derby5:競走馬の着ぐるみを体験 (Pixiv Fanbox)
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サポート業務の説明を秋山主任から受けていた俺は実際に競走馬の着ぐるみに入ることになった。
競走馬の着ぐるみの中はキツくて暑かったのだが、内側のファスナー、そして外側のファスナーが閉められることで圧迫感も暑さもどんどん増していく。
そんな中、背中に軽い重みを感じた。
鞍とゼッケンを取り付けているのだろう。
それが終わると競走馬の着ぐるみが動き出した。
前室から競馬場へ移動しているのだろう。
ここでいよいよ騎手が跨る。
更なる重さが加わるのは間違いない。
俺は体を強張らせて備えていると、すぐ近くで秋山主任の声が聞こえてきた。
「今から私が騎乗するから、ファンファーレがなったら手足を動かしてね、【ダビアク】の流れは分かっていると思うから説明は不要だと思うけど、頑張ってね」
そう言われた俺は1つ頷いて自分に気合いを入れた。
背中に重さを感じたが、それが秋山主任なのか確認できない。
思っていたよりも重さは感じなかった。
少しするとファンファーレが鳴り始め、俺はゆっくりと手足を動かした。
暗闇の中でどれほど進んでいるのか分からないが、とにかく手足を動かした。
ただ、この圧迫感と暑さの中で動くのはかなりキツかった。
大きく呼吸する度に顔を全て覆うラバーマスクが顔に張り付いて呼吸を阻害する。
サクラモモカはいつもこんな厳しい状況でレースをしていたのかと思うと頭が下がる思いになった。
スタートゲートに入ったようで手足が動きにくくなった。
いよいよ、1頭だけの俺のレースが始まる。
目の前がパッと明るくなり、ゲートの開く音がした。
俺は手足を動かして走り出した。
意外にも走っている時間は長い。
もう最後の直線かと思うことが何度もあったのだが、まだのようだ。
視界を奪われた中、闇雲に手足を動かし続けるのはかなり苦痛だ。
それに加えて圧迫感と暑さが体力を削ぎ取っていく。
そこへ鞭が入った。
最後の直線に入ったのだろう。
だが、前半とは違い、やたらと手足が重い。
荒い呼吸をしながら、そんな中でも必死に手足を動かしていると急に手足が軽くなった。
ゴールしたのだろう。
遠くから歓声のような声と音楽が聞こえてきた。
程なくして、背中の重みがなくなったことから秋山主任が俺の背中から降りたのだろう。
“やっと終わった!”
アニメキャラの実体である女性たちは、これを1日に6回も行っている。
それはプレイヤーには全く知られていない事実。
散々、【ダビアク】をやってきた俺でも全く知らないことだった。
そして手足を動かさずとも移動が始まった。
前室へ移動しているようだ。
思うことは1つ。
早く競走馬の着ぐるみから出して欲しいだった。
背中の重みがなくなったような気がしたかと思うと、外側のファスナーが開いたのだろう。
かなりの圧迫感が取り除かれた。
それからすぐに内側のファスナーを開けてもらうと、圧迫感から解放され背中に空気の冷たささえ感じた。
俺は暑さから解放されたくて、体を起こそうとするがずっと手足を動かしていたので、震えて上手く動かない。
それを知っている秋山主任は腕を突っ込んで俺を引っ張り出してくれた。
流石に最後までとはならず、途中からは自力で競走馬の着ぐるみから出たのだが… 、すぐには体は動かず、ラバーマスクを脱ぐのがやっとだった。
苦しそうに荒い呼吸をする俺に秋山主任が言った。
「アニメキャラの実体の女性たちも、レース後はこんな感じなんで引っ張り出して上げてね」
俺は秋山主任の言葉に頷くのが、やっとだった。
「競走馬の着ぐるみから女性たちを出して上げたら、ここで待機になるのでそれ以上は何もしなくていいから、むしろ不要な接触は避けてくれたら助かるわ」
俺は返事をして、ようやく立ち上がれた。
「じゃあ、事務所に戻りましょう!」
そう言って歩き出した秋山主任の後について行く。
いつの間にか秋山主任は黒いラバースーツを脱いでいた。
そんな秋山主任の緑色のラバースーツの後ろ姿を見ながら思うことはいろいろあった。
あの強かったモモイロミズキの中身が秋山主任であったということ。
秋山主任とラバーマスクを共有したこと。
そして何より競走馬の着ぐるみが、レースが、あれほどキツイということ。
俺は【ダビアク】の裏側を見られて興奮していたが、勃起している状況ではなくなっていた。
事務所に戻った俺はさらに驚くことになる。
つづく