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10月。世間がハロウィンムードに包まれる中、自社のSNS向け特別キャンペーンという名目で、詩乃は本格的な中華風の撮影セットへと連れ出されていた。

「ハロウィン用のコスプレ撮影が必要だ」という社長の強引な指示によって着せられたのは、妖艶さと露出度が極限まで高められたキョンシーの衣装だった。 深い青を基調としたチャイナドレス風の意匠だが、胸元は大きく開いており、そこを隠すように配置された巨大なお札(符)を模した前掛けのような布が、かろうじて豊満な双丘の先端を覆い隠している状態だ。太ももは網タイツ越しに露わになり、スリットというよりもはや布が足りていない。

「……社長。自社アカウントのフォロワー還元企画としてハロウィンに乗っかるマーケティング手法は理解できます。しかし、なぜこのキョンシー衣装は、お札で胸を隠すような下品な構造になっているんですか?」

額に垂れ下がるお札を鬱陶しそうに避けながら、詩乃は冷え切ったジト目でカメラを構える社長を睨みつける。少しでも身じろぎすれば、前掛け状のお札の隙間から柔らかな胸の膨らみがこぼれ落ちてしまいそうだった。

「だいたい、こんな際どい写真を公式アカウントにアップできるわけがないでしょう。……コンプライアンスという言葉を、一度辞書で引き直してきてください」

呆れ果てたように鋭く言い放つ詩乃だったが、「これもインプレッション獲得のための重要な業務だ」というもっともらしい(しかし下心しかない)社長の建前を前に、結局は不満げに頬を膨らませながら、妖艶なキョンシーとしてカメラの前に立ち続けるのだった。

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