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冬の夜の静寂が、暖炉の爆ぜる音だけを際立たせている。

部屋を彩るクリスマスツリーの輝きは、今夜ばかりは私の目には入らない。視線の先にいるのは、私をこんな姿に変えた、愛しい貴女――ユミ。

純白のシーツの上に座り込む私の体には、無情にも赤いリボンだけが食い込んでいる。

「……ユミ、あまり見ないでください。これでは、まるで……」

私は自身の肩を抱くようにして、潤んだ視線を床へ落とした。

肌を這うシルクの冷たさと、そこから露わになった己の無防備さが、頭をどうにかしてしまいそうだ。普段、鉄の鎧に身を包み戦場に立つ私が、今や貴女への「贈り物」として、ただのひと懐こい女のように震えている。

恥ずかしくないと言えば、嘘になる。王として、サーヴァントとして、このような破廉恥な姿を晒すなど……。

けれど、ふっと顔を上げ、ユミの瞳と視線がぶつかった瞬間、言葉が喉の奥で溶けた。彼女もまた、私と同じように肌を晒し、赤いリボンを纏って頬を染めているのだから。

「ですが……貴女だから、私はこれを受け入れたのです。他でもない、ユミにだけ……私のすべてを、捧げたいと願ったから」

震える指先を伸ばし、彼女の服の裾を――いや、彼女を縛るリボンの端を、縋るようにして掴んだ。

私の頬は、暖炉の火照りか、それとも内側から溢れる情熱か、林檎のように熱く昂っている。

「……意地悪を言わずに、早く受け取ってください。今夜の私は、剣を振るう騎士ではなく……ただの、貴女だけの、アルトリアなのです」

瞳を閉じると、一粒の涙が頬を伝い、胸元のリボンの結び目へと落ちた。

重なり合う視線の熱量に耐えかね、私は彼女の胸へと顔を寄せた。

「ユミ……熱い、です……」

耳元で漏れる自分の吐息が、情けないほどに甘く響く。

重なり合った二人の胸から、トクトクと切実なリズムが伝わってくる。それは私の鼓動なのか、それともユミの鼓動なのか。もはや判別がつかないほどに、私たちは深く、聖夜の闇に溶け始めていた。

「……ごめんね、アルトリア。少し興味本位が過ぎたというか。……ほら、私だって、貴女とお揃いだから」

ユミが頬を赤らめ、自身の体に巻き付いた赤いリボンをそっと指でなぞる。

その姿を見た瞬間、私の胸の奥が熱く疼いた。戸惑いと羞恥に震えていたはずの心は、露わになった彼女の柔らかな肌と、私への愛おしさを隠しきれないその視線に、一瞬で奪われてしまった。

「……ずるい方だ。そのような姿を見せられては、責めることなどできません」

私は溜息をつくように呟き、ユミの項(うなじ)にそっと腕を回した。指先に触れる彼女の体温が、驚くほど心地よい。

「ユミ……貴女は、あまりにも……美しい」

本心が、吐息とともに漏れ出す。その言葉に背中を押されるように、ユミが私の華奢な肩に手を置いた。彼女は私を少しだけ仰向けにさせるようにして、指先をリボンの隙間から、私の白い肌へと滑らせてくる。

「……っ、あ……ユミ……」

鎖骨のくぼみを、そして耳の裏を、羽毛のような優しい手つきでなぞられる。

喉の奥から、自分でも驚くほど甘く、切ない声が漏れた。戦場での凛々しい叫びなど、どこか遠い国の出来事のようだ。今の私は、ただ愛を乞うように震えることしかできない。

「恥ずかしいけれど……不思議と、嫌ではありません。貴女の指が触れる場所が、火がついたように熱い。もっと……もっと、私を壊さない程度に、愛してください」

ユミの指が、私の脇腹から背中へと回り、リボンの結び目に触れる。そのたびに、私の肩はびくりと小さく跳ねた。

解いてしまえば、このもどかしさからは解放される。けれど、薄い絹越しに伝わる彼女の体温が、私の肌を痺れさせ、理性をじりじりと溶かしていくのだ。

「ユミ……その、指は……反則、です……っ」

私は耐えかねて、彼女の肩に顔を埋めた。

ユミの指先は、あえて結び目を解くことはせず、リボンの縁(ふち)をなぞるようにして、私の肌を執拗に愛撫し続けている。そのたびに視界が潤み、熱を帯びた自分の吐息が彼女の首筋をくすぐるのが分かった。

「見てください……。貴女が触れるたびに、私は……このような、情けない声を……」

羞恥に震えながらも、私は自ら彼女の腰に脚を絡めるようにして、その温もりに距離を詰めた。

リボンが擦れるわずかな音さえも、静まり返った部屋では官能的な響きを持って私の鼓動を急かす。ユミの指が、今度は私の胸元、リボンが食い込む境界線をゆっくりと這い進んできた。

「あ……んっ、ユミ……っ」

私は思わず上体を逸らした。

剥き出しの肌よりも、リボンによって「限定された」場所を愛でられる方が、私にとってはより刺激的で、逃げ場のない快楽を与えていた。

「もう……限界、だと言いたいのに。……まだ、貴女に触れられていたい。解かれるのが惜しいほどに、貴女の指が心地よくて……」

涙を浮かべた目で、私はユミを強く見つめ返した。

解きそうで解かない、二人の間の赤いリボン。それは、今この瞬間の甘美な苦痛を繋ぎ止める、魔法の鎖のようだった。

「……ユミ、お願いです。もう少しだけ、このままで……。私の、高鳴る鼓動を、もっと感じてください」

私は自らユミの手を取り、自分の胸元へと導いた。リボンの上で重なる自分たちの鼓動が、一つに溶け合っていく。私はその熱を、確かめ合うように深く深く、受け入れていった。

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