とある製作中作品の日常パート2 (Pixiv Fanbox)
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Cafe Morganaから帰ると、その日の晩にするルーティンがある。
あの空間で学んだことを反芻するのだ。物事を定着させるには反復練習が欠かせない。
記憶は当てにならないと、エビングハウスの忘却曲線が物語っている。
さて、では始めようか。
間違った問題の解き直し? 違う。それ以上に大事なことがある。
椅子にもたれ、ズボンを脱いだ。
何故、毎日あの喫茶店を通っているか。
勉強なら家でやればいい。それはカモフラージュに過ぎない。そもそもグラマラスな美人姉妹が働く店内で、勉学が捗るわけがないのだ。
癒し。目の保養。
コーヒー代が安く感じるほど、たくさんのリラクゼーションを摂取している。
片手でスマホ持ち、Cafe Morganaを検索する。カフェのホームページにして珍しく、従業員紹介が記載されており、そこには美麗さんと美綺さんの写真がある。
早速、作業にかかった。スマホを持つ方の手首に香水を1噴霧かける。
美麗さんと同じ香りのする甘い香水。
自分で調べたわけではない。僕をからかう美綺さんが、何の目的かこっそりと伝えてきた時があったのだ。
たまたま香水が欲しくて、たまたま美麗さんがつけていた香水が自分の好きな香りと同じであったため購入した。
しかし、普段使いはしていない。
それもそのはず。
ほぼ毎日喫茶店に通っているんだ。
自分と同じ香水を使っていると、美麗さんバレてしまう。
だから、こうやって自家発電の時のみ用いている。せっかく購入したのに、使わないなんてもったいないからな。
僕はイヤホンをつけ、美麗さんと声質が似た声優による囁き、耳舐めASMRを流した。
これで完璧。
あとは思う存分やるだけ。
「美麗さん……美麗……さん」
一人暮らしはいい。
声を上げても家族に聞かれる恐れがない。
実家の時は部屋に鍵がなかったため、家族の足音に細心の注意を払いながら抜くというマルチタスクをしていた。
「美……麗……さ、ん」
うっとりするような甘い香りと脳を貫く耳舐めの快感、今行っていることの背徳感に煽られ、徐々に手の動きが早くなる。
耐え難い射精感が上ってくる。
「はぁ……はぁ……」
欲望をテッシュに吐き出した。
音声の方もちょうど止まり、手を洗いに立ち上がる。
すると、背後で物音がした。
思わず振り返る。
泥棒であったら、どれだけ良かったか。
目線の先には美麗さんが立っていた。
「えっ⁉︎ 美麗、さん……何で」
「作り過ぎちゃってお裾分けしようかなーって思ったんだけど……お邪魔しちゃったみたいね」
嘘だろ。そんなオカズにしていた張本人に見つかるなんて。
「えっと……いつからそこに」
「あはは……イヤホンつけるところから……」
「…………」
「…………」
ゆっくりとズボンを上げた。
狭い部屋に沈黙が続く。
気まずいどころの騒ぎではない。
死にたくなる。
美麗さんは重い口を開いた。
「その香水……私が使っているのと、同じもの……だね」
これ以上ないほどの的確な指摘に僕の心が折れかかる。
「そ、そうなんですか……いやー……偶然ですね」