一部先読み「羞恥の除霊」 (Pixiv Fanbox)
Content
エロシーンに入る前の導入部分です。
残りは本日中か、明日までにアップします。
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僕は今、肝試しに来ている。
古びた廃神社の中に置かれたお札を取ってくる。それが今回のミッションだ。
男女ペアで挑むこの肝試しは、なかなか進展しない僕と雪乃ちゃんの仲を見かねた友人が、気を利かせて仕組んでくれたものだった。
「賢人くん、よろしくね。」
そんなふうに可愛く笑われてしまったら、張り切らないわけがない。
僕たちはさっそく、懐中電灯を片手に廃神社へ向かった。
道中は林の中の遊歩道を進んでいく。
やがて視界が開けた先に、朽ち果てた社が姿を現した。
「あそこだね。行こうか。」
懐中電灯の明かりを頼りに、二人で廃神社の中へ入る。
そして、テーブルの上に置かれていたお札を手にした。
意外と怖くないな。
そう思った、そのときだった。
「キャ!」
背後で雪乃ちゃんの短い悲鳴が響く。
振り返ると、腐食した床に足を取られた彼女が、バランスを崩して僕の方へと倒れ込んできた。
「危ない!」
慌てて彼女を支えようとしたが、勢いに押されて僕も後ろへとよろめく。
尻餅をつきそうになり、とっさに背後の壁に手を伸ばしたその時、静まり返った社殿に「ベリッ!」という不吉な断裂音が響いた。
地面に倒れ込んだ僕の腕の中には、雪乃ちゃんの柔らかい温もりがあった。
本来なら夢心地になってもおかしくない状況だが、それ以上の違和感が右手に残っている。
「ご、ごめんなさい!大丈夫?」
雪乃ちゃんは慌てて身を起こした。
「大丈夫、大丈夫。」
そう言って手を振ると、雪乃ちゃんが怪訝そうな顔をした。
「賢人くん、何掴んでるの?」
見ると、僕の手の中には紙のようなものが握られていた。
さっき取ったお札かと思ったが、それは反対の手に持っている。
恐る恐る手元を見てみると、それは掛け軸のようなものの半分だった。
慌てて壁の方へ目を向ける。
そこには、無惨に破れた掛け軸が残っていた。
「……やば。」
暗闇の中で、二人の間に凍り付くような沈黙が流れた。
「……やってしまったものは、しょうがないよね」
真っ二つになった掛け軸を前に、僕たちは顔を見合わせた。放置して逃げるわけにはいかない。
僕たちはその残骸を抱え、重い足取りで仲間たちの待つ集合場所へと戻った。
「ごめん。僕が転んだ拍子に、備え付けの掛け軸を破っちゃったんだ」
状況を説明すると、場に微妙な空気が流れる。
隣で雪乃ちゃんが「私が転んだせいで……」と口を開きかけたが、僕はそっと手で制した。
少しぐらい、格好をつけさせて貰ってもいいよね。
「そうか。ちょっと持ち主に連絡してみるよ。」
幹事の一人がスマホを取り出し、どこかへ電話をかけ始めた。
廃墟とはいえ、ここは管理されている私有地だ。
今回の肝試しも、事前に許可を得て行っていたものだった。
しばらくの沈黙の後、電話を終えた彼が戻ってきた。
「別に何壊してもいいってさ。なんか、三か月以内にあそこ更地にしちゃうらしい。」
その言葉に、僕と雪乃ちゃんは同時にホッとため息をついた。
最悪の事態は免れた。だが、手元に残されたこの掛け軸の残骸はどうすればいいのか。
「今さら戻しに行くのも変だしな。ここに置いておいてくれれば、後で業者がまとめて処分するそうだよ。」
その言葉に従い、僕たちは申し訳なさを感じつつも、破れた掛け軸をその場に預けることにした。
こうして、波乱含みの肝試しは終わりを迎えた。
結果的に、雪乃ちゃんとは少しだけ距離が縮まった気がした。
家に帰り、荷物を整理していると、カバンの中に入れた覚えのないものがあることに気づいた。
なんだろうと思って広げてみる。
すると、それはあのとき確かに現場へ置いてきたはずの、掛け軸の半分だった。
「え?なんで?」
思わず声が漏れる。
自分で持ち帰った覚えなんてない。
誰かのいたずらだろうか。
だとしたら、ずいぶん趣味が悪い。
そう思った、そのときだった。
スマホが鳴り響いた。
慌てて手に取ると、相手は雪乃ちゃんだった。
「あの、変なこと聞くけど……私のカバンに掛け軸入れた?」
その瞬間、背筋がすうっと冷たくなるのを感じた。
「雪乃ちゃんも? 実は僕のカバンの中にも……。」
どうやら、こちらだけの話ではないらしい。
結局、捨てるのも気味が悪いし、次の土曜日に一緒に神社へ戻しに行こうという話になった。
二人きりで出かけるなんて、傍から見ればデートみたいなものかもしれない。
けれど、そんなふうに浮かれる気分にはとてもなれなかった。
「また、あそこに行くのか……。」
電車を乗り継ぎ、数日前と同じ林の入り口に立った。
昼間に見るそこは、近隣住民が利用する穏やかな散歩コースに過ぎない。
心霊スポットなどという噂も、本来はないはずだった。
あの日、僕たちが「神社」だと思い込んでいた場所も、実際はそれらしい形をしただけの古い空き家だったはずなのだ。
だが、目的地に近づくにつれ、僕と雪乃ちゃんの足が止まった。
「……ここ、こんなに綺麗だったっけ?」
目の前に現れたのは、夜に見た朽ち果てた廃神社とは似ても似つきぬ、凛とした佇まいの社だった。
朱塗りの柱は鮮やかで、手入れの行き届いた境内には清浄な空気が満ちている。
狐につままれたような気分で立ち尽くしていると、拝殿の扉が音もなく、スッと開いた。
逆光の中に、一人の女性が立っていた。
古風な装いを纏った彼女は、僕たちの顔を交互に見据えると、静かに口を開いた。
「待っていたぞ。」
その声は、拒絶を許さない不思議な響きを持っていた。
彼女に促されるまま、僕たちは吸い込まれるように社の中へと足を踏み入れた。
社の中は、驚くほど清浄な空気に満ちていた。 あの夜の、鼻をつく埃っぽさや腐朽した木の匂いは微塵もない。隣に立つ雪乃ちゃんが、不安げに僕の袖を引いて囁く。
「ここ……本当に、あの時の場所かな?」
信じがたい光景だが、僕の目はある一点に釘付けになった。
壁の剥落した箇所――そこには、あの日僕が引きちぎった掛け軸があったはずの場所に、四角く日焼けしたような跡がくっきりと残されていた。
「あそこを見て。……間違いないよ。」
僕は覚悟を決め、カバンから「掛け軸の半分」を取り出した。
雪乃ちゃんも震える手で、もう片方の欠片を差し出す。
「すみませんでした!僕が不注意で、この掛け軸を破ってしまいました。弁償と言っても難しいかもしれませんが、僕にできる限りのことは何でもします!」
二人で深く、畳に額がつくほど頭を下げた。
最悪の事態を想定して身を硬くする。
だが、返ってきたのは、拍子抜けするほど穏やかで慈愛に満ちた声だった。
「顔を上げなさい。掛け軸を損なったこと自体を、咎めるつもりはありません。ただ……」
女性の言葉が途切れる。その一瞬の「間」に、僕は言いようのない不安を覚えた。
「そろそろ、異変が出てくる頃だとは思います。」
「異変……?」
聞き返そうとした瞬間、身体の奥底から得体の知れない熱がせり上がってきた。
熱に浮かされたような感覚。
それと同時に、最悪のタイミングで「それ」に気づいてしまった。
僕は、自分が勃起していることに気づいてしまった。
それは、もはや生理現象の範疇を超えていた。
ズボンを突き破らんばかりの勃起に、僕は思わず下腹部を押さえてうめいた。
「大丈夫? 賢人くん……お腹痛いの?」
顔を青くして屈み込む僕を、雪乃ちゃんが心配そうに覗き込む。
だが、その純粋な気遣いに、目の前の女性が冷や酷な事実を突きつけた。
「腹痛ではない。もう少し下――その者の『イチモツ』が猛り狂っておるのだ」
「えっ……!?」
雪乃ちゃんは弾かれたように手を引っ込め、顔を真っ赤にして数歩後退した。
ショックだが、弁明の余地もない。
僕は脂汗を流しながら、絞り出すような声で問うた。
「なんなんですか、これ……。あの掛け軸と、関係があるんですか?」
女性は無言で、僕たちが持参した二つの欠片を合わせた。
そこに現れたのは、片手に男根を、もう片方の手に血に染まった包丁を握りしめた凄惨な女の姿だった。
暗闇で見たときは気づかなかったが、その表情は怨念に歪み、見る者を射抜くような殺気を放っている。
「この掛け軸の女は、かつて男に裏切られ、その『イチモツ』を切り落として殺したのだ。」
女性の淡々とした解説が続く。
男への恨みはその男を殺してもなお消えず、さらに多くの男のイチモツを切断した。
結局死罪になったが、「男のイチモツを勃起させ、そのまま壊死させる」という、執拗かつ卑劣な悪霊と化したのだという。
「……つまり、僕のは今、壊死の危機にあるってことですか!?」
「左様。放置すれば、腐り落ちるであろう。」
冗談ではない。あまりに悪質すぎる。
女性によれば、その悪霊を封じていたのがあの掛け軸だったのだ。
それを僕が雪乃ちゃんを守るためとはいえ物理的に「破って」しまった。
「あ、あの! どうにかならないんですか!?」
必死に縋る僕に対し、女性は雪乃ちゃんへと視線を移した。
「そちらの娘の協力が必須だ。これほど都合よく『汚れなき清らかな娘』が居合わせたのは、幸運であったな。」
「汚れなき……?」
その言葉の持つ意味を理解したのか、雪乃ちゃんはあわあわと手を振り乱した。
「な、何を……変なこと言わないでください!」
その過剰なまでの狼狽ぶり。
それはつまり、彼女がまだ「処女」であることを証明しているも同然だった。
(雪乃ちゃん、やっぱりそうだったんだ……)
極限の激痛と恐怖の中にいながら、僕は不謹慎にも頬が緩むのを感じていた。
「……ちょっと。 なんでこんな状況でニヤニヤしてるのよ。」
顔を真っ赤にした雪乃ちゃんに睨みつけられる。
だが、猶予はない。
「時間はないぞ。娘よ、協力するのか、それともこの男のモノが腐り落ちるのを見届けるのか。はっきりせよ。」
女性の詰め寄るような問いに、雪乃ちゃんは覚悟を決めたように僕を、そして僕の「それ」を凝視した。
「……わかりました! やります、やりますから! 賢人くんを助けてあげてください!」
羞恥に震えながらも放たれたその宣言に、僕は痛みも忘れて、心の中で小さくガッツポーズを決めていた。
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導入部分が長くなりすぎですね。
でも、導入部分書くの楽しい。
残りも全力で書いていきます。