【邪ンヌ】竜の魔女の甘すぎる誤算 (Patreon)
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2月14日の夜。
キッチンから漂ってくるのは、甘いカカオの香りと……むせ返るような熱気だった。
「……あ、来たわね。遅い!」
扉を開けた私の目に飛び込んできたのは、信じられない光景だった。
床にぺたりと座り込んだジャンヌ・オルタ。
だが、彼女はいつもの黒いドレスを身に纏っていない。全裸だ。
輝くような白い肌には、玉のような汗がびっしりと浮かび、そして──ドロドロに溶けた黒い液体が、胸から腹、太ももにかけてこびりついていた。
「な、何よその目は! 見世物じゃないわよ!」
彼女は右手に握りしめた、半分溶けかけた板チョコを私に突きつけて怒鳴る。
「こ、これはアレよ! 湯煎なんてまどろっこしいことやってられないから、私の『竜の炎』で一気に溶かしてやろうと思っただけよ!」
「そうしたら……加減を間違えて、部屋ごと私の体温も上がりすぎちゃって……チョコが全部、爆発したみたいに溶け出したのよ! 服もベタベタになって気持ち悪いから脱いだわ。文句ある!?」
逆ギレもいいところだ。
しかし、今の彼女は直視できないほどに艶めかしい。
自ら発する高熱で、全身の肌は微かに紅潮している。首筋から胸の谷間へ、汗と混ざったチョコレートソースが黒い川のように流れ落ち、白い肌とのコントラストを描いていた。
「はぁ、はぁ……っ。それにしても、暑いわね……」
彼女は肩で息をしながら、乱暴に前髪をかき上げた。
その指にもネットリとチョコが絡みついている。
「……で? いつまで突っ立ってるわけ?」
ジャンヌ・オルタは、潤んだ金色の瞳で私を睨み上げ、挑戦的に足を開いた。
太ももの内側にも、茶色い飛沫が点々と散っている。
「失敗作を捨てるなんて、サーヴァントの恥よ。だから……アンタが処理しなさい」
彼女は自身の豊満な胸についたチョコを、指先で掬って舐め、挑発するように私に見せつけた。
「ほら、ちょうどいい具合に溶けてるわよ。私の体温と、汗の塩気が混ざって……普通のチョコよりずっと美味しくなってるんじゃない?」
「……責任取りなさいよ、マスター。私がこんな恥ずかしい格好になってまで用意したんだから」
彼女は頬を真っ赤に染めながら、それでも不敵に笑ってみせた。
「冷えて固まる前に……アンタの舌で、一滴残らず綺麗にしなさい。……これは命令よ」
キッチンの床、甘い匂いと獣のような熱気の中で。
竜の魔女の「人体発熱フォンデュ」が、今まさに振る舞われようとしていた。
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