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カルデアの廊下を歩いていた私は、開け放たれたドアの隙間から、信じられないものを見て足を止めた。

そこは、サーヴァントたちが身体を動かすための多目的ルーム。

誰もいないはずのその部屋で、モルガンが一人、ヨガマットの上でストレッチをしていたのだが……。

「……んっ、ふぅ……」

漏れ聞こえる艶めかしい吐息。

そして何より、そのポーズだ。

彼女はニット素材のボディスーツに身を包み、マットの上で四つ這いになっていた。

そこから片足を高く上げたり、あるいは腰を深く沈めて背中を反らせたり……。そのたびに、豊満なヒップのラインや、汗で肌に張り付いたウェアが食い込む様子が、嫌でも目に飛び込んでくる。

(す、すごい……いや、すごいけど!)

芸術的とも言えるその曲線美に見惚れると同時に、私は猛烈な焦りを覚えた。

あんな無防備で、しかも扇情的な姿を他のサーヴァント(特に男!)に見られたら大変だ。

私は慌てて部屋に入り、背後のドアをバタンと閉めた。

「……おや。早かったですね、我が妻よ」

モルガンは体勢を崩さず、肩越しにこちらを振り返った。

運動のせいか、それとも私の視線を感じたせいか、その白い頬はほんのりと上気している。

「美容と健康のために、極東の『ヨガ』とやらを試しているのですが……どうですか? 私の身体は」

彼女はそう言って、わざとらしく腰を突き出し、さらに深く背中を反らせてみせた。

汗が鎖骨を伝い、胸の谷間へと流れ落ちていく。

私は思わず顔を覆いながらけれど指の隙間からしっかりとその姿を焼き付けつつ彼女に声をかけた。

「ねえ……モルガン。そのポーズ、人前でするのは絶対やめたほうがいいと思う!」

「……何故です? 柔軟性は戦いにおいても重要でしょう。それに、このウェアも動きやすくて……」

「動きやすすぎるから問題なの! その……お尻とか、胸とか、強調されすぎっていうか……とにかく、目の毒だから!」

私が必死に力説すると、モルガンはようやく私の言わんとすることを理解したらしい。

みるみるうちに、彼女の涼やかな顔が、耳の先まで真っ赤に染まっていく。

「…………っ」

彼女は何か言い返そうとして口を開き、けれど言葉にならずに視線を泳がせた。

普段の堂々とした態度はどこへやら。彼女は四つ這いのまま、恥ずかしさに耐えるように身を小さく震わせる。

「……我が妻よ。そのような目で見られては、その……さすがの私も、いささか抵抗があります」

「あ……ご、ごめん」

「……謝る必要はありません。ただ……」

モルガンは顔を背けた。

けれど――彼女はヨガをやめなかった。

むしろ、恥ずかしさを隠すように、あるいは私への当てつけのように、さらに大胆な「猫のポーズ」をとって、マットに胸を押し付け、腰を高く突き上げてみせたのだ。

「……勘違いしないでください。私は、貴女に見せるためだけに、ここを使っているのですから」

「え?」

「と、扉の鍵は……かけ忘れていましたが……。他の誰かが来たら、即座に魔術で消し飛ばしていたに決まっています」

彼女の声は震えていた。

突き上げたお尻も、支えている腕も、恥ずかしさでプルプルと小刻みに震えている。

それでも彼女はポーズを解かない。

潤んだ瞳で、上目遣いに私を睨みつけながら、彼女は拗ねたように言った。

「……そんなに『やめたほうがいい』と言うのなら。……貴女が責任を持って、私の視界を塞ぎなさい。他の誰にも見えないように……近くに来て、隠せばいいでしょう」

それは、女王なりの不器用な誘い文句だった。

汗ばんだ肌と、甘い匂い。

私は観念して、真っ赤になって震える愛しい「妻」の元へと歩み寄った。

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