【全年齢】『VS・AI』 第1話「この愛に勝る敵はない!!」① (Pixiv Fanbox)
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小説・イラスト:ひがみ(日上)
「う…うーん…、朝か…」
朝7時0分丁度。
スマートフォンの目覚ましのバイブ通知で目が覚めた。
毛布はすでにぐちゃぐちゃで、紺色のシャツと短パン姿のだらしない恰好で東山希々はベッドに横たわっている。
「あ、メールの通知来てんじゃん…、えーと…」
眠気が取れないまま、薄目にスマートフォンの画面を覗いた希々。
彼女の眠気が一気に覚めたのは、そのメールの内容を確認した時である。
【いきなりの話でごめんね。実は今日、いろいろあってアメリカから日本に帰ってくるの!希々にも会えたらいいな~ 東】
「え?ええぇぇっ!?」
大好きな友達である東(あずま)からの思わぬ連絡に、彼女の嬉しい悲鳴が東山家に響き渡った。
「へぇ!東ちゃ日本に帰ってくるんや!?」
それから時はちょっと流れて彼女の通う高校へ…。
始業前の南千里高校の1年3組の教室で、希々は親友の白石瑠琉に《大好きな友達》が帰ってくるということを話していた。
瑠琉もまた東とは希々を通じて知り合った友人であり、希々と東がとても仲良しであることを深く理解している。
「そうなんだよ、瑠琉!3年ぶりに"あず"に会えるんだよ!」
「良かったやん!希々ちゃは東ちゃのこと大好きやもんなー」
すると希々はにやにやしながら、スマートフォンの待ち受け画面を瑠琉に見せる。
その画面には空港の搭乗口のような場所の近くで、小学生くらいの2人の女の子が一緒に寄り添ってる写真だった。
短髪の少し勝気な雰囲気を出している子が今の希々で、その右隣にいるお下げ髪でそばカスが少し目立つ大人しめの子が東である。
「これこれ!!あずが飛行機に乗る前に一緒に撮った写メ今でも大切にしてるんだ~」
「あー、撮ってなぁそういや~。希々ちゃこの時涙こらえるので必死やったなぁ…いやはや懐かしいな」
希々は東との思い出に浸りながら、彼女との再会を待ち遠しく思い居ても立っても居られなかった。
「あー!どうしよう…久しぶりすぎて会った時になんて言えばいいんだろうー」
「あははは…ホンマに大好きなんやなぁ…」
「それでさ、噂だとあの"チームA"が日本に来るんだってー」
「嘘!?すげぇ!」
「しかも…初の日本人メンバーもいるとか?!」
東との再会を待ち望み浮かれていた希々の近くにいた4名のクラスメイトの仲良し女子グループが希々の無関心そうな話題で盛り上がっていた。
「ん?…チームA?なにそれ?」
《チームA》という聞きなれない単語がなんとなく気になった希々は瑠琉に聞いてみた。
「あー、希々ちゃ《先技校》って知ってるやろ?何でもその中でもアメリカにある名門中の名門、ロサンゼルス先進技術学校のAI絡みの事件の戦闘を担当する学科の主席チーム…それがチームAって言うらしいで」
「ふーん…日本人がいるかっていってもよくわからないや…どのくらいすごいんだろー?」
「希々ちゃでもわかるように言えば、《地球単位で代表のスポーツチームがあったとしたらその1人に日本人がいる》という感じやで」
「まじか!?そりゃすごいわ」
「まぁ、先技校とは無縁の普通校に通うウチらとは無縁な話なんやけどな…でもそういう人たちがいるおかげで世の中回ってるんやと思うけど」
希々は、ふーんと瑠琉に頷きこれ以上特に興味を示さずそのまま東の話題に戻そうとした時、仲良しグループは続けてこんな噂話を口にした。
「…ていうことは、あの噂本当かもしれないよ?」
「えー、マジでぇ!?こわーい」
思わず希々が反応する。
「?」
実は希々は怖い噂話的なものに苦手意識はあるが、怖いもの知りたさから引き続き仲良しグループの話題を訊いてみた。
「何処かのAIロボット工場が作った《強くて怖い機械人形》が突然脱走したって話でしょ…もしかしたら日本にいるとか?」
「そんなのが日本に来るとか本当やめてほしいわ」
「まぁそのうわさが本当かどうかはわからないし、チームAがなんで日本に来るのかはあたいらが知ることはないんだけどさ」
怖いもの知りたさで聞いてみたがやはり駄目だった希々は、急に顔を真っ青にしてぽかーんと口を開けて放心状態のようになっていた。
「……」
「希々ちゃ顔青いで…ほら言ってた通りあくまで噂やからな気にすんなやー」
「う、うん…大丈夫…」
「希々ちゃ、こういう怖いうわさ話とかにめっちゃ弱いからなぁ…」
気持ち的に天国から地獄に急に落とされたような状態の希々であったが、空気を読んでいるかのように来たスマートフォンの通知音とともに再び天国に上ることになる。
「あ、メールの通知…あずからだ!!」
「お!ナイス東ちゃ」
先ほどの《怖い噂話》を忘れたいのか否か希々は急いで、東からのメールの内容を確認した。
【今日は希々の家の近くまで行けそう!早く会いたいなぁ~(*´з`)///♥♥♥ 東】
ただでさえ早く東に会いたい気持ちでいっぱいだった希々にとって、この朗報はあまりにも大きかった。
一方で瑠琉は、文学少女のような大人しい女の子だった東がこんな軽い感じのメールを送ってきたことにおどろきを隠せなかったようで。
「東ちゃって、こんな文体送るキャラやったけ…?」
「えぇ!?今日にもあずに会えそう!あぁどうしよー困ったなぁ」
「その顔は全然困ってそうに見えへんけどな」
瑠琉は東への《愛》を隠せないほど喜んでいる希々に少し飽きれた感じにはなっているが、やはり親友が楽しそうにしているのはとても嬉しかった。
「まぁ…ウチらにゃ無縁な先技校とかロボットなんか気にしているより、希々ちゃは東ちゃの事考えている方がええで」
「うん!そうだねぇ~!」
しかし、2人はまだ知る由もなかった。
自分たちが無縁だと思っている先技校や機械人形、そして先ほどの噂話。
やがてこれらは"全て"希々に直結していくものだということを…。
《つづく》※次回は9月24日公開予定です!!
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