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1年後の瑠香

朝の日差しがカーテンの隙間から、柔らかく差し込む。


私はベッドの中でゆっくりと目を覚ました。

胸の重みを感じながら上体を起こすと、Dカップまで育った乳房が、ぷるんと優しく揺れた。


睾丸摘出手術から1年が経ち、女性ホルモンの影響で腰は細くくびれ、お尻は女性らしい丸みを帯びて大きくなっていた。


肌は滑らかで、声も手術で高く柔らかく変わり、仕草の一つひとつに自然と女性的なものが染みついている。


「ん……おはよう、瑠香ちゃん」


隣で愛が目を細めて微笑む。

彼女は私の体を引き寄せ、朝の温もりを確かめるように優しく抱きしめた。

そして、頰に優しいキスを落とす。


「今日も一日、頑張ろうね」


その甘い声に、私は小さく頷いた。

睾丸摘出手術を受け、女性ホルモンを毎日摂取し、豊胸手術も終えた今、私の体はもう男性だった頃の面影をほとんど残していない。


鏡に映るのは、細い首筋、柔らかな胸の膨らみ、女性らしいヒップライン。だけど、今はあえて“陰茎”だけは残した状態だ。


私はもう、康介としての人生を諦め、瑠香として生きることを選んでしまっていた。

愛が後ろからそっと抱きついてくる。


「今日も可愛いよ……瑠香ちゃん」


その言葉に、私は静かに目を閉じた。

この1年で、私は確実に、愛の掌の上で深く、深く堕ちていった。


◆


会社では、私は『藤岡 瑠香』として働いている。

レディースのスーツの下には、レースのブラとパンティ。

これは男性の時から着用していたから、当然だ。

Dカップまで育った胸は、スーツの上からでも柔らかな膨らみがわかるようになっていた。


朝食を終え、愛に見送られて家を出る。


「お仕事、頑張ってね。瑠香ちゃん」


通勤電車の中で、隣のサラリーマンがちらりと私の胸元を見る。

手術で大きくなった胸が、スーツのラインを優しく押し上げている。


(見過ぎだよ……私の胸……)


羞恥と、女として見られていることに、胸の奥が熱くなる。

男性ホルモンが作られなくなった体でも、そんな視線だけで少し興奮してしまう。


オフィスに着くと、隣の席の吉川さんが笑顔で声をかけてきた。


「藤岡さん、おはようございます!今日、仕事終わりに時間ないですか?」


「今日は特に予定はないかな」


「良かった! じゃあ買い物付き合ってくれません?新しいファンデが欲しくって、藤岡さんに選んで貰いたいんです」


もう会社でも、私は『元男の女子社員』として自然に受け入れられていた。

誰もが私を女性として扱い、女子トイレを使うのも当たり前になっていた。


仕事終わりに、吉川さんと二人で駅前の百貨店へと向かう。


「藤岡さん、このメーカーのファンデとこっちので悩んでるんですけど、どっちが合うと思います?」


カウンターで試しながら、私は自然にアドバイスをする。

吉川さんは満足して購入し、私も新しいリップグロスを買った。


「同じグループで歳が近い女の子ができて嬉しいです」


吉川さんが笑顔で言った。


その言葉に、胸の奥がじんわりと熱くなる。

1年前は想像もできなかった日常。


今、私は完全に女性として生きている。


◆


「おかえり。思ったよりも早かったね」


帰宅すると、愛が温かい夕食を用意してくれていた。


朝、愛に『同僚の女子社員とコスメを見に行きたい』と伝えると、彼女は嬉しそうに快諾してくれていた。

『仕事帰りに化粧品を見に行くなんて、女の子としては当たり前だよね。気に入るのが見つかるといいね。楽しみにしてるから、帰ってきたら見せてね』


食卓に着き、今日の出来事を報告する。

出勤時に胸元をチラチラ見られたこと。

同僚の女の子と百貨店でリップグロスを選んだこと。


愛は箸を置き、満足そうに微笑んだ。


「瑠香ちゃん、可愛いから男の人の視線もおっぱいにいっちゃうよね」

「女の子として会社に馴染めてるみたいで良かった。グロスもすごく似合ってるよ」


——食事が終わり、愛が真剣な目で私を見つめた。


「ところで……瑠香ちゃんは最終的にどうしたい?子宮形成する?それともこのまま“棒”だけは残したい?棒をクリトリスとして再形成すれば、感度も同じくらいにできるみたいだけど……この間みたいに、棒があったらあったで楽しいよね」


その言葉に、私の体がびくりと反応した。

胸の奥でジレンマが渦を巻く。


睾丸を失ってから性欲が減少すると聞いていたのに、

実際は逆だった。


女性ホルモンの影響で体は敏感になり、以前よりもずっと強い快楽を感じるようになっていた。


愛に胸を揉まれるだけで、頭が真っ白になる。

小さな“棒”を弄られるだけで、すぐに絶頂に達してしまう。


だけど、女の子への憧れは日々強くなっている。

完全に女性の体になり、愛に「女の子」として愛されたい。

でも、男性としての下半身があるからこそ楽しめる、今の状態を完全に失うのも怖い。


私はしばらく黙り、手を震わせながら答えた。


「そうだな……私はこの先……自分の身体は………」



【おしまい】

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