君の視界で恋してる 前編 (Pixiv Fanbox)
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インスタント食品には保存料としてリン酸が多く含まれている。これがカルシウムの吸収を阻害するため、カップ麺ばかり食べていると骨がもろくなると言われる理由だ。骨の話となると、コーラも挙がげられる。骨がボロボロになるやら、虫歯になるやら一度は聞いたことがあるだろう。もちろん劇物ではなくあくまで飲料水の範囲なので、たまに飲むくらいであれば問題ないが、日常的に飲んでいると炭酸——つまり酸で歯がうっ蝕し、エナメル質が溶けていく。
何事も取りすぎは良くない。水だって飲み過ぎれば毒となる。
とは言え、インスタント食品は独身男性の生活には切っても切り離せない。
安いし、早いし、まあ、美味い。
朝はコーヒーとトースト、昼はコンビニ弁当、夜はお惣菜、売り切れの場合はインスタント食品。僕の日々の献立はこんな感じだ。
一度決めてしまえば、実に楽なものである。
人は一日に選択する回数に限りがある。だからこそ、仕組化。考えない仕組化。つまり習慣にするのが重要。
ルーティンは心の安寧をもたらしてくれる。僕みたいな壊滅的な食生活では身体の安全までは保障してくれないのが難点だが。
20時40分。残業もほどほどに退勤し、馴染みの店に向かう。馴染みと言っても、行きつけのバーや居酒屋と言うわけではない。
24時まで営業している、社会人に優しいスーパーだ。従業員からしたら堪ったもんではないのだろうけれど。
僕の実家には遅くても22時閉店のスーパーしかなかったので、コンビニ以外に深夜まで開いているここを見て最初は目を疑った。
駐輪場に自転車を停め、ライトを消し、来店する。
買うものは決まっている。この時間であれば、辛うじて残っているであろうそれを求め、お惣菜コーナーに向かったのだが。
「まじか……」
何も残っていない。半額の時間が早まったか? 一足遅かったか?
テーブルの上には所々茶色い衣が落ちている。さすがに揚げ物の残骸をレジに持っていくわけにはいかない。むしろ無料で持ち帰っても怒られないであろう。そんなことはしないが。
ここ最近ずっとこの調子である。つまり、連日残業をしていた。
仕事のことを思い出し、憂鬱になる。ダメだダメだ。賃金が発生しない時間に仕事のことを考えるのはバカバカしい。
ため息を吐いて気を紛らわせながら、僕はインスタント食品コーナーに向かった。
塞翁が馬、いつもより安売りしていたカップ麺をストック分も合わせてカゴに入れる。
レジに並ぶと、見慣れた顔を見つけた。長身で目を惹く美人な女性である。
下心があると言えば……あるが。仕事終わりの眼福。しかし、アプローチはしようと思わない。する勇気がないしな。
「こんばんは。またインスタントですか? ちゃんと食事した方がいいですよ?」
「惣菜が残っていれば、こんな目に遭わずに済んだんですけどね……」
「あぁ……それは残念ですね。ですが、そんなお客様にご朗報。このお店ではないのですが、こういったサービスをしているお弁当屋さんがあるんですけど、いかがですか?」
チラシを渡される。
弁当宅配サービス——隠間弁当。冷凍でどっさりと一気に来るタイプではなく、ちゃんとあたたかい食事を配達してくれるらしい。なんと時間指定もでき、7時から22時までの間であればいつでも届けてくれるという、某ネットショッピングも顔負けの配達時間の幅広さ。
客を他の店に渡すような真似をして大丈夫なのだろうか。
「じゃあ、明日にでも試してみます」
「午前便であれば、前日の18時まで。午後便であれば、前日24時までに注文してくださいね」
「了解です」
レジで会計を払い、カバンに詰める。
駐輪所で自転車のカギを外して跨った。
頼りない光の外灯と自転車のライトで仄かに明るくなった夜道を駆ける。スーパーから離れれば店の数は極端に減る。この時間も営業しているところなんてなおさらだ。
帰宅後、早速弁当配達サービスを試した。
和食洋食中華の代表みたいな料理は揃っており、値段も600円と安い。配達料金は月に500円かかるが、料理の値段が配送用の高単価になっていないのには驚いた。某ファストフードとかそう言ったサービスを経由して買おうとすると、平気で1000円超えてくるし。
とは言え、さすがに3食1週間ではそこそこの値段のため、平日の夜だけ注文。仕事を頑張った自分へのご褒美としてだ。
アレルギーや嫌いな食べ物、好きな食べものを入力し、僕の場合は前日24時までに食べたいものを注文すればOK。
栄えある第一回目はメンチカツ弁当を選択した。ハンバーグさえ作るのが面倒なのに、その上、揚げるなんては一人暮らしでは絶対しないからな。
翌日、いつも通り残業を終えた僕だが、気分は幾分良い。今夜の夜飯は既に決まっており、スーパーに行く手間がないのだ。
レジの女性をお目見えできないのは多少の痛手ではあるが、その欲求は休日にでも埋めればいい。
指定時間は21時。急いで帰れば、風呂も入れる余裕がある。
帰宅後、シャワーを浴びて身を清め、定刻を今か今かと待ちわびていた。
インターホンが鳴る。カメラを確認すると、女性が立っていた。
「……はい」
「隠間弁当です」
「今出ます」
ドアを開けると、白のTシャツに黒いエプロン姿の女性が僕を見下ろしていた。
でっっっっ……。
身長は180後半くらいある。このレベルの女性とは今まであったことがない。日本の女子バレー選手でも、ここまで長身はなかなかいないだろう。
背丈もさることながら胸もかなりデカい。軒下みたいに身体から飛び出したバストは丁度、僕の目線の高さで佇んでいるため、圧が凄い。女性の胸をジロジロ見るのはマナー違反だが、これは無理だ。むしろ逆。着衣爆乳に僕の顔をガン見されていると言っても過言ではない。視線を逸らしたら負けと、謎のヤンキー気質が湧き出し、微動だにせず僕は女性の胸にメンチ切った。その甲斐あって、この女性の名前を知ることができた。
『雨間(あまま)』
名札を胸に付けるの、やめて欲しいよな。名前覚えたいのに男性からは見にくい。読みにくいのではなく、視線をそこに持っていきにくい。胸を見ているなんて冤罪をかけられかねない。しかも、必然的に初対面とか知り合ってまだ日が浅かったりするので印象最悪になる。今の僕はがっつりと穴が空くくらい見ているので罪なわけだが。
「あ、失礼しました」
長身女性はそう言うと、腰を引き、姿勢を崩す。整った顔が眼前に現れ、たじろいでしまう。
要は僕のために、僕の顔の高さまで屈んでくれたのである。あるいは胸を視姦されていることに痺れを切らしたか。
一瞥されただけで甘えたくなるような柔和な顔つきに、柔らかそうに潤んだ官能的な唇。艶やかな顔に飲み込まれそうになり、さっと目を逸らす。
視線を逃がした先は更に魔性であった。
前屈みになったせいでTシャツの胸元の隙間から艶やかな中身が見えてしまった。ピンク色のデカブラによって支えられている大きなおっぱいと、なっがい谷間が。
こうなってくると逃げ場はない。僕はその場で目を閉じる。自分の瞼の裏に篭る。
会計は引き落としだから弁当を受け取るだけ。簡単なミッションがまさかここまで情欲を煽られる機会に発展するとは思わなかった。
「お弁当ありがとうございます」
目を閉じたまま両手を前に出し、手のひらを上にして受け取るポーズをする。
ここで僕はミスをする。視界が良好であれば、微調整ができたのに。
無意識に両手を差し出した時、その左右の間の幅は自身の身体の幅と同じようにならないだろうか?
受け取るのは弁当だ。サイズは小さすぎず、大きすぎず。水を掬う時のように両手をぴったりとくっつけたりしない。
手のひらに置かれたのは、およそ弁当の容器とは思えないほど柔らかく、ずっしりと重たいものであった。
さすがに異変を感じれば目を開ける。すると、僕の両手はあろうことか女性の着衣爆乳を持っていた。止まり木のように乗せられていた。
「え……あの……あれ」
弁当を受け取ろうとして、着衣爆乳を受け取るというわけのわからない状況に混乱する。
「手の幅がお弁当よりも大きかったので……」
だからと言って、豊満な胸を乗せる理由にはならないだろう。……嫌じゃなかったけれど。というか、いつまで乗せている——乗せてくださっているのでしょうか。
初揉み(揉んではない)がこんな日常生活で拝めることのないレベルの爆乳で、僕はこの先の人生の運を使い果たしたに違いない。
「それに、目を閉じたままなんて失礼ですよ。こちらメンチカツ弁当です」
「すみません」
……おっしゃる通りです。
女性は胸を退かすと、手提げ袋のまま弁当を差し出した。
「ありがとうございます」
「それは胸に触れたことに対してですか?」
「ち、違いま……いや、違くはないけれど」
「次回以降はちゃんと目を開けてくださいね。別に見たければ自由に見てもらって構いませんので」
「はい……すみません」
遠回しにお前に見られたところで何とも思わないと、男性としての自信を失いかける発言に傷つきつつも僕は部屋に戻った。
メインのオカズ、メンチカツがサニーレタス数枚の上に鎮座している。ソースはあらかじめかかっておらず、プラスチック製の小瓶が別途入っている。蓮根と人参の煮物、切り干し大根、小松菜と油揚げの煮びたし、そして肉と一緒にかっ込みたくなる白米。
600円。改めて、この内容でこの値段はやばいな。ランチならまだしも、夕飯で外食となると、激安ファミレス、それも主力を一品くらいで注文止めなければこの価格にはならない。無論、それでは腹が膨れないが。
しかも配送料が月500円だけだから頼めば頼むほどお得になる。
この弁当屋、経営大丈夫か?
こちらとしてはコスパもタイパも節約できるから願ったりかなったりだけれど、フェアトレードとは言い難い。
「うっま……」
所詮は弁当と侮っていたけれど、作り立ての料理と遜色ないくらい上手い。気づけばぺろりと平らげていた。
食事が充実していると、心にも平定が訪れるものだ。
これは明日も頼まなくては。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
21時になると、インターフォンが鳴った。
配達人は機能に引き続き、雨間さんである。
昨日の失態があるからな、今日はちゃんと目を開けないと。
ドアを開ける。長身の雨間さんは最初から中腰になっていた。
相変わらず大きなバストと長い谷間に視線を奪われそうになる。
「隠間弁当です。連日のご利用ありがとうございます」
「いえいえ。昨日のメンチカツ弁当、本当に美味しかったので。他の弁当も気になって注文しました」
「今夜はチーズインハンバーグ弁当でお間違いありませんか?」
「はい、間違いないです」
「では、こちらをどうぞ」
目を開けた僕は胸を揉む失態をせず、無事弁当を受け取った。
「またのご利用お待ちしております」
雨間さんはそう言うと、去っていった。
「ふぅ……」
ドッと疲れが押し寄せる。やはり美人と話すのは苦手だ。そこに加えて彼女はスタイルもいい。
緊張して自然体で話せたか覚えていない。視線は極力失礼のないようにしたつもりだが、不快な気分にさせていなかっただろうか。
「とりあえず、夕食にしよう」
あたたかい弁当を抱えながら部屋に戻った。
その後も僕は隠間弁当を継続する。弁当はどのおかずもほっぺが落ちるくらい美味しい。特にチーズやバター等の乳製品は群を抜いていた。別料金になるが、一応飲み物も売っているらしく、乳製品の代表格の牛乳も鎮座していた。しかし、小中学校の給食でないのだから牛乳と米を一緒に食べたくはない。
その後も僕は様々な弁当を注文した。
♡♡♡♡♡♡
「お魚よりお肉派♡ 辛いのより甘いのが好き♡ 酸っぱいのは少し苦手♡ ふふ、生姜焼きの頻度が多いですねぇ……♡ あら、明日も乳製品が献立に……♡ そろそろ魅力に気が付くころですが、まだ『牛乳』は購入されないみたいですねぇ……♡」
♡♡♡♡♡♡
隠間弁当を頼んでから1か月が経過した。相も変わらず平日の夜だけ注文している。
今夜もいつも通り雨間さんが来る。
最近の楽しみである。スタイル抜群の長身美女がほっぺが落ちるほど美味しい弁当を持ってきてくれるのだ。たった数分の会話、受け答えでも一日を満足させてくれる威力がある。
それにしても、毎回配達の人が雨間さんなんだけど、人手が足りていないのだろうか。弁当代が売り上げ度外視すぎて人件費を払う余裕がないのかもしれない。
日持ちが利くなら数日分一気にもらって……いや、僕が気を使ったところで大したメリットにはならないのでは。まあ、提案するだけしてみるか。今夜も21時に予約済みだし。
「おっと……」
何もないところでよろめく。
最近、急に1秒くらい視界が真っ暗になることがある。長めの瞬きを無意識にしてしまっているのかもしれない。
幸い仕事中はまったくなく、だいたい20-22時の間に起こる。箸でオカズを取ろうとする時に起こると、掴み損ねるので軽くストレスだ。
インターフォンが鳴った。
雨間さんが弁当を持ってくる。
先の提案をしてみたが、雨間さんにはさらりと受け流された。配達は苦じゃない。むしろもっと注文してくれた方が嬉しいだそうだ。
それなら……いいけれど。本当に大丈夫だろうか。言葉通りに受け取っていいものかはわからないが、休日も解禁し、毎食分の弁当も頼むことにした。さすがに1日に3回来させるのは僕の良心が痛むので、朝に3食分持ってきてもらうことで手を打ってもらった。
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「こちらの心配してくれるなんて、なんて健気な子♡ ますます食べたくなってしまいます♡」
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数週間が経過した。週11食分。金額は6600円。月換算すると2-3万円。隠間弁当の金額だけなので、平日の朝と昼の分は除外しているが、まあ、自炊をしない一人暮らしの成人男性の食費的には普通くらいか。
「こちら、サービスになります。食後のデザートとして、食事が済んだら開封してください」
弁当と一緒に小箱を渡された。
僕は礼を告げると、いつものようにテーブルに弁当を並べた。
スイーツは別腹なんて言葉があるが、正直、ものによるとしか言いようがない。食後に箱を開いたら、お腹のストレージがいっぱいで、やっぱ明日食べようって気にならなければいいけれど……。
まあ、雨間さんの忠告を無碍にするのも気が引ける。言いつけ通り、先に食事を済ませ、訝し気な箱を開封した。
「え……うっわぁ……」
中にはオカズが梱包されていた。無論、食事ではない。
無料で提供されたオカズは、僕の心を見透かされているとしか思えないほど的確に好みを突いたものであった。
透明なプラスチックの包装を開け、それを摘まみ上げる。
クリーム色のデカブラ。タグにはトップ110cm、Lcupと印字されている。
文字通り——色通りカスタードクリームのような甘い香りが鼻をくすぐった。本当は食べられる、本当に食後のデザートなのではないかと疑う。甘いお菓子の香りを放つデカブラ。焼菓子の如く、驚くことにぬくもりも残っていた。
なんてものが入っているんだ。
むくむくと股間が膨らんでくる。
包装の中にはチェキのようなものが1枚同梱されていた。
「————ッ‼」
思わず身体が跳ねる。我慢汁でパンツの中が濡れる。
映っていたのは、今まさにオカズとして提供されたクリーム色のデカブラと、それを着用した爆乳の女性。透明なディルドを使って、こちらを見下ろしながら疑似パイズリをしている最中のチェキであった。さらに驚くことに、その爆乳の女性は雨間さんと同じ顔をしている。
「…………」
仮に同一人物だとして、僕に何をさせようとするつもりなのだろう。いや……さすがに厳しいか。部屋に飾るために渡すはずもあるまい。
心臓が高鳴る。血眼になって、チェキを見つめる。穴が空くくらいガン見する。無意識に手が肉棒へと伸びる。
気が付くと、2時間経過しており、部屋には大量の丸めたティッシュが散乱していた。
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「ふふ、私の選んだオカズで必死に扱いてくれています♡ 可愛いですねぇ♡」
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抜いて気持ち良くなれば、自ずと眠くなるのが男の性だ。
手を洗い、ベッドに横になる。甘い睡魔。今にでも寝落ちしそうなのがわかる。
重たい瞼を欲望の赴くままに閉じ、いざ就寝。淫靡な夢でも見られたらいいなと邪な欲望を胸三寸に納める。
「————ッ‼」
まさか、本当に夢を見るなんて思わなかった。
場所は知らない部屋であった。夢は記憶の整理だから見たことのない場所に訪れるなんてことがあるのか不思議だが、一人称視点で繰り広げられたそこは整理整頓された女性の部屋であった。
違和感がある。普段と目線の高さや視界に映るものが異なっていた。僕の目下に、僕の上半身から飛び出すような肉体は存在しない。
都合よく目の前に鏡が置かれていた。そこで状況を把握する。
一人称視点が僕のものではなかった。
鏡に映っているのは僕の見慣れた身体ではなく、長身で豊満な美女の姿であった。それも衣服も下着も身に付けていない、全裸姿である。
一瞬、自分が女体化した夢を見ているのだと先走った。しかし、そんなことはない。そうでなくてよかったと心底安堵する。
美女の顔には見覚えがある。隠間弁当の雨間さんだ。
古典的に言うと、夢に相手が出てきた場合、現れた人が自分のことを好いていると高校生の時に教わったが……どうなのだろう。それよりも僕が彼女を好きになってしまっているのが原因の方が納得できる。
夢に出てくるくらい、心酔しているのか。
無音で淫靡な映像が流れる。
夢の中の雨間さんは自身の恵体を鏡の前に晒し、胸を様々な角度から眺めていた。視界は僕の意思では動かせず、彼女の目の動きに依存するらしい。
深く長いI字の谷間を指で広げたり、爆乳を掬い上げて下乳を見たり、胸のチェックを念入りに行っていた。胸の大きな女性が日常的にここまで確認するのかは定かではないが、女性経験のない僕には刺激が強すぎた。ただでさえ爆乳なのに、それが一糸纏わぬ生乳で、柔らかさや弾力感を誇示されれば——彼女からすれば、見せつけている気はさらさらないのだろうけれど、無意識に誘惑されている状況も余計に情欲を煽ってくる。
突如、鏡に白い液体がかかった。僕が射精をしたわけではない。
雨間さんの淡いピンク色の乳首と乳輪が濡れているのが鏡に映っていた。彼女の豊満な生乳から母乳が迸ったのだ。
なんだ、この夢は。自分に母乳の性癖があるのは自覚しているが、好きな人に母乳を出させる夢を見てしまうのは自分でも引く。
唐突な暗転が挟まった。
場所が移動していた。混乱している僕を一顧だにせず、映像は進んでいく。
これ、僕はどうなっているんだ。
今度は鏡の反射で雨間さんを見ていない。雨間さんではない一人称視点に切り替わっていた。
下半身を丸出しにして、ベッドの上で仰向けになっている。そこは見慣れた自室であった。
これは僕が犯されている夢。
雨間さんは僕の股の間に座り、両脚を自身の両腿の上に乗せていた。いわゆる膝上パイズリの構えである。
下乳部分にパイズリ用のスリットが空いたクリーム色のデカブラ——僕に渡したのと同じものを身に付けていた。スリットから柔らかく分厚い乳肉が唇のように溢れ出し、肉棒を飲み込むのを待ちわびている。
夢にまで出てくるなんて、僕はどれだけ舞い上がっているんだ。
あのチェキのその先へ。
肉棒と乳肉が繋がろうとしていた。
無音の世界で淫靡な映像が流れる。
刺激を妄想する。
映像の中の肉棒を実際の自分のものと置き換えて、快楽を得ようとしてしまう。
エロ漫画やAVを見て、抜く時のように。
男として、生まれながら備わった行動理念に基づき、快楽を増長させる。
見るからに重そうな乳肉が亀頭に乗せられ、柔くあたたかいズリ穴に啄まれた。
乳圧に吸われ、乳肌に啜られる。肉棒がおっぱいの快楽の一片を味わう。
もし、あれが僕のものであったら……。
そんな邪な思いを浮かべ、脳が刺激の味を着色する。自然と掻き立てられる。事実かどうかは関係ない。無実だろうが興奮するのに都合の良い情報を付け加えた。
とはいえ、全てが無根とは言うまい。その豊満で、揉み心地が良さそうなとろふわな乳肉に触れて、気持ち良くないはずがない。一番の弱点である性感帯をおっぱいで嫐られれば、睾丸の中が緩む。精液が出やすくなる。
全て妄想の中の話。
そもそも自慰は妄想力の賜物である。創造性豊かな方がオカズをより極上の品質を向上させる。
無音、無味、無臭。
エロ漫画の1ページ、1シーンで射精できるのだから、動画ならなおのこと。
視覚に訴えかけてくる、暴力的なまでのエロ動画。視覚情報だけで抜くには十分すぎる刺激が映されていた。
爆乳でのしかかられ、ズリ穴に咥えられたペニスが軽くひしゃげる。亀頭部分はすでに乳内に飲み込まれていた。
気持ちが昂る。
期待を煽られる。
ぶっちゅりッ♡ と聞こえてきそうな、重たいおっぱいが肉棒を挿乳する。
根元まで一気に包み隠した。
どびゅる、びゅるるるッ‼ どぷ……びゅ、びゅっく、びゅるるッ‼
深い谷間から上空数十cmへ。
噴水のように精液が飛びあがった。
空中で勢いを失ったそれは雨となり、綺麗な上乳の乳肌を白く染める。
いとも簡単に搾られていた。
雨間さんは目を細め、淫靡に口元を歪ませ、ズリ上げてはズリ下げてを繰り返す。
豊満な双乳で容赦なくパイズリをしていた。
無音の動画のため悲鳴は聞こえてこないが、相当の快楽が伝わってくる。快楽の強度を表すかのように、犯される男の両腿が激しく震えていたのだ。大袈裟すぎるほどに。
当たり前だがペニスは逃げられない。膝上パイズリの体勢を取られていては、男性側に選択権はないのだ。
どんなに気持ち良くても、白目剥くほど気が狂いそうでも。
女性優位で一方的に犯される。
被虐心をがっちりと鷲掴みされ、鳥肌が立った。
淫靡に、肉欲たっぷりと。
肉棒が咀嚼される光景を、画面外の僕は指を咥えて見る。
触れていない肉棒が欲望を吐き出したくて跳ね暴れた。尿道球腺が疼き、我慢汁で尿道内が満たされる。
熱に魘され、腰が浮く。視界が揺れる。
凶悪なおっぱいにブチ犯され、目を背けたいのに背けられない。目が釘付けになっていた。
びゅるるるッ‼ びゅびゅびゅッ、ぶびゅぅぅぅッ‼
再度、谷間から精液が迸る。雨間さんの頬にかかり、顎へと伝う。精液の雫が上乳に落ちた。ぼとっ……ぼとっ……と音が聞こえてきそうな光景。雪化粧のように乳肌が白く染まった。
谷間にも精液が溜まっていく。
あんな量を搾られたら……どれほど気持ちがいいのだろうか。
谷間を抜け出した精液を基に射精とカウントするのであれば、止まった。もちろん乳内の様子は度外視のため、閾値に至らない吐精が今も繰り返されているかもしれないが。
肉棒は乳肉の中に取り残されたまま。
射精後の敏感な状態は捕食者に取って格好の餌食。
雨間さんは両手を乳肉に食い込ませた。
びゅるるッ、どびゅるるッ、ぶっびゅ、びゅる、ぶびゅぅぅぅぅッ‼
双乳が縦に楕円形に広がり、濃厚な乳圧が肉棒に染み込む。
乳内の深さが増した。それでも辛うじて谷間の数cm上まで精液が跳ねる。
圧倒的な乳圧の濁流で即射させられた。
視界がぐにゃりと歪み、白く染まっていく。意識が薄れていく。
これ……は。
「…………ッ‼」
目を覚ます。
すぐにパンツの中の違和感に気が付いた。
「これって……」
生まれて初めて夢精した。シーツにも大きなシミが出来上がっている。
しかし、無駄に出してしまったという虚無感はなく、生々しい妖艶な夢を見れたせいか気持ちは充実していた。片付けの面倒くささに目を瞑れば。
平日はまだ続く。
夢に出てきた爆乳と顔が瓜二つのせいで、本人と顔を合わせるのが恥ずかしい。
しかし、キャンセルすることもなく僕は弁当を注文し続けた。決してサービスとしては過剰すぎるオカズも一緒にもらうのが目的ではない。
デカブラの後に渡されたのは黒のビキニ。当然、チェキも同梱されている。
さらに次の日はサラシ。豊満な乳肉が食い込んだそれは、心なしかぬくもりがあった。
胸部を包むオカズが毎日弁当と一緒に届く。弁当を食べ、オカズで抜き、その晩は渡されたものを身に付けた雨間さんにパイズリをされる夢を見る。
そんな幸せな日々が繰り返された。
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「もういい頃合いですね……♡」
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今夜は……。
哺乳瓶。白い液体が入った哺乳瓶であった。甘い香りに頭がくらっとする。
同梱されたチェキは受け取り手が一人称視点で授乳されているように想像できる画角で撮られていた。
胸をレンズに押し当てて、乳首と乳肉が潰れているチェキ。
母乳、なわけがない……。
そんなわけ……。
気が付けば口にしていた。食後のデザートとして、なんて楽しむ余裕もなく。
理性を置き去りにして、本能のままに。
剥き出しの快楽を貪った。
ぶっびゅ、びゅぐッ、どびゅぅぅぅッ‼
精が漏れた。服を着たままだというのに。
口内に含んだだけで絶頂へ導かれた。