しているわたしと、鏡の中のわたし、

とても同一人物とは思えない。


でも——

あの人はこっちの——裏バニーのわたしも好きだって知ってる。


スマホを構えて、

胸を寄せるように肩をすぼめ、

脚を少し開いて——ぱしゃ。


画面を確認した瞬間、

内ももの付け根がじん、と熱くなる。

こんなの送られたら、ぜったい困るよね。


「……ふふ」


送信。

呼吸を止めたまま、画面を凝視する。


既読。

すぐに、いつものスタンプ。


【😉】


「はいはい、お仕事がんばってねー」


声に出した瞬間、

……なんだか、少し物足りなかった。


だから——


もう1枚。

さっきより、ほんの少し大胆に。

「これでどう?」なんて顔して。


送った、数秒後。


帰り、部署の連中と4人で行くから】

【予約よろしく】


「……え?」


息が止まった。


ただの冗談のつもりだったのに。

ちょっと困らせたかっただけなのに。


(なにそれ……

ほんとに来るの……?)


旦那が。

同僚を連れて。

この姿のわたしに会いに。


ひざが少し震えた。

胸に空気が入らない。

どうしよう。

なにそれ。


「……うっそ……」


笑ったのか、怯えたのか

自分でもよく分からない声が漏れる。


⸻


控え室を出る。

タバコの匂い。

店長の視線。


「あの……旦那が来るって……

同僚の方、三人連れて……四名で予約を……」


自分の声が震えているのが分かる。

隠そうとしても、隠す布がどこにもない。


店長はくすっと笑って、

少し顎を上げた。


「へぇ。

いいじゃない。旦那さん、見せたいんでしょ?裏バニー姿」


「ち……ちが……っ」


否定しかけて、飲み込む。

たしかに写真は送った。

わざわざ煽ったのはわたし。


店長はわたしの蝶ネクタイを

指先で軽く整えてくれた。


「じゃあVIPシート用意しないとね。

旦那さんに”特別サービス”していいよ。

人妻バニーさん♡」


「……はい……」


小さな声で答えた。


⸻


フロアへ続く通路で、ひとり。

笑い声、グラスの音、音楽。

いつもの夜なのに、

急に世界が大きく感じる。


(ほんとに……来るの?)


胸がむき出しのまま呼吸が浅い。

脚も落ち着かない。

この姿のわたしを、

旦那の同僚たちが値踏みする。


それを、旦那は

楽しみにしている…の?


「……もおー!」


でも、予約は完了している。

来る。

来て、

裏バニー姿のわたしを見る。


それがわかっているから、

怖いのに——

身体が熱い。


心臓の鼓動が、

足よりも先に前へ進んでいた。


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