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「ユミ……」

掠れた声が、湯けむりを震わせる。

伸ばされた指先が、私の頬にそっと触れた。

「えっ……アルトリア?」

「……すみません。ですが……もう、これ以上は――」

彼女の瞳に理性の光が揺らめき、

そのまま唇が近づく。

「ん……っ」

一瞬の間に、朝の光と滝音が遠ざかる。

唇が触れ、柔らかな温もりが溶け合う。

「……はぁ……んっ……」

呼吸が混ざり、吐息が湯けむりの中に散った。

「……アルトリア……だめ……ここ、外だし……貸切だけど……」

息を乱しながら囁くと、彼女は小さく笑った。

「問題ありません。今は私たちだけです」

湯面がゆらりと揺れる。

「この滝の音が、すべてを包み込んでくれます。

人の気配があれば、すぐにわかる……」

そう言いながら、彼女は再び私の唇に触れる。

その指先が頬から首筋をなぞり、髪をすくい上げる。

朝陽を受けて濡れた金の髪がきらめき、

その姿が、あまりにも美しくて言葉を失う。

「……ユミ……」

掠れた声が、滝の音に溶けた。

彼女の唇が頬に、耳に、そっと触れていく。

「こんなにも近くに貴女がいるのに……理性など、持てるはずがありません」

私の背を包む腕の中、

湯気と光と滝の響きが、すべてをぼやかしていく。

抗う力は、もう残っていなかった。

「……アルトリア……」

「大丈夫です。今は……ただ、感じてください」

朝の光が湯面を照らし、ふたりの影を重ねていった。

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