コンカフェの呼び込み (Pixiv Fanbox)
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私、沼田 葉月(ぬまたはづき)はコンカフェでアルバイトを始めた。
コスプレの好きな私にピッタリだと思って始めたのだが、思っていたほど甘いものではなかった。
というのも、私の働くコンカフェは周りにはコンカフェが隣接する、いわゆる激戦区の中にあった。
そのため、呼び込みに行くのだが、皆同じような風貌で大差はなかった。
そのため、ビラを配っても受け取ってもらえないこともしばしば。
私の働くコンカフェは着ぐるみコンカフェなので、単にメイドのコスプレではなく着ぐるみや目立つ格好を前面に打ち出してアピールをしてみた方が良いのではないかと店長に進言してみた。
私の言葉を聞いた店長は笑顔で言った。
「君のようなキャストを待っていたんだ!頼むよ、沼田くん!!」
その時は店長も私と同じ思いだったと喜んだのだが、次の日から私は大変なことになるとはその時は考えもしなかった。
店長に進言した翌日、呼び込みとビラ配りのため、1番初めに出勤した私は店長に声を掛けられた。
「沼田くん、早速だけど今日から頼むよ!」
「今日は雨だから、これで!」
そう言って段ボールを渡された。
“雨だから?”
よく分からなかったが、店長に渡された段ボールを受け取る。
「詳しい着方は中に入っている紙に書いてあるからお願いね」
「はっ、はい!」
私は段ボールを受け取った。
「あと、ビラ配りを終わったらそのままお店の接客もよろしくね、あとはこっちでやっておくから」
そう言われて私は頷いて、更衣室へと向かった。
私の働くコンカフェはメイドやセーラー服の衣装を着て頭だけ美少女の着ぐるみの頭を被ったもの。
実際、店長から受け取った段ボールもその着ぐるみの頭部が入っていることは明白だった。
というのも、大きさの割に軽かったし、揺れると段ボールの内側に着ぐるみの頭部が接触するのが分かった。
私は段ボール持って更衣室に入ると、早速段ボールを開いてみた。
入っていたのは確かにお店で被る着ぐるみの頭のようなのだが、全部が黒い、黒光りしていた。
着ぐるみの頭部は髪はもちろん顔の肌も目も耳も全てが黒光りしていた。
そして、一緒に入っている衣装も出してみた。
こちらも黒い、そして明らかに触った感触が布ではなくゴムの様な感触だった。
段ボールに入っていたものを全て出して並べてみる。
黒光りしたプラスチック製の着ぐるみの頭部、鈍く黒光りするゴムでできた全身タイツ、それとゴムでできたセーラー服とスカートにソックスが入っていた。
「なにこれ?!」
思わず声を上げながらも段ボールの中を覗くと、説明が書かれた用紙と黒いゴムのショーツとマスクの様なもの、さらには液体の入ったボトルが出てきた。
取り敢えず、説明を読むことにした。
[この衣装は全てラバー製(ゴム製)です。着る際はボトルに入った潤滑剤を使って着て下さい。爪を立てると破れてしまうので十分に注意して下さい。]
と書かれていた。
“やっぱりゴムだった!”
そう思いながら、店長の言った言葉を思い出していた。
【「今日は雨だから、これで!」】
ゴムの衣装なら雨合羽のように濡れても大丈夫だからということだったのだろう。
私は説明文に目を落とした。
まずはゴムの全身タイツを着てからゴムのセーラー服を着るように書かれていた。
セーラー服にファスナーはなく、頭から被るタイプでスカートもゴムの伸縮性を活かして履くようだった。
他にもソックスとショーツがあるが、それはどのタイミングでも着ても良さそうだった。
ただ、セーラー服やスカートはともかくとして、全身タイツにファスナーが無いのは、どうやって着るか分からない。
困惑しながら説明を読み進めていくとゴムの全身タイツの着方が書かれていた。
ボトルに入った潤滑剤を体に塗ってから、ゴムの全身タイツの首の部分を広げるようにして着ると書いてあった。
そんなことができるのだろうか?
疑問は残るがとにかくやってみることにした。
そんな中、説明には全裸で着ることをお勧めしていた。
ゴムの全身タイツだと汗を大量にかくかも知れないが下着をつけて着ることにしたのだが、潤滑剤を足に塗って思った。
“これは全裸の方がいいかも?!”
そう思ったのは潤滑剤がオイルのようだったから。
下着についたら染みになりそうだったので、恥ずかしいけど、全裸でゴムの全身タイツを着ることにした。
全裸になったが恥ずかしくて体にタオルを巻いて足にしっかりと潤滑剤を塗って、ゴムの全身タイツの首の部分から足を通していく。
ゴムのタイツはヒンヤリしたが、すぐに体が順応しそのあとは冷たいと感じなかった。
むしろ密閉されているので、暑くなってくるような感じがした。
足先まで通すと5本指に分かれていたので、一本、一本丁寧に指を通したあと、ストッキングを履くようにたくし上げた。
これで私の片足は鈍い光沢を放つ黒い足へと変わった。
問題はここから。
両足を通したら首のところが広がり過ぎて破れないかと心配になる。
だが、いろいろ考えていても仕方がない。
私は意を決してゴムの全身タイツの首のところを広げながら、もう片方の足も通し始めた。
意外にもゴムの全身タイツの首のところは大きく広がりながら私の足を呑み込んでいく。
窮屈さは否めないが、それでも全く入らないわけではなく私はもう片方の足もゴムの全身タイツに通すことができた。
両足ともゴムの全身タイツに通せたので、今度はそれをたくし上げていく。
お股のところにファスナーが付いていたが、これは排泄ようだろう。
そんなことを考えながらも、お尻までゴムの全身タイツを着ることができた。
あとは両腕を含む上半身。まずは片腕ずつ指先まで丁寧に通していく。
片方が終わると、もう片方の腕も通した。
両腕を通し終えたが、胸が引っかかって上手く着られない。
先に腕を通したことで手の自由まで奪われてしまった。
“これじゃあ、お手上げだ!”
そんなことを思いながらふざけて両腕を挙げた。
すると、ゴムの全身タイツが引っ張られた状態から戻ろうとして、私の体を呑み込んだ。
その際、私の乳首を舐めるようにして擦られたので思わず、変な声を出してしまった。
だが、ふざけたのが功を奏して私はゴムの全身タイツをうまく着ることができた。
この全身タイツにはフードが付いていたので、髪を纏めてそれも被った。
近くの姿見には全身鈍く光る黒い人が映っていた。
ゴムの全身タイツは私の体を程よく圧迫し、包み込む。
その感覚に思わず声が漏れてしまった。
「これ、気持ちいいかも?!」
自分でも自然に漏れた声に思わず、自分しかいない更衣室だと分かっているのに周りを確認してしまった。
そしてそんな漏らしてしまった言葉を掻き消すように私はセーラー服を被るようにして着ると、スカートも履いた。
見た目てきには纏まりが出た。
ショーツとソックスを履いてほぼ準備は完了と思ったが肝心の着ぐるみマスクをまだ被ってはいなかった。
黒光りしたプラスチック製の着ぐるみの頭部を手にした。
いつも被っている着ぐるみマスクは柔らかいのだが、このマスクはプラスチック製で固いので被り方も違うのだろう。
そう思った私はまた説明を確認することにした。
説明によると、肩に掛かるほどの長さの前面の髪の毛を引っ張ると外れ、顔の部分を前後で挟むフックになった金具があるので、それを外して被るらしい。
ただ、全てが黒光りしているので、このマスクを被ると見えなくなってしまうのではないかと不安になった。
そこでフックになった金具を外して中から覗いてみた。
中から覗くとサングラスの様に少し暗くなっていたがしっかりと外側を見ることができた。
“これなら大丈夫そう!”
そう思って黒光りした着ぐるみマスクを被ろうとして思った。
“これって外から中身、つまり私の顔が丸見え?”
これはこれで恥ずかしい。
念のため、バッグから白っぽいハンカチを取り出して着ぐるみマスクの内側に入れて外から中が見えるか確認した。
私の予想は当たっていた。
ハンカチに描かれた花柄が外側からしっかりと見えた。
「うーん!これはちょっと… 」
声に出して悩んでしまう。
そんな時、段ボールにまだ黒いものが残っていたのを思い出した。
取り出してみると、それはゴムのマスクの様だった。
「これを被れば私って分からなくなりそう!」
そんな独り言を呟きながら、マスクを被ろうと覗き穴を探すが、覗き穴も無ければ呼吸穴も見つからなかった。
ソックスやショーツといった小物をまとめておく袋だったのかと思い中を覗いてみると、細かな穴が目と鼻のところに開いていた。
試しにフードの上から被ってみたら、意外と視界もあり呼吸も楽にできた。
ただ見た目は黒光りしたノッペラボウになってしまった。
これなら覗かれても大丈夫だと思い、黒光りしたプラスチック製の着ぐるみの頭部も被った。
あとはショーツとソックスを履いたら、呼び込みに出掛けようと思う。
ショーツを履こうとして気づいた。
お股のところにファスナーがあることに。
開けてみると、なるほど、オシッコができるようになっていることが分かった。
苦労して着たラバースーツをオシッコのたびに脱ぐのも着るのも大変だ。
それに脱ぐのが間に合わなければ、中で漏らしてしまう。
そんなことがないようにファスナーが付いているのだと思った。
最後にソックスを履くと、ローファーを履いた。
準備ができたのでいつものように店長に声を掛けてから呼び込みに出掛けた。
雨が降っていたのを思い出し傘を手にしたが、その手が黒光りしているのを見て、今日は傘がいらないことを思い出した。
ビラも手にしていたが、傘がないので濡れてしまうので呼び込み用の看板を手に私は黒光りする体一つで呼び込みに出掛けた。
いつもと変わらない光景。
コンカフェの呼び込みに出てきている女の子たちもよく見るメンバー。
もちろん、別のお店なので、この呼び込みの場所で会うだけなのだが… 。
私はいつもの着ぐるみ姿なので、誰とも話さない。
会釈だけをして呼び込みを開始した。
全身がほぼゴムの私は傘を差さず、お店の看板だけ持って呼び込みをしていたのだが、だんだんと雨足が強くなっていった。
通りを歩く人は傘を差して足早に去っていく。
他のコンカフェの呼び込みの女の子たちも雨が強くなってきたので引き上げていった。
私だけが雨に濡れながら呼び込みをする形となり、始めのうちは雨を気にしなくていいので雨に打たれるのを楽しんでいたのだが… 、だんだんとと寂しくなってきた。
雨が強くなるに連れて、周りも暗くなってきた。
“今日はもう呼び込みは無意味かな?!”
と思い引き上げようとした時だった。
私に傘を差し伸べてくれる人がいた。
驚いて見上げた私はまた驚いた。
そこに立っていたのは元彼の黒木 龍樹(くろきたつき)。
龍樹とは付き合って1年ほどで分かれた。
分かれた原因は彼のお願いを私が受け入れられなかったから。
そのお願いとは… 。
変わった全身タイツを着ること。
コスプレ好きの私なら着てくれるだろうと龍樹は思ったのだろう。
しかし、私が絶対に嫌だと断ったのが原因でお互い気まずくなり自然消滅した。
そういえば、あの時龍樹が差し出した全身タイツは思い返せば、今着ているものに似ている感じがした。
私は傘を差し伸べてくれた龍樹にペコリと頭を下げると、そのまま龍樹の手を引いて移動する。
いつも呼び込みには約2時間ほど費やすので、あの場から離れても特に問題ないだろう。
私が手を引いて移動した先は、私の働くコンカフェに程近い龍樹のマンション。
私がこのバイトを選んだのはいつかまた龍樹に会えるように龍樹の家の近くを選んだのだった。
マンションの1階のエンランスに入ると、私は周りを見てから背伸びをして龍樹にキスをした。
もちろん、着ぐるみのマスク越しに。
傘を差し伸べただけでここまでお礼をされたことに驚いた龍樹が言った。
「お願いがあるんだけど、その着ぐるみマスクの下がどうなってるか見せてくれないか?」
私はイヤイヤと首を横に振ったが、龍樹は「少しだけだから!」、そう言うと私の腕を掴んでエレベーターへ飛び乗った。
龍樹の部屋は5階、私は驚くフリをしていると龍樹が言った。
「俺、このマンションに住んでいるんだ、他の誰にも顔は見せたりしないから俺だけに見せてくれないか?」
私はそれに答えることができないまま、龍樹の部屋に連れ込まれた。
分かれてそれほど経っていなかったが、部屋は汚くなっていた。
それは定期的に私が片付けをしていたからにすぎなかった。
そんな龍樹の部屋へ連れ込こまれた私。
龍樹は強引に着ぐるみマスクを脱がせようとしてきた。
ホイホイ着いて来たから、私の返事は聞かなくてもイエスだと勝手に解釈したのだろう。
抵抗する私を抑え込んだ龍樹は着ぐるみマスクの前髪を外した。
“えっ!なんで知ってるの!!”
驚きつつも抵抗を続けるが、私と龍樹の力の差は歴然。
前髪を外されたことで露わになったフックになった金具を外し始める龍樹。
私の必死の抵抗も虚しくマスクを外されてしまった。
私はそれでも抵抗し、顔を両手で覆い隠した。
そんな私から着ぐるみをマスクを剥ぎ取った龍樹。
プラスチック製のマスクがフローリングに落ちる音がした。
両手を押さえつけられ、馬乗りになった龍樹に怖くなった私は、今までは着ぐるみとして声を上げなかったが、ここで声を上げてしまった。
「やめてよ!たっちゃん!!怖いよぉー!」
くぐもった声だが、ハッキリと龍樹に届いたのだろう。
龍樹の手が止まった。
「えっ!」
龍樹の顔は驚いて固まっている。
その隙に私は龍樹から逃れた。
雨で濡れたゴムの体が上手く滑ったことで龍樹から逃れることができた。
そのまま着ぐるみのマスクを拾うと慌てて部屋を出た。
そこからはよく覚えていないが、気づけば呼び込みをしているところを過ぎて店へと向かっていた。
途中、私を珍しそうに見てくる行き交う人たちに、私は着ぐるみのマスクを被っていないことに気がついた。
セーラー服を着た黒光りノッペラボウが歩いていたら気になって誰でも見るだろう。
だが、今更立ち止まって着ぐるみのマスクを被ることもできず、店へと戻った。
店へ戻ると店長は私の姿を見て悟ったようにこう言った。
「今日はもういいから、上がっていいよ!」
私は頷くと更衣室へと向かった。
そんな私の背中に店長の声が追いかけてきた。
「脱ぐのが大変だったら、そのまま帰ってもいいから」
私はその声に振り返ると、お辞儀をして更衣室へと向かった。
店長の配慮が嬉しかった。
いまだに襲われた恐怖から手が震えていたから。
私は更衣室でノッペラボウにしか見えないマスクを脱いだ。
フードから顔だけが出て、見た目は少し恥ずかしいが久々に新鮮な空気を思いっきり吸い込んだ。
店長からはそのまま帰ってもいいと言われたが、流石にこのまま帰るわけにはいかない。
ゴムのセーラー服を脱ぐことはできそうなので脱いで、ゴムの全身タイツ姿となった。
だが、手が震えて力が入らずゴムの全身タイツは脱げそうになかった。
そこでゴムの全身タイツの上からハイネックのニットを着て、その上からパーカーを羽織り、ジーパンを履いた。
黒光りする手だけは隠しようがないので、萌え袖で誤魔化すことにした。
そして私はゴムの全身タイツを着たまま店を出た。
外はまだ雨が降っていた。
出勤する時は小雨だったので駅から走って店に来たので傘は持ってきていない。
店の傘を借りて帰ろうかと思ったが、傘を差したら黒光りした手が飛び出るのでやめた。
パーカーのフードを被り、駅まで走ることにした。
店の入口から走り出そうとした時、私に傘を差し入れてくれる人がいた。
「たっちゃん?」
「ごめん葉月、さっきは… 」
そう言って言葉を詰まらせた。
「葉月と別れてから寂しくて… 、そんな時雨に濡れている着ぐるみの女の子に優しくしたら、キスまでしてくれて、俺、調子に乗ってしまって… 」
そんな龍樹の言葉を聞いて、私も自らの思わせぶりな行動を反省した。
「着いて来てくれたから、OKなんだと勝手に解釈して… それで!」
「それで?やらしてもらえると思った?」
私が語気を強めてそう言うと、龍樹は力なく反省したように頷いた。
「もうぉ、たっちゃんは私がいないと部屋も片付けられないだから!」
私は目一杯、強がってそう言うと龍樹の手を引いて歩き出した。
目的地は龍樹のマンション。
歩きながら私は語気を強めて龍樹に言った。
「私ともう一度やり直す?」
「うん、俺は葉月ともう一度やり直したい!」
その言葉を聞いた私は龍樹の腕にしがみつき、一緒にマンションへと向かった。
「ところでさっきの格好は?」
「ああ、あれはコンカフェの新しい呼び込みの衣装なの、たっちゃんはあんな格好が好きなの?」
「うっ、うん!あんな格好をして欲しくて葉月とケンカになったんだ」
「やっぱり、そうだったんだ!じゃあ、今度からしてあげるよ!」
「マジで!やったー!!」
喜ぶ龍樹に私は聞いてみた。
「今も着てるから、この格好で抱いてくれる?」
「えっ!」
龍樹の顔は驚いた後、満面の笑顔になった。
このあと、私は店から持って来てしまったノッペラボウのマスクを被って龍樹と久々にエッチをした。
お股のファスナーはオシッコ以外の使い方があることも分かった。
そして、もう一つ分かったことは、私はこのゴムの全身タイツに包まれていることに快感を覚え、癖になってしまったということ。
これなら龍樹とこの先もずっと仲良くやっていけそうだと思う。
おしまい