優しい妻のセーラー服調教 -another story- 向かいの住人【亮哉の場合】:2 (Pixiv Fanbox)
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カチャリ。
扉の向こうから鍵の開く音がした。ゆっくりとドアが開き、そこから現れたのは20代後半くらいの、柔らかな笑顔の女性だった。
「こんにちは。ご予約の方ですね?」
想像していたよりずっと普通のお姉さんで、少しだけ肩の力が抜ける。
「は、はい……」
「どうぞー。緊張しますよね」
そう言って笑う彼女に促され、俺は店内へ足を踏み入れた。
店内は想像以上にファンシーだった。
淡いピンクと白を基調にした壁紙に、フリル付きの小物がところどころに飾られている。
いままでの自分とは縁遠かった、夢見心地の空間だ。
「こちらの部屋は撮影スタジオも兼ねているんですよ。奥の部屋でお話伺いますね」
お姉さんに導かれ、奥の部屋へ進む。
そこには大きなドレッサーと、その周囲を囲むようにずらりと並んだ様々な衣装があった
フリルたっぷりのワンピースやメイド服にセーラー服。どれも魅力的で視線が釘付けになる。
「どんな感じの衣装が着てみたいですか?リクエストに合わせて進めますよ」
お姉さんの質問に、俺は少し声を震わせながら答えた。
「どうせ着るなら……とことん可愛らしい感じがいいです」
言った瞬間、自分で恥ずかしくなったが、お姉さんはにこっと笑って頷いた。
「じゃあこのブラをあちらのカーテンの向こうで着けてきて下さい。みなさん、つい大きなカップにしたがるんですけど、A〜Bカップぐらいが一番自然に見えるんですよ」
差し出されたブラジャーを手に取る。人生で初めて手にする女性用下着。
それだけで心臓が速くなる。
更衣室へ入り、渡されたブラを改めて見つめる。
純白のサテン生地にレースで彩られたブラ。
(本当に着けるのか……)
今ならまだ戻れる。そんな考えが頭をよぎる。
けれど、ここまで来てしまった。
俺は意を決して腕を通した。
背中のホックを留め、胸元にパッドが収まり、自分の胸を見下ろす。
不自然に胸が膨らんだ自分。
たったそれだけなのに、見慣れた身体が別人のように感じられる。
そのままブラウスやスカートを身につけリボンを整え、鏡の前に立つ。
首から上は男のまま。化粧もウィッグもない姿は、なんとも見苦しくて惨めだった。
(……最悪だ。これじゃただの変態じゃん)
現実を突きつけられた気分になる。やっぱり無理だったんじゃないか。
そう思った瞬間だった。
「大丈夫ですよ」
お姉さんが隣に立つ。
「今から私がちゃんと女の子に変身させてあげますから、安心して下さいね」
彼女は鏡越しに微笑んだ。
その言葉に、少しだけ救われた気がした。
◆
メイクが始まる。
お姉さんと談笑しながら、頬にブラシが当たる感触を味わう。
「実は……向かいのマンションで、女装してる人を見て。それで気になっちゃって……」
「えっ、そんなことあるんですか!?でも女装に興味を持って頂けて嬉しいです。もうすぐ女の子に変身できるので、楽しみにしていて下さいね」
お姉さんの明るい声に、俺の緊張が少しずつ溶けていく。
最後の仕上げにウィッグを被せられた瞬間、鏡の中の俺は変わった。
可愛らしい女の子の顔がそこにいた。
跳ねあがったまつ毛に大きな目、均一に整った肌に紅く染まった頬、ふんわりした髪。
自分の姿とは思えない。
「わ……すごい」
胸が熱くなり、嬉しさとドキドキが同時に溢れてくる。
「ね?可愛くするって言ったでしょ。大成功ですね!」
そのまま隣の撮影スタジオで写真撮影を行う。
「はい、ちょっと顎を引いて、目線はこちらに向けて~。そう、いい感じです!」
お姉さんの指示に従い、俺は恥ずかしさを堪えながらポーズを取る。
首を少し傾け、指先を頰に当て、膝を軽く曲げて可愛らしく立つ。
「次は後ろを向いて、肩越しに振り返ってみて。スカートを軽く摘まんで」
言われるがままに体を動かすたび、スカートがふわりと揺れ、太ももが空気に触れる。恥ずかしいのに、どんどん楽しくなってくる。
俺はつい自分のスマホを取り出してしまった。
「あ、いいですね!自撮りもどうぞ」
お姉さんが笑う中、俺は何枚も自撮りを連発する。
ピースしたり、指を唇に当てたり。画面に映る可愛い女の子が、自分だとは信じられない。
こんな経験、男だった頃の俺なら絶対に味わうことなんてできなかっただろう。
撮影が終わると、お姉さんが微笑んだ。
「衣装代をお支払い頂ければ、そのままこの格好でご帰宅も可能ですよ?」
俺は迷った。頭の中で葛藤が渦巻く
(一回だけのはずだったのに……このまま帰る?)
——結局、俺は服を購入して、そのまま女装姿で店を出ることにした。
外の空気が、いつもより冷たく感じる。いつも通る帰り道が、全く違って見えた。風にスカートが揺れるたび、太ももが露わになりそうな羞恥が全身を駆け巡る。
アパートに近づくにつれ、向かいのマンションが視界に入ってきた。
あの部屋で目に入ったセーラー服女装の人。
あの人のお陰で、こんなに楽しい世界があることを知れた。
(次は自分でもやってみよう)
俺は帰宅すると通販サイトでコスメ一式を買い物かごに入れていた。
【おしまい】
※次回も康介(瑠香)の女装窓ふきを見ていた、別の住人のお話です。