CM撮影で… (Pixiv Fanbox)
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出勤すると、上司やその他バタバタしている。
スケジュールを確認すると、CM撮影の日になっていた。
求人のための会社PRのCM撮影をやることは聞いていたが、自分には関係ないとあまり気にしていなかった。
机の配置がいつもとは違い、俺と机は部屋の隅へと追いやられていた。
今日は全員参加のため、出演する人(出演といっても端の方に映る程度)以外は撮影の邪魔にならないようにしておくだけ。
机が部屋の隅に追いやられている時点で俺の出番はない。
出演する人と上司は相変わらずバタバタしている。
俺はタバコを吸いに屋上へ。
その途中、見かけない女性とすれ違った。
女性は挨拶してくれたが、咄嗟のことで声がでず会釈だけを返した。
その女性はトイレへと消えていった。
屋上でタバコをふかしながら、綺麗な女性だったなぁと思い返す。
一服して降りると、リハーサルが始まっていた。
照明に音声、監督らしき人もいる。
そして先程、挨拶してくれた女性もいる。
CM製作会社の女性スタッフであることが判った。
ずらりと並ぶ女性社員は全社から綺麗どころばかりを集めていることは一見して分かった。
そして俺が密かに思いを寄せている沙織もその中にいた。
リハーサルが一通り終わって、簡単な打ち合わせが再度行われている。
CM会社の女性はどこかへいってしまった。
撮影が始まる前に、着ぐるみのカメレオンが現れた。
カメレオンの立ち位置から中身の人が推測できた。
さっきのCM会社の綺麗な女性!
あの綺麗な女性がカメレオンの着ぐるみに入っていると判るとなんだか興奮し、目が離せなくなった。
撮影は進んでいったのだが、カメレオンは俺の視線を釘付けにした。
でなければ、沙織をずっと目で追っていただろう。
撮影は進んでいったが、突然カメレオンが倒れた。
一斉に皆がカメレオンに駆け寄る。
カメレオンが監督に何か話しているのが見えた。
監督は顔を上げ女性社員を見渡し、沙織に声を掛けている。
そして、なぜか俺にも声を掛けてきた。
沙織から伝えられたのは、カメレオンの中の女性が体調が悪くなったので、一緒に医務室に運んで欲しいとのことだった。
撮影見学組を見ると、俺以外はジジイかガリガリかチビ。
俺は頷き、カメレオンの着ぐるみを着たままの女性を背負って沙織と共に医務室へと向かった。
カメレオンの着ぐるみはゴムで出来ているようで、俺の首に回した腕は妙に張り付いてくる。
着ぐるみはゴムのため、俺の背中でも滑ることなく、しっかりと背広に張り付いていた。
そして、微かにカメレオンの女性の胸が当たっているような感じがした。
カメレオンを医務室に運ぶのに、沙織も付き添ってくれた。
医務室のベッドにカメレオンを寝かせると、背びれの下のファスナーを沙織が開く。
監督から説明を受けていたようだった。
沙織は着ぐるみの中に手を入れ、女性を引き出していく。
呆気に取られて見ている俺に着ぐるみを押さえておくように沙織から指示され、俺は慌てて着ぐるみを押さえた。
着ぐるみから引っ張り出された女性は、顔が真っ赤で呼吸が荒いが意識は戻ったようで、「すみません」としきりに謝っていた。
普通なら裏方を見ることができて興奮するのだろうが、非常事態だったのでそんな感情は全く湧いてこなかった。
女性をベッドに寝かせ、非常勤の医師に診てもらう間、俺が付き添った。
沙織はいつのまにかいなくなり、医師から貧血であり寝ていたら落ち着くことを聞いている時に沙織が戻ってきた。
沙織は俺の腕を掴み、もう片方にはカメレオンの着ぐるみを持っていた。
そして医務室の隣のベッドを借り、カーテンを閉めると沙織は突然制服を脱ぎ始めた。
焦る俺だったが、沙織は制服の下に競泳水着を着ていた。
いつも仕事帰りにプールで使っているものらしい。
俺は急に沙織の水着姿を目にし、凝視していいものやらダメなものやら戸惑っていると、 沙織に言われた。
「ちょっと手伝って!」
そう言うと沙織はカメレオンの着ぐるみの中へ入っていった。
俺は沙織がカメレオンの着ぐるみを着易いようにサポートするのだが、カメレオンの着ぐるみは中もゴムでできているようで滑りが悪かった。
着ぐるみの足を通す沙織の振れるお尻が色っぽい。
思わず手が出そうになるのを必死で抑えた。
ある程度体が着ぐるみの中に入ってしまうと後は簡単に着ぐるみの中へと収まった。
「閉めるよ!」
俺は沙織にそう声を掛けてから着ぐるみのファスナーを上げ、背びれでファスナーを隠した。
「どう?キツくない?」
俺がそう声を掛けるとくぐもった声で沙織は返してきた。
「うん大丈夫、暑いしキツイけど」
目の前にはカメレオン、中身は沙織、着ぐるみの中で水着を着て暑さとキツさと戦っている。
そんな沙織の状況を目の当たりにしていると興奮を抑え切れず、抱きつきそうになる。
しかし、職場であることや皆が待っていることを思い返し冷静さを取り戻した。
「じゃあ戻ろうか!」
そう声を掛け歩き出そうとすると、カメレオンの手が俺の手を掴んだ。
そして聞こえないほどの声で何か言った。
着ぐるみを着ていることもあり、ほとんど聞こえなかったので顔を近づけて聞き返す。
「おんぶ してよ!」
恥ずかしそうで消え入りそうな声だった。
「ほら!」
カメレオンに背を向けると、俺の背中に飛び乗ってきた。
首に手を回すが先程のCM会社の綺麗な女性とは比べものにならないほど強く抱きついてきた。
しかも足までも体に巻きつけガッチリしがみついきた。
まるで私のものだから誰にも渡さないといった感じだった。
強く密着している分、沙織の大きな胸が背中に当たっているのがしっかりとわかる。
歩く度にその感触がしっかりと伝わってきた。
おんぶしていると、カメレオンの喉の辺りから沙織の声が聞こえてきた。
「さっきはごめんなさい、キツい口調で!」
「ヤキモチやいちゃって」
そう言うと沙織の声が小さくなった。
確かにいつもの沙織とは違いキツい口調だった。
終始、沙織が怒ったような口調であったのは気づいていたが、原因が着ぐるみのままとはいえ、他の女性をおんぶしたことに対してのヤキモチであったことを告白され、同時にあることに気づいた。
“つまり、沙織は俺のこと!”
すごく元気になった俺はエレベーターにも乗らず、歩いて撮影場所へ戻った。
撮影場所に戻る寸前に撮影をがんばってもらうため、俺は思い切ってカメレオンの沙織も好きだと伝えた。
その後、CM撮影以降、付き合い出した俺と沙織だったのだが、カメレオンの沙織が好きと聞き間違えた沙織は、俺を沙織の家に誘うと決まって記念にもらったカメレオンの着ぐるみを着て言った。
「あなたはカメレオンの着ぐるみを着ている私が好きなんでしょ!」
おしまい