黒の贈り物(Saber Alter Christmas)① (Patreon)
Published:
2025-12-14 13:34:35
Edited:
2026-07-02 06:50:29
Imported:
2026-09
Content
暖炉の火が、低く、静かに爆ぜている。
赤いビロードのカーテンが揺れるたび、王の私室に漂う甘い熱が、さらに濃くなった。
腰掛ける彼女――セイバーオルタは、脚をわずかに開いたまま、こちらを見下ろしている。
黒のサンタドレスは身体にぴたりと沿い、白いファーが不自然なほど無垢に、その禍々しい存在感を縁取っていた。深く切り込まれた胸元から覗くのは、華奢な鎖骨と、主張しすぎない起伏。
それが、かえって視線を離させない。
「……そんな顔で見るな」
低く、静かな声。
命令でも叱責でもない。ただ、逃げ場を奪うような響き。
彼女は前屈みになり、肘を膝に置く。
吐息が、わずかに湿り気を帯びて落ちる。
金色の瞳が細まり、唇の端が、ほんの僅かに歪んだ。
「聖夜だ。――望みくらい、言ってみせろ」
舌先が、唇をなぞる。
それだけで、空気が変わる。
汗に濡れた鎖骨が、暖炉の光を反射して艶を帯びる。
彼女は立ち上がらない。
触れもしない。
ただ、玉座の上から“許可”を与えるように、視線だけを絡めてくる。
「勘違いするな。これは慈悲だ」
そう言い切りながら、指先は太腿をなぞり、スリットの奥へと消えていく。
黒い手袋越しでも伝わる熱が、想像を煽るには十分だった。
「……クリスマスの贈り物だ。
受け取れる覚悟があるのなら――近くに来い」
微笑みは、甘くない。
それでも抗えないのは、この夜、この王の前に立っているからだ。
暖炉の火が、また一つ、音を立てた。
Files